著者
瀧澤 哲也 中村 康雄 林 豊彦 駒井 正彦 信原 克哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.592, pp.1-4, 2007-03-09
参考文献数
6
被引用文献数
3

子供,大人を問わず野球投手は,肩・肘に障害を起こしやすい.一般的に,子供の投球障害は,身体が未発達である成長期におけるオーバーユースが主な原因と考えられている.これまでに臨床報告は数多くされてきたが,子供の投球動作を定量的に評価した報告は少ない.そのため,子供への指導や障害の予防は,経験や感覚に基づくものだった.したがって,子供の投球動作の定量的な評価が求められている.そこで本研究は,子供と大人の投球動作を定量評価して,比較・検討することを目的とする.子供45名,大人22名の投球動作を測定し,動力学的・運動学的に解析した.その結果,子供は上半身が前方へ先行する.規格化したモーメントの値は子供と大人でほぼ同等であることが示された.結果から,子供の投球障害を軽減するには,1)体幹・下半身を鍛える,2)球種や投球数を制限する,の2点が重要であると考えられる.
著者
内山 博之 今園 隆彦 後藤 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.29-33, 1998-01-31
参考文献数
9

鳥類の網膜への遠心性投射系, 向網膜系の機能的意義を探った. 甘利, Arbibの基本競合系に準じた数理モデルは, 向網膜ニューロン間の競合の実測したデータをよく再現した. 実際に得られたデー夕に基づいた2次元配列基本競合系モデルのシミュレーションは, 向網膜系が選択的注意の神経機構として機能していることを示唆した.
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
遠藤 勇気 木竜 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.57, pp.15-20, 2011-05-13
参考文献数
7

筋力向上トレーニングは今や競技を問わず,アスリートにとって必要不可欠なものとなっている.一般的に,どのスポーツにおいても下肢筋を鍛えることは重要である.下肢筋の筋力向上トレーニングにおいて代表的なトレーニングのひとつが"スクワット運動"である.スクワット運動は沈み込みの深さの違いによって分類され,実際のトレーニング現場等においては徐々に沈み込みを深くしていくというトレーニング手法がとられている.しかし,沈み込みを深くしていく上での判断基準が不明確である.本研究では,被験者を熟練者群と未熟練者群とに分け,3パターンのスクワット運動を実施し,トレーニング中の筋活動を表面筋電図を用いて計測した.更に,非負値行列因子分解を用いて運動動作を表現する筋シナジーを抽出し,抽出した筋シナジーと各被験者群における%RMS平均波形から相関係数値を算出し比較を行なった.その結果,大腿二頭筋の筋シナジーパターンがトレーニング決定に有効な評価指標となる可能性が示唆された.
著者
西牟田 輝満 錦戸 亮二 村山 伸樹 伊藤 眞一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.449, pp.17-24, 1994-01-28

神経の興奮を調べる一般的な方法として微小電極法が用いられているが、この方法では脳神経回網全体のダイナミックな挙動を解析するのは困難である。近年、興奮のダイナミックな流れをつかむ方法の一つとして光学的測定法が注目されている。そこで本研究では、25チャンネルフォトダイオードアレーを用いた多点光学測定システムを試作した。またシステムの有効性を検証するために、ラット大脳波質体性感覚野にこのシステムを適用し、体部位再現を行った。
著者
山口 亨 片嶋 充弘 王 力群 栗城 眞也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.84, pp.29-34, 2011-06-10
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では電気インピーダンストモグラフィを応用して腹部断面のイメージングを行い,内臓脂肪を推定する,安全かつ安価な装置の開発を目標とした.開発した装置は,64個の電極を2段のリング状に配置し,被験者の腹部に装着する機構を装備した.500kHz,1.0mArmsの交流電流を臍の高さに流し,隣接する電極間の電位差と輪郭形状を測定した.その後,有限要素法と非線形数値最適化を繰り返すことにより,腹部導電率分布画像を得た.さらに,この画像中の画素の輝度分布に,打ち切られた混合分布を当てはめて,腹部脂肪比率の推定を行った.本報告では,インピーダンス測定から腹部脂肪量推定までの一連のプロセスを報告する.電極配置,電子回路デザイン及び画像再構成ソフトウエアの改良により,得られた画像は改善され,現在のところ被験者は少人数だが安定な画像化が達成された.
著者
西山 潤平 木下 伸一 和田 佳朗 桑田 成雄 平田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.479, pp.143-146, 2009-03-04
参考文献数
7

