2 0 0 0 OA 幼児と音楽

著者
神原 雅之
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.40-47, 2014 (Released:2017-03-31)
参考文献数
67
著者
水野 伸子
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.13-24, 2018 (Released:2019-03-31)
参考文献数
23

本研究は, 生演奏とDVD再生演奏という異なる演奏形態に対する聴取者の集団的手拍子反応の違いを, 主として打拍率, 打拍同期度の観点から検討した。実験曲は《きらきら星変奏曲ハ長調k. 265》 (モーツァルト作曲) のピアノ演奏である。手拍子情報は, 先行研究 (安藤ほか 2014) で開発してきた音楽リズム反応記録装置を用いて時系列的に計測し, 記録した。装置に入力されたすべての情報から4分音符レベルの手拍子を抽出して解析した。その結果, 生演奏群における聴取者集団の打拍同期度はDVD再生演奏群より高く, 生演奏群の方が手拍子のタイミングはよく揃うことがわかった。打拍率の推移をフーリエ級数展開した結果, 第12変奏において生演奏群からのみ3拍周期を示すスペクトルが顕著に認められた。生演奏群は手拍子の拍節構造を階層的に変化させて2拍子から3拍子への拍子の変化を知覚していることが示唆された。
著者
小野 亮祐
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.25-26, 2011 (Released:2017-08-08)
著者
菅 裕
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.13-24, 2009 (Released:2017-08-08)
参考文献数
17

本研究の目的は, 経験年数の異なる吹奏楽指導者の演奏診断および演奏指導の方法, さらにその背後にある指導観の違いについて分析することにより, 演奏指導力の熟達化を特徴づける要因について考察することにある。中学生による吹奏楽合奏VTR視聴中の各指導者の内言発話および各指導者自身による合奏指導の内容のカテゴリー分析とPAC分析に基づくインタビューの結果, 経験年数が比較的短い4名の指導者が「正確な演奏の追求」を重視しているのに対し, 経験年数の最も長い指導者は, 楽曲構造についての演奏者の総合的な音楽理解を促進し, それに基づく自発的・積極的表現姿勢を引き出すことを重視していた。また経験年数が比較的短い指導者の中心的指導方法が「指示」であるのに対し, 経験年数の長い指導者の場合は「指示」の割合が相対的に低くなり「モデリング」「理論的説明」「メタファー」「質問」の使用頻度が高かった。
著者
高須 一 福井 一 森下 修次
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.89-94, 2013 (Released:2017-03-31)
参考文献数
3
被引用文献数
3
著者
嶋田 由美
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-12, 2009

<p> 本稿は, 1900年前後に作られた唱歌の基本拍内同音反復のリズムを持つ特徴, いわゆる「唱歌調」の構造的特殊性と, それを生み出すに至った教育的背景について明らかにするものである。</p><p> 1882年発刊の『新体詩抄』で提唱された七五調による詩形は, その後の唱歌歌詞の基本構造となり, この七五調を唱えることから, 次第に今日「唱歌調」と言われる同音反復のリズムを持つ楽曲構造が生み出された。この背景には, 1890年の「教育勅語」渙発以降, 教育内容が徳育に特化され, 七五調の唱歌歌詞にもさまざまな徳目が詠い込まれる必要性があったこと, そして唱歌が地理や歴史等の他教科教育の補助的手段となり, 他教科の教育内容を歌詞に持つ唱歌を教授することによって, 唱歌科としての位置づけを得ようとしたことが挙げられる。即ち, この期の「唱歌調」と言われる唱歌は, 基本拍内同音反復のリズムに七五調の教科的, 或いは教訓的な歌詞内容を入れ込んで徳育に資すことを目的としたものであった。</p>
著者
志水 照匡
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.1-12, 2010 (Released:2017-08-08)
参考文献数
53

本稿は, 三味線演奏時における演奏者の棹の角度を研究するものである。343名の演奏者を分析したところ, 平均値は32度, 最頻値は33度, 標準偏差は3.7で, 度数分布曲線は最頻値33度を頂点とする釣鐘型の対称分布であることが明らかになった。 さらにF検定を用いて, 長唄と他の種目との検定を行った。その結果, 長唄の母分散と等しいのは一中節, 義太夫節, 清元節, 小唄, 座敷唄, 地歌, 新内節, 創作曲, 端唄, 宮薗節で, 等しくないのは上方唄, 常磐津節, 民謡となった。そしてF検定の結果をもとにt検定を行った結果, 母平均が長唄と等しいのは上方唄, 義太夫節, 清元節, 小唄, 座敷唄, 地歌, 新内節, 創作曲, 常磐津節, 宮薗節, 民謡で, 等しくないのは一中節と端唄となった。性別に関しては, 男女間で母分散は異なるが, 母平均は等しい。また, 棹の角度は服装, 座り方, 演奏方法の違いで大きな影響を受けるわけではない。
著者
磯田 三津子
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.13-23, 2021 (Released:2022-03-31)
参考文献数
15

