著者
河原 吉伸 矢入 健久 町田 和雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.76-85, 2008 (Released:2008-01-29)
参考文献数
20

In this paper, we propose a class of algorithms for detecting the change-points in time-series data based on subspace identification, which is originaly a geometric approach for estimating linear state-space models generating time-series data. Our algorithms are derived from the principle that the subspace spanned by the columns of an observability matrix and the one spanned by the subsequences of time-series data are approximately equivalent. In this paper, we derive a batch-type algorithm applicable to ordinary time-series data, i.e., consisting of only output series, and then introduce the online version of the algorithm and the extension to be available with input-output time-series data. We illustrate the superior performance of our algorithms with comparative experiments using artificial and real datasets.
著者
澤村 勇輝 谷津 元樹 森田 武史 江上 周作 鵜飼 孝典 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.SWO-059, pp.02, 2023-03-17 (Released:2023-03-23)

自然言語文中のエンティティ名をWikidataなどの大規模知識グラフのリソースと対応づけるタスクであるエンティティリンキング(EL)は,質問応答などの基盤技術として注目されている.最先端のEL研究は英語を対象としており,日本語を対象としたEL研究は少ない.ELモデル構築には言語モデルや知識グラフ埋め込みを利用しており,日本語ELモデルを構築するには言語モデルや知識グラフ埋め込みの日本語対応が必要となる.本研究では,英語ELモデルを日本語対応するための課題の分析を行う.Wikidataを対象とした英語ELモデルPNEL(Pointer Network based Entity Linker)構築において言語依存の埋め込みを変更することにより,日本語ELモデルを構築した.英語データセットであるwebQSP,SimpleQuestions,LC-QuAD2を翻訳し,日本語と英語ELモデルの比較評価から,モデル構築における課題を埋め込み手法の観点から分析した.
著者
長島 一真 森田 純哉 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.AG21-E_1-13, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
43

To date, many studies concerned with intrinsic motivation in humans and artificial agents based on a reinforcement learning framework have been conducted. However, these studies have rarely explained the correspondence between intrinsic motivation and other essential cognitive functions. This study aims to build a method to express curiosity in new environments via the ACT-R (Adaptive Control of Thought-Rational) cognitive architecture. To validate the effectiveness of this proposal, we implement several models of varying complexity using the method, and we confirm that the model’s behavior is consistent with human learning. This method focuses on the“ production compilation” and ”utility” modules, which are generic functions of ACT-R. It regards pattern matching with the environment as a source of intellectual curiosity. We prepared three cognitive models of path planning representing different levels of thinking. We made them learn in multiple-breadth maze environments while manipulating the strength of intellectual curiosity, which is a type of intrinsic motivation. The results showed that intellectual curiosity in learning an environment negatively affected the model with a shallow level of thinking but was influential on the model with a deliberative level of thinking. We consider the results to be consistent with the psychological theories of intrinsic motivation. Furthermore, we implemented the model using a conventional reinforcement learning agent and compared it with the proposed method.
著者
高須 遼 中村 啓信 岸本 泰士郎 狩野 芳伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1J4OS13a04, 2022 (Released:2022-07-11)

メンタルヘルスは社会的に重要な問題である。近年、メンタルヘルスの問題はインターネット上の活動と密接に関係している。そこで我々は、Twitterユーザーがメンタルヘルス問題を抱えているかどうかを分類するシステムを開発した。特定のパターンに合致するアカウントはメンタルヘルス問題を抱えている可能性が高いと仮定し、この仮定に基づいてポジティブな例とネガティブな例を100万件規模で収集した。また、キーワードに依存する先行研究とは異なり、メンタルヘルスに特化したキーワードを含まないユーザの発話を分類する可能性を検討するため、そのようなキーワードを含むツイートはデータセットから排除した。BERT、LSTM、SVMを学習させ、分類性能を比較した。BERTについては、大規模ツイートデータを用いた事前学習を行った。BERTが最も高い性能を示し、Accuracy 0.83, Recall 0.8, Precision 0.88,F1-score 0.84という実用レベルの高い分類性能を達成した。文脈情報の重要性とともに、一般的な発話からメンタルヘルス不調を推測しうることを示した。
著者
山下 達雄 寺岡 照彦 田口 拓明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin131, 2020 (Released:2020-06-19)