有人宇宙活動が進められる一方で,宇宙環境下における生命活動維持の中核を担う自律神経系機能に関しては未知な部分が多く残されている.本研究では,過重力負荷に伴う自律神経系反応を,その他覚的指標として有効性が確認されている瞳孔フラッシュ応答を指標として評価した.実験には,遠心加速度付加装置を用い,座位姿勢で体軸下方向に最大3Gを定常的に負荷し,過重力負荷中の交感,副交感神経系活動の変化を評価した.自律神経系活動を2名の被験者で評価した結果,1名の被験者では1Gと過重力負荷との間に有意な差が認められ,交感・副交感神経活動ともに亢進していたことを示す結果を得た.
著者
篠田 陽理子 矢ヶ部 仁之 曲谷 一成 簗島 謙次 佐藤 令介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.291, pp.15-22, 1995-10-13
参考文献数
8
被引用文献数
7

我々は視覚障害者が他者の介助を受けることなく、自律的に目的地に到達することを支援する自動ナビゲーションシステムの開発を目的としている。このシステムでは被験者のいる位置を正確に求める必要がある。本稿では、このために開発したDGPS(Differential Global Positioning System)、万歩計、地磁気センサ等よりなる位置推定手法についての報告を行う。
著者
白井 喜代子 中村 隆夫 楠原 俊昌 山本 尚武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.179, pp.1-4, 2004-07-07
参考文献数
4

簡便な装置により無侵襲的な測定ができるという特長を持つインピーダンス法は,生体情報計測に適しており皮膚インピーダンスを用いた多くの応用計測がある.しかしながら,皮膚インピーダンスには個体差や部位差が存在し,これらは目的因子の変動と重なり評価を困難にしている.今回,応用計測を障害する個体差および部位差を較正するために,一般的なデータをもとに構築する皮膚インピーダンスの標準化モデルを提案した.各パラメータにおいて測定値とモデル皮膚インピーダンス値との相関は高かった.また,規格化皮膚インピーダンス値の変動係数は測定値の変動係数の約60%に減少し,本法の妥当性を確認できた.生体情報計測に標準化モデルを活用することは,測定値そのもので評価する方法と比較し診断精度は高く,今後の応用計測に有用と考えられる.
著者
疋田 真一 長田 俊治 笠井 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.387, pp.13-16, 2002-10-11

頭部直線運動時には前庭性(LVOR)および視覚性眼球運動が同時に働くことにより視覚の安定が維持される.耳石器官の信号と視覚情報の相互作用のしくみを解明するため,視覚入力としてLVORの働く向きと逆方向へ移動する目標が与えられたとき,および暗闇の中で移動目標を想起したときの眼球運動速度を調べた.その結果,視覚入力に依存した追跡性の眼球運動が生じること,視覚情報による耳石器官信号の抑制の程度には個人差があることがわかった.また,目標消去後も頭の運動(目標の動き)と同位相の眼球速度成分が観察された.したがって,視覚情報のメモリ効果は耳石器官の信号と同じかそれを上回るものだと考えられる.
著者
南部 雅幸 中島 一樹 川原田 淳 田村 俊世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.99, pp.31-36, 2000-05-20
参考文献数
11
被引用文献数
2

高齢者の自立生活を促進し、看護・介護の負担を軽減する目的で, 情報通信ネットワーク技術を用いた高齢者支援環境の構築を提案した.支援の対象となる高齢者の住環境・経済環境を考慮し, 新規の設備投資を最小限に留めるため, 本システムでは, 電灯線を用いたネットワークシステムを採用した.本研究では, 電灯線LANを既存の住宅へ実装する際の問題となる, 通信速度等の評価を行った.さらに, このネットワークを用いて高齢者の生体機能モニタリングを可能とするWWW上のアプリケーションとして, 遠隔心電モニタを開発し, 獲得したデータの転送に関する実験を行った.その結果, 本システムは, 従来の専用線を用いたネットワークシステムと等価な機能を有するという知見を得た.
著者
木暮 祐一 松岡 央樹 芥川 正武 木内 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.222, pp.65-68, 2005-07-23
参考文献数
4
被引用文献数
2

