著者
渡邊 進
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.799-807, 2009-12-18 (Released:2010-01-01)
参考文献数
23
被引用文献数
5 7

Currently, there are more than 53,000 beds in kaifukuki rehabilitation wards throughout Japan. The development of kaifukuki rehabilitation wards is proceeding smoothly in terms of quantity. It is suggested that, with this development, the activities of daily living of patients will significantly improve, leading to an increase in the likelihood of patients returning home when a large unit of daily rehabilitation training is provided via one of these kaifukuki rehabilitation wards. The tasks remaining to be completed for the optimal realization of the kaifukuki rehabilitation wards are to reduce the disparity in the number of beds among prefectures, to realize a mature team approach to the rehabilitation program, to encourage full-time ward physicians of the rehabilitation department to exercise leadership, to enhance subacute medical services, to enhance human resources such as nurses and rehabilitation specialists and to improve the education and training system for the staff. Other major tasks remaining are to strengthen the cooperation between kaifukuki rehabilitation wards and acute hospitals, by which such rehabilitation wards will become capable of actively accepting patients from an early stage, and to establish cooperation between kaifukuki rehabilitation wards and the home care system.
著者
大本 将之 志波 直人
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.27-30, 2017-01-28 (Released:2017-03-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

微小重力により,宇宙飛行士の筋骨格系は著しい廃用性変化をきたす.火星探査では狭い宇宙船内での運動が必要となるが,従来の宇宙飛行士用の訓練装置は大型で使用が困難である.ハイブリッドトレーニング装置は,運動時に動作を妨げる拮抗筋を電気刺激して得られる筋収縮を運動抵抗とし,小型で自身の体内で運動抵抗を発生させることから,このような制約が大きい環境下での使用が可能である.2009年,国際宇宙ステーション利用研究に採択され,本装置を1名の宇宙飛行士の非利き腕に装着し,週3回4週間,計12回のトレーニングを行い,廃用予防改善効果を検証した.同時に5年間の産学協同研究により,下肢用トレーニング装置が市販された.
著者
牧田 茂
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.947-951, 2017-12-18 (Released:2018-01-10)
参考文献数
13

心不全患者においては,労作時の過度な換気増大は,息切れとなって症状にあらわれる.これは,換気血流不均衡から生じる死腔の増大と慢性的な肺静脈圧の増加による肺血管障害,気管支の過反応による気道抵抗上昇から生じる.運動生理学的には分時換気量(VE)を増加させている要因は死腔換気量(VD)であり,心不全での呼吸パターンの変化と換気血流不均衡増加の主たる原因となる.運動中の肺毛細管圧の上昇や肺胞壁・間質の浮腫などは肺コンプライアンスの低下を招き,一回換気量増加を妨げる.そこで,VEを増加させるために呼吸数が増加する,いわゆる浅く速い呼吸となって,解剖学的死腔に起因するVDが増加する.運動中の心拍出量の増加が少ないことは,換気血流不均衡によるVDを増加させ,あわせて心不全での運動中のVDを増すこととなり,その結果二酸化炭素排泄量に対するVEが増加する.
著者
島田 洋一 本郷 道生 畠山 和利 渡邉 基起
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.914-921, 2016-12-18 (Released:2017-02-14)
参考文献数
34

ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)は,骨粗鬆症,加齢に伴う筋力低下や,変形性脊椎症,そして変形性膝関節症などが原因で生じるが,これらの疾患の多くが腰椎疾患と密接に関連する.腰椎疾患ではさまざまな運動療法が提唱されている.腰部脊柱管狭窄症では,動作に伴う症状の増悪に注意しながらのストレッチングや全身の調整運動を行う.慢性腰痛症に対する筋力増強やストレッチングなどの運動療法は有効な保存療法として推奨されている.骨粗鬆症を伴う脊柱後弯患者では,背筋力増強および脊柱可動性を改善する運動が有効である.運動療法には自宅での運動と,施設で実施する運動とでは内容が異なるが,ロコモを伴う高齢者に対しては,安全で継続性があり,かつ効果のある運動療法を考慮して処方する必要がある.
著者
五島 史行
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.116-121, 2019-02-18 (Released:2019-04-03)
参考文献数
20

前庭機能障害患者に対するリハビリテーション治療は一側性前庭障害症例において,中等度~強度の根拠があり,中等度の一側性前庭障害症例については中等度の根拠がある.また,良性発作性頭位めまい症症例については,確定診断に基づいた特有の理学療法治療法は,一般の運動療法に基づいた前庭リハビリテーションよりも,より効果を示すというエビデンスがある.しかしながら,本邦では本治療はあまり普及していない.外来において迷路性失調に対するリハビリテーション治療を行いその有効性について検討したので概説する.
著者
望月 仁志 宇川 義一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.88-93, 2019-02-18 (Released:2019-04-03)
参考文献数
7

