6 0 0 0 OA 5.漢方薬

著者
本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.1137-1142, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
1

漢方薬による肺障害として最も知られている小柴胡湯による間質性肺炎を中心に概説した.この本体は小柴胡湯によるアレルギー性急性間質性肺炎であり,慢性で予後の悪い特発性間質性肺炎とは本質的に異なる疾患である.早期診断,早期治療により原則として完治する疾患と考えられるが,過去に死亡者を10名出し,注目された.ここでは,その具体的対策方法を中心に述べたが,何よりも,漢方薬にも副作用の可能性のあることを認識することが重要である.
著者
橋本 貢士 森 昌朋
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.1000-1006, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10

甲状腺ホルモン及び甲状腺ホルモン受容体(Thyroid hormone Receptor:TR)β1は肝臓でのコレステロール代謝に主要な役割を果たしており,近年その詳細な分子機構が明らかになってきた.さらに甲状腺ホルモンの脂肪酸合成への関与も解明されてきている.さらに新規TRβ1選択的甲状腺ホルモンアナログ(T3アナログ)の臨床試験が海外で行われ,心臓や甲状腺機能に影響なく脂質低下効果が示されている.今後スタチン製剤とは異なるの高コレステロール血症へのこれらのアナログの臨床応用が期待される.
著者
一ノ瀬 正和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.3026-3032, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
14
被引用文献数
1

気管支喘息の診断及び管理において,スパイロメトリーによる閉塞性障害の評価や気道過敏性検査がこれまで行われてきた.一方,喘息の本態である「気道炎症」に関しても,喀痰,呼気ガス,呼気凝縮液といった検体を用いた方法が臨床応用されつつある.これら所謂「バイオマーカー」の中でも呼気一酸化窒素濃度測定は非侵襲的で発作期にも行えることから,今後のさらなる展開が期待される.
著者
谷口 さやか 武田 篤
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.8, pp.1546-1551, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Parkinson病(Parkinson's disease:PD)は運動症状だけでなく,多彩な非運動症状を呈する.主な非運動症状には認知・精神機能障害,睡眠障害,自律神経障害,感覚障害がある.一部の症状は運動症状の発症前に出現することから,画像診断や補助検査法と併用することで発症前診断に役立つ可能性がある.また,非運動症状は生活の質(quality of life:QOL)を低下させる要因であり,早期の発見と治療が重要である.
著者
鵜生川 久美 澤田 賢一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2002-2009, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
19

哺乳類の赤芽球は脱核して赤血球となるが,脱核の生理的意義は不明である.生体内では,赤芽球の分化増殖,脱核後の核貪食などにマクロファージが深く関与している.近年,遺伝子導入技術の発達を背景に,脱核の機序として細胞質分裂や小胞輸送,核濃縮などに関連する分子が次々と明らかになってきている.本稿では,これらの脱核に関与する分子を中心に,赤芽球脱核のメカニズムについて紹介する.
著者
高見 充 藺牟田 直彦 原 斉 安部 裕子 小黒 亮輔 島岡 泉 中澤 健一郎 宮下 孟士
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.132-134, 2005-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4 3

43歳,女性.四肢脱力で入院,低カリウム(K)血症性ミオパチーと診断された. 2年にわたり1日4~5Lの大量のコーラを摂取しており,これに含まれるカフェインが低K血症の原因と考えられた.カフェインを多く含む飲料(紅茶,ウーロン茶など)の過剰摂取による低K血症は今までも報告されている.コーラ負荷試験の結果,血清K値は低下し尿中K値の低下がみられたことからカフェインが細胞内にKをシフトさせるためと考えられた.
著者
友杉 直久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.1180-1187, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
6 1

鉄代謝の特徴は,積極的な鉄排泄系を持たずに閉鎖系で鉄を再利用し,血清鉄濃度を一定に保つことである.これはヘプシジン・フェロポルチン系でのフィードバック機構で管理されている.細胞内の鉄は,鉄輸送膜蛋白であるフェロポルチンを介して血清に供給されており,その機能は肝で産生されるヘプシジンにより制御されている.近年,鉄代謝の主要液性制御因子であるヘプシジンの定量測定が可能になり,ヒト疾患での貧血の解析手段がひとつ加わった.
著者
西川 哲男 齋藤 淳 松澤 陽子 伊藤 浩子 大村 昌夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.708-710, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
3
被引用文献数
3 2 7

副腎不全は副腎から分泌されるステロイドの絶対的または相対的欠乏により発症する病態である.副腎不全は特異的な症状発現が少ない.非特異的な全身症状や精神症状,消化器症状のため見逃され易い.悪心,嘔吐,発熱といった症状は高頻度に副腎不全にみられるが急性腹症,感冒などと誤診され治療が遅れて,命を落とすことになるので充分な注意が必要である.プライマリ・ケアの日常診療でも本疾患を念頭において病歴,身体所見より誤診しないことが大切である.

