著者
豊澤 修平 村井 源
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.3D4OS12c02, 2021 (Released:2021-06-14)

物語の自動生成にはその物語を構成するプロットを作成し,それを元に文章を生成する必要がある.また,物語のプロットを自動生成する段階で意味の通る内容にする必要もある.物語の面白さの一つとして意外性のあるオチが挙げられる.意外性のあるオチを生成するにはプロット作成する段階でオチをプロットに組み込まなければならない.意外性のあるオチを含む作品として星新一のショートショートが挙げられる.星作品に関してはいくつかのテーマにおいてオチの詳細なパターンが明らかになっている.加えて,パターンを構成する要素の分類やその要素の持つ機能・文脈依存性・文章表現を構造化されたデータとして抽出可能であることも明らかになっている. 本研究では先行研究で明らかになったオチのパターンと要素を利用してオチを含む物語プロットの自動生成を行った.具体的には「強盗・泥棒・詐欺・囚人」のテーマから2つのパターンを利用し,それらパターンに代入可能な要素168個のデータを利用して自動生成するアルゴリズムを作成した.今後,星新一の代表的なジャンルであるSFのパターンに代入可能な要素のデータ化と自動生成を行う計画である.
著者
本間 大貴 青木 達哉 堀井 隆斗 長井 隆行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.3J2GS6b03, 2021

<p>近年,我々の生活を直接支援してくれるホームロボットの実現が期待されているが,未だ実現には至っていない.その理由の1つとして,ロボットにおける人間の言語命令の処理の難しさが挙げられる.例えば,与えられた発話の内容はいつ行うべきなのかを,ロボットが判断できる必要がある.「キッチンのシンクに片づけて」と言われたとき,その内容をすぐに行うと判断し,何も物をつかむことなくシンクに行ってしまっては意味がない.また,発話は人間が与えるものであるため,言い間違えをしてしまう可能性がある.そのため,発話を全て鵜呑みにせず,発話が妥当であるかどうかをロボット自身が判断する必要がある.提案手法は,ロボットの状態の遷移,各状態におけるマルチモーダル情報の分布を学習する確率モデルを利用し,状態ごとの単語の出力分布から言語命令の尤度を計算することで,先述した2つの問題を解決する.提案手法の有効性を示すため,時制の推定精度を他の手法と比較した.また,発話が間違っていた場合に,発話者が本当に言いたかったと思われる発話をスムーズに提示できるか,そもそも発話を疑うことでどれほど精度が向上するかを定量的に示した.</p>
著者
小林 翔太 宮川 将士 武政 奨 高橋 直希 渡邉 好夫 加納 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4F1GS10l03, 2021 (Released:2021-06-14)

ケミカルトナー製造プラントでは,収集されるプロセスデータを活用し,機械学習を用いた品質自動制御を実施している.精度の高い機械学習モデルを構築する際に,入力変数と出力変数を対とする多くのデータを必要とするが,トナー製造プラントでは,毎日1ロットという生産量であるため,長期間データを収集しなければならない.一方,製造現場ではしばしば工法や材料の改良が行われており,データの再収集と予測モデルの再構築の間は,手動操作による多大な工数が必要となる.そのため,少数ロットのデータを用いて精度の高い予測モデルを構築することが求められている.本稿では工法の改良後の少量データと改良前のデータに対して転移学習を活用した品質予測手法について提案する.提案手法では,簡単な特徴空間の拡張で実装が可能なFrustratingly Easy Domain Adaptionを転移学習に用い,予測手法にはガウス過程回帰(GPR)とバギングを組み合わせる手法を用いた.提案手法をトナー製造プラントに活用した結果,品質管理者の工数75%低減を達成した.
著者
乾 稔 矢入 健久 河原 吉伸 町田 和雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.1B12, 2009 (Released:2018-07-30)

システム監視へのデータマイニングの適用は結果の解釈の困難さや,その後の異常診断へのつなげ難さという欠点があるが,それらを克服するアプローチとして,入力空間で結果を解釈することが出来る次元削減と再構成誤差を用いた異常検知法がある.本稿では,多くの次元削減法からタイプの異なる5つの次元削減法とk-means法について,ベンチマークデータと実際の人工衛星データを用いて異常検知の観点から比較検討を行った.
著者
植野 研
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, 2006-01-01

