出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
林學會雑誌
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-34, 1927-04-01
著者
清野 要
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.73-75, 1938-02-10
著者
市河 三英 小見山 章
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.337-343, 1988-08-01

御岳山の亜高山帯常緑針葉樹林で, 林内と形成後21年を経た林冠ギャップにおける稚樹の発生と死亡の過程を6年間追跡調査した。広葉樹は林内でも林冠ギャップでも毎年発生がみられた。シラベ(Abies veitchii LINDL), アオモリトドマツ(A.mariesii MASTERS), コメツガ(Tsuga diversifolia(MAXIM.)MASTERS), トウヒ(Picea jezoensis var.hondoensis(MAYR)REHDER)の各針葉樹の稚樹の発生年は同調していたが, 各々の種の発生数は大きな年次変動を示した。稚樹の死亡率は当年生から2年生にかけてが高かった。全齢個体群密度はこのため稚樹の発生年をピークに大きく変動した。稚樹の発生と死亡の過程は同じ種でも林内と林冠ギャップで異なっていた。林内のシラベ類とコメツガの個体群は個体の入れ替えを行いながら密度を平衡に保っていた。林冠ギャップのシラベ類とコメツガの個体群密度は6年間で増加の傾向を示した。今後, 林冠ギャップの林床の環境変化とともに, 各種稚樹の個体群密度や年齢構成も林内型へと変化していくものと考えられた。
著者
伊藤 優子 三浦 覚 加藤 正樹 吉永 秀一郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.275-278, 2004-08-16
被引用文献数
12

関東(一部東北を含む)・中部地方の1都12県において80地域,270地点の森林流域における渓流水のNO_3^-濃度を測定した。これらの調査地点におけるNO_3^-濃度は0.00〜8.45mg L^<-1>の範囲で,中央値は1.06mg L^<-1>であった。渓流水中のNO_3^-濃度は,関東平野周辺部において濃度の高い地点が分布する地理的な偏りが認められた。このような分布傾向は,従来から関東地方のいくつかの小流域でNO_3^-濃度が高いことが指摘されていることと調和的である。また,関東平野周辺部以外の愛知県でも局所的にNO_3^-濃度の高い地点が認められた。これらの地点は幹線道路や都市域周辺近傍に位置する。これらの結果から気候要因,地形的要因などの非人為的要因に加えて,大都市圏から排出される汚染大気の移流による森林流域への窒素の高負荷という人為的要因により,森林からのNO_3^-流出が増大していると考えられる。
著者
川村 健介 橋本 靖 酒井 徹 秋山 侃
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.231-237, 2001-08-16
被引用文献数
6

林床の光の分布は, 空間的, 季節的に不均一であることが知られている。そこで本研究では林床の光環境に最も影響を与えると思われる林冠構成樹種のリーフフェノロジーを調査し, 同時に測定した林床の光環境の季節変化との関係を比較した。調査林分で優占している樹種ごとの葉の開葉から落葉までの季節変化は, 経時的な観察と, 各樹種葉の採取によって得られた葉面積の季節変化から調べた。試験林内各点の光の量的変化は簡易積算フィルム日射計を用いて, 経時的, 定量的に測定した。その結果, 調査林の優占種のうちダケカンバとシラカンバのカンバ類は, ミズナラより開葉および落葉時期が数日早いことが明らかになった。また, 調査林内で優占樹種が異なる場所の間での相対日射量の季節変化に違いがみられた。すなわち開葉期にはカンバ類が優占する場所がミズナラが優占する場所よりも早く暗くなり, 落葉期では反対に早く明るくなった。これは林冠の優占樹種のリーフフェノロジーを反映していると思われた。開葉の完了した夏期においては, 優占樹種が異なっていても相対日射量の値に違いはみられなかった。以上より, 林床の光環境は優占する林冠構成樹種のリーフフェノロジーの違いによって, 春期と秋期に影響を受けていると考えられた。
著者
倉田 益二郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.32-34, 1949-02-28
被引用文献数
4

