著者
松下 健治 秦野 諭示
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.189-192, 2007-03-01
参考文献数
1

情報漏えいは社会的な問題となっている.流出の形はさまざまだが,その大きな原因として情報を記録した媒体の盗難,紛失が大きな原因となっている.しかしながら,現代においてモバイル環境における情報利用は必要不可欠といえる.そこで,ユーザの組織外での情報利用を支援する情報保護システムの検討を行った.このシステムでは,携帯電話を用いてファイルを復号するためのワンタイムパスワードを取得し,情報の漏洩を防止することを特徴としている.本報告では,システムの概要を中心に述べる.
著者
北村 強 静野 隆之 岡部 稔哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.470, pp.13-16, 2005-12-08
参考文献数
4
被引用文献数
12

帯域制御装置やファイアウォール装置では, ヘッダ情報やペイロード情報を用いてフローを識別し, シェーピングやフィルタリング処理を行うが, ポート番号詐称フロー及び暗号化フローに対してはこの手法が適用できない. そこで筆者らは, ヘッダやペイロード情報に依存しないパケット長やパケット到着間隔といったフロー挙動の分析に基づくアプリケーション識別手法を開発した. 提案手法を用いてアプリケーション識別評価を実施した結果, HTTPポートを使用する音声アプリケーションを識別できることから, ポート番号を詐称するフローに対応できることを示す. また, 暗号化フローに対してもアプリケーション識別が可能であることを示す.
著者
丹波 健 横田 健治 朝香 卓也 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.126, pp.47-52, 2010-07-08
参考文献数
16

近年,UGC(User Generated Content)が人気を獲得しており,様々なUGCを配信するサービスが提供されている.その一つとして,ニコニコ動画というサービスが挙げられる.ニコニコ動画では,利用者が動画を見ながらコメントを投稿することができ,他の利用者がその動画を視聴したときにそれが動画上に表示される.本サービスで,コメントは動画への付加情報と位置づけることができる.ユーザから付与される付加情報は,将来的に大容量化する可能性がある.その際に問題となるのは,クライアント-サーバ方式を用いた通信では,トラヒック量の増大に伴い,配信ウェブサーバの負荷が高くなることである.したがって,P2P(Peer to Peer)ネットワークを利用して,大容量化した付加情報をピア間で共有し,ウェブサーバ負荷を減少させるシステムの構築が必要である.本稿では,情報追加型UGCにおける付加情報をP2Pネットワークを利用してピア間で共有するECTI(Effectively Collect with Time Information)方式を提案する.ECTI方式は,クエリに時刻情報を記録してフラッディングさせることで,記録された時刻よりも後に投稿された付加情報だけを選択的に発見し,収集の際のトラヒック量を削減する.本稿では,計算機シミュレーションによって,ECTI方式の評価を行い,その有効性を示す.
著者
小林 正裕 中山 英久 Ansari Nirwan 加藤 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.221, pp.131-136, 2007-09-13
参考文献数
17

IPマルチキャストに代わるストリーム配信技術として,各ノードのストリーミングアプリケーションに依存してマルチキャストツリーを構成するApplication Layer Multicast(ALM)技術に注目が集まっている.ALMでは配信ツリーを構成し,そのツリー構造に従ってストリームを配信する.そのため,ツリーの上位に位置するノードの離脱により,そのノードよりも下位に位置するノードヘストリームが配信されない場合が生じる.そのような問題点に対して,Topology-aware Hierarchical Arrangement Graph(THAG)を利用してALMを実現するストリーム配信手法が提案されている.THAGでは,Multiple Description Coding(MDC)により,ストリームを複数の部分ストリームに分割しそれぞれの部分ストリームに対して,Arrangement Graph(AG)から独立にツリーを構成して配送する.しかし,THAGではすべて同じサイズのAGを用いるため,ネットワーク帯域が不均一な環境では帯域に適したストリームを配信できない可能性がある.本稿では,ネットワークの利用可能帯域に応じてAGのサイズを動的に変更する方法を提案する.提案手法は,THAGをネットワーク帯域が不均一な環境に適応させた手法である.ns-2を用いたシミュレーションにおいて,トータルスループットとBandwidth Satisfaction Rate(BSR)による評価では,THAGよりも提案手法が優れていることを示す.
著者
與語 一史 新熊 亮一 小西 琢 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.372, pp.85-90, 2011-01-13
参考文献数
13

