著者
大村 昇平 谷村 朋樹 大越 匡 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-67, no.29, pp.1-6, 2020-09-22

データを収集する機器の進化に伴い,スポーツの世界でも多様な分析を行うことが可能になっている.しかし,分析に必要なデバイスは高価であるため,データ収集・分析の恩恵を受けることができるのは一部の人に限られている.この問題を解決するために,多くの人に普及しているスマートフォンで撮影された動画から,データを収集・分析できるシステムを提案する.提案するシステムでは,物体検出の手法を用いて選手とボールを検出し,その検出結果のコート上での位置を使用することでフットサルの試合を分析する.本研究では,システムの個別の技術精度と分析の精度という 2 軸で評価した.システム個別の評価項目は,選手とボールの検出精度,選手の分類の精度,分析の精度の評価項目は支配率の精度とし,実験を行った.選手とボールの検出精度は選手が mAPスコア0.81,ボールは mAP スコア 0.437 となり,選手分類の精度は高い精度を出すことができたが,1 クラス 30 %と低い精度になった.また,支配率に関しては,目視で判断した場合と大きな差はなかった.精度が低くなったものに関して考察した結果,小さな物体を検出するために更なる研究が求められるとわかった.
著者
岩田 あきほ 川島 寛乃 大越 匡 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-67, no.27, pp.1-8, 2020-09-22

フィギュアスケートでは,全ての演技の採点は一つ一つの技の出来栄えの判定結果を複雑に組み合わせて行う.そのため採点に審判の主観が含まれる可能性が問題視されている.そこで本研究では,採点の適正化を支援する取り組みのはじめの段階として深層学習モデルを使って技(エレメント)の認識を行う.本論文ではフィギュアスケートの演技構成要素の一つであるステップシークエンスに着目し,動画からエレメントの判別を行うモデル SkateNet を提案する.また,独自に収集したフィギュアスケートの動画よりスケートデータセットを作成する.実験ではフレームごとにエレメントの認識を行い精度で評価する.その結果,背景などの余分な情報が含まれていると元動画からエレメントを推定し識別することは難しいことから,そのようなノイズをできるだけ除去することが重要であることがわかった.また,より詳細な下半身の関節座標の使用により精度が向上するであろうことが示された.
著者
Yuka Noda Kazuhiro Imura Hideaki Nakajima Tadashi Okoshi Jin Nakazawa
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-67, no.30, pp.1-8, 2020-09-22

In recent years, there has been an increase in the number of people suffering from bone related health issues. This can be attributed to our sedentary lifestyle, which allows us to go for days without getting adequate sunlight. Exposure to sunlight, or UV radiation is often associated with negative images of skin cancer and sun buns; however, adequate UV exposure is important in creating vitamin D, which plays a key role in maintaining the levels of calcium in our bodies. While many studies point out the benefits of exposure to sunlight, existing researches dealing with behavior change tries to promote sun protection behaviors or tries to prevent people from exposing themselves to UV radiation. This poses an alternate threat of bone related health issues towards those who are not getting enough sunlight. In order to motivate people to continue to get adequate sunlight exposure, we will create an application that provides interventions geared toward one's personality, as well as using context aware notifications to allow for behavior change. This system will employ the use of the OCEAN Model to determine the personality types of the users and will attempt to persuade the user to change their behavior with UIs that are designed specifically for those personality types.
著者
佐藤 彩夏 暦本 純一
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-38, no.8, pp.1-4, 2013-05-09

調理は多くの家庭で行われている活動であるが,レシピを見ながら新たな料理に挑戦するのは簡単なことではない.なぜならば,レシピを見ながら調理をしていると,現在自分がレシピのどこまで終えたのか分からなくなったり,見間違いにより材料の分量を間違えてしまったり,手順を飛ばしてしまったりするからである.さらに,レシピに記述してある用語が分からなかったり,使用するべき道具が分からなかったりなど,レシピには欠けている情報も多い.Shadow Cooking は,ユーザの調理の進捗状況に応じて,キッチンカウンター上に手順ごとにガイドを表示するシステムである.本システムは,主にキッチンカウンター上に設置したデプスカメラとプロジェクターで構成され,ユーザはキッチンカウンター上にある材料や道具に直接投影された指示に従って調理を進めていく.さらに,本システムはデジタルキッチンスケールと連携し,材料の入れるべき分量と現在入れた分量をリアルタイムに表示させることで計量ミスも防止する.
著者
森田 純哉 平山 高嗣 間瀬 健二 山田 和範
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2015-UBI-47, no.16, pp.1-6, 2015-07-20

