著者
奥谷 文乃
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1356-1360, 2021-12-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
12

嗅覚刺激療法(olfactory training)は,嗅覚障害の治療法として注目されている.対象は嗅神経性および中枢性で,嗅覚伝導路の末梢受容器から中枢のいずれかに原因があるものであり,匂い分子が嗅神経細胞に到達できない気導性嗅覚障害は除く.作用機構は非常に高い再生能をもつ嗅神経細胞を匂い刺激によって興奮させることで,嗅球のみならず,さらに上位においてシナプス可塑性を誘導すると考えられ,ニューロリハビリテーション治療の1つとみなすことができる.世界的にはすでに有用性が証明されており,わが国においても日本人向けの匂いを用いて,日本人向けの嗅覚検査であるT&T olfactometryで評価をする全国研究が進行中である.
著者
根津 敦夫
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.599-603, 2020-07-17 (Released:2020-08-28)
参考文献数
4

肢体不自由児の痙縮やジストニアに対し,国内でも2009年以降ボツリヌス毒素による神経ブロックが多用されている.軽症例への早期治療は,歩容や巧緻動作の問題を短期間で改善させ,数回の治療で完了できる.一方,重症例では,幼少期までは有効だが,学童期以降は体格が大きくなるにつれて用量不足となるため,効果不十分となる.また,治療3~6カ月後には症状が繰り返し再燃するため,治療終了の見通しが立たない.そのような場合,脊髄後根切断術やバクロフェン持続髄注療法への移行または併用を検討すべきである.これらの治療を適切な時期に導入すれば,装具療法との併用で,拘縮・変形の進行をある程度抑制することができる.
著者
川口 俊太朗 山本 澄子
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.86-94, 2021-01-18 (Released:2021-03-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1

背景:脳卒中患者に対し膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節のコントロールが可能な長下肢装具を装着させ,各装具の違いが歩行へ与える影響を検証することを目的とした.方法:対象は,回復期リハビリテーション病棟入院中で歩行が見守り以上で可能な脳卒中患者7名である.方法は,膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節屈曲が可能な長下肢装具で10 m歩行を行い,IMU慣性センサー・EMGを用い歩行計測を行った.結果:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具において,歩行速度,ストライド長,歩行率が有意に増加を示し,関節角度は歩行中の麻痺側股関節伸展,外転,外旋角度の最大値が有意に小さい結果となった.筋活動は上記の条件下で荷重応答期の大腿直筋が有意に増加,遊脚期の脊柱起立筋は筋活動が有意に減少した.考察:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具は,歩行時間距離因子を改善し,遊脚期における麻痺側の分回し動作を軽減させることを示唆した.
著者
大野 綾
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.896-904, 2021-08-18 (Released:2021-11-13)
参考文献数
24

がん患者は栄養障害をきたしやすく,筋肉量を減少させる悪液質も問題となる.栄養障害と悪液質によって生じるサルコペニアは嚥下障害の原因となる.摂食嚥下障害により栄養障害・サルコペニアが悪化し,嚥下障害もさらに悪化するという悪循環をきたす.がん患者の嚥下障害のリハビリテーションでは,がん患者特有の栄養障害や悪液質に関する理解が不可欠であり,栄養療法とリハビリテーションを組み合わせたリハビリテーション栄養の視点・方法論が非常に重要である.がん悪液質に関して,2011年新たな定義がなされ,重症度により3段階に分類することが提唱された.代謝異常が軽度の早期の段階で診断し進行を予防する対応が重要視されている.また,サルコペニアの嚥下障害に関しては,本邦から診断フローチャートが発表された.がん患者の栄養障害,悪液質,サルコペニアと嚥下障害,リハビリテーションと臨床栄養の重要性に関して解説する.
著者
那須 識徳 山根 伸吾 小林 隆司
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.532-540, 2022-05-18 (Released:2022-07-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1