1) Introduction : The new theory on natural regeneration of forest by the prevention of bacterial injury dealt with in this treatise, is a hypothesis established on the supposition that, if the bacterial injury or damping-off is prevented, seeds and seedlings will sprout and grow well and lead to the luxury and growth of forest, in the meanwhile, if they suffer the injury of bacteria for lack of the prevention, they will not sprout and results in the ruin of forest in next generation. 2) Outline of Existing Theories on Natural Regeneration : No established theory seems to have been advanced yet on the cause for the formation of natural forest. There are, however, two theories, positive and negative. The positive one asserts the possibility of regeneration of forest by human power, the negative one insits upon the difficulty of artificial regeneration. Recently Dr, Yataro Sato has succeeded in his test on"Sugi"(Cryptomeria japonica. D. DON). Besides this, there are some other instances of success. 3) Result of Experiment : Dr. Hasegawa and others pointed out that the majority of the seedlings sprouting from the numerous seeds which fall in natural forests, perish through the infection of microbes. I, the researcher, ascertained this fact in a wood of"Kiri"(Paulownia tomentosa. STEUD.) first of all. As for the particulars, I refer to"The Journal of the Japanese Forestry Society". To sum up, I found that the seedling of Kiri thrives in such places as the burnt spot, the old seat of charcoal kiln, the moss-grown spot, the spot under eaves, the earthen wall, the straw thatched roof, the tile roof, the stony place, the railway track, the cleared spot in the wood, the reclaimed ground, etc. where anthracnose, the dreadful enemy of the young seedling can be avoided. The experiment on"Himeyashabushi"(Alnus firma. SIED. et ZUCC. var. Sieboldiana. WINKL.) proved the following facts ; a. Fusarium. bacteria kill the young seedling. b. The rainy weather and wet place are hot beds of diseases. The experiments on"Akamatsu"(Pinus densiflora SIED. et ZUCC.) and"Sugi"proved the following facts : a. Fusarium bacteria kill the young seedling. b. Diseases seldom break out in the clayey or the dry zones. c. Bacteria, though scattered, often fail to cause diseases in the clayey zone. d. Rain and humidity help the prevalence of diseases. e. In the sterilized or bacteria-proof zone, no seedling dies from want of sunlight even at a very dark place. 4) Disease Endurance and Shade Endurance : It seems that the"intolerant tree"is an appellation for the specie with weak endurance against diseases, while the"tolerant tree"is an appellation for"one with strong endurance against them". The seedling can easily avoid the bacterial injury at a place which is unfavourable or almost unfit for the breeding of bacteria such as the dry slope or hill top, the sterilc soil containing little humus, the sunny place, etc. But at a place of the opposite condition it falls a easy victim to the bacterial injury. It seems to me that the species with the above property is called"intolerant tree"or"one with weak shade endurance", while the another specie which can thrive under the same conditions enduring against diseases, is called the"tolerant tree"one with strong shade endurance."5) Cause for the Formation of Natural Forest : The natural forest may have deen formed as the result of various requisites having been met. The most important factor among these requisites is the prevention of bacterial injury from the seedling. If the seedling suffers the bacterial injury no forest will come into existence no matter how favourable other circumstances may be. "Akamatsu"is the weakest against the bacterial injury, but it regenerates well in the burnt place, the sterile soil, the spot of land slide, the hilltop, etc. "Sugi"is a little stronger than Akamatsu against diseases, but it is believed that it can thrive well in the above mentioned places where the bacterial injury can easily b
著者
斉藤 正一 中村 人史 三浦 直美 三河 孝一 小野瀬 浩司
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.58-61, 2001-02-16
被引用文献数
4

山形県内のナラ類の集団枯損被害地で, カシノナガキクイムシの脱出状況と被害木の枯死経過を6年間調査し, カシノナガキクイムシと枯死に関与する特定の菌類(仮称ナラ菌)の動態に関する試験を行って, これらの相互関係を検討した。カシノナガキクイムシは, 6月下旬に短期間かつ大量に羽化脱出し健全木に穿入して, 8月上旬に被害木は枯死することが確認された。また, 羽化脱出初期の時期と枯死に関する時間的経過との間には有意な関係が見出された。ナラ菌伝搬に関する実験と時期別のナラ菌の接種試験の結果から, カシノナガキクイムシは枯死に関与するナラ菌を樹幹内に伝搬し, 羽化脱出初期の時期と同様の接種時期にのみ枯死が発生したことから, ナラ類の枯死経過には, カシノナガキクイムシの穿入と伝搬されたナラ菌の樹幹内での動態が関連することが強く示唆された。
著者
伊藤 進一郎 窪野 高徳 佐橋 憲生 山田 利博
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.170-175, 1998-08-16
被引用文献数
18

