著者
坂本 信夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.1540-1543, 1989-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
13
著者
長谷部 浩平 金城 紀与史 大西 富文 岸田 直樹 金城 光代 芹澤 良幹 松井 和生 西垂水 和隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.1075-1077, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
8

16歳,男性.モルディブから帰国後7日目に高熱と下痢を生じた.肝機能異常と血小板減少を認め,渡航歴から旅行者感染症を考えた.末梢血スメアでマラリア原虫を認めず,腸チフスとデング熱の可能性を考え抗菌薬を使用の上,国立感染症研究所に依頼しデングウイルス3型遺伝子を検出した.その後皮膚点状出血や凝固時間延長が出現し,デング出血熱の診断基準を満たした.支持療法で改善し入院7日目で退院した.渡航歴の確認が重要と考えた.
著者
斎藤 清二
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.7, pp.1463-1468, 2019-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
2

Narrative based medicine(NBM)は,1998年に英国のGreenhalgh T,Hurwitz Bらによって提唱された医学/医療の概念であり,evidence based medicine(EBM)を補完する概念として一定の関心を集めてきた.本邦では,EBMとNBMは「患者中心の医療を実現するための車の両輪」と理解されている.近年,医療構造の急激な変化に伴い,改めてNBMの重要性が注目されている.また,2000年にCharon Aによって米国で開始された医学教育のムーブメントであるnarrative medicine(NM)は,医療者に必要な物語能力を涵養する教育法として,本邦の医学教育にも取り入れられつつある.本稿では,医療におけるナラティブ・アプローチとしてのNBMとNMの歴史・変遷を概観すると共に,現代の医療,特に地域包括医療,多職種連携ならびに医療人教育等の分野における最新の動向を加えて紹介したい.
著者
久堀 保 梶 龍兒
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.623-628, 1998-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチーは慢性の経過をとる運動知覚性ニューロパチーの一群で,近位部優位の末梢神経系有髄線維の障害による.診断は,臨床的・病理学的所見や脳脊髄液所見より行われるが,特に電気生理学的所見が重要である.治療は,副腎皮質ステロイドホルモン療法, azathioprine・cyclophosphamideなどの免疫抑制療法,血漿分離療法が一般的であるが,最近免疫グロブリン療法が注目されている.
著者
掛屋 弘
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.2268-2274, 2019-11-10 (Released:2020-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2

ステロイドは,感染免疫を担当する白血球の血行動態やその機能に影響する.特にCD4陽性T細胞を減少させ,細胞内寄生菌や真菌,ウイルスによる日和見感染症を発症させる.また,炎症部位や感染巣への好中球の遊走能や貪食能も低下させるため,細菌感染症の発症にも注意が必要である.そのリスクは,ステロイドの投与量が多いほど,投与期間が長いほど増加するが,リスクを定量的に評価することは難しい.そのため,投与開始後には,慎重に経過を観察し,適切な感染症予防や診断・治療を行うことが患者の予後を左右する.
著者
佐野 統
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.2888-2901, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

NSAIDsは関節リウマチ(RA)治療において,早期から疼痛緩和のため補助的に使用される.関節破壊抑制作用はないが,ADL(activities of daily living)およびQOL(quality of life)を改善・維持させる.抗リウマチ薬や生物学的製剤などの効果が発現するまでの橋渡し,DMARDsの効果が不十分な場合の補助薬として使用される.疾患活動性が抑えられれば,長期連用はできるだけ避け,減量,中止することが大切である.消化管障害,腎障害,心血管障害などの多彩な副作用が存在する.COX-2阻害薬は消化管障害が有意に少ない.NSAIDsの特徴,薬物相互作用などを勘案して症例に応じた適切な薬剤を選択する.
著者
滝川 一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.991-997, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年,薬の副作用は社会的にも注目されており,中でも肝障害は劇症化して死に至る場合もある.薬物性肝障害(drug-induced liver injury:DILI)の診断には薬物投与と肝障害の推移との関連と除外診断が重要であるが,診断基準としては,日本消化器関連学会週間(JDDW-Japan)2004のワークショップで提案されたものが現在広く用いられている.これは,診断時のALT値とALP値から肝障害のタイプ分類をした後,8項目のスコアを計算し,総スコア5点以上については可能性が高い,3,4点については可能性あり,2点以下については可能性が低いとの判定を行うものである.薬物性肝障害の治療は,肝細胞障害型ではグリチルリチン注射薬やウルソデオキシコール酸経口投与が行われることが多いが,きちんとしたエビデンスはないのが現状である.胆汁うっ滞型では,ウルソデオキシコール酸,プレドニンゾロン,フェノバルビタールが投与される.劇症化例では血液透析と持続的血液濾過透析を行い,無効の場合は肝移植が唯一の救命法になる.
著者
住田 圭一 乳原 善文
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2631-2638, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
14

リウマチ・膠原病疾患の治療においては,ステロイドや免疫抑制薬に加え,近年,抗TNF-α抗体や抗IL-6受容体抗体などの生物学的製剤が積極的に導入されはじめ,飛躍的な治療効果が得られている一方,免疫不全状態を背景とした日和見感染症の発生頻度の増加が問題となっている.今後も,リウマチ・膠原病診療において新規薬剤による治療成績の向上が期待されるが,それと同時に各種病原体による日和見感染症へも注意する必要がある.
著者
島袋 充生 山川 研 益崎 裕章 佐田 政隆
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.983-988, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

