著者
北村 嘉章
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

スギ花粉症患者において、ヒスタミンH_1受容体拮抗薬による初期療法群は無治療群と比べ、くしゃみ、水様性鼻汁などのアレルギー性鼻炎症状が抑制され、同時にその鼻粘膜のヒスタミンH1受容体遺伝子発現が抑制された。花粉症に対するヒスタミンH_1受容体拮抗薬による初期療法の分子メカニズムとして、鼻粘膜におけるヒスタミンH_1受容体遺伝子発現の亢進を抑制し、効果を発現することが示唆された。
著者
高井 伸雄
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

これまでに提案してきた破壊パターンは内部空間の損失を反映した指標であるが、さらに定量的に評価するために、内部空問の損失を評価するW-値を導入し、建物の破壊パターンとW-値との関係を明らかにした。ここで、人的負傷とを関連づけることで、建物被害とは独立した、人間への外力と傷害度との関係が導き出される。ここでは人間の負傷度を医学で用いられる指標(傷害度スコア)を引用し、医学研究者との議論を重ね、内部空間損失と人的負傷との関係を明らかにした。以上で地震時の建物被害による人的被害発生のメカニズムが明らかになったが、パターンと傷害度スコアとの関係は、東灘区のデータを利用していることから、一般化を目指し他地域での適用に関して議論した。そこで、対象地域を木造パラメーターの異ならないと思われる地域として、同地震で被害を受けた神戸市長田区を新たに対象地域都市として、GIS上に同様のデータベースを構築し、人的被害を予測した。その結果これまでに利用されてきた手法より精度の高い予測が可能となっている。これまでは木造に関しての解析であるが、1999年トルコ地震におけるRC建物造に関しての建物破壊パターンとW値との関係も議論可能とするべく、一次解析としてRC造の破壊パターンと主要な破壊階と死傷者の関係のデータベースを構築した、RCに関してはさらに詳細な解析を行う準備がある。ここで注目する点は精度の向上よりも、メカニズムに踏み込んだ議論をしていることであり、以上により明らかとなった木造建物の地震被害による人的被害発生メカニズムを基に、より安全性の高い破壊パターンを考慮した建物形式、及び既存不適格建物の補強方法を議論することが可能となった。
著者
足立 研幾
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、レジーム間相互作用の研究において、まったく扱われてこなかった安全保障分野におけるそれを研究した先駆的業績といえる。対人地雷禁止レジーム形成以後の、通常兵器分野におけるレジーム間相互作用の実証分析に基づき、管轄が直接交錯しないレジーム間でも相互作用が見られること、またそうした相互作用は、国家のみならず、NGOなど非国家主体の行動によっても促進されていることなどを明らかにした。
著者
堤 健智
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の中心はアメリカ合衆国内における法の研究であり、そこでは、非営利団体における団体と個人との間の責任分担がどのように変化してきたのかを示した上で、そのような変化がどのような理由に基づくものであるのかを明らかにすることが必要である。そして、そのような研究から得られる示唆について、日本法への応用可能性を検討することが次なる課題となる。このうち、アメリカ合衆国法の大きな方向性については、数々の困難にもかかわらず、一定の整理ができたものと考えられる。すなわち、判例法による/団体の免責から、制定法による/個人の免責へと変化しつつあるらしきことは示せたと考えている。しかし、その理由については、充分な根拠を持って示すことができなかった。とはいえ、それでも一定の仮説(団体と個人の資力バランスの変化)を立てることは可能であり、そのような仮説に立って日本国内における過去の紛争事例を分析することで、たとえば団体資力の強化が個人免責の前提にならざるを得ないであろう点などを示すことができたと考えられ、ここに本研究は一定の成果を上げたと評価できる。
著者
湯本 博勝
出版者
(財)高輝度光科学研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では-ミラー型光学素子による硬X線ナノ集光実現を目的とし,本X線集光ミラーを作製するために必要となる形状精度を保証可能な表面形状計測システムの構築を行った.可視光位相シフト白色顕微干渉計を利用しミラーの部分的な表面形状計測を行うと同時に,各計測領域間の相対角度決定型の高精度スティッチング干渉法を開発した.これにより,ミラー全体形状に関して1nm単位の高精度なデータ算出が可能となった.
著者
長谷川 潤
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)の合成酵素であるホスファチジルイノシトール4-リン酸5-キナーゼ(PIP5K)の2つのアイソザイムPIP5K_AおよびPIP5K_Bのノックアウトマウスを作製したところ、これらの酵素が精子形成に必須であることが分かった。また、2)エタノールアミンキナーゼ-1により合成されるホスファチジルエタノールアミンが、神経突起の伸長において重要な役割を担っていることが分かった。
著者
松本 充豊
出版者
長崎外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は、第一に、ラテンアメリカやヨーロッパの各地域を対象にしたポピュリズム研究の成果を踏まえて、東アジアの新興民主主義国である台湾のポピュリズムを分析するための理論的な枠組みの構築を目指した。第二に、そうした枠組みをもとに、台湾の陳水扁政権下のポピュリズムを李登輝政権期と比較しながら実証的に考察した。李登輝と陳水扁との比較を通じて明らかになったことは、前者のポピュリズムが統合的、調和的なものであったのに対し、後者は分裂的、対立的であったという特徴である。陳水扁が台湾アイデンティティを強調する方向へと戦略を転換したことで、彼のポピュリズムは分裂的、対立的なものへと変わり、両政権のパフォーマンスにも違いがもたらされた。陳水扁が、台湾アイデンティティの強い人々という「味方」と、そうでない人々や中国という「敵」の対立の構図を作り出したことで、台湾の政治構造は二極化し、社会は分裂の度合いを深めた。陳水扁が辞任の危機を回避できた背景にも、そうした戦略の効果と民進党をベースとした組織化された支持基盤の存在があったといえる。研究成果の意義として指摘できることは、第一に、陳水扁のポピュリズムを、東アジア政治を席巻したポピュリズムの潮流の中に位置づけ、その興隆と衰退を明らかにしたことである。第二に、台湾における民主主義の「変容」の特徴を明らかにしたことである。台湾の民主主義がポピュリズムの色彩を強めたことは確かだが、政治制度の違い(ラテンアメリカ諸国は大統領制、台湾は半大統領制)から、G・オドーネルがいう「委任民主主義」へと「変容」したわけではなかったことが示された。
著者
島田 弦
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、インドネシアにおける外国法の影響および「法の移植」論の再構成であった.具体的には、法分野においてインドネシアに体系的な影響を与えてきた、オランダ、アメリカ、オーストラリアなどについて調査を行い、インドネシア法への影響を明らかにすることを目的とした。その結果、特にオランダにおける歴史法学論争、自由主義と保守主義の対立などと植民地法政策の関係について研究を中心に成果を上げることが出来た。
著者
釣 雅雄
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