コンテンツアップロードとリンク形成の2つの要素で構成される,SNS(Social Networking Services)でのユーザ行動を活性化させるインセンティブ付与メカニズムを提案している.ユーザが異なるプライバシー設定(「全体に公開」と「友人に限定して公開」)でコンテンツをアップロードする際に感じるリスクの違いに注目し,その違いに基づき報酬の配分を行う.報酬配分により,コンテンツ閲覧数によって測られるSNSの活性度がどのように変化するのかを調査するため,SNSをモデル化し,学習ベースのシミュレーション行う.これにより,報酬配分比率によってSNSの活性度が制御できることを示す.また,活性度を最大化させる配分比率は報酬源の総和に依存することを示した.本稿では,アップロードコンテンツ数ならびに形成されたリンク数の増加が活性度にどのように寄与するか,調査した結果を報告する.
著者
與語 一史 新熊 亮一 小西 琢 田仲 理恵 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.228, pp.145-150, 2009-10-08
参考文献数
9

SNSをはじめとするソーシャルグラフを形成するサービスは,新たな情報流通プラットフォームとして注目されている.しかし,そのようなサービスにおいて,現在,積極的な情報提供が得られていないという問題がある.その理由として,多くのユーザにとって,情報提供のリスクなどの心理的コストが,提供した情報に対するフィードバックなどから得られる心理的効用より大きいことが挙げられる.そこで,本稿では,ユーザの貢献行動にインセンティブを与えることによって情報提供を促進する方法を提案する.我々の知る限り,SNS上でのインセンティブ付与に関する議論は学術的にはまだなされていないため,本稿では,まず,ユーザの行動・心理的要因のモデル化と成長するソーシャルグラフのモデル化を行う.そして,ユーザの貢献に基づく報酬付与方法を提案し,構築したモデル上でシミュレーション評価を行い,その有効性を示す.
著者
長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.39, pp.1-6, 2010-05-13
被引用文献数
1

オーバレイネットワークにおけるネットワーク性能の計測においては、複数のオーバレイ経路における計測競合が原因となって発生する、計測精度の低下やネットワーク負荷の増大が問題となる。我々の研究グループにおいて、計測競合を削減するための方式として、2つのオーバレイノード間の経路上に他のオーバレイノードが存在する場合に、その経路の計測を行わず、部分経路の計測結果を統合することによって全体経路の計測結果を推定する、計測結果統合手法を提案している。本稿では、計測結果統合手法の精度評価を、PlanetLab環境における計測結果を用いて行った結果を示す。評価結果より、遅延時間、パケット廃棄率およびTCPスループット理論値について、推定手法により高い精度で全体経路の計測結果を推定することができることが明らかとなった。また、中間オーバレイノードの負荷が原因となり、計測そのものや推定精度が悪化する場合があることもわかった。
著者
森 達哉 川原 亮一 長谷川 治久 下川 信祐
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.273, pp.33-38, 2009-11-05

本研究は,YouTubeやニコニコ動画等に代表される大規模な映像共有サービスのワークロード分析を試みる.はじめに映像共有サービス発のトラヒックフローを検出するためのシンプルで効果的な方法を提案する.鍵となるアイディアは大規模なサーバー・ファームにおける命名則やアドレス割り当てにおける慣習を利用することにある.次に検出したフローを分析し,映像共有サービスのワークロード分析を行う.分析の結果,映像共有サービスにおけるフローサイズ分布に特有な性質を明らかにする.また,この性質は映像共有サービスにおける有料会員に対する差別化サービスの存在に起因することを示す.さらに,この性質が持たらす意味について考察を行う.
著者
金田 茂 池田 大造 川上 博 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.31, pp.67-71, 2008-05-08

携帯電話を始めとするパーソナルな通信デバイスの普及により,従来のあらゆるユーザを対象としたマス向けの情報配信ではなく,ユーザの属性や位置に応じ特定の個人やセグメントに対する情報配信が可能になりつつある.また,効率を高めるためにターゲットを絞った広告配信の方法として,ユーザの属性や位置に応じたプッシュ型の広告配信のニーズが高まっている.本論では,このような情報配信を用いたサービスを実現するために,ネットワークシステムや端末の負荷,プライバシなどの観点から,実現方式に求められる条件を明らかにする.更に,複数の方式を比較し,解決すべき課題を明らかにすると共に解決策について考察した結果を述べる.
著者
伊藤 裕一 岩瀬 義昌 中尾 彰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.448, pp.747-752, 2011-02-24

