著者
屋代 如月
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

第一原理計算による格子不安定性解析により,FeマトリックスにY,O,Ti,Alを添加した系の,安定添加サイト・自由エネルギーの大小,酸素の溶解熱,そして力学特性として弾性係数の行列式の正値性(格子安定性)を評価した.モンテカルロシミュレーションでは,酸化イットリウムや酸化チタンを平均化粒子として近似したシミュレータを用いて,原子空孔や結晶粒界などの複雑な条件下での析出形態について検討した.
著者
清川 清
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、3次元仮想空聞において、手が届かないあるいは見えない位置にある物体の移動や、そのような地点へのユーザ自身の移動を効率的に行うために、本来の描画領域(メインビューポート)とは別に、仮想空間内に枠を作成してその枠内を新たなビューポート(サブビューポート)として利用する新しいインタフェースについて研究する。平成19年度は以下の項目を実施した。1)マルチビューポートインタフェースの操作に関する検討ユーザに追従していた窓枠をある地点でユーザ座標系から切り離してプライマリシーンに従属するよう切り替える、といった操作を可能とするために、状況に応じてユーザが従属関係を対話的に変更可能な操作手法について検討した。具体的には、窓枠に関与する従属関係の適切な視覚化手法および操作手法について検討した。従属関係の視覚化手法に関して、従属関係自体は仮想空間を構成する物体の見かけと無関係であり本来形を持たないため、違和感の少ない視覚化手法を検討した。一方、従属関係を変更するための操作手法に関しては、全体把握と詳細把握を両立できる視覚化手法および操作手法を考案し、実装した。2)マルチビューポートインターフェースの有効性の検証前項で検討する視覚化手法および操作手法をプロトタイプシステム上に実装し、前年度に検討した様々なインタフェース構成をユーザが対話的に選択できるシステムを構築した。この環境を用いて、より実際的なアプリケーションを開発しての定性評価、被験者実験を実施しての定量評価などを通じて提案手法の有効性を検証した。具体的には、ア)前年度に座標系の相関関係ごとに検討した有用性の検証、イ)平成19年度に検討した相関関係の対話的変更手法の有効性の検証、のそれぞれを実施した。
著者
三井 さよ
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

特養ホームでの聞き取り調査、阪神・淡路大震災以後ボランティア活動を継続している団体での聞き取り調査、および知的障害者の支援団体における準参与観察と聞き取り調査を通して、生活上で他者の支援を必要とするという経験の内実について理論的に考察すると同時に、その中でもその人の生活をその人自身のものとしていくための手法について、それぞれにおかれた環境や状況に応じて存在することを確かめ、その理論化を試みた。
著者
齊藤 晋聖
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

光ファイバのクラッド領域に微細構造を有する微細構造光ファイバにはいくつかの種類が存在するが、本研究では、ソリッドコアフォトニックバンドギャップファイバの有する特異な光学特性に着目し、その複雑な構造パラメータと光学特性との関係を詳細に調査し、高度利用のための基盤技術を確立した。特に、コア径拡大と単一モード動作、および低曲げ損失特性の両立という観点から、複数のバンドギャップにおける光学特性を総合的に評価し、大コア径ファイバとしての最適な透過帯域(フォトニックバンドギャップの次数)を明らかにするとともに、ファイバ製造上の構造制御技術、およびファイバ使用時のコイル径等を考慮に入れたコア径拡大の理論的限界を特定した。
著者
塩田 達俊
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