本論の目的は, 「文化に関連した指導」の中で主張されている社会正義ついて明らかにし, そこで子どもたちが獲得すべき能力は何かを明らかにすることである。アメリカ合衆国には, 「文化に関連した指導」という考え方があり, マイノリティの子どもたちの教育の在り方を考える際に注目されている。こうした考え方に基づいて実践される教育の中で用いられる教材として, ヒップホップがある。本論では, 前述した研究目的を明らかにするために, 「文化に関連した指導」の理論及び, ヒップホップの実践の意義を考察する。考察の結果, 明らかになったことは, 先ず, ヒップホップによる社会正義の獲得を目指す音楽授業の目標が, 人種や民族, 階層といった問題について考え, 社会を改善するために行動できる能力を育成することである。次に, ヒップホップがマイノリティにとって身近な内容を表現しており, 社会を批判的に捉えるのに適した教材だということである。
著者
山本 耕平
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.25-36, 2019 (Released:2020-08-31)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究は, 作曲家の林光 (1931~2012) が日本教職員組合主催の教育研究全国集会に講師として参加していた1960年代後半から1970年代を中心に取り上げ, 彼の音楽教育論を明らかにすることを目的とする。林は1950年代にうたごえ運動や労音などの社会運動と積極的に関わる中で, 「民衆芸術論」の実践をこれらの社会運動に見出していた。そして後に彼は1968年から教育研究全国集会に講師として参加し, 民衆芸術論を基に「歌うことを中心とした音楽教育」を構想した。歌曲の教材選択について林は教科書にこだわらず子どもたちが生き生きと歌えるものを選ぶべきだと考えていた。そして教師の伴奏については, 楽譜通りに弾くことよりもむしろ教師の持てる技術の中で子どもの歌声を引き出すことを重視していた。林の音楽教育論とは, 知識や技術を重視する傾向にあった当時の音楽教育に対し, 子どもが主体的に音楽を楽しむ中で人間的に成長していくことを目指すものであった。
著者
坂内 くらら 遠藤 伸太郎 大石 和男
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.13-24, 2022 (Released:2023-03-31)
参考文献数
52

音楽を専攻する大学生 (以下, 音大生とする) は抑うつ傾向が高いことが知られている。本研究は音大生を対象に, 演奏不安, 自尊感情, 友人および主科の指導教員との関係の良好度と抑うつ傾向との関連を検討することを目的とした。従属変数を抑うつ傾向とし, Step 1に統制変数として性別と年齢, Step 2に演奏不安, 自尊感情, 友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度, Step 3に自尊感情と演奏不安, 自尊感情と主科の指導教員との関係の良好度, 自尊感情と友人との関係の良好度, 主科の指導教員との関係の良好度と友人との関係の良好度, それぞれの交互作用項を投入した階層的重回帰分析を行った。その結果, 自尊感情と主科の指導教員との関係良好度と抑うつ傾向の間に有意な負の関連が認められた。このことから, 音大生の自尊感情が低い場合や, 主科の指導教員との関係が良くない場合は, 抑うつ傾向がより高まる可能性が示唆された。
著者
齊藤 忠彦 田島 達也 岩﨑 博道 岡本 隆太 高橋 幸三 財満 健史 大脇 雅直
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.25-35, 2021 (Released:2022-08-31)
参考文献数
4

2019年12月に報告された新型コロナウイルスの影響は学校教育においても深刻である。特に音楽科では歌唱などの表現活動において飛沫拡散の可能性があるため, その対策を講じることが急務とされているが, 科学的な知見に基づく研究が遅れている。そこで, 本研究では, 飛沫可視化による検証実験を通して, 定量的なデータを得ながら, 歌唱の活動における飛沫感染対策に関わる検討を行うこととした。飛沫可視化によるマスク等の飛沫防護具の比較では, 「不織布マスク」「ガーゼマスク」「合唱用マスク」「マウスシールド」「フェイスシールド」の5種類の飛沫防護具を取り上げ, それらの中で最も飛沫抑制効果が高いのは「不織布マスク」であることを確認した。その他に, 「ハミング」「歌詞唱」「朗読」の比較検討, 「日本語」「ドイツ語」の比較検討なども行った。なお, 飛沫防護具着用による音響的な変化を捉えるために, 音声分析による検証実験を行った。