著者
牝小路 諒 猪八重 拓郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.814-820, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9

炭鉱都市とは石炭産業に関連して栄えた都市で、炭鉱を中心に集落が形成された都市であり、エネルギー革命による石炭産業の撤退以降、人口減少に代表される様々な問題が発生した。しかしながら、石炭産業という一定の産業の下、都市構造が形成されたわけであるが、石炭産業撤退後の変容は一様ではない。そこで本研究では、まず炭鉱都市を人口、産業に関連する指標の変化を価値基準において類型化し、数値的および時系列的にその変容を考察する。また、スペースシンタックス理論を用いて道路網および主要施設の時系列的変化から都市構造の変化を捉えることで、類型化されたパターンと都市構造の関係性を道路網構成の観点から明らかにすることを目的とする。
著者
李 寶欖 高見沢 実 野原 卓
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.69-76, 2011-04-25 (Released:2011-12-27)
参考文献数
20

近代化による無秩序な市街地拡散は、車両交通への依存、緑地の破壊、公害問題などで居住環境を悪化させた。それを乗り越える動きから始まったのがニューアーバニズム(以下NU)である。NUはその効果に関する実証研究がされるほど事例が蓄積してきており、それと同時に基礎自治体や州レベルでNUの基準化・制度化が進んでいる。2002年にはNUのコンセプトを入れた新しいゾーニングである「スマートコート」が発表され、近年、マイアミ市ではスマートコードを基にした「マイアミ21」の適用が全市レベルでは最初で承認された。そこで、本研究ではマイアミ21の内容と適用過程を検証することを目的にする。その結果、スマートコードはマイアミ市に適用するため、実現ツールとして進歩した四つの点から見られ、されにマイアミ市独自の技術も発展した。また、シャレット手法により合意形成に至った。それらにより、スマートコードは今後従来のゾーニングを置き換える可能性を高めるきっかけになると考えられる。
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.674-681, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

本研究の目的は,長期にわたる土地所有形態に対する地主の投機的な行動を考慮した非集計的フレームワークを提案することにある.本論文では,ランダム効用最大化理論に基づくロジットモデル型の動的離散選択モデルを適用することで,時間割引率の推定が可能な動学的土地所有形態選択モデルを定式化した.提案したモデルのパラメータは,道後温泉地区の土地台帳をデジタイズする事で得た家単位の地主毎の土地所有履歴という実データを用いて推定した.推定結果より,時間割引率から地主の近視眼的な土地所有選択,また,道後温泉地区における主要な建築物である外湯施設からの距離パラメータからは時代によって選好する土地の位置が異なる事が明らかになった.
著者
宮脇 桐子 冨岡 秀虎 高山 宇宙 森本 章倫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.637-644, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本研究は,世界各地で注目を集めるMaaSを実都市に導入した際に生じる利用者の交通行動変容に関して,実際の交通社会実験を対象に,スマートフォン位置情報データや事前・事後のアンケート調査結果の活用を通じて導入効果の検証を行った.分析結果より,交通事業者が提供するサービスの統合を行ったMaaSパスの導入が,公共交通の分担率の増加を促し,行動圏域の拡大や外出促進といった交通行動変容を促すことを確認できた.また,行政が掲げる交通戦略における将来の公共交通利用者数の目標値の達成に資することを定量的に明らかにした.
著者
野地 駿吾 岸本 達也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.451-458, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
3

近年、AIを活用した数多くのサービスが存在していて、その結果として、新たな画像認識システムが発展してきている。しかしながら、都市の街路空間において、そこで直接撮影された写真とAIを用いた顔認識システムを併用してその都市の地理的特徴を分析した研究はほとんどない。そこで、私たちは渋谷を中心に歩行者の行動を分析する調査を行った。調査の結果、渋谷を中心とした都市の街路空間の特徴を、年齢、性別、感情、密度の面から明らかにすることができた。この結果は、より良い都市デザインを作成するために使用できるのと同時に、また、ある特定の街路空間にいる人々の特徴をモニタリングするこの新しい方法が有効であることを示した。
著者
伊東 優 今井 公太郎 本間 健太郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.428-434, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

長崎市の斜面住宅地は急な坂道や階段からなる複雑な街路構造を有しており,そのアクセシビリティの低さによって様々な計画上および生活上の問題を抱えている.そこで本研究は,実際の計画や持続可能なまちづくりのための知見を提供すべく,当該地域におけるアクセシビリティの評価および改良に向けた方法を提示する.具体的にはまず,街路ネットワーク分析により,多様な移動行動における出発点から目標点までの移動時間を計測する.特に地形・年齢階層・移動手段を考慮することで,非高齢者と高齢者の歩行能力の差や,上り・下りといった移動の方向性などの細かな要因が生み出すアクセシビリティの違いを明らかにする.次に高齢化に伴うアクセシビリティの将来的な変化予測を行う.さらに現状の分析で得られた結果をもとにアクセシビリティの改良案を提示し,その有効性を検証する.
著者
松下 耕太 伊藤 香織 高柳 誠也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1199-1206, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
9