高分解能な分光システムは基礎科学から応用まで幅広いニーズがある。これまで分解能1MHz、計測範囲100GHzと高性能なシステムが実現されているが、光周波数標準や物理化学過程の追跡などの進展のためにさらに性能の向上が望まれてきた。申請者は課題実施までに単側波(SSB)光変調器を用いて光周波数を高精度に且つプログラマブルに制御してスペクトル計測システムの実現を図ってきた。本研究課題では、SSB光変調器スペクトル計測システムの分解能を向上し、これまでの周波数制御システムをベースにして、新たに周波数安定化した光源を導入してシステムの性能を発展させることを目的とした。平成19年度は、前年度までに構築した高分解スペクトル計測システムの計測範囲の広帯域化をはかった。また、光変調器を用いたシステム全体を構築して計測精度の確認を行った。具体的には5THz以上の周波数帯域を示す光周波数コムを光源として光フィルタにより個々のピークを切り出し、光変調器による高精度な光周波数掃引を行う実験系を構築した。光ファイバとインライン半透鏡を組み合せて構築した1MHz線幅の共振器の透過スペクトルを計測することで、実測値として1MHzの分解能を確認した。さらに、H^<13>C^<14>Nガス(圧力約1Tprr、長さ約80cm)を用いた繰り返し計測から1MHz以下の光周波数計測精度を得た。また、光フィルタの掃引による光周波数コムのピークを選択することで1THz以上の計測帯域を得ることを確認した。
著者
九町 健一
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フランキアは樹木の根に共生して根粒を形成させ、そこで窒素固定を行う能力をもつバクテリアだ。この共生窒素固定能により、フランキアは樹木の生育を促進する。本研究では、フランキアの共生に必要な遺伝子を同定することを目的として、フランキアの遺伝子操作法の確立に取り組んだ。また、根粒中でさかんにはたらいている(発現量の高い)遺伝子を網羅的に同定した。
著者
アッタウィリヤヌパープ パトム
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「信頼性向上」を目指して、「信頼性保険」という系統運用者と需要家がWin-Winの関係となる新しい仕組みを提案する。提案した信頼性保険は系統運用者が保険業者として提供し、需要家は保険契約者として自己の信頼性ニーズを考慮したうえで、自由に保険に加入できる。高い信頼性を必要とする需要家あるいは遮断不可能負荷を持つ需要家は系統運用者に保険料(プレミアム)を支払うことによって発電機や送電線の故障時に停電にならないように特別に守られる。万一停電が起こった場合は系統運用者と事前に決めた停電の補償金が支払われる。一方、事前に契約した遮断可能負荷を持つ需要家は電力系統全体及び他の需要家の信頼性を維持するために、自己の負荷を遮断する代わりに系統運用者から停電の補償金が支払われる。短期的に信頼性保険は系統運用者の立場から見ると、電力設備故障時に適切な負荷遮断できるというメリットがある。そのうえ需要家の信頼性ニーズを把握することができれば、系統運用者は長期的な視点から適切な系統増強ができると考えられる。本研究は、信頼性保険の定式及び適用例を紹介する。また、電気学会西10機系統モデルを用いて信頼性保険の有効性を明らかにし、電力系統への影響を検討する。
著者
江口 啓
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、パックテストの水の変色の度合いを数値に変換する比色計を開発した。提案の比色計は、試薬と試験水を注入した廃品のプラスチックカップに光をあて、その光の透過度を電圧値として取り出すものであり、色覚異常というハンディキャップを背負った生徒に対する環境教育補助ツールとして活用できる。また,廃プラスチックを再利用しているため、水質調査だけでなく再利用という面でも環境教育を行うことができる。提案教材については、試作評価と実践授業を行うことで、その有効性を明らかにした。
著者
平野 順子
出版者
長岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

中越地震被災者に対するアンケート調査・ヒアリング調査によって、被災者の生活復興過程、そしてその世代差について検討した。
著者
鈴木 勇
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

兵庫県内の公立高校および災害NPOが実施する防災教育,および,四川大地震,台湾集集地震,新潟県中越地震被災地の復興への取り組みからわかったことは,防災活動において,我々の暮らす地域を知り,多様な価値を持つ地域住民と知り合うことの重要性である.また,防災活動を通じて外部の人々とつながり,その文脈の中で自分自身を問い直すことの重要性である.つまり,防災教育とは防災についての教育ではなく,防災を通じて社会の一員として,他者を理解することを学ぶことである.
著者
戸田 健吾
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

