著者
田村 章 松岡 博美 井上 昌子 浅井 貴子 松原 梓
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.18, pp.69-71, 2018-06

県内冷凍食品企業から提供されたトンカツ,チキンカツおよびハムカツ2種類を対象に,油ちょう解凍とレンジ解凍での客観的な食感評価の比較を行うとともに,味認識装置を用いて味覚の差異を検討した。食感評価では,水分含有率およびクリープメータを用いての破断強度を測定することにより,油ちょう解凍とレンジ解凍の差異を客観的に評価できた。味認識装置による測定では,味覚の差異が明らかとなり,その結果,食感が補完できる味付けを視覚化することができた。また,この機器は他製品との差別化に有効であることが確認できた。
著者
山地 弘起 ヤマジ ヒロキ Hiroki Yamaji
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-68, 2000-12

本在外研究の目的は、バーチャル・ユニバーシティ(以下VU)構築の先進事例を欧米圏に求め、とくにこれまであまり知られていなかった北欧を中心として現状を調査し、日本における高等教育諸施策立案の基礎資料として提供することであった。調査先は、最終的に以下の12事例を選び、2000年夏に関係者のヒアリングを行った。1. Eカレッジ・ドットコム(米国)・・・アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)として先駆的な実績を持ち、すでに全米175の高等教育機関、5万人以上の学生にサービスを提供している。オンラインのFDプログラムも充実している。2.ナショナル工科大学(米国)・・・企業向け教育機関として、全米の優秀な工学教育をアグリゲートし、国際的に配信している。これまでの16年間の実績を背景に、徐々にウェブ上での教材提供を開始している。3.モンテレー工科大学(メキシコ)・・・衛星とウェブを縦横に活用するVUをすでに運用し、企業向け教育とともに教師教育においても定評がある。北米の主要な大学と提携し、ラテンアメリカに1400ヵ所のダウンリンクサイトを持つ。4.アサバスカ大学(カナダ)・・・北米の遠隔教育の先駆であり、ウェブ上での教育提供に徐々に移行しつつある。学習支援の制度、とくにコンピュータ上のコミュニケーション(CMC)の工夫が行き届いている。5.国立遠隔教育センター(フランス)・・・欧州の遠隔教育の先駆であり、キャンパス・エレクトロニックという完全オンラインでの高等教育提供を開始している。フランス語圏での教材バンクの開発にも関わっている。6.欧州遠隔教育ネットワーク(ハンガリー)・・・英国NPOとしてつくられた、欧州で最も大きな遠隔教育ネットワークであり、公開遠隔学習(ODL)のリサーチや情報提供に関して関連諸団体のハブ的役割を担っている。7.ブダペスト工科経済大学(ハンガリー)・・・中欧圏のなかで最も整備が進んだ遠隔教育センターをもつ。国際共同の教材開発とともに、学内のマルテメデイアFD、学外の企業のICT教育にも携わっている。8.VIRTUE(ノルウェー)・・・米国のメリランド大学システム、スウェーデンのヨーテボリ大学、ノルウェーのベルゲン大学の3大学が、海洋生物学に特化した研究・教育の共同体をつくり、ウェブとTV会議による高等教育を開始している。9.ルント大学(スウェーデン)・・・学内で研究開発されたオーサリングツールのLUVITを中心に、諸種の電子ツールを組み合わせ、独自のVUを立ち上げる段階にある。学生向け、教員向けのICT教育も充実している。10.王立工科大学オンライン(スウェーデン)・・・王立工科大学とストックホルム大学の共同で開始したIT大学の遠隔情報学部が、ICTの企業向け教育を開始している。十分なスタッフイングを背景に、学内授業をもとにしたオンライン教材を制作・配信している。11. ヘルシンキ工科大学(フィンランド)・・・工学分野における欧州最大の生涯学習センターを有し、カスタマイズされた企業向け教育を積極的に開発・提供している。2004年度開始の全国規模のVUの拠点でもある。12.ヘルシンキ大学(フィンランド)・・・継続教育およびメディア教育のいくつかのサポート部局を背景に、ICTの教育工学センターが発足し、3Gモバイル環境等での教授スキルの研究開発を進めて、VU整備の準備を行っている。以上のさまざまなVU構築の方向は、それぞれの大学を取り巻く情報環境基盤や高等教育状況、継続教育の伝統などの社会背景を反映したものである。もちろん、米国等に対する市場防衛・市場開拓の危機感も否めない。いずれにしても高等教育におけるICT活用への必然性が高く認識されている。日本においては、その社会背景がかなり異なることから、欧米圏の経験をそのままに参考にすることはできないが、今後のVU整備のためには、教材制作や配信、学習支援などに関するサポート部局ないしサポート機関の充実、並びに、VUにおける教育活動や学習支援のための基礎研究と学習モデルの明確化、の2点が早急に求められよう。ICTの技術的側面に傾きがちな昨今の議論に対して、実際の教育活動を整備するための議論がより必要であり、個々の機関はそれぞれに示唆に富む事例を提供している。
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.8, pp.77-78, 2008-06