首都圏郊外の駅周辺小売業は複雑に構成される鉄道網によって駅間ネットワークを形成し,さまざまなまちが繋がっている.近年では幹線道路沿道の大型商業施設の台頭やイーコマスなどの要因によって従来から駅周辺に商業集積を見せてきた市街地では衰退傾向がみられる.このような背景から,様々な要因に曝されている駅周辺小売業についてその構成や動向を首都圏郊外部のネットワークに着目し,明らかにすることを目的とする.また,対象を広範囲に設定し,小地域を対象とした研究では明らかにされていない現象を炙り出す.まず,施設規模と業種構成のデータを収集し,駅をクラスタリングした.その結果,小売業において拠点性が高い駅とそうでない駅で機能を分担している様子が可視化された.その上で,食品関係の店舗がコンビニやドラッグストアに代替される傾向や拠点性が高い駅の隣接駅やその周辺の駅に大型商業施設が立地する傾向を実データより捉えることができた.さらに業種別の店舗数によって空間的自己相関分析を行った.Global Moran's Iから首都圏郊外部の駅間で全体として機能分担が進んでいる様子を定量的に示した.また,Local Moran's Iからそれらを定量的かつ局所的に捉え,これらの結果を人々の購買行動や現行施策等に位置付け総括とした.
著者
秋月 優里 真鍋 陸太郎 村山 顕人 小泉 秀樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.303-310, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
11

近年、移動販売は大きく2つの文脈で議論されている。1つ目は、自動運転などの新しい技術を導入した無人移動店舗構想であり、2つ目は買い物弱者対策としての移動販売である。この研究では、これら2つの文脈におけるギャップを指摘し、移動販売が都市空間をどのように利用しているかについて、異なる市街地タイプを有する4つの都市部・郊外部において事例調査を行った。事例調査を通して、1)移動販売は地理的環境や社会的環境に応じて様々な空間を停留所として使いこなしていること、2)移動販売の停留所決定方針は事業によって異なり、それぞれで空間を利用するために工夫を施した事業スキームが活用されていること、3)移動販売が⼀時的に場所の性質を転換させ、単に買い物だけではなく利用者間あるいは利用者とスタッフ間のコミュニケーションの場として機能していることが明らかとなった。
著者
籾山 真人 渡辺 貴介 羽生 冬佳
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.373-378, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
参考文献数
17

This paper aims to clarify the typical geographical characteristics, the forms, and the significant factors that formed the current aspect of the commercial district accumulated shops of same type of business in Tokyo ward-district. We take the "Nishiogikubo" antique town in detail because of its unique attribution. Findings are mainly as follows. 1) Currently there are 8 commercial districts accumulated shops of same type of business in Tokyo ward-district, and their forms, geographical characteristics and development process were clarified. 2) Types of the development factors of 8 commercial districts accumulated shops of same type of business were derived. 3) The backgrounds of the continuous growth of the "Nishiogikubo" antique town were clarified.
著者
武田 裕之 津田 泰介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.594-601, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

本研究では、甚大な津波被害が想定されている都市において、震災前の移転の可能性を検証すると共に移転に伴う都市ヴォリューム及び移転費用の概算を行う。移転については住民の意思による個別移転として、長期間での移転プロセスを考えることとする。まずインターネットアンケートにより、震災前の個別移転に対する賛否、移転の際の条件等を整理した。賛否については70%以上の回答者が賛意を示しており、平均で15年程度の内に移転のきっかけが訪れることが明らかとなった。次に高知市の浸水域から3つの移転推進地域、高知市西部の利用可能な地域を定め、それぞれ移転推進建物の床面積、新たに生み出される床面積の算定を行った。その結果、現行の用途地域においてもほとんどの移転推進建物の床面積の受け皿となり得ることを示した。最後に移転に必要な費用を試算し、地震による被害想定額と比較した。結果として移転費用は被害想定額を下回っており、震災前移転のメリットを示した。
著者
阿部 憲太 姥浦 道生
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.421-428, 2017

