著者
石川 健 小嶋 良朗 阿部 喜 宮武 秀樹 小栗 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.406, pp.1-4, 2006-11-28
被引用文献数
4

ITS (Intelligent Transport System:高度道路交通システム)の研究分野の1つに,事故を未然に防ぐことを目的としたドライバの行動予測がある.従来この研究では,速度・ペダル踏み量といった車両データ等を基にモデリング・解析が行われていた.しかし,人の行動は心理状態に大きく影響を受けることが知られており,運転時にもその影響が出ることが考えられる.そこで,本研究ではドライバの生体信号より「急ぎ」と「通常」の2状態の推定を行い,状態ごとに適用する運転行動モデルを切り替える手法を提案した.モデリングはDynamic Bayesian Networkを基に行い,ドライバの停止行動の予測を試みた.ドライビングシミュレータを用いた実験では,運転中のドライバの心電図解析から急ぎ心理状態と通常心理状態を推定した.その後各々の状態に合わせた運転行動モデルを適用して予測を行った.その結果,状態を考慮しない場合と比較して,早期に停止時刻を予測できることを示した。
著者
天野 和彦 神田 亮 下田 達也 向野 義人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.644, pp.37-40, 2005-01-22

ヒトの動きは筋と骨格と多関節を連動させることにより、手先の微細な動きやスポーツ動作のようなダイナミックな動きが可能となる。しかし、ヒトの身体は動きに異常があると本来の運動能力を発揮できないことが起こる。そこで、本研究ではヒトの筋と骨格と多関節を連動させた負荷動作を体系化し、身体の動きに支障のある系統と関係する東洋医学の治療点の選択を目的とした負荷動作の指導をするweb用三次元CGの開発をした。その結果、三次元CGによる負荷動作の人体モデルと、身体の動きの異常を修復するツボの選択を指示する写真画像とを関連付けるwebを介したバイオメカニックス的な治療指導の見通しを得た。
著者
門石 明浩 原 良昭 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.401, pp.15-18, 2004-10-27

本研究では,等尺性随意収縮時に測定される筋音図(MMG)を時間一周波数解析の手法の1つであるMatching Pursuit(MP)法を用いて解析する.上腕二頭筋を最大随意収縮力(MVC)の10〜90%まで一定の割合で力を増加させた時のMMGを測定し,MP法により詳細な時間周波数分布を求めた.30%MVC未満は20Hz前後の周波数成分にエネルギが集中していた.30〜60%MVCの範囲では%MVCの増加と共に高周波成分も増加した.60%MVC以上では特徴的な周波数成分の変化は確認されなかった.本結果より,30%MVC未満では遅筋線維が動員され,30%MVCから速筋線維の動員が開始されることが示唆された.
著者
高塚 伸太朗 村林 俊 三田村 好矩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.122, pp.9-12, 2005-06-10

睡眠時無呼吸の簡便な検出のために心拍変動の呼吸性不整脈に着目した解析手法を提案した。これは呼吸性不整脈を正弦波と考えてフィッティングを行うことで呼吸の間隔を得ようとするもので、健常者の心電図から得られたRR間隔に対して解析を行ったところ非常によい一致が見られた。また、無呼吸症患者の心電図に対し解析を行い、正常例との明らかな差とより精度のより結果のための課題を得た。これらより、本手法の睡眠時無呼吸の検出に対する有効性が示唆された。
著者
大野 悠 須加 実 畠山 豊正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.80, pp.1-4, 2006-05-19

ラン(Phalaenopsis)の種子からPLBを培養し,再分化にいたる過程の最適培地条件を見出した.また,プラントボックスに針電極を挿入し,-4000Vの高電圧を印加することによってマイナスイオン雰囲気を作成し,ランの育種状態とラン菌の生育に与える影響を調べた.まだ,前者では顕著な影響が見つかっていないが,後者ではコクラン由来のラン菌の増殖が明らかに観察された.さらに,培地に電極反応の伴わない電界印加法について述べる.
著者
尾杉 匡哉 西原 一嘉 北山 一郎 前川 了一 大島 康敬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.406, pp.7-12, 2001-11-02
被引用文献数
2