目的:高齢になり運転などの移動手段を変更する必要がある場合に,個人の感情面や態度の準備状況を把握するための自記式質問紙としてAssessment of Readiness for Mobility Transition(ARMT)がある.本研究ではARMT日本語版(ARMT-J)の言語的妥当性を検証することを目的とした.方法:「尺度翻訳に関する基本指針」を参考にして「順翻訳,調整,逆翻訳,逆翻訳のレビュー,認知的デブリーフィング,認知的デブリーフィングのレビュー,校正,最終報告」を実施した.順翻訳と調整は国内の作業療法士3名が行い,逆翻訳は翻訳会社に依頼した.逆翻訳のレビューと認知的デブリーフィングのレビューは開発責任者に依頼し,認知的デブリーフィングは地域在住高齢者5名を対象に行った.結果:順翻訳では5項目,逆翻訳のレビューでは3項目で意見の相違が確認された.特に項目11の原文である「Moving to a retirement community is too restrictive for my desired mobility.」の中の「retirement community」は日本では普及しておらず,翻訳者間で日本語訳に相違を認めた.海外では「retirement community」は高齢者のための居住地域または建物と定義されており,翻訳にかかわった作業療法士3名と開発責任者にて協議のうえ,日本語訳は「高齢者のための住宅」とした.さらに,開発責任者に確認を行い,加齢のため移動手段を変更せざるを得ない場合,居住地域を変更する必要があるという意味が含まれているという補足文書をつけ,ARMT-Jを完成させた.結論:本研究ではARMT-Jの言語的妥当性を検討し,妥当と思われる日本語訳を作成した.
著者
都丸 大悟
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.139-143, 2020-02-18 (Released:2020-03-25)
参考文献数
1

日常生活をするうえでは自動車の運転は欠かせないものであり,運転と生活は密着しているものである.高次脳機能障害の方が運転復帰をするために1つの材料として病院に提供している株式会社ぐんま安全教育センターが実施している運転再開講習について,予約から運転講習実施,受講者の今後の運転についてのアドバイスまでの流れと運転技能評価システム(オブジェ)を使った講習の事例(2019年10月受講者)を提示する.受講者の実態と講習の流れを病院の先生方だけでなく自動車教習所に理解をしていただき,広く実施をしていくことが望ましいと考える.
著者
大國 生幸 海老原 覚
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1391-1398, 2021-12-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
45

摂食嚥下は,食塊を口腔から咽頭・食道を経て胃まで送る一連の過程で,通常5期に分けられる.中でも咽頭期は嚥下反射が中心となり,咽頭感覚は摂食嚥下において重要な役割を担う.咽頭感覚に関連する神経学的または構造的な欠陥は摂食嚥下に影響を及ぼすため,咽頭感覚障害はさまざまな疾患に不随する摂食嚥下障害の要因の1つとなる.咽頭感覚障害のリハビリテーション医療は,実際に食物を用いて行う直接訓練と,食物を用いない間接訓練とに分けられる.近年,感覚および運動経路の刺激に基づく新しい治療法として,刺激療法が着目されている.リハビリテーション医療は,個々の患者の状態や摂食嚥下機能に基づいて行う必要があり,多職種からなるチームによる治療が推奨される.
著者
白井 孝尚 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1197-1203, 2020-12-18 (Released:2021-03-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

目的:結帯動作には2種類の動作方法が存在する.移動させる上肢と同側の肩甲骨付近を触れる外転方法と,対側の肩甲骨付近を触れる内転方法である.本研究は,各方法時の肩甲骨運動と筋活動を知ることを目的とした.方法:健常男性10名に外転方法と内転方法を行わせた.肩甲骨上方回旋・前傾・内旋角度を三次元動作解析装置で計測し,多重比較法で比較した.僧帽筋上部線維・中部線維・下部線維,前鋸筋の筋活動を表面筋電計で計測し,分析した.結果:外転方法は肩甲骨が前傾・上方回旋した.内転方法は下垂~L5・T12で肩甲骨が前傾・上方回旋し,L5・T12より高位で下方回旋した.僧帽筋上部線維の筋活動は,外転方法では下垂~T7で常に増大したが,内転方法ではT12より高位で減弱した.結論:内転方法の獲得には,肩甲骨の前傾や下方回旋,僧帽筋上部線維の筋活動に着目したリハビリテーション治療が重要となる.
著者
武田 克彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1399-1406, 2021-12-18 (Released:2022-04-13)
参考文献数
38