近年、風営法の届出を出していないが、外見上・用途上は所謂'ラブホテル'として認識される、いわゆる'疑似'ラブホテル等が発生してきている。これら擬似ラブホテル等を自治体が問題視する中で、ラブホテル建築規制条例(以下、条例)を定めることで擬似ラブホテル等を規制する動きが出てきた。本研究では、条例によるラブホテル等に対する立地規制に関する規制内容を把握すると共に、その立地規制の効果と課題を明らかにすることで、今後同様の立地規制を検討する際の有用な知見を得ることを目的としてる。研究の結果として、条例により条例ラブホテル等に対してどの程度立地規制をかけようとも、条例の適用外となる条例外ラブホテル等が発生し、結局はラブホテル等の需要がある、若しくは需要を生み出したいと事業者が考える場所にラブホテル等が立地してしまうという実態が明らかになった。一方、条例の対象施設として該当すればその立地のコントロールは可能であるので、条例ラブホテル等を適当に規定することが重要である。以上より、条例外ラブホテル等が発生する要因を明らかにすることが必要である。
著者
千代 章一郎 山田 恭平
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.595-600, 2012

本稿では、被爆都市における景観研究の一環として、平和記念式典に着目し、その歴史的な景観への眼差しの演出の変遷を明らかにすることによって、記憶を持続するための空間デザイン手法に関する知見を得ることを目的する。 式典において、丹下健三(1913~2005)の構想した南北軸線による眺望景観が演出されてきた。しかし、報道写真から、その軸線は平和記念公園内で切断されていくことがわかる。その一方で、献花を行う参列者からの景観の演出は変化しておらず、丹下健三の構想した軸線と一致している。
著者
大迫 道治 横内 憲久 桜井 慎一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.385-390, 1994-10-25 (Released:2019-02-01)
参考文献数
18

SPECIFICALLY, WE INVESTIGATED THE EFFECTS OF TOKYO DISNEYLAND ON THE FINANCES, CITIZEN'S CONSCIOUSNESS AND BUSINESS ESTABLISHMENTS IN THE CITY OF URAYASU, IN WHICH THE THEME PARK IS SITUATED. REGARDING ITS INFLUENCE ON MUNICIPAL FINANCES, IT WAS FOUND THAT THE DISNEYLAND-RELATED TAX REVENUE OF THE CITY WAS SO LARGE THAT IT ACCOUNTED FOR 10% OF THE CITY'S TOTAL TAX REVENUE. AS FOR THE PARK'S EFFECTS ON RESIDENTS' CONSCIOUSNESS, IT WAS LEARNED THAT MANY CITIZENS HAVE FAVORABLE IMPRESSIONS, NOT BECAUSE OF THE CREATION OF AMUSEMENT FACILITIES, BUT BECAUSE OF THE IMPROVEMENT OF THE CITY'S IMAGE. LITTLE INFLUENCE WAS NOTICED ON BUSINESS ESTABLISHMENTS, ON THE OTHER HAND. AS SEEN IN SCARCE NEW JOB CREATION OR INSIGNIFICANT LOCAL BUSINESS DEVELOPMENT STEMMING FROM TOKYO DISNEYLAND.
著者
西川 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1265-1272, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
65

本研究は、これまで都市計画の不在と乱開発が指摘されてきた1960年代の熱海市を対象に、都市計画の展開を明らかにするものである。熱海市では、高山英華が手がけた総合開発計画構想案(通称「高山プラン」)が1960年代の都市計画の指針となった。計画はマスタープランとして位置付けられ、都市計画法を根拠とする内容と観光施設整備など法的根拠を持たない内容の両方を組み入れた総合的なもので、多くの事業や都市計画決定が実施された。住民による海岸景観保全運動や行政と住民との間で眺望地益権の保護契約締結など、海岸景観への意識も高かった。しかし、市街地については、美観地区や高度地区など高山プランで記されたものの、都市の建築が作り出す景観に対する規制は実現されなかった。
著者
今村 洋一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.247-252, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
15

終戦時、軍港であった横須賀市には、非常に多くの旧軍用財産が残された。それらは、1950年に作成された横須賀市転換事業計画に沿って、様々な用途へと転用されたことが知られている。しかし、終戦直後に、横須賀市と国(大蔵省)が、それぞれ、具体的な旧軍用財産の転用計画を作成していたことは、あまり知られていない。そこで本研究では、横須賀市と国が作成した3つの転用計画の内容を明らかにするとともに、個別の旧軍用財産の転用案を比較することによって、転用計画にどの程度の齟齬が見られるのかを明らかにする。
著者
宇於崎 勝也 浅香 勝輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.733-738, 1996-10-25 (Released:2018-06-20)
参考文献数
4

