著者
香坂 俊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.191-198, 2020-02-10 (Released:2021-02-10)
参考文献数
6

心不全の本態は,左室拡張期圧の上昇であるが,その圧をカテーテルによって直接計測できなくとも,現場で間接的に左室拡張末期圧を反映する指標はいくつか存在する.身体所見,画像検査所見(主に胸部X線)ならびにバイオマーカー等が一般的なものであるが,本稿では,これらを現場で活用していくためのポイントを挙げつつ,また,「令和時代の心不全診療」という特集テーマを意識し,最新の知見等も紹介していく.
著者
近藤 智善 石口 宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.1621-1626, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

不随意運動は本人が意図しないで,あるいは本人の意図と反して身体の部分になんらかの運動や姿勢(肢位)の異常が生じることをいい,運動の態様によって既知の症候上の用語をあてはめて呼称する.薬剤によって誘発される不随意運動はジスキネジアと一括されるが,具体的な不随意運動のタイプは振戦,ミオクローヌス,舞踏病,チック,ジストニー,アテトーゼ,バリスム,アカシジア(静坐不能),など様々である.診断を考える際にはまず器質性病変をもった疾患を除外する立場が大切であるが,薬剤性不随意運動は様々な薬剤で生じるため,なんらかの薬剤を服用している場合には,薬剤性のものも鑑別に加える必要がある.
著者
森田 茂樹 瀬戸 牧子 原 恵子 井手 芳彦 石丸 忠彦 和泉 元衛 辻畑 光宏 長瀧 重信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.458-461, 1983-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

民間療法として大量の飲水と水浣腸を行ない,急性水中毒症の発症をみた健康成人例を経験した.症例は25才,男性.昭和54年より健康増進を信じて大量飲水と水浣腸を始あた.昭和55年5月27日大量発汗後約30分で2lの飲水と81の水浣腸を行ない,四肢のこわばり感等出現したのち呼名反応なくなつたため当科入院となつた.入院時血清Na l24mEq/lと低Na血症を呈していた.また入院前24時間以上水分摂取がなかつたにもかかわらず, Na濃度6mEq/lと低浸透圧尿の多量排泄(1日量5300m1)がみられた.この利尿に伴つて血清Na濃度は改善し意識が回復した.以上より急性水中毒症と診断した.急性水中毒症は何らかの基礎疾患を有する例にみられやすく,その成因は細胞外液の急激な低浸透圧化のために水分が細胞内に移動し,脳浮腫をきたすためとされている.本例では発症後水分制限がなされたこと,高張ブドウ糖・Na製剤輸液を使用したことに加えて,急激な利尿により細胞外液の浸透圧改善が得られ救命し得たと思われる.なお第3病日に行なつた腰椎穿刺では, Na濃度97mEq/l, Cl濃度82mEq/l,総蛋白量12mg/dlと低浸透圧であつた.血清Na濃度の改善よりも脳細胞内および脳脊髄液の浸透圧改善は遅れると考えられる.入院時検査成績で総ビリルビン4.0mg/dl, CPK 1815mU/ml, LDH 507mU/ml, GOT 67mU/ml等の異常値を示していたが,水中毒症との関係については現在の所明らかではない.
著者
井田 弘明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.457-463, 2016-03-10 (Released:2017-03-10)
参考文献数
4
被引用文献数
2
著者
西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.10, pp.2235-2240, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

線維筋痛症は中高年の女性を中心に発症原因が不明の特有の全身の筋骨格系を中心とする中枢性の疼痛疾患である.その病態は精神症状から消化管,粘膜症状など多彩な症状を呈する.一方,本症は客観的データが乏しいために診断や病態の把握に困難を招くことも多く,一般内科医やかかりつけ医の臨床的な面での対応は未だ遅れている.最近,厚生労働省の研究班を中心に病因,病態の解明が進められている.