運動失調とは,運動麻痺はないもしくは軽症で,動作や姿勢保持などの協調運動の障害である.末梢感覚器(関節位置覚,視覚,平衡覚)から中枢神経系への求心路,その情報を処理する小脳・大脳基底核,そして小脳などからの情報を受けて制御情報を送る大脳運動野から末梢・筋までの遠心路のどのレベルでも,運動制御はされていることになる.これらのどの部分に障害が生じても,臨床的な運動失調は生じる.今回は,臨床的に重要な小脳失調,感覚失調,前庭性失調について,それぞれの臨床的特徴とその機序について概説した.
著者
都築 暢之 石塚 京子 飯島 昌一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.407-414, 2016-05-18 (Released:2016-06-13)
参考文献数
21

An 83-year-old woman presented with dropped head syndrome (DHS), that had been progressing during the previous 6 months. She had no history of neuromuscular diseases and, on examination, no neuromuscular abnormalities were observed except for isolated weakness of the neck extensors, mainly of the semispinalis cervicis. On the paravertebral sites of the T1-T5 spine on both sides, a total of eight points with marked tenderness were noted, four on each side. These eight points coincided with the anatomically narrow spaces through which the posterior rami emerged from their deep exits in the spine (i.e., the intervertebral foramina) to the superficial paravertebral sites, where they bifurcated into the lateral and medial branches, the latter innervating the semispinalis cervicis. Repeated local corticosteroid injections once a week on these eight tender points, with 3.3 mg Decadron (dexamethasone sodium phosphate) mixed with 20 mL of 0.5% xylocaine divided among the eight tender points, improved DHS in 3 months. This case suggests that the anatomically narrow pathway of the medial branches of the posterior rami at the upper thoracic spine could induce inflammations of the passing nerves, resulting in neck extensor weakness.
著者
大畑 光司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.47-53, 2016-01-18 (Released:2016-02-10)
参考文献数
36

歩行分析は本当に臨床に役立つのだろうか.たしかに,大掛かりな三次元運動解析のような工学的手法は正確な運動学的情報を与えてくれる手段である.しかし,歩行分析を臨床に生かすという観点においては,正確な情報よりむしろ,得られた情報をどのように解釈するかに意義がある.その意味で,歩行分析では運動障害の本質をあらわす特徴量を明確にすることが求められる.活動制限としての歩行障害では歩行速度,機能障害としての歩行障害では,片麻痺患者の非対称性,パーキンソン病患者の運動狭小化,失調患者の変動係数(coefficient of variation)などが障害の重症度と関連する特徴量となる.そのうえで,それぞれの特徴量を変化させる介入手段を明確にすることが必要となる.
著者
東本 有司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.965-968, 2017-12-18 (Released:2018-01-10)
参考文献数
8

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の罹患者は年々増加しており,肺の生活習慣病といわれている.労作時呼吸困難はCOPDの主要な症状の1つで,このために日常生活に支障をきたすことが多い.COPDにおける呼吸困難の機序はまだ十分に解明されていないが,低酸素血症以外にも,肺の動的過膨張やうつ・不安症状なども関連していることがわかっている.呼吸困難に対する薬物治療としては気管支拡張薬の吸入薬が第一選択であるが,症状改善が十分でないことが多く,呼吸リハビリテーション,栄養指導,心理的サポート,社会的サポートなどの包括的な介入が必要である.
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.753-786, 2009-12-18 (Released:2010-01-01)

宇宙飛行士のリハビリテーションの現状と未来…大島 博,向井 千秋,里宇 明元 753宇宙環境で有効な骨格筋維持装置開発の研究—ハイブリッドトレーニング法によるWearable device の開発研究—…志波 直人,松瀬 博夫,吉光 一浩,田川 善彦 758微小重力や長期臥床による骨粗鬆症への挑戦…松本 俊夫,木戸 里佳 764平衡機能障害に挑む—宇宙酔いと重力適応—…野村 泰之 767循環調節障害に挑む…岩崎 賢一 774ヒューマノイドロボットを用いて様々な負荷環境における姿勢調節メカニズムを探求する…玄 相昊 778
著者
菊地 尚久
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.184-188, 2018-03-16 (Released:2018-04-20)
参考文献数
11

