著者
坂井 丈泰 永井 宏昌 国島 貴志 松本 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.97, no.230, pp.79-85, 1997-08-22
被引用文献数
1

高速な画像処理のためのアプローチのひとつに、センサ・アレイと並列演算回路を一体化し、画像の入力と演算処理を同時に実行することを狙ったインテリジェント・センサあるいはビジョンチップなどと呼ばれるアーキテクチャがある。このための演算回路はコンパクトかつ低消費電力であることが要求されるが、我々はフローティングゲートを持つ差動増幅器を用いた方式を検討しており、本演算方式によりDCT演算回路を構成すれば画像圧縮センサの実現も考えられることを示した。本報告では、このフローティングゲート付差動増幅器について動作原理およびアプリケーションを概説し、さらに試作中のプロトタイプ・チップについてレイアウト作業の概況を報告する。
著者
中澤 勇夫 雨宮 将稔 清水 裕之 秦 正治 広瀬 敏之 佐藤 英昭 木村 滋 小寺 隆三 阿部 宗男 杉田 邦博 水谷 太蔵 光武 雄一郎 工藤 栄亮 野原 学 吉川 憲昭 鈴木 文雄 関 和彦 小川 博世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.568, pp.141-148, 2000-01-20
被引用文献数
1

第三世代移動通信システム(IMT-2000)は、世界各国で使用可能なグローバルサービスを目指す位置づけから1992年ITUにおいて世界共通の周波数(2GHz帯)の割当が行われた。国内のIMT-2000の2GHz帯導入に際しては、既存システムとの干渉特性を明らかにする必要がある。このため、(社)電波産業会(以後ARIB)では平成8年度より調査検討会を設置し、導入が期待されているCDMA方式による移動無線と、IMT-2000に割り当てられた周波数帯を用いている既存の固定無線との周波数共用の可否、及び周波数共用を可能とする条件を明らかにするために、計算機シミュレーションおよびフィールド実証試験について調査及び試験分析を行ってきた。本報告はこの内、フィールド実証試験についての調査及び試験結果の報告であり、相互干渉モデル、試験システム、広帯域伝搬路特性、電界強度特性等について述べる。
著者
大野木 碧 斎藤 英雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.536, pp.83-88, 2006-01-13

集合写真を撮影する際, 2つの困難な点がある.1つは, 撮影対象となる人数が多いため1枚の写真にすべての人を収めるのが難しいという点である.2つめは, それぞれのタイミングで表情が変化するため, すべての人が同じ瞬間にベストショットの表情をすることが難しい点である.そこで本論文ではビデオカメラにより対象を撮影し, イメージモザイキングを用いて集合写真を合成する.そして, 提示された集合写真からユーザがインタラクティブに指定した人物の顔領域を交換できるシステムを提案する.本手法では, まず, KLT Feature Trackerによりフレーム間の対応点を抽出し, 画像間のホモグラフィを算出する.算出されたホモグラフィにを用いて, 画像をつなぎ合わせることによってシステム側がデフォルトの広角集合写真を提示する.ユーザは提示された集合写真に対して, 顔領域を交換したいと思った人物を指定し, それに対してシステムがホモグラフィを用いて入力動画像列から同一人物の顔領域を自動的に抽出する.そして, 抽出された交換顔領域の候補からユーザが交換する顔を指定することによって, インタラクティブな顔領域の交換を可能とした.
著者
手島 孝人 丹 明彦 渡辺 奏 吉田 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.1566-1578, 2009-10-01
被引用文献数
5

インターネット上の通信を使ったアプリケーションが一般化し,遅延やパケットロスなどの通信品質への要求水準が高まる一方,そのようなアプリケーション自身を使った通信品質計測が可能になってきた.本論文ではその一例として,全世界で稼動しているオンラインゲームを使った通信品質計測実験について述べる.実験では実際に稼動しているオンラインゲームの通信状況を分析し,世界163ヵ国(地域)・IPアドレスで数えて120万ホスト間の通信遅延やその揺らぎなどの実データを1,600万点以上得た.本論文でははじめにその計測方法の特色について説明し,次に同一国内通信や国際通信における遅延の状況,国ごとの特色,帯域別・時間帯別に見た遅延の変化について計測結果を報告する.
著者
倉本 晶夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.90, no.9, pp.797-809, 2007-09-01
被引用文献数
25

最近,UWB技術を用いたワイヤレスPANやワイヤレスUSBを実現するための小形・広帯域のアンテナが多数提案されている. UWB技術を用いたワイヤレスPANでは,3.1〜10.6GHzの周波数を利用して,高画質の動画をリアルタイムに転送することができる.また,ワイヤレスUSBでは,USBによるデータ転送をワイヤレス化するものであり,ディジタルカメラなどの大きな動画ファイルもUWB技術により数秒で転送が可能になる.いずれの用途においても,小形で広帯域のアンテナが必要になる.特にワイヤレスUSB端末では,アンテナ放射素子部の最大寸法を20mm程度以下とする要望がある.本論文は,ワイヤレスPANやワイヤレスUSBを実現するために,今まで報告されてきた小形・広帯域化技術を取り上げて紹介する.更に,その中の有力なものについて,その特性と課題について示す.
著者
渡部 忠洋 下澤 楯夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.733, pp.115-120, 2002-03-11
被引用文献数
1