これまで発表者らは,パーソナルデータを用いた自伝的記憶のモデル構築,およびそれを組み入れた写真スライドショーアプリの開発に取り組んできた.本発表では,アプリの背景にあるモデルベース回想法のコンセプトを議論する.モデルベース回想法は,(1) 認知アーキテクチャによるユーザモデリング,(2) ユーザフィードバックによるモデル学習,(3) モデルによるユーザの働きかけを要素とする.個人化された認知モデルによって,ユーザに写真が提示され,ユーザからのフィードバックによってモデルがチューニングされる.その結果として,人間とモデルの同調,あるいはモデルによる人間の連想の引き込みが生じる.こういったモデルベース回想法の方法論を完成させることで,ユーザの記憶想起をポジティブな方向へ導き,建設的な未来展望へつなげるシステムが構築されると考えている.
著者
福嶋 開人 湯村 翼 リム 勇仁 丹 康雄
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-66, no.1, pp.1-8, 2020-05-18

少子高齢化の進展により,少ない働く世代で多くの高齢者を支えることから働く世代,高齢者ともに負担が高まっており,少ない介護者で効率的に高齢者を見守る方法が注目されている.そこで,無線電波によるデバイスフリーで呼吸数および心拍数を推定する研究がされており,種々の電波方式が検討されている.例えば,専用無線機器を用いた FMCW や汎用無線の Wi-Fi を用いる方法が挙げられる.しかし,これらの方法には機器が社会に広く普及していない点や消費電力が大きい点で,家庭内での利用に不向きという問題がある.本稿では,汎用無線標準である Bluetooth Low Energy のアドバタイズ機能を用いて家庭内にいる居住者の呼吸数および心拍数の取得の可能性について検討する.実験では,人の呼吸数および心拍数に相当する振動をアルミバルーンを用いて再現し,送信電波がフレネルゾーンにより干渉することで生じる受信強度の変化から振動が取得できるかを確認した.呼吸数の 10bpm,15bpm,20bpm において,想定した周波数に反応が出ている結果を得た.このことから,BLE 電波を用いて生体情報の実現が取得が可能であると結論付けた.今後の展望として,本実験では利用しなかった送信パケットのデータ部に送信機の位置を格納し,マルチアンテナ構成を実現することでより高精度な測定の実現を見込む.また,家庭内での位置情報を利用する研究と組み合わせることで居住者一人ひとりを識別し,個人に合わせた提案を行う社会的に影響の大きな技術となり得る.
著者
本木 悠介 中山 誠 近藤 俊輔 石川 えり 神野 さくら 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-66, no.3, pp.1-8, 2020-05-18

看板やデジタルサイネージなど,公共空間に設置される看板広告の内容を理解するためには看板広告内に含まれる物体情報や文字情報を基にする必要がある.しかし,看板広告を含む一般的な街中の風景を映した画像には,広告部以外の文字や物体の情報が多く含まれており,これらの情報は広告内からの情報を抽出するにおいて必要のない情報となる.本研究は,画像内から看板広告のみを対象として物体検出する.その際により優れた物体検出モデルを作成するために状況ごとや媒体ごとに物体検出に適した看板広告を調査することを目的とする.
著者
上嶋祐紀 内山彰 山口弘純 東野輝夫
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2014-UBI-41, no.32, pp.1-8, 2014-03-07

本研究では都市部における GPS を用いた高信頼な端末の存在領域推定を目標に,都市部の 3 次元モデルを利用した手法を提案する.提案手法では,各地点と各 GPS 衛星の間に障害物が存在する状態 (NLOS:None-Line-Of-Sight) であるか,または存在しない状態 (LOS:Line-Of-Sight) であるかを事前に計算し,フィンガープリントとする.携帯端末が受信した GPS の Signal to Noise Ratio (SNR) から LOS/NLOS を学習データに基づき判定し,その判定結果とフィンガープリントに応じて各地点に端末が存在している尤度 (存在尤度) を決定する.しかし,フィンガープリントとのマッチングのみではフィンガープリントの境界付近において安定した結果が得られない場合がある.そこで,提案手法では短期間の SNR 分布に対する統計量から端末の移動に伴う LOS/NLOS の切り替わりを検知する.これによって,フィンガープリントの境界を通過した場合に切り替わり後の地点の存在尤度を一時的に高めることができ,安定した結果が得られる.フィンガープリントの境界通過検知について大阪大学構内で実験を行った結果,検知率,正解率はともに高いことがわかり,平均を用いた場合は検知率は 97%,正解率は 95%,遅延時間は 3.5秒,変化量を用いた場合は検知率は 84%,正解率は 98%,遅延時間は 1.9秒となることがわかった.
著者
吉田 豊 湯田 恵美 早野 順一郎
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-65, no.1, pp.1-3, 2020-02-24