Wi-Fiの接続情報のみを用い、オフィス内における社員同士のコミュニケーションの発生を検知する簡易な手法を開発した。 ノートPC等のデバイスのWi-Fi接続状況を利用した社員位置検索システムのログを収集し、各デバイスの位置情報の時間変化を分析してミーティング(時間と場所の共有)の発生を検知し、人間関係を抽出する。 実際のデータを用いて評価を行い、手法の有用性を確認した。
著者
水田 孝信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.FIN-030, pp.17-23, 2023-03-04 (Released:2023-03-04)

主に商品先物を取引するファンドであるCTA(Commodity Trading Advisor) は,かつては多くのファンドが高いリターンを得ていたが,2010年ごろからリターンを得るのが難しくなっている.その原因はいくつか指摘されているが,CTAを餌食にして利益を得る短期的な逆張り戦略が増えたという指摘がある.しかし,これらの指摘は根拠が薄い.そこで本研究では,CTAと短期逆張りを行う投資家を実装した人工市場モデルを構築し,短期逆張り戦略の出現がCTAのリターン減少につながったのかどうかを分析した.その結果,CTA・短期順張りともに,お互いがいたほうが戦略を実行するチャンスが多くなり利益を獲得していることが分かった.このため,短期的な逆張り戦略がCTAを餌食にして利益を得ているというのは誤りである可能性を指摘できただけでなく,むしろ共存共栄である可能性を示した.
著者
竹林 洋一 本田 美和子 Yves Gineste
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015)
巻号頁・発行日
pp.2M3NFC04a1, 2015 (Released:2018-07-30)

『ユマニチュード』は、「人と何か、ケアする人とは何か」という哲学をベースに開発された認知症ケア技法であり、「見る」「話す」「触れる」「立つ」「歩く」を基本とする具体的テクニックから構成されている。ユマニチュードは既存のケア技法との共通点も多いが、「人間尊重」を徹底して、マルチモーダルな介入(インタラクション)を行うことが特徴であり、心と脳に刺激を与え、認知症の人の心身の回復が促進することが実証されている。本報告では、MinskyとDamasioの感情・思考・身体に関わる研究の観点から、ユマニチュードの有効性と可能性について論じる。
著者
金泉 則天 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.4I3OS26b02, 2022 (Released:2022-07-11)

多人数不完全情報ゲームである人狼は、人工知能の様々なテーマを含んでいるため、近年注目を集めている。人狼をプレイするAIの研究は、人狼知能プロジェクトとして進んでいるが、人間の高度な意思決定のプロセスについては、わかっていないことが多い。本研究の目的は、人狼における熟達者の意思決定方法を明らかにすることである。 人狼は勝敗を競うだけでなくプレイを楽しむというパーティーゲームとしての特徴を持つので、必ずしも強さを競うだけのプロプレイヤは存在しない。しかし演劇として人狼をプレイする「人狼TLPT」と呼ばれるプロのプレイヤ集団がいる。彼らは、役者としての能力だけでなく、人狼プレイにも長けており、観客に高度なプレイを見せることを生業としている。彼らのプレイは観客から見ても卓越したものであり、高度な思考過程が見られる。 本研究では、このTLPTプレイヤに5人人狼をプレイさせ、そのプレイの発話を記録し、彼らの思考過程を分析した。結果として、熟達者ならではの状況を素早く理解し、的確な意思決定を行っている過程を確認した。それらの思考過程を他のゲームの熟達者の思考と比較することで、その特徴を明らかにしていく。
著者
川上 浩司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.2P1OS9b7, 2012 (Released:2018-07-30)

ユーザの能動性や気付きを誘発するなど、不便には益がある。キーボードの刻印を無くして敢えて視覚フィードバックを無くす不便は、知覚─行動サイクルからカップリングへと誘う。不便の益を新たなシステムに実装するアイデアの多くは、ユーザに発見や工夫を許し、自己肯定感を醸成させる仕掛けである。この「許す」から「誘う」に転じる仕掛けはないか、不便益研究の側からは、仕掛学に期待するところ、大である。
著者
水田 孝信 八木 勲 高島 幸成
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2P6GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