7 0 0 0 OA 4.E型肝炎

著者
加藤 孝宣 高橋 和明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2418-2422, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

この数年間でE型肝炎に関する常識は大きく変化した.かつては輸入感染症であったはずのE型肝炎は,今や国内感染の頻度が輸入感染を遥かに上回っている.そして国内感染の主な感染経路が動物由来であることが明らかとなってきた.鹿・猪・豚の肉や内臓を非加熱,あるいは不充分加熱状態で食することによりE型肝炎が起こり得る.原因不明の急性肝炎症例ではE型肝炎も選択肢の一つとして認識すべきである.
著者
健山 正男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.1112-1118, 2005-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

肺疾患を基礎疾患に有さない患者が感染を契機として炎症期から肺胞腔内の線維化期に至る感染性肺炎はレジオネラ肺炎,ニューモシスティス・カリニ肺炎,一部のウイルス性肺炎,結核などで報告されている.感染性肺炎において肺の線維化が早期より認められる場合や線維化の程度の強い場合には重症化しやすいことが報告されており,このような感染性肺炎においては血清KL-6などの線維化マーカーは予後予測因子として測定する意義は高い.
著者
辻 正人 斉藤 元章 吉田 雅治 中林 公正 北本 清 長沢 俊彦 干川 就可
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.700-704, 1988-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19

症例は39才,男性. 28才時に全身性エリテマトーデスの診断にて,以後ステロイド療法が施行された. 34才時,胸痛が出現し急性心筋梗塞と診断された. 36才時に言語障害と右不全麻痺が出現し,脳梗塞を合併した. 39才時,二度目の心筋梗塞発作で死亡した.剖検上,全身の著しい動脈硬化性病変を認め,特に冠状動脈と中大脳動脈に器質化血栓を伴うアテローム性動脈硬化症が認められた.全身性エリテマトーデス症例における動脈硬化促進因子については,全身性エリテマトーデス固有の血管炎・血栓をきたしやすい病態,ステロイド長期投与の影響の他に,高血圧,高脂血症,大量喫煙などの多様な因子の存在も重要な役割を果たしていると考えられた.
著者
駒形 嘉紀
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2639-2644, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

血球貪食症候群は,骨髄などにおいて活性化された組織球が自己の血球を貪食する病態で,別名血球貪食性リンパ組織球症とも呼ばれる.うち自己免疫疾患に伴うものをマクロファージ活性化症候群と呼び,サイトカインストームと呼ばれる炎症性サイトカインの異常産生により,発熱・高フェリチン血症などの臨床症状を呈する.しばしば重症となり致死的な経過をたどるため,ステロイドなどによる強力な免疫抑制療法が必要である.
著者
尾藤 誠司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2829-2834, 2014-11-10 (Released:2015-11-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1
著者
張替 秀郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.9, pp.1921-1926, 2018-09-10 (Released:2019-09-10)
参考文献数
6
著者
川名 明彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2309-2315, 2004-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
8

SARSは新型コロナウイルスによっておこる全身性の感染症である. 2002~2003年の流行では世界で774人が死亡した.本症は主に気道由来の飛沫によって感染し, 2~10日の潜伏期間の後インフルエンザ様症状で発症する.大部分は肺炎を合併し,死亡率は約10%である.有効性の確認された治療法は無い.本症は医療スタッフに感染しやすい特徴があり,その蔓延を阻止するためにも十分な院内感染対策が必要である.
著者
樋口 雄二郎 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1470-1478, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
9

遺伝性ニューロパチーは,運動・感覚または自律神経障害を呈する疾患の総称であり,臨床的にも遺伝的にも非常に多様である.これまでに70以上の原因遺伝子が同定されており,分子病態は細胞内の様々な小器官に複雑に関与していることがわかっている.遺伝性ニューロパチーの遺伝子診断は次世代ゲノムシークエンサー(next-generation sequencer:NGS)を用いたターゲットリシークエンスやエクソーム解析が非常に有用であり,診断確定だけでなく患者の予後予測や治療法の確立につながる.また,分子病態ごとに様々な治療法が開発されており,モデル動物では有効性が確認されている薬剤もあり,なかでもクルクミン治療は我が国でヒトへの臨床試験が計画されている.