無線WANは広く一般に使われるようになったが,その帯域は動画やクラウドの利用に十分なものでない場合が多い.その一方で,様々な種類のWANデバイスを持つ多くのユーザは帯域を常時使用しているわけではない.本研究ではこの問題を,(1)複数の無線WANユーザ間での帯域共有(2)仮想ネットワークの利用(3)ネットワーク状態に応じた資源の戦略的運用,という3つの手法により解決する.第一の手法では,余剰帯域を持つユーザが帯域を必要とするユーザに無線WAN帯域をad-hoc WLANを経由して提供し,マルチパスネットワークを構築する.そして,第二の手法である「IP-Layerでマルチパス通信を仮想化する」ことにより,マルチパスをシングルパスに隠蔽してアプリケーションとサーバに提供する.最後に,第三の手法により,ネットワークの状態に応じて動的に最適な通信手法を決定することで,様々な環境において構築された仮想ネットワークの性能を向上させる.本研究では,これらすべての仕組みをClick modular routeというソフトウェアルータを利用して実装する.構築したシステムの実環境における性能測定の結果,通常の通信と比較して25%から60%の性能向上結果が得られることを示す.
著者
吉沢 剛 寶田 吉文 三好 匠 平田 千浩 二木 志郎 渡邊 浩文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.448, pp.197-200, 2010-02-25

無線メッシュネットワークでは,複数のAP(Access Point)を無線通信で接続することにより,スケーラビリティの高い無線ネットワークを構築することが可能となる.これらのAPは他のAPと無線接続できるが,無線インタフェースが限定されているため,リンク構築の最適化が必要となる.更に,インターネットへ向けたトラヒックが多い場合,GW(Gateway)機能をもつAPやリンクに負荷がかかる.この問題に対し,経路木の最適化手法とGWの負荷分散手法が提案されているが,トラヒックの変動に対して有効ではない.そこで本稿では,蟻コロニー最適化を用いてトラヒック変動を考慮したリンク構築手法を提案し,その有効性を定量評価により示す.
著者
佐條 研 三好 匠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.365-368, 2008-02-28

アドホックネットワークにおける脅威として,ブラックホール攻撃が問題となっている.ブラックホール攻撃とは,攻撃ノードが経路応答パケット(RREP)を偽装することにより目的地ノードになりすまし,送信されるデータを不正に受信する攻撃方法である.従来のルーティングプロトコルでは,シーケンス番号の値が大きなRREPほど新しい経路として選択されるため,攻撃にはシーケンス番号が利用される.攻撃が成功すると,データは攻撃ノードに送信され,正常な通信が行われない.従来手法として,通信頻度を考慮した中継ノードによるブラックホール攻撃の防御法の提案がされているが,誤認に対する影響が大きいという問題がある.本稿では,ブラックホール攻撃に対する新たな防御手法として,指数バックオフに従ったブラックリストを用いた防御法を提案する.指数バックオフを用いることで,ノードに応じて適応的にブラックリストを機能させる.シミュレーションにより,従来手法よりも提案手法が有効であることを示す.
著者
田中 信吾 山浦 隆博 菅沢 延彦 谷澤 佳道 山口 健作 渋谷 尚久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.39, pp.53-58, 2010-05-13

昨今,映像のハイビジョン化などによる高画質化・高解像度化により,ネットワーク上を流れる映像・音声などのリッチコンテンツのデータ量が増加している.ネットワークにおける通信プロトコルには主にTCP/IPが使われているが,現在その処理はCPUによって行われているため,特に組み込み機器の分野ではCPUの動作周波数や消費電力の増大が問題となってきた.そこで我々は,専用ハードウェア(専用回路)を用いたTCP/IPオフロードエンジンNPEngine^<TM>を開発し,従来の組み込みCPUに比べて動作周波数あたりで80倍,消費電力あたりで22〜28倍の伝送レートを実現した.本稿では,NPEngine^<TM>で用いられている提案方式(ハイブリッド構成,ダイレクト転送,パイプライン処理)を中心にNPEngine^<TM>の構成と特長,及び,その性能評価結果について述べる.
著者
岩本 明 三好 匠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.37-42, 2009-04-09

近年の情報化の進展により,ユーザが大量かつ多種多様なデータを扱う機会が増加している.管理可能範囲を大幅に越える量のファイルを所有している場合,それぞれのファイルの必要性を個別に判断するのは困難であり,データ量は増加する一方である.また,複数のユーザが利用する共有ストレージでは,他のユーザが保存したファイルを削除すべきかどうかを判断できないため,同様に保存容量の浪費が問題となる.本稿では,人間の忘却特性を模倣し,データの利用頻度に応じて自動的にデータ量を削減するファイルシステムを提案する.また,提案手法を仮想的に実装し,ストレージの利用特性の評価を行う.
著者
遠峰 隆史 久松 剛 杉浦 一徳 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.470, pp.5-8, 2005-12-08