政府債務が増大した我が国においては,政府が破綻することなく財政運営を行いつつ,効率的な財政政策を行う必要がある。しかしながら,社会保障費の増大や,地方交付税交付金などに代表される地方への国の役割が固定化された状況では,財政政策の自由度は限られている。さらに,政府債務の増大によって,今後利子率が上昇した場合には,国債費の増大などが生じ,さらに財政状況は悪化する。このような中で,中期的な財政政策運営を行うことの意義を財政政策ルールという視点から分析を行った。
著者
波潟 剛
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

1920年代から1930年代に刊行された辞書類や文芸雑誌等での「エロ」「グロ」「ナンセンス」といった語彙のあらわれ方を分析した。その結果、東アジアにおいてモダニズムが生成する際の相互関係の重要性が明らかになり、欧米からの文化翻訳に加えて、東アジア間の文化翻訳について研究する必要性があることを指摘した。また、日本のモダニズム文学とスポーツとの関わりについても今後検討課題となりうる資料を見つけ分析を加えた。
著者
木鎌 耕一郎
出版者
八戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は、平成16年度に得られた知見に基づき、第二バチカン公会議以降のカトリックとユダヤ教の関係史の中にエディット・シュタイン列聖問題を位置付け、その特殊性と歴史的意義を探った。第二バチカン公会議公文書『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言』(Nostra Aetate)第4項の内容と成立経緯を検討した。さらに、ヨハネ・パウロ二世在位以降を同公文書の理念の具現化の時代と捉え、その言動を重点的に検証した。また合衆国における両宗教間の対話の展開に着目し、その中で見出された対話に介在する問題点を指摘し、その問題点が平成16年度で検討したユダヤ人のアイデンティティにおける問題と密接な繋がりにあることを見出した。また、エディット・シュタインに関する家族が描く、カトリック側からのエディット・シュタイン観とは異なる聖者の人間的な側面に着目し、そうした情報が本件に及ぼす影響や意味について考察した。さらに、2003年2月に公開されたエディット・シュタインがピオ十一世に宛てた手紙に関して、これをホロコーストの時代におけるカトリック教会の政治的姿勢と関連づける解釈の存在を指摘した上で、ユダヤ人問題の政治的解決を「非本質的」と考えていた1933年春時点のエディットの内的状況をテキストに即して明らかにした。研究目的のひとつであった本件が現代の宗教間対話の理論的側面に与える問題提起を明らかにする点については、十分に果たすことができなかった。
著者
須賀 健雄
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

安定かつ迅速な電荷授受能を有するラジカルと電荷補償能を果たすイオン対を、(1)TEMPO/イオン置換ブロック共重合体、(2)汎用ブロック共重合体へのTEMPO-イオン液体の選択的集積化、の2つの手法でミクロ相分離ドメインに精密に組み込み、相分離構造(スフィア、シリンダーなど)、およびその配向性により有機薄膜素子でのメモリ特性の発現、調節の創り分けが可能であることを明らかにした。
著者
田代 健太郎
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

