著者
菅谷 壽晃 吉木 敬
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.10, pp.2093-2099, 1998-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

自己免疫疾患の病因のひとつとして, RNAウイルスの一種であるレトロウイルスが最近注目されている. ATLの原因ウイルスであるHTLV-Iは,慢性関節リウマチ様の関節炎やSjögren症候群類似の唾液腺炎,ブドウ膜炎などさまざまな自己免疫疾患と関連を持つことが明らかとなり,現在では広く自己免疫疾患の病因の一つとして認知されるに至っている. AIDSの原因ウイルスであるHIVも,関節炎やSjögren症候群類似の唾液腺炎との関連が示唆されている.また,プロウイルスとしてヒト遺伝子に組み込まれた内在性レトロウイルスも自己免疫性疾患との関連が想定されており,とくにインスリン依存型糖尿病の病因に関わっている可能性がごく最近報告された.このように,レトロウイルスは自己免疫性疾患の発症に深く関与していると考えられ,その病因解明の切り札として期待されている.
著者
阿久津 郁夫 本島 新司 緒方 英嗣 福田 健 池森 亨介 牧野 荘平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.1613-1614, 1989-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
4 8

77才,男性.塩化ベンザルコニウムを誤飲し,経過中に肺水腫,消化管出血,腎不全および血液凝固能異常をきたし,くも膜下出血で死亡.剖検所見はterminal circulatory failureの所見であり,塩化ベンザルコニウム中毒特有と考えられるものはなかったが,内科域では世界でも数例の報告のみで,剖検例はなく,興味ある症例と考える.
著者
Kohta Katayama Ryo Kumagai Momoko Isono Kazuya Fujihara Hiroaki Yagyu Gen Ohara Katsunori Kagohashi Hiroaki Satoh
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.55, no.13, pp.1779-1782, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

An 85-year-old woman with diabetes mellitus was admitted to our hospital due to progressive dyspnea. Two months previously, pioglitazone had been newly prescribed for diabetes management. Bilateral ground-glass opacities and progressive respiratory deterioration suggested respiratory failure due to a drug-induced lung injury. With discontinuation of pioglitazone and the administration of a corticosteroid, an improvement in her respiratory condition was achieved, although sequelae remained in some areas of the lungs. Results of drug-induced lymphocyte stimulation tests were positive for pioglitazone. Resumption of other drugs did not reinduce the lung injury. Therefore, a diagnosis of pioglitazone-induced lung injury was made. Although pioglitazone-induced lung injury is very rare, clinicians should keep it in mind when pioglitazone is used.
著者
Hideharu Hagiya Tomohiro Terasaka Kosuke Kimura Asuka Satou Kikuko Asano Koichi Waseda Yoshihisa Hanayama Fumio Otsuka
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.53, no.18, pp.2159-2163, 2014 (Released:2014-09-15)
参考文献数
37
被引用文献数
1 5

We herein report a case of persistent methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) bacteremia that was successfully treated with combination therapy consisting of high-dose daptomycin (DAP, 10 mg/kg) and rifampicin. The patient's condition was complicated with multiple infectious foci, including an iliopsoas abscess and epidural abscess, as well as discitis and spondylitis at the cervical, thoracic and lumbar levels. Monotherapy treatments with vancomycin, linezolid and usual-dose DAP were all ineffective. It has been shown that usual-dose DAP administration may result in the emergence of a resistant strain and treatment failure. We would like to emphasize the importance of high-dose DAP therapy for MRSA bacteremia, a condition with a potentially high mortality rate.
著者
野々村 美紀 針谷 正祥
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2524-2530, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16

我が国では,2009年5月の時点で,関節リウマチ(RA)に対し4種類の生物学的製剤が承認されている.これらの薬剤は,RAの臨床症状を著明に改善させるのみならず,関節破壊進行抑制,身体機能改善においても良好な成績をあげている.生物学的製剤投与中は臨床的・画像的・機能的評価を定期的に行うと共に,感染症,アレルギー反応などに対するリスクマネージメントを確実に実施しつつ患者をフォローする必要がある.
著者
Yoshiko Yoshida Toshihiro Shirai Masashi Mikamo Yuichiro Shishido Takefumi Akita Satoru Morita Kazuhiro Asada Masato Fujii Takafumi Suda
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.52, no.18, pp.2135-2138, 2013 (Released:2013-09-15)
参考文献数
5
被引用文献数
2

A 55-year-old woman visited our hospital for an investigation of central bronchiectasis, mucoid impaction and infiltrative shadows on chest CT. She had a 10-year history of bronchial asthma; however, her adherence to treatment was poor. Based on the presence of peripheral blood eosinophilia and immediate cutaneous reactivity to Aspergillus fumigatus, the patient was clinically diagnosed with allergic bronchopulmonary aspergillosis. Her condition and CT findings improved with systemic corticosteroid therapy. It was found that the patient had not been sensitized to Aspergillus 10 years earlier, indicating that single testing is inadequate for the early diagnosis of this disease.
著者
狩野 葉子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.738-744, 2013 (Released:2014-03-10)
参考文献数
11