多くのファイナンス(金融)研究は,投資戦略の最適化や市場の効率性など,さまざまな仮定の上で議論されている.しかし,その仮定そのものが批判されることも少なくない.投資戦略の最適化が不可能な要因として,投資家自身の売買によって価格を変化させてしまうこと(マーケットインパクト)を最適化時に考慮できないことも考えられる.そこで本研究では,人工市場を用いてバックテストによってシミュレーション期間を通じて投資戦略の最適なパラメータを1つ探すエージェントを追加してシミュレーションを行い,マーケットインパクトを最適化時に考慮できないという要因だけで最適化が安定しなくなることを議論した.その結果,投資戦略のパラメータはある値に収束することなく不安定になることが分かった.他の全員が全く同じに固定されていたとしても,数人が戦略の最適化を行うために,バックテストとその実践投入を繰り返し行うだけで,その戦略は定まることがないし,価格時系列も特定のものには達せず,不安定となった.この最適化の不安定性は,価格時系列の規則性をも不安定にさせうる.このことから,金融市場は本質的に不安定であると言えるかもしれない.
著者
成沢 淳史 下田 和 柳井 啓司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4O2OS3b03, 2018 (Released:2018-07-30)

本研究では文字のフォントの自動生成, 自動変換のタスクに取り組んでいる. 従来のフォント生成のタスクでは文字をいくつかのストロークから成り立つものとしモデル化を行い作成する\\ 手法が取られてきた. それに対して, 本研究では深層学習により, 画像中のフォント画像ないしパターン画像からストロークに相当\\ する特徴を自動で抽出し, 変換元のフォントから任意のデザインパターンへの変換に挑戦している. この仕組みにより手書き文字のような個人ごとのオリジナルフォントの作成が用意にできるようになる. 実験ではケチャップ文字を始めとしたユニークな質感パターン画像セットを作成し, 深層学習のクロスドメイン学習による手法と Neural Style Transfer の手法とを組み合わせ, 生成結果の可読\ 性を改善した.
著者
山本 康平 橘 素子 前野 蔵人 北川 正嗣 岡田 志麻
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015)
巻号頁・発行日
pp.1C22, 2015 (Released:2018-07-30)

近年、加速度センサデバイスの普及により、簡便に睡眠深度を推定することが可能となってきている。しかし、これらのデバイスは利用者が意識的に装着や操作を行う必要がある。本報告では、マイクロ波を用いることで遠隔から非接触にて微細な呼吸動作を含む体動を計測し、それらからの特徴抽出と機械学習モデルを組み合わせることで、人体への装着や操作が不要な睡眠深度の推定技術を提案する。
著者
清水 祐一郎 土斐崎 龍一 鍵谷 龍樹 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.319-330, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

The present study proposes a method which generates Japanese onomatopoeia corresponding to impressions inputted by users. Japanese onomatopoeia is frequently used in comics and advertisements. Effective onomatopoeia in those fields are directly associated with sensuous experiences of readers or consumers, but it is very difficult to create such expressions. Therefore, the system which generates effective novel onomatopoeia corresponding to the impression specified by users has been expected to be as a technology which supports creators. Our system uses 43 SD scales as those expressing our intuitive impressions. These scales consist of scales expressing impressions of a haptic senses, visual senses and affective senses. Users of the system can choose the kinds of SD scales to be used to create onomatopoeia among from 1 to 43 SD scales. The system uses the genetic algorithm (GA) to create onomatopoeia corresponding to inputted impressions. We consider onomatopoeic expressions as a individuals of GA, which are expressed by an array of numerical values. Namely, each numerical value of an individual denotes each phonological symbol in Japanese. By comparing impressions inputted by user with those of each generated onomatopoeia, the system proposes onomatopoeia corresponding to impressions of users. The system evaluation showed that impressions of onomatopoeic expressions generated by our system were similar to the impressions inputted by users.
著者
斉藤 賢爾 中村 俊介 黒澤 伸一郎 緒方 大輔 南 政樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.1P2OS9a8, 2012

<p>「アカデミーキャンプ」は、東日本大震災や福島第一原子力発電所事故の影響を受け、心身ともにストレスを受けて生活している福島県の小中学生を対象に、静岡県御殿場市にて実施しているキャンプ型の遊びと学びのプログラムである。この報告では、2011年夏および2012年冬に実施したキャンプを通して、参加したこどもたちのみならず、ボランティアとして参加した大学生等に生じた心的・行動的変化を述べ、評価を試みる。</p>