著者
グリーンバーグ 陽子 加藤 宏明 津崎 実 匂坂 芳典
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.65-74, 2011-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
1

対話音声の合成を目指して,対話韻律生成の方法を提案した。対話場面において出現する発話内容自体が,その取り得る対話韻律を限定することに着目し,提案方法では,入力となる語彙が与える印象によって制約される韻律特徴量を用いて,従来の読み上げ韻律を修正する対話韻律生成を行う。これまでに行った一語発話「ん」のパラ言語分析が示した,3次元の知覚的印象空間(確信-疑念,肯定-否定,好印象-悪印象)と韻律制御(基本周波数の平均値と時間変化形状,発話時間長)の関係を用いて,同じ印象空間で典型的な座標を持つ語彙に対して,対応する対話韻律を付与した。得られた合成音声に対する自然性評価実験により,提案した方法の妥当性を確認した。
著者
三浦 雅展 江村 伯夫 秋永 晴子 柳田 益造
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.203-212, 2010-05-01
参考文献数
17

ピアノを用いた1オクターブの上下行長音階演奏に対する自動評価について述べている。音階演奏の客観的な評価基準を求めるために,種々の音階演奏の5名の専門家による適切性の主観評価とその演奏のMIDI記録の関係を求めている。記録されたピアノ演奏に含まれる打鍵タイミング,打鍵強度(ヴェロシティ),及び押鍵時間長について,音階演奏に含まれる逸脱のスプライン補間曲線を求め,得られた曲線の特徴から,当該演奏の特徴を15のパラメータで表している。補間曲線は鍵盤に対する奏者の手指交差に基づいて求められている。得られた主観評価スコアはその適切性をLeave-one-out法によってオープンテストするために用いられている。評価データに対する評価スコアは,KL展開によって次元縮小を行った後にk近傍法によって求められている。音楽の専門家による評価値に基づいて,提案手法が音階演奏の適切性に関する主観スコアを適切に予測していることを確認している。
著者
蘆原 郁 桐生 昭吾
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.871-876, 2006-12-01
参考文献数
20
被引用文献数
3
著者
馬場 紘彦 江端 正直
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.244-252, 1996-04-01
被引用文献数
1

本論文は, 一般ドライバの音環境(L_<Aeq>)を調べ, 電子サイレン音の検知レベルを測定し, 運転に向ける注意の効果や, 救急車の接近を予測していないこと等の要因に依る検知レベルの上昇を実験的に求め, 更に救急車の電子サイレン音に気づく距離を推測したものである。得られた結果は以下のとおりである。(1)運転中に聴く音楽のL_<Aeq>の平均値は67.0dBであり, L_<Aeq>が2dB大きくなるごとに約1.0〜1.7dB聞こえ難くなる。(2)車速が10km/h増すごとに, 約0.5dB検知レベルは上昇する。(3)予期時と非予期時との検知率の差は音圧レベルに依り異なる。そして, 検知率が50%付近では, 非予期時の場合は予期時の場合よりいき値が約6dB上昇する。これらのことから, 検知率は救急車の距離が10m遠くなるごとに計算上約13%減少する.
著者
辻 美咲 荒井 隆行 安 啓一
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.179-183, 2013-04-01
参考文献数
13

残響時間が長い環境では,情報伝達が困難となることがある。そのため,残響による影響を軽減させ,正しく情報伝達することが求められている。本研究は,残響下での聴き取りを改善するため,子音強調及び母音抑圧を施す前処理手法を提案する。処理音声に残響を畳み込んだ刺激を用いて単語了解度試験を行い,処理の効果を検討した。その結果,各子音部の最大振幅を1.0とし,各母音部の最大振幅を0.4〜1.0とした場合に関しては有意差はなかった。一方,各母音部の最大振幅を0.2とした場合に関しては有意に了解度が低下した。
著者
大塚 定男 田村 明弘
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.9-18, 1988-12-25
被引用文献数
5

音源に対する態度と騒音評価に関しカラオケ、自動車を対象とした2回の心理実験を試みた。まずモーズレー性格検査とSD法による言葉のイメージプロフィール調査を実施し、カラオケ、自動車に関して好意的・非好意的態度の者を選出し、音のうるささの評定実験を行った。次にカラオケ・自動車に関する好意的・非好意的な教示を与え、再度うるささの評定とイメージ調査を行った。その結果、音源に対して好意的態度か否かはカラオケでは音のうるささの知覚に影響するが自動車では影響しないこと、態度がカラオケでは個人の性格特性、イメージプロフィールと関連するが、自動車では関連が弱いことが明らかとなった。統制された実験ではあるが態度の騒音評価に及ぼす影響の基本的な理解を得ることができた。
著者
上野 佳奈子 橘 秀樹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.519-529, 2003-09-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

ホール音響における重要な課題の一つとして,ホールに対する演奏家の意識を理解することが挙げられる。そこで本研究では,ホールの音響効果に関する演奏家の言語構造について考察した。まずインタービューを通して得られた演奏家のコメントをもとに,演奏活動中の演奏家の知覚に並びに演奏家の言語構造の抽出の過程について,暗黙知理論並びに記号論の概念を用いて考察した。次にこの考察に基づいて,無響室内に構築したシミュレーション音場を利用した実験的検討を行った。その結果,演奏中の演奏家の意識に関して三つの軸を想定することによって演奏家の言語表現が整理され,また演奏家集団に共通な言語構造がモデル化できることが見出された。
著者
米山 輝男
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.8, pp.11-16, 1943-09-28
被引用文献数
1