発酵食品および豆類のmyo-、scyllo-、D-chiro-イノシトールの含有量の測定を行った。納豆を除く、分析試料にはmyo-イノシトールが存在していた。D-chiro-イノシトールは大豆、大豆煮汁乾燥物、納豆中にそれぞれ凍結乾燥重100g当たり、312mg、612mg、1,767mg存在した。scyllo-イノシトールは赤ワインにのみ検出された。
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.7, pp.64-66, 2007-06

食品に含まれる希少糖(プシコース)を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量する技術を確立した。本分析法を用いて様々な食品を調べたところ、プシコースは0.5mg/100g(コーヒー)から130.6mg/100g(ウスターソース)の範囲で存在し、特に菓子や調味料など、原料に砂糖を多用する食品に多く含まれていた。
著者
小野 里光 浅野 浩之 金沢 好一
出版者
群馬県林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:09186115)
巻号頁・発行日
no.14, pp.10-19, 2009-04

巻枯らし間伐を実施したヒノキ林において森林害虫発生調査を行ったところ、以下のことが明らかになった。1.巻枯らし間伐実施後から数年間は、二次的害虫であるマスダクロホシタマムシ、ヒメスギカミキリが発生した。2.立木に変色被害を引き起こすキバチ類の発生は、間伐実施から2夏後に発生数が増加する切り捨て間伐と同様の傾向を示したが、終息期間は切り捨て間伐よりも長期間にわたり発生する場合があることが確認された。3.キバチ類は、巻枯らし木を長期間にわたり繁殖源として利用する可能性があることが示唆された。
著者
石井哲
出版者
岡山県林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:03888509)
巻号頁・発行日
no.21, pp.15-42, 2005-03
被引用文献数
2

林内からの土砂流出防止等林地の保全を目的とした間伐率を検討するため、間伐率(本数間伐率0-50%)の異なる県北部のヒノキ人工林(11-70年生)20調査区(間伐後3年以内)において、2002-2004年に下層植生量を調査した。5mの方形調査区内に1mメッシュの定点(36定点)を設定し、各定点における下層植生の高さの和(定点植生高和)及び植生の有無の割合(定点植被率)を3年間継続調査した。2002年と2004年の下層植生量を比較すると、間伐率0%の調査区の定点植生高和は、3年間で殆ど増加しないか減少する傾向にあり、林床植生も極めて乏しいまま推移した。間伐率10-29%の調査区の定点植生高和は、6調査区中3調査区が増加、1調査区がほぼ横ばい、2調査区が減少した。間伐率30-39%の5調査区は、間伐率34%以下の3調査区が横ばいか減少で、間伐率35%以上の2調査区は増加した。間伐率40%以上では全ての調査区で増加していた。これらのことから、間伐後3年以内に下層植生量を増加させるための目安として、本数間伐率で35%程度以上という結果が得られた。また、定点植生高和及び定点植被率の値が大きな調査区では、各定点における下層植生の最高点から地上までの接触点数が多いため、雨滴の緩衝作用が働き、林地の保全効果も高いと推察された。
著者
喜友名 朝次
出版者
沖縄県森林資源研究センター
雑誌
研究報告 (ISSN:18821855)
巻号頁・発行日
no.52, pp.12-15, 2009

