- 著者
-
遠藤 愛
- 出版者
- 筑波学院大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
テニスのストローク局面における後ろ脚技術に着目し,以下の研究課題を検討した.「研究課題1.習得方法に関する研究-自己の経験をもとにして」では,後ろ脚の使い方を重要な技術として位置づけ,後ろ脚技術の習得者と未習得者との比較から,習得者に見られる特徴および後ろ脚技術の役割について整理した.続いて,著者の経験に基づき,後ろ脚技術の習得方法および習得のコツを示し,効果的・合理的にこの技術を習得するための方法論を提示した.「研究課題2.習得方法に関する研究-トップ選手を対象とした調査」では,グランドスラム大会シングルスへの出場,およびシングルス世界ランキング100位以内の経験を有する日本女子プロテニス選手10名を対象として,ストローク局面における後ろ脚技術をどのように捉えているのか,実際にストローク局面においてどのように後ろ脚技術を活用しているのか,また,その習得方法や習得のコツについての調査を行った.調査結果から,世界レベルで活動した10名の日本女子テニス選手は,全員が後ろ脚技術の重要性を認め,自らに適した各種後ろ脚技術を習得・活用していたことが明らかになった.しかし,各選手が習得していた後ろ脚技術や習得のコツについては個人差が認められた.(体育学研究投稿中)「研究課題3.後ろ脚技術の優劣がパフォーマンスに与える影響」では,世界レベルでの活動経験を有するプロ選手2名と,学生選手3名を対象として統一条件下のヒッティングテストを行わせ,ショットの正確性,ボールスピード,スイング動作に見られる両者の相違点を比較した.その結果,ボールスピードに有意差は見られなかったが,プロ選手はショットの正確性において学生選手を上回っていた.また,スイング動作の比較を行った結果,両者には後ろ脚技術の活用に差が認められたことから,後ろ脚技術の習熟度がショットの正確性などに影響を及ぼしている可能性が示唆された.