著者
相磯 秀夫
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Supplement, pp.34-35, 1998-05-16 (Released:2010-03-12)
参考文献数
3
著者
米良 亮平 岡島 寛 松永 信智 川路 茂保
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.187-195, 2012-08-15 (Released:2012-10-31)
参考文献数
21

上肢6筋モデルは筋活動と関節角度の変化より関節トルクや手先剛性を推定できるため,腕の姿勢が変化する動作の解析に適用できる.このような解析を行うためにはモデルの剛性パラメータを推定する必要がある.しかし,筋肉付け位置,長さ,断面積などの生体パラメータを多く含むため,動作範囲が広い場合は筋の長さや断面積の変化が筋のばね定数に大きく影響し,剛性パラメータの推定は困難になる.これに対し本論文では,広い動作範囲を持つクランクタスクを用いて,上肢6筋モデルにおける筋の剛性パラメータの推定手法を提案する.まず,すべての筋を均質な弾性体と考え,それぞれの筋の弾性係数を共通した縦弾性係数を用いて表し,最小二乗法に筋の縦弾性係数に関する勾配法を併用して筋パラメータを推定する.さらに,提案手法によって得た筋パラメータに対する剛性分析により,求まった筋パラメータの有効性を検証する.
著者
中村 愛 島崎 敢 伊藤 輔 三品 誠 石田 敏郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.126-131, 2013
被引用文献数
2

この研究の目的は我々が開発したハザード知覚訓練ツールの効果を評価することである.訓練ツールはタブレット端末と専用ソフトウエア,およびドライブレコーダによって撮影された事故映像を組み合わせてできている.13名の若年の実験参加者は訓練前後に実路上の実験コースを走行した.訓練には,自動車が交差点の左死角から出現する自転車と衝突する事故類型を用い,4場面を3回繰り返した.交差点を左折する時の運転行動が訓練前後でどのように変化するか比較した.実験の結果,訓練後は,交差点の通過時間が増加し,一時停止率が上昇し,歩道の延長エリア進入時の左確認率が上昇し,確認回数が増加し,合計確認時間が増加した.これらは全て統計的に有意差があった.
著者
鈴木 郁
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.379-388, 1995-12-15
参考文献数
22
被引用文献数
8 2

パーソナルコンピュータ上で心拍変動性を実時間かつ高い時間分解能で解析することを目的に, オクターブバンド分析に基づく方法を用意した. 本方法では, 心電図の信号からR波に同期したパルスを生成するハードウエア (R波検出装置) と, ディジタルバンドパスフィルタ4組により各帯域ごとのパワーを求めるソフトウエアを用いる. 解析結果としては, 各帯域ごとのパワー, およびそれらの重みつきの和である心拍変動性指標値が得られる. なお本方法は多少の変更により, テープに記録されたホルター心電図の信号にも適用可能である.<br>文字列検索作業および高次系手動制御を課題とする, VDT作業を用いた実験で得られた心電図の信号に, 本方法を適用した. 本論文では解析方法の詳細について述べ, また上述の適用例に基づき精神的負担の評価方法としての適性にも触れる.
著者
齋藤 誠二
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.324-332, 2015-10-20 (Released:2016-09-28)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

本研究は,靴底の摩耗に影響を与える要因を明らかにすることを目的として,若年男性の靴底の摩耗形状と使用状況および歩容との関係性について分析した.若年男性35名が日常的に使用しているスニーカーの摩耗形状を計測するとともに,自由歩行中の下肢の角度や関節角度,移動速度,加速度を計測し,これらの関係性について相関分析および重回帰分析により検討した.その結果,踵外側の摩耗は,荷重応答期における距骨下関節角度と使用期間,摩耗の厚さは,荷重応答期のすり足距離,遊脚終期の足関節角度および両期の膝関節角度と関係することが認められた.また,底面摩耗角度は,荷重応答期と遊脚終期の足関節角度と距骨下関節角度および歩隔と関係することが認められた.以上のことから,若年男性の靴底摩耗は,使用状況と一部の歩容から説明できることが示唆された.従って,使用者の歩容を考慮することで,より効果的な耐久性への配慮と摩耗による機能性低下を予防できる.
著者
中嶋 良介 谷田 恭士 肥田 拓哉 松本 俊之
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.333-342, 2015-10-20 (Released:2016-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