緒言に於て電氣樂器一般に就いて概説した後、代表的電氣樂器として最近に於て最も實用的成功を捷ち得た最新式ハモンド・オルガン(Hammond Organ)に就いて解説し、結言として電氣樂器の發達の爲に音樂家側の理解と協力が要望されてゐる。
著者
阿部 匡伸 佐藤 大和
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.682-690, 1993-10-01
参考文献数
19
被引用文献数
31

音声合成における文音声の基本周波数パタン制御方式として、アクセント句の大きさの配分を設定するグローバルモデルと、音節内の基本周波数を逐次的に実現するローカルモデルからなる2階層制御方式を提案する。ローカルモデルでは、単語内の音節位置ごとに区分化されたモデルに基づき、基本周波数の平均値と変化率が求められる。本方式を連続音声の基本周波数パタンの生成に適用し、高い自然性の得られることを確認した。更に、提案方式の誤差解析を通じて得られた、強調を表現する基本周波数パタンの型に関しても議論する。
著者
丸安 隆和
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.563-569, 1984-08-01
被引用文献数
1
著者
川西 哲夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.601-607, 1974-11-01

In the theoretical analysis of phonograph pickup, there are some researches based on the conception of one degree of freedom system, but it seems that any studies, in which the oscillating system is considered as of infinite degree of freedom have not yet been performed. In this paper the osciiating system of pickup is regarded as a simplified system shown in Fig. 1, and a theoretical analysis of an actual pickup (moving magnet type) as shown in Fig. 2, is carried out using eq. (1), thst is, the equation of motion in a bar with infinite degree of freedom. Under boundary conditions given by eq. (2) and eq (3), eq(5) is a solution of displacement for the pickup cantilever, which is needed to obtain some results, about frequency responses for example. The frequency response and the mechanical impedance characteristic are respectively calculated from eq. (8) and eq. (11), and several constants needed in the calculation are determined as shown in Table 1. Fig. 4 shows calculated freqency responses of an actual pickup, and the dotted line in the figure represents a response in case of very amall viscous damping. Fig. 5 and Fig. 6 show respectively phase angles and mechanical impedance characteristics. From these calculated results it is known that a pickup has generally three resonant points in the normal frequency range. Fig. 7 shows a measured frequency response of the actual pickup, and a true response of the vibrating system which is compensated by an electromagnetic frequency response of the pick up body (Fig. 10) is compared with the response previously calculated shown in Fig. 11. Fig. 8 shows a comparison between measured and calculated mechanical impedance characteristics. From these investigations it is made clear that the theoretical results approximately coincide with the experimental results, but it is known that this analysis does not always give satisfactory results in spite of considering the system as of infinite degree of freedom. Finaly a few shapes of vibration of the pickup cantilever are calculated, and some aspects of the bending cantilever are manifested to a certain extent. In future a study on the difference between theory and experiment will have to be accomplished.
著者
松井 利仁 平松 幸三 長田 泰公 山本 剛夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.20-24, 2001-12-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

沖縄県には在日米軍専用施設面積の約75%に及ぶ基地が存在し, 沖縄本島の約20%を米軍基地が占めている。嘉手納・普天間飛行場は人口の稠密な地域に位置しており, 約48万人(県人口の38%)が環境基準を超える航空機騒音に曝露されていると推定されている。このような状況に鑑み沖縄県は航空機騒音曝露による住民影響に関する疫学調査を行った。本報告では, 航空機騒音の健康影響調査の基礎的資料として, 過去の騒音曝露量の推定を行っている。ベトナム戦争以降の現存する騒音測定資料を分析し, それに基づいて各種騒音評価量を推定している。また, 防衛施設庁が定めている騒音区分の妥当性についても検討を加えている。
著者
下出 新一 安部 登紀子 大内 勝文
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.369-376, 1988-05-01
被引用文献数
2

オフィスの労働環境を改善する観点から、低価格で低騒音のファクシミリに対する市場ニーズが高い。筆者らは、実験と理論にて感熱記録音の発生機構の解明と制御手法の開発を試みた。最初に、記録音が、紙搬送開始時に、はくり力によって発生すること、またこのはくり力が感熱ヘッドの表面温度に逆比例することを示す。次に記録音の大きさが最小となる紙送りタイミングが存在し、この場合の低減効果が極めて顕著であることを、実験によって明確にする。また、はくり力が感熱ヘッドと記録紙間の接着面積に比例すると仮定した理論により、この制御方法の妥当性を確かめ、併せて記録紙感熱層を変化しても記録音が低減できることを示す。
著者
溝口 耕三 岡本 健久 田中 洪
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.343-350, 1999-05-01
被引用文献数
2

この研究は, 慣れ易い音は騒音になりにくいという観点から, 騒音に対する慣れに着目し, 音環境を評価する方法の研究である。慣れは, 聴覚に連続的あるいは繰り返して刺激が加わると起こる現象で, 徐々に刺激に対する反応が減少し, やがては消滅する現象である。しかし, 慣れは, 従来の精神物理学的測定法を用いた測定が困難であると指摘されている。慣れを測定する一つの方法として, 以前にカテゴリ連続判断法が提案されている。この方法は有望ではあるが, 計測に多くの時間を必要とする。本研究では, 注意が向けられない刺激ほど慣れ易いという仮説を基に, 慣れの指標として選択的注意を用いた新しい方法を提案している。実験では, 被験者はタスクを負荷されており, 同時にラウドネスの変化に気が付いたとき, ボタンを押すように指示されている。被験者が作業に集中し, 音に注意を払わなければ, ラウドネスの小さな変化をのがしてしまうことになる。従って, 反応の回数が慣れの指標となる。この方法は多くの時間を要しない上に, 確実性も高い。
著者
斎藤 繁実
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.523-528, 2001-08-01
被引用文献数
4