より高い完成度で本研究目的を達成するために、18年度中にはメインCPUをVR5500-ATOMとする申請時の制御システムから新システムへの移行を決断した。ここ数年性能向上の目覚しいFireWire/USB接続のカメラおよび高性能小型CPUモジュール((株)ピノー製)を導入し、CAN-Busによる高速かつ信頼性の高い体内LAN環境を実現。さらにビジョンプロセッサボード開発時の資産を生かすことで新たにヒューマノイド搭載型通信規格変換ボードを開発しCAN, i2c, Rs232/485,JTAG, SPI等の種々の通信プロトコルの高速相互変換を可能にした。これにより提案手法の基本制御性能を向上させるとともに、異なるヒューマノイドで制御システム構築する際のハードウエア制限を緩和し、本制御法の性能比較実験を容易にした。研究成果を以下にまとめる。1.従来システムよりも高性能な運動制御を実現しつつ複数のハードウエアに対応可能な新制御システムを開発2.環境認識画像処理アルゴリズム(黒田05,大曽根05)により、ヒューマノイド静止/運動時に関わらず環境を認識3.上記2と同時に自己運動状態を統合的に判断することで運動パターン生成法の切り替えタイミングを検出するセンシングシステム(石井05,井上06)を構築4.上記3により得られる切り替えタイミングにあわせて、各種動作生成手法(朝子05,川田05)をシームレスに切り換える動作遷移(渡邊05)を実現5.また、運動時のモーションスタビライザー(渡辺05)をmorph2へ実機実装するとともに、付随的な安定化制御として受身動作生成法を提案以上により、環境認識と情報センシングに基づく適応運動遷移制御を達成した。この研究成果は今夏にも発刊を待つInternational Jornal of Advanced Robotic Systems, Humanoid Robotsに掲載される。
著者
豊田 晃久
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

前年度に実施したプロトタイプOTR検出器のビーム試験において、OTR光を無事観測することはできたものの、二点の問題の存在が明らかになった。一つはレンズおよびカメラの耐放射線性であり、もう一つは点状に分布するバックグラウンドの存在である。これを受けて、我々が今回考案したのが、放射線耐性に限界があるカメラ系をビームラインから遠ざける方法である。カメラ系における放射線場をできる限り下げることで上記の問題を同時に解決することができると期待される。また遠ざける方法として、イメージファイバーを用いてOTR光を伝送する方法を考案した。続いてイメージファイバーの選定を行った。要求されるプロファイル観測範囲は100mmx100mmと大きく、典型的なイメージファイバーの直径(1mm以下)にフォーカスすることは容易ではない。もちろん対物レンズを遠ざければ倍率は稼げるものの、低ガンマ値のビームからのOTR光は大きく広がっていくため、収量的に厳しくなる。イメージファイバーの種類、収束光学パラメータ、スクリーンからの距離の3つの要素のバランスを取ることで、最低照度を確保しつつイメージ範囲も確保できるようなシステムを設計することに成功した。以上に基づいてプロトタイプのイメージファイバー光学を持つOTR検出器を製作し、KEK12GeV陽子加速器においてビーム試験を行った。ビーム強度、垂直および水平ビーム位置、垂直および水平ビーム幅を変えつつ既存のモニターと比較し、収量は若干少ないものの無事OTR光を観測することに成功した。また、ビームからカメラまでの距離およびビームから対物レンズまでの距離を変えつつバックグラウンド量を測定し、チェレンコフ光が主な原因であることを結論付けた。以上の結果を国内外の学会にて発表した。
著者
大村 道明
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では当初、2005年度までに開発した地域資源マッチング支援ソフトウエアを農業地域向けに再構築し、これに経済評価・環境評価の機能を盛り込んで実在の地域でのテスト運用を目指した。再構築は完了したが、経済・環境評価機能を付加することが難しいことがわかった。この点は残された課題となったが、異業種間連携、都市・農村の情報流通支援ツールとしての「Webエコミュゼ」の基礎部分が開発できた。
著者
西川 雅史
出版者
青山学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