運動療法の可能性を探るため,その対象疾患拡大の変遷と主な疾患・障害に対する運動療法の効果について述べた.運動器疾患に対しては筋力強化訓練,関節可動域訓練,有酸素運動が有効である.糖尿病・肥満症に対する有酸素運動ではインスリン感受性が高まることによる効果が大きい.循環器疾患・呼吸器疾患では有酸素運動単独より,筋力強化訓練の併用において効果が大きい.精神疾患・認知症・慢性疼痛では運動療法が脳に好影響を与えることが検証されている.近年運動療法の対象が拡大したのは,運動療法が身体に与える影響のみではなく,中枢神経系に対する有益な効果が証明されたことに起因するものと思われる.
著者
平泉 裕 中島 敏明 今西 登之彦 佐藤 義昭
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.768-775, 2017-10-18 (Released:2017-12-04)
参考文献数
12
被引用文献数
1

加圧トレーニング法は下肢または上肢を空圧式加圧ベルトで加圧し,適度な血流制限下での運動により短期間・軽負荷で筋肥大効果を期待できる.本法はオリンピック選手やプロスポーツ選手の強化トレーニング法として実績があり,近年はリハビリテーションや医療現場でも応用されるようになった.本技術は軽い身体負荷での運動を選択する必要がある患者に対して有効と考えられ,高齢化社会にふさわしいリハビリテーション法と考えられる.
著者
岩波 裕治 内 昌之 福田 大空 黒田 悠加 杉澤 樹 海老原 覚
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1002-1008, 2019-12-18 (Released:2020-01-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1

大動脈弁閉鎖不全症(aortic stenosis:AS)は,高齢化に伴い急速に患者数が増加している.高度な侵襲を伴う大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)が従来の標準治療であったが,ハイリスクのため適応とならない症例に対し,低侵襲治療の経カテーテル的大動脈弁植込み術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)が積極的に実施されるようになった.適応に関しては,ハートチームでの検討が必要とされ,理学療法士もその一員で,術前後でのfrailty評価を含め心臓リハビリテーションの重要な役割を担う.TAVIに対しての心臓リハビリテーションに関するデータは少ないのが現状であるが,高齢frailtyな症例に対し,個々に適したプログラムの適応が重要となる.
著者
大高 恵莉 大高 洋平 森田 光生 横山 明正 近藤 隆春 里宇 明元
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.673-681, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
2 8

目的:動的バランス機能の評価法であるMini-Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)の日本語版を作成し,その妥当性を検証した.方法:Guilleminらのガイドラインに準じ日本語版Mini-BESTestを作成した.バランス障害群20 名(平均年齢65.4±18.7 歳)及び健常群7 名(平均年齢69±5.9 歳)に日本語版Mini-BESTest,Berg Balance Scale(BBS),国際版転倒関連自己効力感尺度(FES-I),Activities-specific Balance Confidence Scale(ABC Scale)を実施し,Spearmanの順位相関係数を求めた.結果:日本語版Mini-BESTestの平均施行時間は20.0 分で,BBS(r=0.82,p<0.01),FES-I(r=-0.72,p<0.01),ABC Scale(r=0.80,p<0.01)と有意な相関を認めた.分布の非対称性を示す指標である歪度(skewness)はそれぞれBBS -1.3,日本語版Mini-BESTest -0.47であった.結論:日本語版Mini-BESTestは既存のバランス評価法との併存的妥当性を示し,かつBBSのような天井効果を認めない点で優れていると考えられた.
著者
川上 紀明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.24-29, 2018-01-18 (Released:2018-02-22)
参考文献数
15

1979年より運動器の中で唯一行われてきた側弯検診は,2016年より運動器検診の中に含まれて再出発した.側弯症は3次元的な脊柱変形(脊柱のねじれ)であるが,姿勢によるものと誤解されやすい.前屈テストで5° が指標となるが,これらの学校検診での事後措置には十分な配慮が必要である.側弯の発生原因の研究では多くの報告がされているが,いまだ原因は解明されていない.その自然経過は個々の症例により大変差があり,悪化しないものから高度に悪化し,生命にも影響を与えるものまでさまざまである.運動器検診による早期発見で運動療法,装具療法,手術療法など適切な治療法が選択でき,成人になって生じる問題点を少なくすることが可能となる.
著者
西村 一志
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.300-304, 2018-04-18 (Released:2018-05-21)
参考文献数
19
被引用文献数
1

わが国では高齢化が進み,ほぼ4.5人に1人が運動器疾患が原因で介護が必要となっており,回復期のリハビリテーション医療において運動器リハビリテーションは重要である.2008年から診療報酬制度で回復期リハビリテーション病棟に質の評価が導入された.年々リハビリテーション実施単位数が増加しているにもかかわらず,大腿骨頚部骨折を中心とした骨折系では,平均入院日数が延長し,自宅復帰率が低下していた.また,人工関節系ではFIM利得が少なかった.大腿骨頚部/転子部骨折,人工関節置換術患者の多くは高齢者であり,リハビリテーション治療の効果に影響する因子として,認知症,受傷前の歩行能力,術後合併症,訓練量,リハビリテーション科専門医の関与などが考えられる.
著者
木佐 俊郎 酒井 康生 三谷 俊史 小野 惠司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.709-716, 2011-11-18 (Released:2011-12-07)
参考文献数
24
被引用文献数
2 2