お椀型の非平面パイ共役系を有するコラニュレンの集積化について、種々の周辺置換基を有する誘導体を用いて検討した。金とコラニュレン周辺置換基中の多数のチオエーテル部位との多価の相互作用により、金ナノパーティクル表面をコラニュレンのケージで被覆することが可能であった。ドデカンチオールで表面修飾した同じサイズの金ナノパーティクルと比べ、コラニュレンで覆ったパーティクルのSHGが8倍程度増強されることを見出した。また、周辺置換基の適切な選択により、液晶性を示すコラニュレンを初めて作製し、その電場配向能を明らかにした。
著者
佐倉 緑
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コオロギを用い、体表物質によって引き起こされるオス同士の闘争行動の発現に触角からの入力が関与することを明らかとした。また、脳内の一酸化窒素(NO)とオクトパミン(OA)シグナルの阻害により、敗者の攻撃行動の回復がそれぞれ促進、抑制されることがわかった。触角への体表物質の刺激により脳内でNOが増加すること、NOにより脳内のOA量が減少することから、体表物質-NO-OAというシグナル経路が脳内に存在すると結論づけられた。
著者
笹本 智弘
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

界面成長を記述するKardar-Parisi-Zhang(KPZ)方程式や、その離散版モデルの揺らぎについての研究を行った。特にレプリカ法とよばれる手法を用いて定常状態における1次元KPZ方程式の高さ分布と時空2点相関関数に対する明示的な表式を求めることに成功した。これらの量はこれまでいくつかの物理的な手法を用いて調べられていたが、近似無しに表式が得られたのは大きな進展である。また、非対称排他過程やq-TASEPと呼ばれる離散モデルに対して双対性を用いることにより、見通しよく揺らぎの性質を理解出来る事を示した。さらに多点分布や多成分系に対する揺らぎについてもいくつかの成果を得た。
著者
菅野 望
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

エタノール低温酸化反応の初期段階で重要であるα-ヒドロキシエチルラジカルと酸素分子の反応についてレーザー光分解/近赤外波長変調分光法による実験計測及び量子化学計算とRRKM/支配方程式解析による理論計算を行った.理論計算による反応速度定数の温度依存は実験計測と良く一致し,若干の負の温度依存性を示した.理論計算による主生成物は100気圧以下においてアセトアルデヒドとHO_2ラジカルであり,高圧ではCH_3CH(OH) O_2ラジカルの生成が競合することが示された.
著者
田村 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3年にわたり「裁判所の手続裁量と当事者の証明活動の相関性」について研究してきたが、その間、アメリカ、北欧(スウェーデン・フィンランド)およびドイツの学者と交流することができ、比較法学的見地より、新しい知見を得ることができた。民事訴訟における証明のメカニズムを当事者対等の見地より見直し、裁判所は両当事者のために公平にかつ積極的に心証開示を行い、手続裁量を尽くすことが妥当である旨の結論に至った。
著者
平野 寛弥
出版者
埼玉県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「社会の質」アプローチは明確な「善き社会」像を提示し,その実現を目指す規範性の強い社会計画論であり,本研究では「社会の質」の可能性と課題を理論的に検討した.その結果,社会経済的保障が社会的包摂や凝集性に与える影響を考慮すれば、現代の社会状況では社会経済的保障は必ずしも就労(=有償労働)への従事を受給要件とせず、多様な活動への従事を認めうるものであることが要請される。この点で「社会の質」が支持する社会経済的保障のあり方,さらにはその前提とされている「善き社会」像についても再考の余地がある.
著者
石田 弘隆
出版者
宇部工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

複素代数曲面の研究において,代数曲面の2重被覆の理論は重要な役割を果たしてきた.この理論と同様の理論を被覆次数が3以上の代数曲面の被覆について構築を試みた.その成果として,3次対称群被覆,双2重被覆や巡回4重被覆のデータの表し方を整理し,特異点解消プロセスと不変量公式を与えた.また,被覆の理論を利用し,3重被覆の分岐因子や有理曲面上の特異曲線に関する具体的問題を解決することが出来た.
著者
茂木 正樹
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

脳卒中やアルツハイマー病などの神経疾患はこれからの超高齢化社会において克服するべき重要な病気ですが有効な治療法は確立されていません。最近高血圧調節ホルモンであるレニン・アンジオテンシン系を調節する降圧薬(ARB)の効果が注目されており、我々は本研究において、脳梗塞や認知機能に焦点を当てたマウスを用いた動物実験により、ARBが神経細胞の障害を抑制したり、血管細胞の老化を防いだり、脳梗塞後の生存率を上げるような治療が可能になることを見出しました。