市町村の意志決定は、少なくとも住民による選挙(手による投票)と住民の移動(足による投票)とによって規律付けされていると考えられる。しかし、私たちの日常的感覚からすれば、こうした理論的前提を首肯し得ないことが多い。本研究プロジェクトでは、市町村データを用いて地方財政と地方議会選挙との関係を考察し、上記の前提の妥当性を疑う事実のいくつかを明らかにした。なお、あわせて「足による投票」の基礎的考察も行った。
著者
脇本 寛子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究から,新生児早発型GBS感染症を発症した事例において新生児側の要因と母側の要因を併せて解析し,予防に寄与する要因が明らかとなった.早発型GBS感染症を発症した児の母と非発症児の母との比較では,妊娠35週以降にGBSスクリーニングを実施した方が早発型GBS感染症を予防できると考えられた.新生児搬送状況の検討から,夜間に発症しながら翌朝に搬送依頼されており夜間も含めた新生児搬送システムの構築が必要と示唆された.GBS 322株を収集でき[新生児血液髄液由来14株(発症株),新生児保菌61株(非発症株),妊婦褥婦腟保菌247株)],全てのGBSにおいてpenicillin系抗菌薬に感受性を示した.以上の成果から,妊娠35週以降にGBSスクリーニングを実施し,分娩時にGBS保菌妊婦にpenicillin系抗菌薬を予防投与することは新生児GBS感染症予防に有用であると考えられた.
著者
遠藤 愛
出版者
筑波学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