触覚の仕組みとして,皮膚における4つの機械受容器について解説し,末梢神経脊髄から大脳に至る経路を述べた.次に,その経路における障害について述べた.触覚の高次の中枢である中心後回には階層構造があることが,Iwamuraらによる研究からわかった.そして,中心後回の損傷による感覚障害と運動障害について,筆者自身の研究からわかったことを報告した.触覚障害のリハビリテーション医療について,末梢神経障害の場合の方法と,脳血管障害例を対象とした場合の今までの報告の系統的レビューなどについて述べた.新しい試みもなされているものの,現状はまだまだという段階である.今後リハビリテーション医療を進めるうえで重要と思われる視点について最後に触れた.
著者
北村 新 大高 洋平
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.269-274, 2021-03-18 (Released:2021-07-03)
参考文献数
31
被引用文献数
1

リハビリテーション医療の過程では,活動量の増大と安全は常にトレードオフの関係にあり,いかに転倒を予防しながら患者の活動性を高めるかは重要な課題である.医療機関において,双方のバランスを保ちながら患者を支援していくうえでは,センサーやアセスメントツールを用いて未然に転倒や外傷を防ぐ「ブレーキ」の視点と,患者個人に起因する内因性リスクを調整しながら病棟単位で積極的に活動を促していく「アクセル」の視点が求められる.一方で,従来の医療安全対策の効果に関するエビデンスは少なく,機会費用を見直す必要があることも指摘されている.今後は,最新の科学技術を導入することで,より効率的な転倒予防の実現が期待される.
著者
緒方 徹 住谷 昌彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.384-387, 2018-05-18 (Released:2018-06-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2

幻肢痛の発症には,脳における感覚運動野の不適応が関与している.幻肢痛を訴える症例の多くで幻肢は動かせない状態で認識されることが多く,こうした感覚と運動の不一致が痛みとして認識されると考えられる.治療に関して確立した方法はないのが現状だが,ガバペンチンなどいくつかの薬剤での臨床試験が行われている.鏡療法は鏡に映った健側の四肢を切断肢と錯覚する現象を用いて,切断肢の感覚-運動ループを整えることで治療効果を発揮する.幻肢痛は長期にわたって患者の生活の質を低下させるものであることを認識し,治療法を選択することが必要である.
著者
百崎 良
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.1087-1092, 2022-11-18 (Released:2023-01-20)
参考文献数
5

傾向スコア解析や操作変数法といった統計学的因果推論手法を用いた研究がリハビリテーション医学領域でも増加している.傾向スコアとは治療を受ける傾向(確率)を表す値であり,交絡因子から推定できる.傾向スコア解析では調整したい交絡因子が多数ある場合でも,モデルの誤設定や多重共線性の問題を気にする必要がない.操作変数法は未測定交絡因子の調整を行うことができる解析法である.操作変数とは治療の選択を左右する因子であり,アウトカムと直接関連していないことが条件である.適当な操作変数をみつけられるかどうかが鍵となるが,各施設におけるリハビリテーション治療実施割合や週末入院などが操作変数として利用されている.
著者
三浦 美佐 吉澤 亮 大和田 滋 平山 暁 伊藤 修 上月 正博 前波 輝彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.221-226, 2021-02-18 (Released:2021-04-14)
参考文献数
14