ライフログを用いて 30 日間の日常生活で得られた行動と情動の共起性を共起ネットワークで可視化した.座位と睡眠の行動はリラックス,落ち着き,たるみといった身体を休息するような情動と共起性があった. スマホ,歩行,食事は気楽,幸福,満足,喜びなどの positive な情動と共起性があった.negative な情動は negative 同士で繋がっており,negative の連鎖が見られた.
著者
福田 諭 梶岡 慎輔 松尾 啓志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.17, pp.1-8, 2015-02-23

スマートフォンなどのモバイル端末の普及により,様々な場所や場面でのインターネットアクセスの需要が増加している.しかし災害時や発展途上国など,通信インフラを利用できない状況では,インターネットアクセスを実現することはできない.そこで Delay/Disruption Tolerant Networking(DTN) 技術を利用することで,より多くの場所や場面でインターネットアクセスを実現する手法が提案されている.DTN では,端末からのリクエストをマルチホップ無線通信とデータ運搬 (DTN ルーティング) によりインターネットに接続されたアクセスポイントへ転送する.サーバレスポンスは,一般には最初にリクエストを受信したアクセスポイントが DTN ルーティングにより端末へ配送する.しかしこの方法では,宛先端末に近いアクセスポイント以外へリクエストを転送する場合があり,このときレスポンスの配送遅延が増加するという問題が生じる.本稿では,適切なアクセスポイントがレスポンスを転送することで,レスポンスの配送遅延を削減する手法を提案する.計算機シミュレーションにより評価した結果,提案手法は既存手法と比べて,配送遅延を最大で 33% 削減,配送率を最大で 28% 向上できることを確認した.
著者
笠井昭範 原直 阿部匡伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.6, pp.1-6, 2014-07-21

GPS による位置情報を用いたアプリケーションやサービスが広く普及している.本研究では,GPS から取得した位置情報をもとに,様々なライフログを集約するシステム FLAG を開発した.FLAG では位置情報を滞在地と移動経路に分類して管理を行う.分類した位置情報は地図とタイムテーブル上に可視化され,滞在地にはユーザごとに個別の名称を登録する機能を設けた.また,様々なライフログを集約する例として Twitter における投稿時間から FLAG の持つ位置情報と結びつけを行う.これにより,位置情報を持たないライフログの地図上への可視化が可能となる.システムの評価では,6 名の被験者により滞在地の正解データを作成し,FLAG の滞在地検出精度について 2 種類の検出法を用いて比較を行った.結果, FLAG では元データに比べて高い精度による滞在地の検出が確認された.Recently, the application and the service which utilize location information from GPS have highly prevailed. In this paper, we developed the system called FLAG which aggregates the variety of Lifelog under location information. FLAG manages location information discriminate between moving and staying. With using FLAG, we visualize categorized location information on the map and the time table. And implement set the function which registers individual name according to users in the staying state. We also link the location information from FLAG to Twitter using the posting time for an example of aggregating various kinds of Lifelog, This function enables Lifelog to show on the map even if the Lifelog has no positional information. For an evaluation of the FLAG system, we created correct data of staying by six users. And we compared accuracies of staying by using two detection methods. As a result, we confirmed that FLAG can be detected high accuracy staying than the original data.
著者
山川 太一 宮路 祐一 上原 秀幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.43, pp.1-5, 2013-05-09

