著者
梅沢 侑実 土井 幸輝 藤本 浩志
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.88-95, 2016
被引用文献数
1

本研究では,人差し指第3関節(中手指節間関節,以下MP関節)の屈曲錯覚を生起させる振動提示条件と,そのときの錯覚特性を明らかにした.実験要因は振動周波数とし,50,70,90,110,130,150,170,190 Hzの8条件とした.実験参加者には,錯覚が生起したか否かを二肢強制選択で回答させた.生起したと回答した場合,明瞭度を等間隔主観5段階評価で回答させた.また,錯覚特性としては,振動提示から錯覚生起までの反応時間と,人差し指MP関節が屈曲したと感じた角度を再現してもらい,その角度を錯覚角度として計測した.実験の結果,錯覚生起率・明瞭度が高い振動周波数は70,90,110,130 Hzであった.また,これらの条件において,反応時間は5秒であり,最大の錯覚角度はおよそ40度であった.本研究により得られた知見は,運動錯覚を用いた新たなインタフェース開発を行う上で,一助となることが期待できる.
著者
万井 正人
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.45-52_2, 1967
被引用文献数
2

A continuous recording technique of the systolic blood pressure during work has been developed. A blood flow detector by means of a CdS-cell applied of a finger or an ear-lobe was combined with an air compressor through an and-or-not circuit which worked to keep the air cuff pressure approximate to the systolic blood pressure. Ear-lobe application was preferred in case of motor-car drivers. A polygraphic recording during the motor-way driving revealed that the blood pressure increased by 35-40mmHg or even more at the maximum. Blood pressure level was not always parallel with heart rate variations. In critical cases of some drivers as in passing, a blood pressure level of more than 40-60mmHg higher than the resting level was observed. Personality of drivers seemed to have certain relations with blood pressure increase during driving.
著者
夏野 豊樹 平柳 要
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 = The Japanese journal of ergonomics (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.236-241, 2009-08-15
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

生姜抽出物の経口摂取による人でのエネルギー消費等を,冷え性気味の健常若年女性19人を対象としたランダム化交差比較試験により検討した.被験者は室温23~24℃,湿度30~40%の環境下において,(1)プラシーボ(澱粉),(2)生の生姜10 g相当,(3)生の生姜20 g相当をそれぞれ別の日にカプセルで摂取した.サンドイッチと適量の水をとった後,カプセルを飲み,1時間,2時間,3時間経過時に,エネルギー消費量,手と足の指先の体表温,脈拍数および収縮期・拡張期血圧の測定を行った.その結果,食事による影響を取り除いた生の生姜10 g相当摂取時は安静時に対する増加率で,1時間後7.4%,2時間後8.2%,3時間後6.6%で,1時間後を除いて有意な増加であった.また,生の生姜20 g相当摂取時のエネルギー消費量は1時間後10.5%,2時間後11.6%,3時間後8.6%と有意に増加した.結論として,人での研究において,生姜非摂取時に比べ,生姜摂取によってエネルギー消費量が有意に高まることが初めて明らかになった.