医療従事者を支援するための遠隔患者モニタリングシステムの開発を行う.このシステムはICU/CCUなどで計測されている患者のさまざまな生体情報を, 第3世代携帯電話を用いて病院外でモニタリングするものである.遠隔情報サーバを生体情報モニタに接続し, モニタから得た情報を処理する.そして, 携帯電話のJavaアプリケーションを用いてサーバから情報を取り出す.本研究ではサーバと携帯電話間の開発を中心に行い, 本システムのモデルとなる環境の実現を行った.そして, 実際のモニタに蓄積されるデータの取得のための概要を示す.
著者
上松 弘明 山本 長敏 葛目 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.501, pp.127-132, 1996-01-27
参考文献数
9
被引用文献数
1

阪神大震災などの大規模災害には, 被災者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)ばかりでなく, 援助活動に従事した人や外部からのボランティアが精神的ストレスに悩まされる間接被災の問題が取り上げられるようになった. これの1つの解決策として, パソコンのマルチメディア機能を利用するELIZAシステムを提案する. 自然言語で対話するELIZA(別名DOCTOR)システムは, M.I.TのWeizenbaumが精神科医C.Rogersの患者中心の精神療法に基づいて開発したシステムである. 現在Emacs Lispのデモプログラムとして容易に利用できるので, これに震災用語を追加し, テキストリーダーのソフトウェアと結合して, 音声発話を可能にした.
著者
南谷 晴之 林 佐千男 永田 隆信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.672, pp.115-122, 1999-03-19
参考文献数
17
被引用文献数
4

ストレス・疲労にともなう心拍変動, 呼吸変動などの生理データから自律神経活動を反映する諸指標を抽出し, それらを日常生活で蓄積された疲労感の主観調査結果と比較対応させるとともに軽度のストレス負荷課題を与えて個人の疲労度や活動性が生理的な自律神経指標にどのような影響を与えるかを検討した。その結果をふまえ, 生理指標を入力とし, 疲労度・活動性を出力とする3層構造ニューラルネットにより個人ベースのストレス・疲労に関わる自律神経活動の関与を評価した。
著者
藤原 徹 蔵 琢也 宮田 周平 阿部 麟太郎 神農 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.479, pp.139-142, 2009-03-04
参考文献数
16
被引用文献数
6

樹木画(バウム)試験は、性格・心理状態を推測する心理検査として心療内科等で実施されている.この試験は投影法であるために、被験者の偏見や恣意に影響されにくいという利点がある反面、試験結果から直接に抑うつ状態等を知ることはできなかった.今回、描画された樹木画を画像解析し、その特徴量を計算して、被験者の抑うつ性尺度と比較したところ、樹木画の濃度値・描画量と抑うつ性尺度の間には一定の相関があることを見出した.この方法を用いることで樹木画試験から被験者の抑うつ性尺度を推定できるようになった.
著者
後藤 玲子 工藤 博章 佐藤 耕平 堀田 典生 石田 浩司 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.500, pp.1-5, 2004-12-10
参考文献数
6

大画面ディスプレイで映像を楽しむ機会が増えているが,映像の動きにより酔いや不快感をおぼえる可能性がある.本研究では,映像が人体に与える影響を明らかにすることを目的として,ジェットコースター搭載カメラの映像を被験者に再生速度を変えて提示した時の生体反応を検討した.映像観察時における被験者の心拍,血圧,呼吸数,呼吸量を計測し,再生速度とこれらの指標の変化との間の関係について処理した結果,心拍数で再生速度との相関関係が見られ,運動が単純なシーンでは4倍速,激しいシーンでは標準速と2倍遠の反応が大きくなることが確認できた.また,呼吸については,再生速度と潜時の間に関係があることを示唆する結果を得た.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.416, pp.81-88, 1994-12-16
被引用文献数
8