演奏家や体操選手などの技芸実践者は, 長い年月をかけて高度な運動スキルを獲得し, 通常は成し遂げることのできない技を実演することができる.しかしながら, 多大な労力と時間をかけて磨き上げた技芸スキルは, 一般に, 個人差や筋骨格の冗長性・流派などの違いから, 言葉で説明することが困難であり, これを正しく理解することが困難であることが知られている.本研究では, このような身体知の構築問題に対し, 身体制御のタイミングに着目し, 高度なスキルをピークタイングシナジー(PTS)としてモデル化する方法を提案する.PTSとは, 身体各部のタイミングの協調制御に関する動作一貫性制約で, 運動タスクにおいて遵守すべき身体知のことである.次に, このPTSを, 身体計測データから自動構築するアルゴリズムPRESTO (Phasic Relation Extraction for Skill Training and Optimization)を提案する.PRESTOは, 多角形近似を用いて波形の変化ピークとその時間ずれを特徴点とし, 時系列マイニングによりタイミングの法則性を導き出す.本方法により, 多変量時系列波形から身体各部の連鎖動作を点と線で捉えるPTSのモデル化が可能となる.本論文では, チェロ演奏における運弓動作をとりあげ, 計測データからPTSを構築する検証実験を行った.この検証実験により, 熟練者に共通する共通スキル, 特定の熟練者に特化した個性スキルをモデル化でき, 解釈可能な身体知を構築することを確認した.技芸スキル教育におけるスキル解析の一つの道具立てを提供することができ, 技芸スキル理解における足がかりをつけることができた点で, 本研究は大きな意義をもっていると考えられる.
著者
内山 清子 石川 諒
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS29a3, 2017 (Released:2018-07-30)

従来の昔話に当てはめた物語構造分析を、恋愛漫画を対象としてきっかけ、出会い、別れ、すれ違いなどのイベント、イベント毎の心理状態、具体的な行動などを調べ、恋愛という限られた状況における典型的なストーリーのパターンを定式化することを目指す。恋愛におけるストーリー展開、セリフの効果、イベントにおける対応方法などを分析することにより、恋愛だけでなく一般的なコミュニケーションへの応用について考察する。
著者
神藤 翼 小川 祐樹 服部 宏充 高 史明 鳥海 不二夫 吉田 光男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1D2OS3a02, 2021 (Released:2021-06-14)

近年,インターネットの普及によりメディアは一層多様化し,個人が選ぶことのできる情報源も爆発的に増加した.そのなかで,自分の好みの情報だけを選ぶ選択的接触が問題として取り扱われている.もし多くの人が選択的接触を行うと,正しい情報共有がなされなくなり,コミュニティや政治思想の分断が一層進む危険性もある.本研究では,その選択的接触について,2019年の参議院選挙当時の質問紙調査と被験者のTwitter利用データに着目して分析を行った.具体的には、Twitterのフォロー相手やリツイート情報から情報接触の傾向やコミュニティを見出し,質問紙調査での政治態度・意識についての回答をもとに分析を行った.結果,情報接触の偏りから特徴のあるコミュニティを抽出することができた.また、そのコミュニティごとで政治的態度に違いがあることが分かった.また、選択的接触の傾向と政治的無関心との共通性、それらに当てはまるコミュニティについても抽出することが出来た。
著者
小川 祐樹 高野 雅典 森下 壮一郎 高 史明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.1D4OS3c03, 2021

<p>様々なニュースメディアが存在するなか、人々のニュースに対する意識や行動も多様化してきている。ネット上におけるニュース接触に関しても、新聞社・通信社が運営するニュースサイトや、ポータルサイトからニュースを知るといった場面だけでなく、SNS上でニュースを知るといった場面も一般的になりつつある。一方で、TwitterなどのSNSは同質な情報環境になりやすいことから、利用者が接触できるニュースの範囲や内容が限定的になってしまうことで、多様な情報に接触する機会が低下してしまうことが懸念される。本研究では、Twitter上でのニュースツイートに着目し、このツイートの閲覧者がその後どのようなニュース動画の視聴行動を行ったかを分析することで、Twitter上でのニュース閲覧の効果を考察する。具体的には、ニュースのツイートとそこからリンクされるニュース動画の視聴ログを用いて、ニュースの継続視聴や視聴ジャンルの変化などの行動を分析する。</p>
著者
今井 智也 三上 貞芳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.3C44, 2009

<p>本研究では多様に変化する環境においてマルチエージェントが行動選択の競合により生じる学習効率の低下を回避するシステムを提案する.具体的にはエージェントが他のエージェントの行動を単純な線形時系列予測を用いて大まかに予測し,予測された結果から強化学習を用いて行動選択を行うことで,エージェント全体を協調状態へと収束させる.検証のため,連続場での椅子取りゲーム問題を提案し,計算機実験で有効性を確認した.</p>
著者
高野 雅典 福田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.4N1OS01a2, 2017 (Released:2018-07-30)