1980年以降, 日本海側の各地において, ナラ類(コナラとミズナラ)の集団的な枯死が発生して問題となっている。枯死木には, 例外なくカシノナガキクイムシの穿入が認められるのが共通した現象である。このナガキクイムシは, 一般的には衰弱木や枯死木に加害するとされており, 枯死原因は現在まだ明らかでない。この被害に菌類が関与している可能性を検討するため, 野外での菌害調査と被害木から病原微生物の分離試験を行った。被害発生地における調査では, 枯死木の樹皮上にCryphonectoria sp.の子実体が多数形成されているのが観察された。しかしながら, 日本海側の6県にわたる調査地に共通する他の病害, 例えばならたけ病や葉枯・枝枯性病害の発生は観察されなかった。そこで, 枯死木やカシノナガキクイムシが穿入している被害木から病原微生物の分離試験を行った。その結果, 変色材部, 壊死した内樹皮, 孔道壁から褐色の未同定菌(ナラ菌と仮称)が高率で分離されることが明らかとなった。この菌は, 各地の被害地から採集した枯死木からも優占的に分離されることがわかった。また本菌は, カシノナガキクイムシ幼虫, 成虫体表や雌成虫の胞子貯蔵器官からも分離された。分離菌を用いたミズナラに対する接種試験の結果, ナラ菌の接種において枯死したのに対し, 他の処理では枯死は認められなかった。これらの結果から, この未同定菌は, ナラ類集団枯損被害に深く関与しているものと判断した。本菌は, 母細胞に形成された孔口から出芽的(Blastic)に形成されるポロ(Polo)型分生子を持つことがわかったが, 現在その所属については検討中である。
著者
大宜見 朝栄 久保 芳文 樋口 浩 瀧川 雄一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.17-22, 1990-01-01
被引用文献数
3

沖縄, 鹿児島, 宮崎および高知県内のヒメユズリハの幹, 枝にこぶ(癌腫)を形成する新しい細菌による病害が発見された。こぶの大きさは, 小豆大から拳大で, こぶの表層は淡褐色ないし黒褐色で, 不規則な割裂を伴い粗造である。こぶ形成後の病徴の進展は, 枝幹をほぼ水平方向に巻く傾向がうかがわれた。こぶ組織から分離された病原細菌の細菌学的性質は, 木本植物にこぶ形成能のあるPseudomonas syringae VAN HALL の既知病原型にきわめて類似していた。しかし, 本菌はヒメユズリハにのみ病原性を有し, 宿主範囲が他の病原型とは明瞭に異なった。これらの結果からヒメユズリハのこぶ病菌をPseudomonas syringae pv. daphniphylli pv. nov. と命名し, 病名を新たにヒメユズリハこぶ病Bacterialgalldiseaseofhimeyuzuriha(Daphniphyllum teijsmanni ZOLL.)と呼称することを提案した。本菌のpathotype strainとしてDAT 1 (ATCC49211,NCPPB3617,1CMP 9757)を指定した。
著者
佐藤 民男
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
林學會雑誌
巻号頁・発行日
vol.15, no.12, pp.1182-1192, 1933-12-10
著者
宮下 智弘
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.369-373, 2007-12-01
被引用文献数
1

スギ挿し木苗と実生苗の多雪地帯における造林初期の成育特性を比較した。互いに近距離に設定され,環境条件も類似している挿し木検定林と実生検定林の組合せを選択した。挿し木検定林には挿し木苗が,実生検定林には実生苗が植栽されている。選択された挿し木検定林と実生検定林の各組合せにおける同一系統の挿し木クローンと実生後代のデータをデータセットと定義し,三つのデータセットを用いて解析した。挿し木苗と実生苗の5年次生存率は同程度であったが,挿し木苗の10年次生存率は実生苗より明らかに低かった。枯死の原因の多くは,幹折れまたは根元折れであった。実生苗と比べ,挿し木苗の根元曲がりと樹高は小さかった。以上の結果から,挿し木苗は根元曲がりが少ないものの,成長にともなって多発する幹折れのために,生存率は低下することがわかった。挿し木苗の劣った樹高成長は,埋雪期間を長期化する。したがって,多雪地帯における挿し木造林は,雪圧による折損被害のため,生存個体数が少なくなる危険性が高いことが示された。
著者
野手 啓行 沖津 進 百原 新
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.236-244, 1999-08-16
被引用文献数
2

ヤツガタケトウヒとヒメバラモミの生育立地の特性を, それらと混生する樹種の立地と比較することにより明らかにした。赤石山脈北西部巫女淵山中(標高1,300〜1,800m)の64地点で, 四分法調査, 斜面傾斜と露岩被度の計測, 実生調査を行った。64地点全体における胸高断面積合計比ではコメツガが25%で最も優占し, ウラジロモミが続いた。ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは, いずれも14%程度を占めるにすぎず, 分布が斜面傾斜36°以上, 露岩被度31%以上の岩塊急斜面にほぼ限られた。これに対し, コメツガの分布は斜面傾斜, 露岩被度に関係なく一様であった。ウラジロモミは露岩被度20%以下の腐植土が被覆する立地に集中した。一方, 実生についてみると, ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは母樹周辺の露岩面上に集中した。コメツガは腐朽倒木・根株上に, ウラジロモミは腐植土面上にそれぞれ多かった。以上より, ヤツガタケトウヒとヒメバラモミは, 種子散布が母樹周辺に限られることと実生の定着が露岩面上にほぼ限られることによって, 岩塊急斜面以外の地形では個体群の維持が困難であると考えられた。
著者
恩田 裕一 湯川 典子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.399-407, 1995-09-01
被引用文献数
22