歯科補綴物の製作過程の単純化と品質の均一化を目的として,過去20年に渡りその製作のコンピュータ化が進められてきた.しかし,従来開発された歯科CADは,操作性がこれまでと全く異なるため,従来のワックスアップ技法を生かすことができなかった.これを改善するために,我々はワックスアップに近い操作性をもつ全く新しいCAD(Vocs-1)を以前開発した.このVocs-1における形状変形は,歯のソリッドモデルに拡張したHit-or-MIss変換を作用することにより実現されている.しかしこの操作は,部分的な形状変形ができるものの,咬合面上の溝や土手のような複雑な形状の生成には必ずしも適していなかった.そこでHit-or-MIss変換をさらに拡張し,形状表面の曲線や閉領域を中心とした部分変形ができるようにした.さらに原形状と変形部の移行部の範囲を,接続の滑らかさを損なうことなく制御できる一つのパラメータを理論的に導いた.
著者
佐藤 仁 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.209, pp.93-100, 1993-09-03
被引用文献数
11

これまで20年にわたり歯科補綴物の製作にCAD, CAMを応用しようという試みがなされてきた.CADにおける歯冠部の表現は,記憶容量が少なくて済むため,サーフェス・モデルが用いられてきた.しかし,この表現では,咬合面のような自由曲面に対する操作が困難であり,伝統的なワックスアップ技法が歯科CADには生かしにくいという欠点があった.この制約を克服するために,数学的形態学で開発された手法を用いて,新しい咬合面のCAD法を開発した.歯冠の咬合面は,ワックスアップのような操作を実現するために,ソリッドモデルで表現した.咬合面形状の変形は,データ全体にdilation操作を行うことで達成できる.また,ワックスアップのような部分的な変形を実現するために,dilation作用素に窓関数を導入した.以上の方法を用いたCADシステムをワークステーション上で試作し,実際の咬合面データを用いて設計実験を行った結果,このCADは比較的高い形状操作性をもつことを確認した.
著者
小西 有人 山口 晶子 服部 託夢 中村 英夫 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.258, pp.29-32, 2009-10-22

表面筋電図計測において,筋線維方向と電極の貼付方向とがずれていることは大きな問題となる.そこで本研究では,計測後のデータより筋線維方向が推定可能な表面筋電図計測手法を提案する.本手法は,マトリクス状電極の各信号と基準電極の信号とを差動増幅した信号を記録する.任意の2つの記録信号の差動信号を求めることで,任意の電極間で双極誘導信号と同様の結果を得る.上腕二頭筋上にマトリクス状電極と基準電極を貼付し,最大随意収縮時の信号を記録した.本手法により,筋線維方向が推定できた.よって,本手法を用いれば計測後のデータから筋線維方向を推定し,マトリクス状電極の各電極から筋線維方向に沿っており神経筋接合部を挟まない2つの電極を選択することが可能となる.
著者
山口 晶子 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.270, pp.5-8, 2008-10-23
被引用文献数
1

表面電極を用いて、筋電図の誘導範囲を自由に選択できるようになれば、表面筋電図の応用範囲がさらに広がることが期待できる。このような展開の基礎として、表面電極の信号誘導範囲と双極誘導電極の電極間隔の関係を明確化する必要がある。一般に、表面筋電図計測において、電極間隔が広くなるほど、深い位置にある筋の信号も誘導するとされている。しかし、誘導される筋電図と電極間隔の関係を実際にデータで示した例は少ない。そこで、本研究では、被験筋を尺側手根屈筋と深指屈筋とし、電極間隔の変化による信号誘導範囲の関係を検討することを目的とする。筋電図誘導電極には、直径1[mm]、長さ10[mm]の銀線を5[mm]間隔に15本並べたアレイ電極を用い、筋電図を単極誘導でPCに取り込み、任意の電極間隔(5〜70[mm])における双極誘導信号をPCで求めた。すなわち任意の電極間隔で同時に計測した信号を得ることができる。これらの信号を用いて信号の振幅と電極間隔の関係を検討した。その結果、電極間隔が広くなると信号振幅は大きくなることが明らかとなった。さらに電極間隔を広げても信号振幅が増大しない領域があることも明らかになった。すなわち、誘導範囲が大きくなったが、その領域には筋が存在しないことを示していると考えられる。