THE AIM OF THIS STUDY IS TO MAKE CLEAR OF THE COURSE OF THE CREMATORIUM IMPROVEMENT IN THE CITY. THE CREMATORIUM IS VERY IMPORTANT AND ONE OF THE PUBLIC FACILITIES. AT FAST, WE ANALYZE THE PRESENT CONDITION OF THE CREMATORIA, WHICH ARE TWELVE DESIGNATED CITIES OF GOVERNMENT. THEN, WE SEARCH FOR SOME URBAN PROBLEM AND THEMES ABOUT THE CREMATORIA IN FOUR CITIES. NEXT, WE EXAMINE TREND OF THE CREMATORIUM IN INCREASING AND AGING OF POPULATION IN JAPAN. AT LAST, WE PROPOSE SOME CRITICAL MIND AND PROBLEM OF THE CREMATORIUM.
著者
大山 雄己 福山 祥代 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.375-380, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

広場や街路といった,歩きを主眼においた公共空間整備に注目が集まっている.近年多くの都市において,1つの目的施設のみに滞在後すぐに帰るといった限定的なまちなかの使われ方が問題として多く見受けられることからも,小滞在を発生させて連鎖的な回遊行動を生み,まちなかの滞在時間を延ばすための空間計画の展開が求められている.本研究では回遊中の一連の活動間の相互依存性を考慮するため,「活動欲求」を導入した離散連続モデルによって活動の発生確率を定式化した.細かな滞在を把握し,正確な滞在時間の情報の得られるプローブパーソンデータを用いて回遊行動の分析を行なった.現状の課題として,来訪者の多くが「1つの目的施設のみに滞在後,すぐに帰る」行動をとっていること,小滞在の発生は流入地点と主目的地の1往復の間という限られた範囲であることを把握した.モデリングにおいて活動欲求を考慮したことで,推定結果からは連鎖的活動を発生させて滞在時間を向上させるための現実の施設配置,街路の接続方法など,都市空間の計画に対する有効な示唆を得た.
著者
高津 俊司 佐藤 馨一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.3, pp.553-558, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
11

本研究は、開発者負担金による鉄道整備の事後評価を目的として、都市開発と一体的に整備が進められた臨海副都心線(りんかい線)を事例として、開発者負担金について開発者にアンケート調査を行い、開業後の輸送実績を元にして鉄道計画支援システム(GRAPE:GIS for Railway Project Evaluation)を用いて鉄道整備効果を分析し、開発者負担方式の評価と今後の課題を考察した。その結果、次のような知見が得られた。(1)事後アンケート調査によれば、鉄道に対する評価としては、広域、大量、高速などの特性を評価し、約8割の会社が「受益があるのである程度の負担はしかたない」と回答している。費用負担の額についても、計画時点より現時点の方が、「ほぼ妥当である」との回答が増加している。(2)りんかい線の整備による開発区域内の利用者便益(割引後 30年集計)を GREPEで推定すると、開発者の費用負担金の額を上回った。(3)これらの結果から、鉄道整備の財源方式として、請願駅方式で駅周辺の開発者からの負担金を徴収する方式は、一定程度の妥当性があると想定される。
著者
周藤 利一 越澤 明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.39.2, pp.95-104, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
参考文献数
33

本研究は、大韓民国の開発制限区域 (グリーンベルト ) 制度の歴史及び効果を取り扱っている。韓国のグリーンベルトは、日本と英国の制度に倣って導入された経緯があるが、土地利用や建築行為に対して何ら補償なしに極めて厳格な規制を課すなどの特徴を有する。本研究は、既往研究や既存資料に加えて未公開資料や関係者の証言などに基づき、日本の制度との関係を考察するとともに、韓国のグリーンベルトの歴史、現状及び課題を分析し、政策決定及び都市計画の観点からみた制度の効果を検証する。
著者
前田 翠 関本 義秀 瀬戸 寿一 樫山 武浩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1499-1506, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

東京都市圏,地方部いずれにおいても民間企業や地方自治体主導の開発プロジェクトが近年増加している.そういった背景から,開発地域選定ならびに開発計画策定の際に,開発物件の賃料を推定し,居住地域の特徴を多角的に捉える為のシステムが必要とされていると考えられる.賃料推定ならびに賃料に影響を与える要因の分析の為の手法として,本研究ではDeep Neural Network,ヘドニックアプローチとRandom Forest Regressionの3つを用いた.そして,この3手法の比較を行うことで各々の優位点や限界を明らかにした.その結果,特にDeep Neural Networkは外れ値に大きな影響を受ける可能性があることからデータクリーニングを行う必要があることが示唆された.また,賃料推定のために構築したモデルを応用し,緯度・経度を説明変数に加えることで地域のポテンシャルマップが作成可能であること,デフレーターや物件登録年度を説明変数に加えることでポテンシャルマップの時系列変化や経済動向のポテンシャルマップへの影響を表すことができるということが示された.