ヒトは多様なコミュニケーションシステム(社会的グルーミング方法)を使いこなす.それは複雑な社会において効率的に社会関係を構築維持するためである.本研究では,ヒトはどのように多様な社会的グルーミング方法を使い分けているか? それによって社会構造はどのような影響受けるか? を説明するモデルを提案する.それは13個の多様な社会データにもとづいて構築される.
著者
柏野 牧夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.525-530, 2019-07-01 (Released:2020-09-29)
被引用文献数
1
著者
伊藤 誠基 砂山 渡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.4C3OS1a01, 2021

<p>近年,オンラインチャットによる対話の機会が増えてきているが,意図的あるいは無意識に相手を傷つけるコメントが発信されることがある.多くのシステムでは,あらかじめ送信することが適切ではない単語を用意して,その単語を含むコメントを発信できないようにすることが多い.しかしこの方法では発信する側の意識を変えることはできないため,根本的な解決を与えるには至っていない. そこで本研究では,誹謗中傷コメントの発信を未然に防止する機能として,誹謗中傷の可能性があるコメントの発信者にメッセージを表示して,内容の意識と確認を促す機能,ならびにコメントを受け取るユーザの,誹謗中傷によるこれまでの蓄積ダメージを推計して可視化する機能を提案する.これらにより,コメントを発信するときのユーザの意識の変化を促す.実験により,提案する機能が誹謗中傷コメントの発信防止に繋がるかどうかを検証した.</p>
著者
西原 陽子 岩佐 一樹 福本 淳一 山西 良典
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1H4NFC01a3, 2014

<p>spamメールに代表される有害文書のフィルタリングでは、文書内の単語に有害なものがあれば有害文書とする方法が多く提案されている。しかし、ある文書が無害に見える単語だけで構成されていても、特定の文脈では有害文書となることがある。本研究では有害文書として電子掲示板に投稿され他者を誹謗中傷するコメントを取り上げ、誹謗中傷をするコメントを抽出するシステムを提案する。</p>
著者
橋本 大輝 堀 浩一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1J2J602, 2019

<p>航空宇宙工学などの技術及び学問分野は、様々な分野の成果とその複雑な関係の元成り立っている。 よって特に初めてその分野を学ぶ人にとって、その全体像を把握するのが難しいことが多い。さらにその分野の中で研究をし未解決の問題に取り組もうとした場合にはその問題にかかわる要素がとてつもなく多いため、何に着目して研究を進めるべきかを判断するのは困難を極めるかもしれない。 本論文ではこういった分野の理解に役立つようにその分野に関わる論文群をその意味によりPoincare Embeddingに基づき双曲空間上に埋め込むことで論文の内容とその抽象度に従って木構造状に整理し可視化し、分野全体を俯瞰できるような仕組みを提案する。 さらに可視化された構造をWasserstein Distanceなどを用いて分析することで、今後その分野に取り組む際にどのような点に着目うるかを考える補助になる情報を視覚的に提供する仕組みを提案する。 これにより文章間の関係を大まかに捉えた可視化を作成することができ、それを分析することによりその分野に関する新たな知見を得ることに役立った。</p>
著者
酒井 優介 藤ノ木 太郎 安藤 雅洋 湯川 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.4M3J904, 2019 (Released:2019-06-01)

これまで日本語の文書から明示的な感情を検出することは 自然言語処理の分野で精力的に研究されてきた.しかし日本人は感情の表出を抑制する傾向にあり,怒りを表現する際にはそれが特に顕著である.そのため,日本語の文書から怒りを検出するには明示的な怒りだけではなく感情が抑制された暗示的表 現による怒りも含めた検出が求められる.そこで,暗示的表現 による怒りの自動検出技術の確立を目指し,本稿では暗示的表 現による怒りが含まれる文書の特徴に基きディープニューラルネットを用いて怒り文書を検出する手法を提案し評価した.結果,3つの提案方式のうち1つが,従来方式より10ポイント程度良い正解率が得られた.しかし全く検出されない怒りがあったことから暗示的怒り検出手法が確立できたとは言い難い.感情の出現順序や頻度に着目した検出手法では精度が0.18と低い性能となった.各文の感情分類として正解を付与し,文書全体の怒りを判別する部分のみを評価したところ精度は0.49となったことから,暗示的怒りの検出のために,文書中に現れる感情の順序,頻度も活用すべきであることが示唆された.