テニスのストローク局面における後ろ脚技術に着目し,以下の研究課題を検討した.「研究課題1.習得方法に関する研究-自己の経験をもとにして」では,後ろ脚の使い方を重要な技術として位置づけ,後ろ脚技術の習得者と未習得者との比較から,習得者に見られる特徴および後ろ脚技術の役割について整理した.続いて,著者の経験に基づき,後ろ脚技術の習得方法および習得のコツを示し,効果的・合理的にこの技術を習得するための方法論を提示した.「研究課題2.習得方法に関する研究-トップ選手を対象とした調査」では,グランドスラム大会シングルスへの出場,およびシングルス世界ランキング100位以内の経験を有する日本女子プロテニス選手10名を対象として,ストローク局面における後ろ脚技術をどのように捉えているのか,実際にストローク局面においてどのように後ろ脚技術を活用しているのか,また,その習得方法や習得のコツについての調査を行った.調査結果から,世界レベルで活動した10名の日本女子テニス選手は,全員が後ろ脚技術の重要性を認め,自らに適した各種後ろ脚技術を習得・活用していたことが明らかになった.しかし,各選手が習得していた後ろ脚技術や習得のコツについては個人差が認められた.(体育学研究投稿中)「研究課題3.後ろ脚技術の優劣がパフォーマンスに与える影響」では,世界レベルでの活動経験を有するプロ選手2名と,学生選手3名を対象として統一条件下のヒッティングテストを行わせ,ショットの正確性,ボールスピード,スイング動作に見られる両者の相違点を比較した.その結果,ボールスピードに有意差は見られなかったが,プロ選手はショットの正確性において学生選手を上回っていた.また,スイング動作の比較を行った結果,両者には後ろ脚技術の活用に差が認められたことから,後ろ脚技術の習熟度がショットの正確性などに影響を及ぼしている可能性が示唆された.
著者
本多 千明
出版者
武庫川女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、『社会科地理教育における市民性の育成を目指した比較的実証的研究』と題し、市民性(シティズンシップ)の育成を目指した英米での理論や取り組み、教育実践を考察した。わが国における実践活動と比較して実証的研究を行うことによって、よりよい社会を創造し維持する市民としての責務を全うし、そのための能力を、生涯を通じて高めていく市民を育成するあり方について論証した
著者
東 弘子
出版者
愛知県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は,言語をあるがままに分析しようとする言語学の視点と,一つのスタンダードを指向する大衆的視点またはそれを操作しようとする権力との関係について考察するという方向性で,研究発表,学会参加,論文発表をした。口頭発表としては「マスメディアにおける社会的上位者への敬語の使用状況と受容者への心的効果」(加藤淳,宮地朝子と共同)を第6回「社会言語学」刊行会研究報告会(2006/4,於:ウィルあいち)にておこない,そこでの議論をふまえ,社会学的な視点,批判的言説分析の手法を敬語研究に導入し,研究論文「批判的言説分析としての敬語分析-マスメディアにおける敬語・敬称の使用/非使用から-」『社会言語学』VI, pp.61-75(2006/9)を執筆した。また,言語政策,言語権,多言語化,規範意識等,社会における言語の価値付けのシステムと言語学のリンケージの方法論をさぐるべく,日本方言研究会,日本言語学会,JP/KRA Linguistics Conf.,多言語社会研究会,社会言語科学会等に参加し情報収集をした。前年度より継続している,TVニュース,ワードショー等におけるキャスターの発言のデータベース化も継続しておこなった。人間関係の距離とその表示となる言語形式についての整理にむけて,表の作成を継続中である。
著者
稲邑 朋也
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は形状記憶合金における内部摩擦の具体的な結晶学的機構を明らかとして力学的エネルギーの損失を制御するための指針を得るべく,マルテンサイト相が理論上無双晶となるTi-24mol%Nb-3mol%Al合金に,極めて強い再結晶集合組織を発達させて単結晶的試料を作製し,動的熱機械測定(DMA)によって123K〜423Kの温度範囲で減衰挙動を測定した.その結果,2つの内部摩擦(tanδ)ピークが現れることがわかった.一つはよく知られたマルテンサイト変態時の内部摩擦であり,応力振幅・周波数および負荷方位に大きく依存した.このピークに対して応力振幅σ_oとマルテンサイト変態歪み(理論値)ε_Mの積U(力学的相互作用エネルギーの指標)とtanδは比例関係にあることを新たに見いだした.もう一方のtanδピークはマルテンサイト状態である約150K付近で出現し,顕著な応力振幅・周波数・負荷方位依存性を示した. tanδピーク温度の周波数依存性から見積もった活性化エネルギーは約0.5eVであり,水素などの不純物元素の拡散とは別の内部摩擦が生じていることがわかった.さらにtanδピーク高さはUに比例すること,ピークが現れる閥応力が存在することが新たに明らかとなった.閾応力は引張試験から得られたマルテンサイトドメインの再配列応力と良く一致し,双晶変形のシュミット因子によって整理された.これらのことからマルテンサイト状態でのtanδピークはマルテンサイトドメインの双晶変形による再配列に起因し,集合組織を有した材料を作製して非弾性歪み(変態・双晶歪み)と外力の相互作用エネルギーの観点から負荷方位を適切に選べば,2つの内部摩擦ピークの値を制御可能なことがわかった.この様に,βチタン形状記憶合金の内部摩擦ピークの発生機構およびその制御指針を明らかとしたことが本年度における成果である.
著者
高橋 吾郎
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

レセプト(診療報酬明細書)データベースを利用し、春季アレルギー性鼻炎患者と定義された患者について、その受療動向と処方された薬剤パターンについて検討を行った。レセプト母集団のうち、小児の約15%、成人の約7%が医療機関を受診していた。患者の約50%が耳鼻科を受診していた。患者の2/3は、1シーズンに1. 2回しか受診しない。また、薬物の中では、第2世代抗ヒスタミン薬の処方がもっとも多かった。