維持透析 (HD)患者は時間的制約,体調不良,易疲労性などにより不活動下に置かれ,合併症の増悪,サルコペニア・フレイルという悪循環に陥りやすい.本邦の多くの透析施設において,患者に軽負担で実施可能な電動エルゴメーターが採用されているが,その身体機能に与える影響を負荷量可変型エルゴメーターと比較検討した報告は少ない.そこで,本研究の目的を,外来透析患者に対する透析中の12週間の運動を,電動エルゴメーターと負荷量可変型エルゴメーターで比較検討することとした.週3回HDを行っている歩行可能な平均年齢71.5±1.6歳の患者15名を,負荷量可変型エルゴメーター (Tex)群8名と電動式エルゴメーター (Elex)群7名に振り分け,透析中の運動を各人の身体能力に応じ,週3回,12週間実施した.介入後にTex群のみが,下肢筋力,運動耐容能が有意に増加した.よって,運動様式により異なる影響があることが示唆された.
著者
金森 雅 中尾 雄太 堀川 康平 内山 侑紀 児玉 典彦 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1036-1041, 2018-12-18 (Released:2019-01-21)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

Constraint-induced aphasia therapy (CIAT) is becoming increasingly popular worldwide. It is based on the theory of CI therapy, which is supported by considerable evidence as being useful for rehabilitation after stroke. The CIAT-II protocol (Johnson et al., 2015) was modified to a Japanese version, consisting of intensive training using five expressive language exercises, with shaping and a transfer package for 3 hr/day for 15 consecutive weekdays. We assessed outcomes using the Standard Language Test of Aphasia (SLTA) and Verbal Activity Log (VAL) before and after therapy. We confirmed some improvements in language function using the SLTA and remarkable improvement in VAL amount-of-use scores. Language function and communication skills can be improved using CIAT in patients with chronic aphasia, based on their language function evaluation. The present findings suggest that CIAT might be effective as speech therapy for Japanese patients with chronic aphasia.
著者
加藤 太郎 板東 杏太 有明 陽佑 勝田 若奈 近藤 夕騎 小笠原 悠 西田 大輔 髙橋 祐二 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.326-332, 2021-03-18 (Released:2021-07-03)
参考文献数
18

目的:脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)に対する短期集中リハビリテーション治療(SCD短期集中リハビリテーション)の効果が,先行研究により示されている.しかし,SCD短期集中リハビリテーションの効果検証は,Scale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)の総得点により報告されており,SARAの下位項目による詳細な検証はなされていない.本研究は,歩行可能なSCD患者の運動失調に対するSCD短期集中リハビリテーションの効果を,SARAの総得点と下位項目得点から検証することを目的とした.方法:対象は,SARAの歩行項目3点以下に該当し,4週間のSCD集中リハビリテーション治療プログラム(SCD集中リハビリテーション)に参加したSCD患者23名(男15名,女8名)とした.評価項目はSARAとし,SCD集中リハビリテーション実施前後に評価を実施した.対象者のSCD集中リハビリテーション実施前後のSARAの総得点および各下位項目得点を,後方視的に解析した.統計はWilcoxonの符号付き順位検定を用いて分析検討し,有意水準は5%とした.結果:SCD集中リハビリテーション実施前後において,総得点および下位項目得点のうち,歩行,立位,踵-すね試験に有意な点数の改善を認めた(p<0.05).一方,下位項目得点で座位,言語障害,指追い試験,鼻-指試験,手の回内・回外運動は有意な点数の改善を認めなかった.結論:本研究の結果は,SCD集中リハビリテーションはSCD患者のSARAにおける総得点と,特に体幹と下肢の運動失調を有意に改善させることを示した.
著者
西上 智彦 柴田 政彦
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.591-595, 2016-08-18 (Released:2016-09-16)
参考文献数
26
被引用文献数
1

痛覚の伝達経路には末梢から中枢へ向かう上行路だけでなく,下行性に痛みを抑制あるいは増強させる下行路もある.本稿では上行路(皮膚,脊髄,体性感覚野および扁桃体)と下行路(state dependent control)に分けて概説し,さらに,それぞれの経路に働きかけるリハビリテーションの臨床応用について言及する.