これまでに、開発されている電動義手の大部分がDCモータを使用しているが、モータ稼動時に"ノイズ音"が発生するという問題点がある。そこで、稼動時にノイズ音が少ないという特徴をもつ超音波モータを用いることによって、モータ音の低減を行った。また、これを用いて被験者1名について、日常生活動作による評価を行い、その有効性を確認した。
著者
梶谷 勇 樋口 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.130, pp.75-82, 2001-06-15

節肉の活動電位(以下では筋電と略す)によって操作可能な義手(以下では筋電義手と略す)は, すでに実用化されているものも多いが, これらの多くは1つの機能(例:手先の開閉)しか筋電によって操作できず, 日常生活においては不便である. このため, 近年, 複数機能を操作可能な筋電義手に対する関心が高まり, 様々な研究機関や大学で研究が行われているものの, そこでは, 主に筋電からの多動作識別を目指すに留まり, 使う人のニーズが十分に把握されないまま, 研究, 開発が行われているのが現状である. そこで本稿では, 多機能筋電義手のニーズを調査するためにアンケート調査を行った. つまり, 義手の機能面や, 快適性, 信頼性, 価格面などに対する意識を調査した. このアンケート調査の結果, 今後の多機能筋電義手の開発に向けて注意すべき, 様々な知見を得ることが出来た.
著者
河合 俊和 菊谷 功 赤澤 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.103-108, 1998-01-31
被引用文献数
1

本研究では, 動力義手に要求される事のうち, 高速・静音駆動で, かつ非通電時にわずかな外力で指を動かすことが可能な電動義手の開発を目指している. 今回はその第一段階として, リニアアクチュエータを用いた動力義手の開発を目的とした. まず, 義手用のリニアアクチュエータを設計・試作し, その特性を測定した. つぎに, 義手に組み込み, 本義手が高速・静音駆動を実現でき, かつ非通電時にわずかな外力で指を動かすことが可能であることを示した.
著者
川崎 賢一郎 奥野 竜平 吉田 正樹 赤澤 堅造 川崎 敦子 宮本 芳明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.109-115, 1998-01-31

筋電義手を日常生活において使用するためには, 義手の開閉動作の妨げにならないグローブの開発が必要になる. 本研究では, 脱タンパク天然ゴムを用いた, 柔軟性の高い筋電義手用グローブを試作した. 試作したグローブを本研究室で開発したバイオミメティック筋電義手に装着し, 義手開閉動作に対する負荷が市販品と比較して小さいことを示した. また, 健常者による物体把持実験を行い, グローブ装着時においても, 本研究室の義手の特性を損なわず, 物体を柔らかく把持できることを示した.
著者
奥野 竜平 吉田 正樹 内山 孝憲 赤澤 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.581, pp.99-106, 1997-03-17
被引用文献数
2

本研究の目的は,可聴周波数以下の振動周波数を用いた義手感覚フィードバック装置を開発し,義手の操作性に対する効果を検討することである.本研究で試作した感覚フィードバック装置は,義手が物体を把握した時に指に生じる反力(把握力)を,可聴周波数以下の皮膚振動刺激を用いて使用者に伝達するものである.情報の伝達方式としては,刺激パターン(連続刺激と断続刺激)の切り替えによって行う.健常者を用いた心理物理実験を行い,本感覚フィードバック装置に用いる皮膚振動刺激の振動周波数と断続刺激の刺激提示時間,刺激休止時間を決定した.健常者を用いた物体把握実験を行い,試作した感覚フィードバック装置の義手の操作性に対する効果を示した.
著者
奥野 竜平 木村 貴俊 吉田 正樹 赤沢 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.174, pp.77-81, 1998-07-14

本研究の目的は, 3次元コンピュータグラフィックスを用いた。オンオフ型筋電義手のシミュレータを開発することである。本シミュレータは, 2chの筋電位信号と上肢の三次元位置を入力とし, 3D-CGを用いて表示された義手の開閉角度と上肢姿勢をリアルタイムで制御するものである.シミュレータでは, 実際のオンオフ型筋電義手のダイナミックをモデル化し, 義手の開閉角度を算出している.健常者による筋電制御実験を行い, リアルタイムでの計測・制御が可能であることを示した.
著者
豊田 修一 仁木 登 西谷 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.184, pp.63-66, 2003-07-06
被引用文献数
1