本研究では,目視検査で活用できる視野範囲について検討するため,欠点の特徴である輝度コントラストと大きさ,および配置を変動要因とする実験を実施し,これらが周辺視野での欠点検出に及ぼす影響について評価した.その結果,欠点の輝度コントラストや大きさによって,欠点を検出できる視野範囲(検出視野)が異なるので,目視検査で活用できる視野範囲が異なることを示した.さらに,得られた実験結果をもとに欠点検出率に関する回帰式を求め,実際の目視検査工程において欠点の許容限度に合わせて検出視野を設定するための方法を考案した.
著者
三重野 博司
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.147-153, 1974

これは連続的な画像情報の視覚による認識モデルの1考察である.<br>連続的な画面から人間は視覚により連続的な画像情報を得たとき図形のイメージを把握できる. そして画像情報から特徴抽出して始めてその図形が何であるかを認識する.<br>この論文は主として画像情報空間と抽象空間について位相数学を用いて定義し, それらの分割, エントロピーなどについて論ずる. さらにそれらの空間が主観的なためファジー集合として扱かってみた.<br>なお特徴抽出の実験を試み理論の裏づけとした.
著者
加藤 貴昭 福田 忠彦
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.333-340, 2002
被引用文献数
12

本研究では野球の打撃において, 打者が投手の投球動作から視覚情報を得る準備時間相に注目し, 熟練打者と非熟練打者の眼球運動から視覚探索活動における有効なストラテジーについて考察した. 特にライブ状況でのフィールド実験により, 実践的な場面における周辺視特性の活用について考察を行った. 熟練者グループとして大学野球部員, 非熟練者グループとして一般の大学生が実験に参加した. 被験者は実際に打席に立ち, 投手による投球を観察し, その際の眼球運動が計測された. その結果, 熟練者の視線配置分布は非熟練者のものと比べ狭い範囲に及んでいた. 特に熟練者は投球動作を予測して投球腕が振られるであろう位置にあらかじめ視線を固定させ, 投球腕の肘近辺を中心に視支点を置き, 網膜の周辺部分で投手像全体を捉えて, 投球動作から動的な情報を効率よく収集する体系的な視覚探索ストラテジーを用いていることが確認された.
著者
川口 孝泰 鵜山 治 西山 忠博 小河 幸次 飯田 健夫
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.261-270, 1998
被引用文献数
2

本研究は, head-up を伴う体位変換介助時において, 被介護者に変換を"事前予告"しておくことが循環調節にどのような影響をもたらすかを, 自律神経機能および脳循環の測定により検討した. 実験は, 健康成人12人 (男性6人, 女性6人) に対して, head-up と同時に声をかけながら70°head-up tilt (仰臥位から座位) を他動的に実施【事前予告なし】と, 5分前から1分ごとに体位変換を予告して70°head-up tilt を実施【事前予告あり】の2条件で行った. その結果,<br>1) head-up 後の平均RR間隔は"事前予告あり"のほうが短くなった (p<0.05).<br>2) head-up 前のLF/HF値は, 3分前頃から"事前予告あり"のほうが有意に高くなった (p<0.01).<br>3) 脳循環は head-up により, oxy-Hb および total-Hb が低下した. 特に"事前予告あり"では, head-up 前に oxy-Hb に上昇がみられた.<br>本研究により, head-up を伴う体位変換の前に"事前予告"を行うことで, head-up 後の循環調節の準備状態に入ることが明らかとなった.
著者
岩宮 眞一郎 関 学 吉川 景子 高田 正幸
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.292-299, 2003
被引用文献数
2

テレビ番組や映画などで, ある映像シーンから別の映像シーンへ場面を転換するとき, 様々な切り替えパターンが用いられる. 本研究では, 効果音が各種の切り替えパターンの印象に与える影響を, 印象評定実験によって明らかにした. 一般に,「明るい」印象の連続的なスケール状の効果音が, 各種の切り替えパターンと調和する. とりわけ, 上昇系列の音列と拡大系の切り替えパターン, 下降系列の音列と縮小系の切り替えパターンの調和度が高い. 本研究で認められた音と映像の調和感は, 音と映像の変化パターンの一致に基づく構造的調和によるものと考えられる. さらに, 音と映像の調和度が高い視聴覚刺激は映像作品としての評価も高い. これは, 音と映像が一体となって互いの効果を高め合う協合現象によるものと考えられる. 音と映像の構造的な変化パターンの一致が調和感をもたらし, 視聴覚情報が一体のものとして理解されることで, 評価が高まるのであろう.