インターネットを用いた複数地点間での映画, 音楽の共同制作をリアルタイムに行うには, 伝送メディア長, 途中経路などによる, データ到達時間の差異を考慮しなければならない. 本研究では, 異なる2地点間における遠隔協調演奏を実現する上で問題となる, リズム管理手法に着目した. 2地点間のネットワーク遅延を演奏者が知覚するためのアプリケーションとして, インターネット・メトロノームの設計・実装を行った. 本実装をもとに, 「愛・地球博」のクロージングフォーラムにおいて, 日蘭間でのジャズセッションによる実証実験を行った.
著者
関根 理敏 野崎 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.134, pp.31-36, 2008-07-10
参考文献数
8

ユーザが近距離無線通信機能を有する携帯端末を利用して,ゲーム情報,ロコミ情報,また興味情報などを交換するPocket Switched Network (PSN)が新たなネットワークサービスとして想定されている.このようなサービスでは,ユーザは限定的な範囲のみならず,住宅地,オフィス,また商業施設などの広い範囲を移動し,携帯端末がデータをホップバイホップで中継する場合もある.PSNではリンクの切断が長時間継続し,ネットワークトポロジーの変動が大きいため,効率的にデータの交換を行うことが重要になる.そこで本稿では,広域におけるユーザの移動モデルを想定する.そしてノードがお互いに無線リンクにおける配送遅延に関する情報の収集し,その情報を利用して複数ホップに渡ってデータを効率的に交換する方式に関する検討を行う.
著者
中島 求 金子 雅志 片山 悦子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.101-104, 2007-03-01
参考文献数
3

現在、テレコムNWのプレゼンス情報とインターネットサービスを連携させることが注目されているが、プレゼンスサービスの普及に伴い、プレゼンスに関するトラヒック量の増加が問題となっている。プレゼンストラヒックを削減する様々な手法は提案されているが、インターネットとテレコムNWという異なるNWを結ぶ、テレコムNWのゲートウェイ装置(GW)への適用方法は課題であった。また、GWは高負荷になるため、分散構成は必須であるが、分散構成時におけるプレゼンストラヒック削減手法の実現方式は課題であった。本稿では、プレゼンス情報を利用するインターネット上のサービス(APL)と、テレコムNW内に収容されている端末をそれぞれ分散収容するGW群と、APLと端末を振り分ける装置を用意し、APLおよび端末を動的に収容分散するGWの分散構成実現方式を提案し、この方式でプレゼンストラヒックを削減する手法が適用可能なことを示した。
著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.199-202, 2004-02-26
被引用文献数
3

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
北村 強 静野 隆之 岡部 稔哉 谷 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.141-144, 2008-02-28

SIP (Session Initiation Protocol)は3GセルラやNGN (Next Generation Network)でも用いられるシグナリングプロトコルであり,アプリケーションレイヤにおける制御プロトコルとして様々な利点を有する.しかし,CPU処理負荷が高く多くの通信帯域を必要とするため,小型センサ端末といった低性能な端末への適用が困難である.これまで,パケットサイズを削減する様々なヘッダ圧縮アルゴリズムの研究が行われてきた.しかし,これらはパケットサイズを小さくし帯域使用量を削減する一方で,圧縮等に要するCPU処理負荷が増加してしまう問題がある.そこで本稿では,SIPとの親和性が高く,かつCPU処理負荷を増加させずに帯域使用量を削減する,SIPプロキシエージェントを用いた軽量シグナリングプロトコルを提案する.評価の結果,提案プロトコルの適用により,端末のCPU処理負荷を増大させずに帯域使用量を削減できることを示す.
著者
小路 朋也 井上 勇樹 舩曵 信生 中西 透 籠谷 裕人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.286, pp.105-108, 2008-11-06
被引用文献数
1

近年,計算機資源利用の効率化,システム管理の容易化などの利点から,サーバ構築に仮想化技術が用いられている.また,仮想サーバを用いたサーバクラスタシステムの構築手法も提案されている.本稿では,仮想化技術を用いた安全でスケーラブルなWebサーバシステムを提案する.提案システムでは,プラットフォームおよびシステム内データ通信路の安全性を確保するため,SSL認証による各Webサーバホストの正当性検証と暗号化通信を実現する.また,システム管理を容易とするために,システム管理ツールの採用により,OS,Webサーバなど実行環境の自動更新機能を実現する.システム管理ツールPuppet,システム監視・管理ライブラリRuby SNMP,仮想マシンモニタXenを用いて提案システムの実装を行った.本システムの評価実験の結果,短時間でWebサーバシステムの拡張が可能であることが明らとなった.