【目的】脳卒中回復期において,包括的リハビリテーション (包括的リハ) に促通反復療法を含む場合と含まない場合の治療成績を比較する.【対象・方法】対象は脳卒中回復期52 症例で,介入内容を通常の包括的リハ (通常治療群) と包括的リハに促通反復療法を取り入れた (促通反復群) とに無作為に割付け,約17 週の治療効果を前方視的に比較した.評価は運動麻痺を上田のグレードで,日常生活活動をFunctional Independence Measure (FIM)で行った.【結果】両群の年齢や罹病期間,加療期間などに有意の差はなかった.下肢や上肢,手指の麻痺改善度は統計学的有意にはいたらないが促通反復群で大きく,分離運動発現・分離例の割合は促通反復群が有意 (p<0.05) に大きかった.FIMの改善度も通常治療群に比べて下肢の促通反復群が総合項目および運動項目で有意 (p<0.05) に大きかった.手指の促通反復群ではFIMセルフケア項目でp値が0.080であった.【結論】促通反復療法を含む包括的リハは通常の治療より片麻痺とADLの改善を促進する可能性がある.
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.87-116, 2011-02-18 (Released:2011-03-08)

神経因性膀胱の診断と治療の進歩…井川 靖彦 87排尿の中枢制御と脳疾患…榊原 隆次,岸 雅彦,小川恵美奈,舘野 冬樹,小川 明宏,寺山圭一郎,治田 寛之,秋葉 崇,内山 智之,山本 達也 94高齢者排尿管理におけるチーム医療…岩坪 暎二 102回復期リハビリテーション病棟における排尿障害の取り組み—排泄ケアチームを立ち上げて—…野元 佳子,久松 憲明,堀ノ内啓介,重信 恵三 108排泄自立支援体制は充足しているか—現場における介護者1 人が支援可能な時間を検証してみる—…志方 弘子,永沼真由美 112
著者
青木 孝史 中村 雅俊 鈴木 大地 大箭 周平 江玉 睦明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.18001, (Released:2018-11-06)
参考文献数
24

筋力トレーニングは,筋力低下や筋萎縮の処方として用いられる手技である.先行研究において,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングでは,神経適応により筋力が増加することが報告されている.しかし,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングが筋厚に及ぼす影響は不明である.本研究の目的は,上腕三頭筋を対象に,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングが筋力および筋厚に与える影響を明らかにすることである.対象は,12名の健常若年男性の両腕とし,無作為に皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングを行う側と低負荷筋力トレーニングのみを行う側に群分けを行った.筋力トレーニングは1RMの50%の重量を用いて,週3回8週間の介入を行った.筋力トレーニング介入前後に1RMと上腕三頭筋の筋厚を測定した.その結果,有意な交互作用は認められなかったが,皮膚冷刺激の有無に関係なく,両介入側ともに8週間の介入後に有意な1RMおよび筋厚の増加が認められた.この結果より,皮膚冷却による筋力トレーニングとの相乗効果は認められないことが明らかになった.
著者
望月 麻紀 宝田 雄大 友添 秀則 大坂 昇
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4-5, pp.283-287, 2014 (Released:2014-05-10)
参考文献数
14

Generally, conservative treatment is performed at the initial stage of Osgood-Schlatter disease (OSD) to decrease pain. When this conservative treatment is no longer effective, surgery will be performed to decrease OSD pain by removing a tibial tuberosity avulsed bone and a synovial capsule. We reported a time-series change of pain before and after the OSD surgery on a wrestling athlete. The present subject was a 20-year-old male wrestler (height 183 cm ; weight 90 kg), who received OSD surgery on the left knee. Numerical rating scale (NRS) was used to determine pain before and after the OSD surgery. NRS was measured by three positions : resting position (RP), sitting with knee extending position (SKEP), squat with knee flexing 90° position (SK 90 P) and pressure pain (PP). Immediately after the OSD surgery, NRS at the RP, SKEP, SK 90 P, and PP decreased from NRS 3 to NRS 0, NRS 5 to NRS 1, NRS 8 to NRS 6, and NRS 8 to NRS 1, respectively. Three weeks after the OSD surgery, pain at the SKEP and PP decreased to NRS 0. Eight and eleven weeks after the OSD surgery, pain at the SK 90 P decreased to NRS 2 and NRS 1, respectively. The present case study suggests that OSD surgery may progressively decrease pain. Further studies are needed to clarify the effect of OSD surgery on pain.