政府のe-Japan計画や厚生労働省の保健医療分野のグランドデザインには,医療情報を社会基盤化する方針が記述されている.医療機関相互間で医療情報を共有化するためには,記述方式の統一,利用方法,個人情報保護などの課題を解決しなければならない.そこで,我々は,客観性の高い指示データや検査結果値がその中心的役割を担っているオーダリングシステムを基盤にして,医療機関連携機能の構築を行った.本報告では医療機関相互間で共有化した医療データを診療の現場で有効に活用する方式を提案する.この方式は,仮想診療科を導入することで,診察室システムにおけるHCIモデルの適用範囲を,他医療機関のデータに拡張したものである.仮想診療科は,システム上にだけ存在する診療科であり,他の医療機関の指示データと自院の指示データをシームレスに取り扱うことを可能にする.さらに,他の医療機関の指示履歴の表示や再利用を容易にする.我々は,1999年9月より,診察室システムに仮想診療科方式を実装したオーダリングシステムを用いて,医療機関連携の実験稼動を継続している.この医療機関連携は,病院と診療所の連携による医療の分業に効果をあげている.
著者
大平 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.114, pp.41-44, 1996-06-21

信号伝達の「遅れ」と「ノイズ(ゆらぎ)」は生体の情報処理にほほ普遍的に存在する要素である。最近、我々はこの2つの要素を同時に含む系の理論体系の一つとしてDelayed Random Walkの概念を提唱した。Delayed Random W alkはWalkerの有る地点での遷移確率が、ある1定の時間以前のWalkerの存在地点によって決まるようなRandom Walkである。この概念のもとで人間の重心制御のモデルを構築したが、ここではそのモデルをさらに発展させた、モデルを考察する。具体的には重心制御における空間的なThresholdを設け、それ以下での揺らぎについては強いフィードバックがかからないようなモデルとした。このモデルによる統計的な挙動と実験におけるデータとの比較について考察する。
著者
村上 準 熊谷 恒子 下澤 楯夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.621, pp.43-50, 1998-03-19
被引用文献数
3

感覚細胞のような閾値を持った変換器では、本来なら検出できない閾値以下の大きさの信号でも、信号が周期性を持てば閾値と同程度の大きさの雑音の助けを借りて検出が可能になる、Stochastic Resonance(SR)と呼ばれる現象がおこる。コオロギの気流感覚細胞でも、閾値以下の正弦波刺激とともに外部雑音を与えると、神経パルス列に正弦波信号の周波数のスペクトル強度が増すSRが起こる。本報告では、閾値付近の微弱な正弦波刺激に対する2つの感覚神経細胞の神経パルス出力を同時記録し、その発火時刻のゆらぎの細胞間での相関を調べた。その結果、感覚細胞はそれぞれ内部に互いに独立な雑音源を持ち、そのエネルギーレベルは常温の熱雑音レベルに近いことが判明した。
著者
古川 徹生 田原 潤彌 宮本 雅浩 安井 湘三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.1-6, 1998-01-31
被引用文献数
1

網膜のtransient型アマクリン細胞はフラッシュ光に対して刺激のON時とOFF時に一過性の応答を示す. 網膜神経系において, このような非線形応答はアマクリン細胞で初めて見られるものである. 本研究ではさまざまな時空間パターンを持つ光刺激に対するアマクリン細胞の応答を調べることでその非線形応答のメカニズム解明を試みた. 実験の結果, 非線形な応答は受容野の各地点で局所的に作られ, その後空間的に線形加算されることを示唆していた. このことは双極細胞とアマクリン細胞間のシナプス機構を考える上でも重要である.
著者
岡 久雄 坂本 俊哉 入江 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.169, pp.45-52, 1994-07-22

一般に皮下のごく浅いところに骨や腱などの構造物がある場合は、そうでない場合に比べて硬く感じられる。これは皮膚それ自身の硬さというよりも、皮下の構造の影響を受けた、生体表面からの見かけの硬さを表していると考えられる。皮膚本来の力学特性を知るためには、こうした構造依存性の影響を明らかにし、補正する必要がある。本論文では皮膚表面に対して垂直な方向に30〜1000Hzのランダム振動を加え、見かけの生体機械インピーダンスを測定し、これに補正関数を適用して、生体皮膚本来の力学特性を求めた。さらに考察として、補正関数の部位差、個体差等からその物理的意味の検討を行なった。