われわれは第1報において,ヒノキ林において下層植生の失われたところではクラストがあり,浸透能が低いことを示した。そこで,室内実験において,下層植生のクラスト形成抑止効果に関する実験を試みた。実験材料は現場A層(鈴鹿山地の花崗岩土壌および古生層土壌)を4mmの篩でふるったものを用い,28.5cm×17.0cm×14.0cmの容器にさまざまな植生を植えて降雨実験を行った。その結果,花崗岩土壌では,被度と浸透能の相関が高いことがわかった。一方, 古生層土壌では, 被度と浸透能の相関は低いが,それぞれの植生の葉面積と浸透能の関係には高い相関が認められた。中古生層土壌の方が団粒百分率が大きく,クラストが形成されやすいと考えられることから,雨滴エネルギーを抑止しクラスト形成を妨げる効果は,被度により支配されるが,葉の面積が大きいほど効果的であることがわかった。
著者
湯川 典子 恩田 裕一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.224-231, 1995-05-01
被引用文献数
33

下層植生が失われた林地における浸透能の低下の現状と原因を明らかにするために、三重県の鈴鹿山地の下層植生の被覆状態がさまざまなヒノキ林において、土壌の浸透能と土壌物理性の測定を行った。浸透能測定には、雨滴衝撃の少ない散水型浸透計を使用した。測定から、下層植生が失われた林分は、下層植生の繁茂する林分と比較して浸透能が低く、粗孔隙率が高いという結果を得た。また、林床の裸地化したヒノキ林では、土壌硬度が高く浸透能が低い特徴をもった乾燥した皮膜が観察された。この皮膜は、雨滴衝撃による団粒構造の破壊によってできるクラストであると考えられた。以上のことから、下層植生の失われた林地においては、粗孔隙率よりクラストの有無が浸透能に影響を与えることが推察された。
著者
佐藤 邦彦 太田 昇 庄司 次男
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.533-537, 1955-12-25

MH-30の葉面撒布はスギ苗の秋伸び抑制にきわめて有効であり, 0.12%の濃度では根切りによると同じ程度の効果があり, とくに根切りとの併用はきわめて効果が大きかつた。MH-30によつて成長抑制を行つた苗は初霜の被害がきわめて少なく, 根切り区よりもまさつた。塩素酸カリ溶液による耐寒性の検定結果は, 圃場における結果と一致しなかつた。Botrytis cinereaとSclerotinia Kitajimanaの接種試験結果は, 霜害の発生とほぼ同じ傾向を示し, 処理苗はいちじるしく罹病が少なかつた。処理苗の圃場における越冬中の灰色黴病の発生についてもMH-30の処理はきわめて防除効果があり, とくに根切りとの併用区がいちじるしく, また根切りも効果が大きかつた。MH-30はB. cinerea, S. KitajimanaおよびRhizoctonia solaniの菌糸の発育とB. cinereaの胞子の発芽を阻害する。MH-30の処理苗は翌春成長開始期になると, 一且苗の先端が枯れて新に不定芽を生じて成長を開始する。しかし枯損率には有意差が認められない。
著者
大石 康彦 金濱 聖子 比屋根 哲 田口 春孝
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.70-77, 2003-02-16
被引用文献数
14

日林誌85:70〜77,2003 森林環境のイメージと気分を比較検討することを目的に,5種類の森林と対照区(森林外)で実験を行った。各実験区においては被験者(n=44)に10分間の自由行動を与えた後にPOMSおよびSD法により評価させ,最後に5種類の森林を順位付けさせた。POMSの結果,活気を除く5尺度(緊張,抑うつ,怒り,疲労,混乱)に森林外と各実験区の間に有意差が認められたが,5実験区相互の間では一部を除き有意差が認められなかった。SD法の結果,価値因子,空間因子が認められた。価値因子においては,2区が最高,1区が最低の評価を得た。空間因子においては,1区が最も開放的な評価を得,4区が最も閉鎖的な評価を得た。好みの順位は2区-5区-4区-3区-1区であった。POMS尺度,SD法因子,好みの順位の結果からSpiamanの順位相関係数を求めた。POMSの活気尺度と好みの順位の間にプラスの相関が,疲労尺度と好みの順位の間にマイナスの相関が認められた。