アレルギー的機序に基づいて発症する重症の薬疹としてStevens-Johnson syndrome(SJS),中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN),薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)があげられる.SJS/TENは高熱,全身性の紅斑,皮膚粘膜移行部における粘膜病変を特徴とし,水疱,表皮剥離などの表皮の壊死性の傷害を認める疾患である.あらゆる薬剤で発症する可能性をもつが,抗菌薬,解熱鎮痛薬に起因することが多い.一方,DIHSは薬剤アレルギーと再活性化したヘルペスウイルスが複雑に絡み合って形成される症候群で,抗けいれん薬,高尿酸血症治療薬などのある特定の薬剤を長期間内服した後に発症する.発症早期に高熱,全身性の紅斑,肝障害,白血球数増加や好酸球増加などの血液学的異常が認められ,症状の再燃を繰り返して遷延する経過をとるのが特徴である.
著者
松永 和人 一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.8, pp.2219-2225, 2012 (Released:2013-08-10)
参考文献数
7

呼吸器系は,肺,胸壁,肺循環,中枢神経系から構成される.呼吸中枢は,肺胞のガス交換である換気を調節する.換気障害は,中枢神経の呼吸ドライブ,呼吸神経筋,肺換気の障害により生じ,低酸素血症を伴う高二酸化炭素血症の原因となる.最近,増加している睡眠時無呼吸症候群は,心血管・脳血管の障害や糖尿病と深く関連する.さらに,Churg-Strauss症候群は呼吸器と脳神経を系統的に障害する血管炎症候群として重要である.
著者
藤原 茂芳
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1279-1283, 1992-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19

脳のアミロイドアンギオパチー(cerebral amylold angiopathy: CAA)は,脳出血の原因の一つとして,重要視されている.典型例では,高血圧の既往の無い高齢者に,再発性の脳葉型の脳出血を来し,重篤な身体後遺症のほか,脳血管性痴呆の原因ともなる.脳外科的処置が禁忌となるなど,高血圧性脳出血とは異なる治療が必要であるが,術前診断は,従来困難とされていた.アミロイド蛋白の分析や遺伝子解析が進み,最近,髄液中のcystatin Cの濃度を測定することにより,術前・生前診断の可能性が開けてきた.本稿ではCAAの基礎から,臨床像を振り返り,新しい診断法について述べ,新たな治療法の可能性を探る.
著者
内丸 薫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.1370-1375, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
5

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)は日本に約100万人の感染者が存在し,近年,九州・沖縄地方から都市部へ分布が変化しつつある.妊婦検診,献血によって判明するケースがそれぞれ3分の1で,年間4,000名程度は新規に感染が判明する.感染ルートは母児感染と性交渉であるが,最近,性感染の実態が明らかになりつつある.感染者の5%程度が成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia:ATL)を発症するほか,HTLV-1関連脊髄症(HTLV-1-associated myelopathy:HAM),HTLV-1ブドウ膜炎等の原因になる.
著者
木村 暁夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.1601-1610, 2021-08-10 (Released:2022-08-10)
参考文献数
12

自己免疫性脳炎は,免疫学的機序を介し発症する中枢神経疾患である.一部の患者では,傍腫瘍性に発症する.患者の血清・髄液中において,神経組織を標的とする自己抗体である抗神経抗体が検出されることがあり,診断マーカーとして重要である.診療のポイントは,傍腫瘍性の可能性を念頭においた腫瘍の検索と抗神経抗体の検索である.治療は,免疫療法と腫瘍に対する治療が必要であり,早期診断と治療の開始が予後の改善につながる.
著者
柳瀬 敏彦 野見山 崇 田邉 真紀人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.4, pp.690-696, 2015-04-10 (Released:2016-04-10)
参考文献数
11

内分泌性肥満症は,Cushing症候群のようにコルチゾールの過剰分泌に起因するものや甲状腺ホルモン,成長ホルモン,性ホルモンの分泌不全症のようにホルモン欠落によって生じるものまで様々である.その多くはインスリン抵抗性を基盤とするメタボリックシンドローム(MetS)様病態を呈し,動脈硬化症の発症リスクとなる.可逆性の二次性肥満症であることから早期発見・早期加療が重要である

4 0 0 0 OA 4.IL-1阻害薬

著者
山崎 聡士 川上 純
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.2985-2990, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

インターロイキン-1(IL-1)は重要な炎症性サイトカインであり,その病態生理の解明に伴い,IL-1阻害薬のコンセプトが確立してきた.当初,関節リウマチでの応用が期待されたが,TNF阻害薬ほど劇的な効果は得られなかった.しかし,クリオピリン関連周期性発熱症候群をはじめとする他疾患におけるIL-1の重要性が次々に明らかとなり,IL-1阻害薬の可能性は新たな展開を見せている.
著者
清井 仁
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.9, pp.1883-1887, 2017-09-10 (Released:2018-09-10)
参考文献数
8
著者
小谷 俊雄 堀田 哲也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2512-2517, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
18

難治性の膠原病の診療においては,ステロイドに加え各種免疫抑制薬を併用した強力な免疫抑制療法が行われる.しかし,強力な免疫抑制による日和見感染症などの副作用の問題があり,安全かつ有効性の高い治療法が望まれる.γグロブリン大量静注療法(high dose intravenous immunoglobulin:IVIG)は,貪食能の抑制,補体系の抑制,自己抗体の制御,炎症性サイトカインの抑制などの薬理作用を有することから,近年様々な膠原病に試みられ,その有効性が報告されている.
著者
宮園 浩平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.9, pp.1558-1564, 2016-09-10 (Released:2017-09-10)
参考文献数
10
著者
荒川 創一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.2518-2523, 2019-12-10 (Released:2020-12-10)
参考文献数
17