6 0 0 0 OA 目次

出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.Contents8, 2017-08-10 (Released:2018-08-10)
著者
岸本 暢将 岡田 正人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2431-2439, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
14

脊椎関節炎(spondyloarthritis:SpA)は,強直性脊椎炎,乾癬性関節炎,反応性関節炎,炎症性腸炎関連関節炎,分類不能脊椎関節炎および小児の脊椎関節炎を含めた体軸関節と末梢関節に病変が起こる炎症性関節炎の総称である.以前の報告では,日本での有病率は欧米と比較すると非常に稀な疾患と考えられてきたが,昨今,生物学的製剤を含めた治療進歩に伴い,その疾患概念や特徴が認知され,日常診療では関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の鑑別疾患として重要な疾患群と考えられている.他科との連携も非常に重要な疾患として臨床的特徴と診断治療について解説する.
著者
Tatsunori Noto Go Hashimoto Takahito Takagi Toru Awaya Tadashi Araki Masanori Shiba Raisuke Iijima Hidehiko Hara Masao Moroi Masato Nakamura Kaoru Sugi
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
pp.7937-16, (Released:2017-09-06)
参考文献数
14
被引用文献数
19

A 29-year-old woman who worked as a KAATSU (a type of body exercise that involves blood flow restriction) instructor visited our emergency room with a chief complaint of swelling and left upper limb pain. Chest computed tomography (CT) showed non-uniform contrast images corresponding to the site from the left axillary vein to the left subclavian vein; vascular ultrasonography of the upper limb revealed a thrombotic obstruction at the same site, leading to a diagnosis of Paget-Schroetter syndrome (PSS). We herein report our experience with a case of PSS derived from thoracic outlet syndrome (TOS), in a patient who was a KAATSU instructor.
著者
太田 大介
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.8, pp.1680-1684, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
5
著者
原田 和歌子 溝岡 雅文
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.12, pp.3130-3134, 2014-12-10 (Released:2015-12-10)
参考文献数
6
著者
國島 広之 賀来 満夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.3090-3096, 2012 (Released:2013-11-10)
参考文献数
9
被引用文献数
4 1

医療機関は免震性と大量の水,検査体制,物品や薬剤の必要量の確認・在庫の確保が必要である.避難所ではインフルエンザや感染性胃腸炎などの罹患者もみられ,医療機関では市中肺炎を主に対応した.災害時における感染症サーベイランス体制の整備,情報の共有,日頃からの感染症予防などについて更に推進する必要があり,地域における行政・医療機関・大学などの専門機関との連携が極めて重要である.
著者
山内 美香
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.733-739, 2020-04-10 (Released:2021-04-10)
参考文献数
9

低カルシウム(Ca)血症は,特異的な自覚症状に乏しいことから,測定するまで気付かれないことが多い.血清Ca値は厳密に調節されているため,軽度の異常でもCa代謝調節機構の異常を考えるべきである.Ca,P,Alb,Cr,Mg,PTH,25(OH)D,1,25(OH)2D値等の測定により鑑別診断を行う.PTH(parathyroid hormone)値から原因が副甲状腺か否かを判断し,頻度の多い原因を念頭に鑑別する.低Ca血症の治療は活性型ビタミンD製剤による治療が主となる.
著者
鶴屋 和彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.856-864, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
33

近年,心房細動例においてワルファリンに代わる直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)が使用可能となり,その使用頻度は年々増加している.DOACは,早期~中等度の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)においても有効性・安全性が認められているが,高度腎機能障害例や透析患者では禁忌とされている.また,透析患者では,心房細動例に対するワルファリン投与の是非についても結論が出ていない.現在,血液透析患者を対象とした無作為化比較試験が行われており,その結果が待たれる.
著者
蔭山 和則 須田 俊宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.743-746, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2

副腎機能低下症の原因には,原発性と続発性副腎機能低下症がある.続発性の原因には,視床下部性と下垂体性があり,原発性を含めた原因局在の決定のため負荷試験が有用である.一般的には,現在,corticotropin-releasing hormone(CRH)負荷試験とインスリン低血糖刺激試験(ITT)が行われることが多い.原発性副腎皮質機能低下症は,ACTH試験によって副腎皮質の予備能の低下を証明する必要がある.ストレス時の副腎皮質の予備能を評価しておくことは,副腎クリーゼ予防に重要である.それぞれの検査の意義を良く理解した上で,安全に行われるのが望ましい.
著者
諏訪 哲也 宗 友厚
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.756-760, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

副腎クリーゼは,副腎皮質ステロイドの急激な欠乏が本態であるが,脱水,電解質異常,高サイトカイン血症などの併存を考慮することが,正しい治療を行う上で必要である.また,副腎不全が原発性か2次性かによって,病態が異なることも理解されるべきである.ミネラルコルチコイド欠乏合併の有無は,重症度を左右する鍵のひとつである.