ホソカタムシ成虫の産卵前期間は、各シャーレの平均日数で83.4日であった。最も短かったのが38日で最も長かったのが157日であった。産卵前期間にはシャーレごとで差があり、安定してはいなかったが22組のうち16組は95日以内に初めての産卵を確認した。なお、全てのシャーレごとの初卵から孵化幼虫が発生していた。
著者
西山 嘉寛
出版者
岡山県農林水産総合センター森林研究所
雑誌
研究報告 (ISSN:03888509)
巻号頁・発行日
no.27, pp.91-97, 2011

列状間伐及び定性間伐を実施することにより,木本類及び草本類の種数及び個体数の増加,植被率の上昇が確認された。林床の植被率を70%以上確保するためには,早期の段階で,スギ・ヒノキの立木密度を600本程度まで下げる必要があることが示唆された。
著者
大道 明 高橋 宏和 Daido Akira Takahashi Hirokazu
出版者
筑波大学附属駒場中・高等学校研究部
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
vol.27, pp.207-257, 1988-03

現在、万有引力に関する教材は理科Ⅰ物理分野や地学分野、選択物理分野で取り扱われている。理科Ⅰ物理分野では、万有引力は落下運動や放物運動を決める重力として、地学分野では地球の形状や公転、惑星の運動を決める要因として扱われている。選択物理分野では万有引力の法則が発見される経緯を説明したり、 ...
著者
澤登 岩尾
出版者
東京教育大学付属駒場中高等学校研究係
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-55, 1961-12-20

親子関係を法律的に分類すると、実親子関係と法定親子関係となる。実親子関係は、血のつらなりがある親子で、嫡出子と嫡出でない子とに分類できる。嫡出でない子のうちに父の認知しない私生児と父の認知した庶子があったが、私生児は、子のためにその名称が廃止されさらに現行民法によって庶子という名称も同様の趣旨で廃止となった。 ...
著者
瀬田 智恵子
出版者
放送大学
雑誌
研究報告 (ISSN:13431080)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.77-99, 1998-11

近年の情報通信技術の進展は、我が国の教育改革の要請とあいまって、教育の分野にも大きな変化をもたらし、高等教育の一層の充実という文脈の中で「遠隔授業」「通信制大学院」などマルチメディアを活用した新しい教育の形態を可能にしている。イギリスにおいては、1989年以来CTI(Computers in Teaching Initiative : 教育におけるコンピュータ活用)と呼ぶシステムの下に、専門領域別に24大学がCTI Centreとなり、高等教育におけるコミュニケーション&情報テクノロジー(C&IT)の活用を目的に活動をしている。本稿では、CTI Human ServicesのSocial Work on the Webに所蔵の、The World Wide Web Virtual Libraryの中のMen's Issues Pageから、特にFatherhoodとSingle Dad lndexに見る「家族の中のジェンダー」の概観を試みた。The Men's Issues Pageに現れた父親の問題で目立つのは、「男は仕事」という役割期待を待つ故に、男性が父親として直面するジェンダーバイアスである。専業主夫、離婚後の扶養料負担、子どもの監護権、伝統的な性役割分業観に基づく裁判所命令、悪用される女性のリプロダクティブ・ヘルス・ライツなど。「男女共同参画」の推進という国際的な取り組みの中では、「女は家庭」という役割期待を担う故の、家族の中の女性の不利益に焦点が当てられがちである。しかし、今回の試みを通して、家族という枠組みの中で男性にとってのジェンダーバイアスも決して小さなものではないことを知ることが出来た。また、本稿の作成作業を通して、時間的・空間的制約を越えて資料へのアクセスが手軽にできる、比較的up-to-dateな情報を得易い、などのThe Virtual Libraryのメリットとその限界を体験できた。