遊離脂肪酸はエネルギー基質であると同時にさまざまなシグナル分子の基質でもあり,インスリン作用,インスリン合成・分泌に影響を与える.肥満症にともなう過剰な遊離脂肪酸は,耐糖能を悪化させる.遊離脂肪酸によるインスリン作用の障害を(広義の)脂肪毒性,インスリン分泌能に及ぼす悪影響を膵β細胞脂肪毒性(狭義の脂肪毒性)と呼ぶ.最近,脂肪組織以外の臓器に蓄積する脂肪(異所性脂肪)の動態に注目が集まっており,各臓器で何らかの病的意義を有する可能性がある.
著者
成田 美和子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.7, pp.1375-1382, 2015-07-10 (Released:2016-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

貧血は臨床的に遭遇する最も多い病態の1つである.重篤な造血器疾患の可能性もあるため,他系統の血球減少を伴う場合は速やかな診断が必要であるが,頻度的には他の病態に由来する場合が圧倒的に高い.ここでは一般検査項目から見た貧血の診断方法についてまとめた.
著者
堀江 重郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.914-921, 2013 (Released:2014-04-10)
参考文献数
56

男性更年期障害の低テストステロンによる症候であるLOH(late onset hypogonadism syndrome)症候群は2型糖尿病に高頻度に見られる.テストステロンは糖代謝,脂質代謝に関与し,またテストステロン低値は,糖尿病,メタボリック症候群のリスク因子である.テストステロン補充療法は筋肉量を増やし,また耐糖能を改善する.LOH症候群は,男性糖尿病患者の生活の質や健康増進を高める上で重要な疾患である.
著者
羽生 春夫 深澤 雷太
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.8, pp.1831-1838, 2014-08-10 (Released:2015-08-10)
参考文献数
10

糖尿病は血管性認知症(VaD)やAlzheimer病(AD)の発症リスクを高めるが,さらにAD病理や脳血管性病変よりも,糖代謝異常に伴う神経障害がより密接に関連している一群に対して「糖尿病性認知症diabetes-related dementia」と呼ぶべき新たな臨床単位を提唱した.臨床像や経過,脳画像所見からもADやVaDとは異なり,今後,診断や治療の観点から本症の病理・病態の解明が必要である.
著者
舟橋 啓臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.1047-1052, 1998-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

女性化乳房(gynecomastia)は外来診療において比較的よく遭遇する疾患である.生理的なものと病的なものがあり,病的女性化乳房には薬剤性・ホルモン異常性などがある.また,男性乳癌とは慎重な鑑別を要する.超音波検査,マンモグラフィー,穿刺吸引細胞診は乳癌との鑑別診断に非常に有用である.女性化乳房の多くが生理的なものと,薬剤性であるが,良性でも外科的治療の対象となる.
著者
Kenichiro Yaita Ichiro Sameshima Hideaki Takeyama Shinpei Matsuyama Chie Nagahara Ryo Hashiguchi Yukiko Moronaga Nami Tottori Masanari Komatsu Yusuke Oshiro Yukihiro Yamaguchi
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1407-1412, 2013 (Released:2013-06-15)
参考文献数
25
被引用文献数
4 8

A 77-year-old man had undergone left-lobe liver resection and a choledochojejunostomy six years previously, and thereafter he suffered from a postoperative relapse of cholangitis. He was admitted to our hospital due to liver abscesses and bacteremia caused by multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa. Empirical treatment with piperacillin/tazobactam was started, and the patient initially recovered. However, he developed a second case of sepsis caused by piperacillin/tazobactam-resistant P. aeruginosa bacteremia originating from a new liver abscess. We changed the piperacillin/tazobactam to colistin and flomoxef and continued the two antibiotics for one month. During the antibiotic therapy, the patient successfully underwent bile duct stent placement.
著者
畑山 絵理子 和泉 泰衛 酒匂 あやか 道辻 徹 鳥巣 裕一 森 隆浩 森 英毅 大野 直義
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.2333-2340, 2019-11-10 (Released:2020-11-10)
参考文献数
10

症例は51歳,男性.下肢脱力を主訴に当院を受診し,低カリウム血症性周期性四肢麻痺の診断に至った.精査の結果,境界型糖尿病によるインスリン分泌過剰とアルドステロン分泌過剰を背景に,大量の餅等の糖質過剰摂取がその誘因として考えられた.糖質過剰摂取が原因と推察される低カリウム血症性周期性四肢麻痺の原因として,インスリン分泌過剰が背景にあることも念頭に入れる必要がある.
著者
島津 章
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.683-689, 2016-04-10 (Released:2017-04-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

重症低血糖による意識障害は,救急搬送患者の約1%に認められ,インスリンや経口糖尿病薬治療中の糖尿病患者に多いが,重症疾患を伴う非糖尿病患者にもみられる.低血糖を頻回に起こす患者では,自律神経の機能的障害によりインスリン拮抗ホルモン反応の低下と無自覚低血糖が引き起こされて低血糖の悪循環となる.糖尿病患者では低血糖に対する予防と対策を講じて慎重に血糖コントロールすることが重要である.