アドホックネットワークは多様な端末によって構成されるため,全方位性アンテナを搭載した端末 (全方位性端末) と,可変指向性アンテナを搭載した端末 (指向性端末) が混在した環境を許容する必要がある.しかし,このような環境における難聴や Head-of-Line(HOL) ブロッキングのような問題は,これまでに報告されていない本研究では,異種アンテナ混在アドホックネットワークにおいて,指向性端末が難聴となることによって全方位性端末で HOL ブロッキング問題が発生することを示す.この問題を解決するため,送信端末は難聴によって CTS パケットが受信できなかったとき,キューの中にある宛先の異なるパケットを先に送信する,日和見的なメディアアクセス制御手法を提案する.難聴は宛先が指向性端末のとぎのみに発生する.そこで,提案手法は宛先端末のアンテナの種類を用いて,他の宛先へのパケットを先に送信するかを決める.計算機シミュレーションから,提案手法は,IEEE 802.11DCF に比べて,スループットが約 28%向上した.Ad-hoc networks have terminals with various antenna capabilities such as omni-directional antenna and directional one. However, in ad-hoc networks with heterogeneous antennas, the Medium Access Control (MAC) layer problems such as deafness and Head-of-Line (HOL) blocking problem are not discussed. In this study, we argue HOL blocking problem due to deafness in ad-hoc networks with heterogeneous antennas. For solving the problem, we propose an opportunistic MAC protocol. In this protocol, if a sender does not receive CTS frame because of deafness, it attempts transmission to other destination. Deafness occurs only if the destination has directional antenna. The proposed MAC protocol uses the antenna type of the destination for determining whether the sender transmits to other destination or not. As a simulation result, the proposed MAC protocol achieves about 28% higher throughput than IEEE 802.11 DCF.
著者
渡邉拓貴 寺田努 塚本昌彦
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-39, no.9, pp.1-8, 2013-07-24

ウェアラブルコンピューティング環境では,装着型センサを使った状況認識に注目が集まっている.一般的に用いられるセンサは加速度センサやマイクだが,前者は複数のセンサのデータを統合するために通信を行う必要があり,後者は音のみに頼っているため実際にそのユーザが関係している音なのかが分からない.そこで本研究では,超音波によってユーザの行動,周囲に居る人,現在居る場所などの情報を取得し,ボイスレコーダなどの音声記録に埋め込む手法を提案する.ユーザはマイクと超音波を発する小型スピーカを装着し,これらの距離を表す音量の変化と,ジェスチャの速度を示すドップラー効果を利用してジェスチャを認識する.また,環境や人に超音波 ID を発信する小型スピーカを装着することで,ユーザがどこにいたか,近くに誰がいたかという情報も同時に記録する.これにより,会話音等の環境音,ジェスチャ,ユーザのいた場所,会った人物のデータすべてがマイクのみで記録できる.提案手法では他者による環境音が無い場合,平均 86.6% の精度で認識でき,他者から発せられる環境音がある場合,平均 64.7% の精度で認識できた.
著者
山藤 浩明 前川 卓也 松下 康之
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2016-UBI-50, no.4, pp.1-6, 2016-05-21

屋内位置推定技術は,独居高齢者の見守りやホームオートメーションといったアプリケーションに活用されることが期待される.こうしたユーザの位置を常に補足し続けるアプリケーションにおいては,ユーザの負担や抵抗感を低減するために,(1) ユーザがスマートフォン等のデバイスを身に付ける必要がなく (デバイスフリー),(2) プライバシに配慮した屋内位置推定手法が求められている.筆者らはそのような屋内位置推定手法として,環境内に複数配置した再帰性反射材からなるマーカを赤外線 LED を搭載した赤外線カメラで撮影し,マーカの遮蔽情報から人物の位置情報を推定する手法を提案してきた.この手法では赤外線カメラを用いることでプライバシを保護しつつデバイスフリーの屋内位置推定を実現する.しかしこれまでの手法では環境に 2 台のデバイスを設置する必要があり,さらに環境内には 1 人の人物のみが存在する状況を想定している.本稿では既存手法を改良することで,1 台のデバイスのみを用い,環境に複数の人物がいる状況においても適用可能な屋内位置推定手法を提案する.
著者
笹川 真奈 椎尾 一郎
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2015-UBI-47, no.8, pp.1-7, 2015-07-20

日本の都市部では,多くの人々が長時間の電車通勤・通学を強いられている.その通勤時間に,電車の中で座って休めるか否かは重要問題である.本研究では,電車内で乗り合わせた乗客が降りる駅を,過去の事例から推定・提示することで,席に座れるチャンスを利用者に提供するスマートフォンアプリケーション SUWANT!a を提案・実装した.本アプリケーションは,スマートフォンや各種デバイスが発信する Bluetooth 信号を利用して,電車内の乗客を特定する.そして Bluetooth 機器所有者が過去に乗降した駅のデータから,特定した乗客の降車駅を推定する.もしユーザの周辺にすぐに降りそうな乗客がいれば,本アプリケーションはその乗客の存在と推定距離と推定降車駅を表示する.ユーザは座っている乗客の周辺を歩き回り,変化する推定距離を見ることによって,もうすぐ降りそうな乗客を探し当てることができる.また,本アプリケーション使用中にも Bluetooth 信号を記録し,周辺の Bluetooth 機器所有者の乗降駅をデータベースに登録するためのデータを,サーバに送信する.本アプリケーションのユーザは,アプリケーションを使えば電車で座れる可能性が上がるという動機で,Bluetooth 信号の情報を収集するクラウドソーシングに参加することになる.評価実験では,特定の電車区画において,10 乗車中 2 回本システムを使って座ることができた.
著者
今城 和宏 上坂 和也 柴田 征宏 芳賀 博英 金田 重郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-8, 2009-05-08
被引用文献数
1 3

幼児は集団生活を通して社会性を身につけるため,保育者や友達との交友関係が成長に大きく影響を及ぼしていると考えられる.そのため,保育者がそれぞれの幼児に応じた保育を行うには,幼児一人ひとりの交友関係を把握しておかなければならない.しかし,1クラスに何十人もいる幼児一人ひとりの交友関係を日々観察するには,知識・技術だけでなく,豊富な経験が必要であり,経験の浅い保育者には困難である.そこで,著者らは保育者への支援として,幼児に活動量を記録する歩数計を装着し,そこから得られる活動量のクラスタリング結果から,幼児の交友関係を分析する手法を提案してきた.しかし,従来手法では,加速度情報のみであったため,位置情報を無視して分析していた.そのため,子ども同士が離れた場所で遊んでいても,同じ遊びをしていた場合に交友があると誤認識していた.そこで本稿では,RFID及び加速度センサを用いて,子どもの位置及び活動量を測定し,それらを基に子どもの交友関係を分析した.そして,幼稚園で実験をした結果,従来手法と比較して,精度向上が得られ有効性を検証できた.Children learn to fit into society through living in a group, and their sociability is greatly influenced by their friendship relations. Although preschool teachers need to observe them to assist in the growth of children's social progress and support the development of each child's personality, only experienced teachers can watch over children while providing high quality guidance. Therefore, the authors have been proposing the method that analyzes the children's friendship relation from accelerometer sensors. But, previous method has no location information because we use only accelerometer sensors. So if two groups do the same play in different locations, members of these groups have a friendship relation. In this paper, we get area information by active-RFID. So we propose an extraction method of children's friendship relation by acceleration data and located information. The result of experimentation by a kindergarten, we could inspect the validity of our method.
著者
西山勇毅 米澤拓郎 中澤仁 徳田英幸
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-38, no.21, pp.1-8, 2013-05-09

近年,個人の動機付けや行動改善のためのアプリケーションが普及してきた.今後,研究プロジェクトチームやスポーツチームなどの明確な目標を持ち,様々な立場の人間が所属するチームでの利用が考えられる.本研究では,個人の貢献度の可視化がチームの動機づけに与える影響の調査を行った.情報共有アプリケーションを実装し,ランダムに抽出したチームに対して,他人に個人の貢献度を見せた場合と見せない場合での比較実験を行い評価した.
著者
岸野 泰恵 柳沢 豊 松永 賢一 須山 敬之 納谷 太 坂田 伊織 北川 忠生
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2014-UBI-43, no.11, pp.1-7, 2014-07-21

希少魚の保護は生物多様性維持の観点から重要な課題であるが,生息環境が十分に明らかにはされておらず,経験的な知識をもとに保護されている場合も多い.無線センサネットワークを用いて希少魚の生育環境をモニタリングすることで,生息環境や繁殖の条件を明らかにできれば,生物多様性の保護に貢献できる.そこで本研究では,ニッポンバラタナゴ (絶滅危惧 IA 類) の保護池に無線センサネットワークを構築し,溶存酸素量,水温,温度,湿度,照度のモニタリングを行っている.本稿では,2013 年 3 月から開始したニッポンバラタナゴ生息環境モニタリングの実験について報告する.
著者
岩本 拓也 小倉 加奈代 西本 一志
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2012-UBI-36, no.16, pp.1-8, 2012-10-25

恋人間の愛着行動 (いわゆる 「いちゃいちゃ」) は,幸福感を得るためや相手との関係をより良いものにするために重要な行為である.恋人達の多くは,常に愛着行動をとりたいと願っている.しかしながら公共空間では,目の前にパートナーがいるにもかかわらず愛着行動を行うことができない.従来の恋愛支援技術の研究は,遠距離恋愛者を対象に研究開発が進められてきたが,近距離恋愛者に対しても支援すべき課題が残されていると考える.そこで我々は,公共空間内での対面状況において,周囲に不快感を与えることなく愛着行動を行えるメディアの研究開発を進めている.本稿では,このメディアの実現に向け,どのような種類の行動を伝え合うことが有効かに関する基礎的検証を行う.