コオロギの気流感覚毛の慣性モーメントI、感覚毛を支えるバネの強さS、感覚毛を支える基部の内部抵抗Rと気流・感覚毛間の摩擦抵抗Dの和(R+D)といった機械要素の値を、毛のブラウン運動(熱揺動)を光学計測しそのパワースペクトルより求めた。その結果、これらの機械要素の値は風刺激により感覚毛を大きく揺動させてレーザードップラー速度計で角変位を計測して得られた値とほぼ一致した。感覚毛基部の内部抵抗Rと気流・感覚毛間の摩擦抵抗Dの値はほぼ等しくなっており、インピーダンス整合がおこなわれ、感覚毛の基部にある細胞に気流の持つエネルギーが最も効率良く供給されるような機械設計になっていることが解かった。
著者
中川 晋一 岡沢 治夫 久保田 文人 小峯 隆宏 雨宮 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理
巻号頁・発行日
vol.99, no.348, pp.1-8, 1999-10-09

要約国際共同研究としての次世代インターネットテストベッドプロジェクト間の相互接続を目的として、1999年G8-GIBNプロジェクトと共同で行ったAUP(利用規約)に関する調査研究をもとに、研究開発用ギガビットネットワーク、郵政省通信総合研究所APIIテストベッド、APAN、AIII、WIDE等の国際インターネットテストベッドとの相互接続を行って行く過程でインターネットレイヤモデルにおける社会的側面を加えた新規モデル提案の必要性を検討した。調査の結果、現在の1)ネットウークの目的、2)技術的基盤に関する情報、3)ユーザへの課金の有無を含む接続の際の要求事項、4)帯域割り当てや各種トラフィックの取扱いなどの規則、5)ネットワークのモニター方法、6)バックアップシステムなどに関しての周知の必要性、プロジェクト範囲についての定義が明瞭でない等の問題が示唆され、従来のネットワークレイヤモデルにポリシーを加えた新規層構造を検討した。
著者
弓場 英明 貝山 明 藪崎 正実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.185, pp.39-46, 2001-07-09

NTTドコモによるIMT-2000の試験サービスが2001年5月30日、世界に先駆けて開始された。IMT-2000では、W-CDMAとATMの組み合わせにより、最大2Mbpsまでの回線交換・パケット交換サービスが提供される。これにより様々なマルチメディアサービスの提供が可能となる。また、インテリジェントネットワーク技術の利用により、グローバルローミングが実現される。
著者
島田 一雄 若林 良二 鈴木 弘 武藤 憲司 田中 健二 浅井 紀久夫 結城 皖曠 近藤 喜美夫 渡辺 正子 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.486-495, 1998-05-25
参考文献数
13
被引用文献数
8

現在, 大学, 高専等の高等教育機関が教育・研究に利用しているディジタル衛星通信システムは, 二つに分けられる.文部省が大学間教育交流を主目的に推進しているSCS(Space Collaboration System)と研究を主目的として自主的に組織されたディジタル衛星通信の大学間高度共同利用研究協議会(UnSAT協議会:University's Joint Study Group for Digital Satellite Communications)である.本論文は, 平成9年5月30日に航空高専で開催された国立高等専門学校協会(以下, 国専協と略記)主催の「高等技術教育フォーラム'97」を上述のSCSとUnSATの異なる二つの衛星通信システム接続により, 終日, 6高専と3大学に配信する実験を行った結果を取りまとめたものである.最初にSCSとUnSATの概要を述べ, 続いてフォーラムの内容を紹介する.つぎに予備実験とフォーラム当日実施した本実験について述べる.更に, 予備実験と本実験に対する参加者へのアンケート調査に基づく主観評価結果の一部を示す.続いて, 1ホップと2ホップの場合の画像劣化の比較を行うために試みた画像の客観評価の結果について述べる.最後に考察を行い, 2衛星通信システム接続による教育・研究交流ネットワーク構築への手がかりが得られたことを示す.
著者
枝光 貴志 酒井 紘治 吉田 隆人 川島 悟之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.453, pp.45-48, 2008-01-17

モバイル機器用ディスプレイの高画質化に伴い、色再現性の向上が望まれている。その解決方法の一つとして広色域LEDの利用がある。広色域LEDバックライトを用いたLCDのNTSC比は、白色LEDバックライトを用いたLCDのNTSC比と比較して10%程度の向上が期待できる。しかしながら光束は白色LEDに比べ低下する。そこで白色LEDと広色域LEDとを組み合わせた混合バックライトの検討を行った。試作したバックライトは白色LEDバックライトに対して、全点灯モード(LED全点灯)では輝度は同等、ムービーモード(広色域LEDのみ点灯)ではNTSC比が8%程度向上した。また両モードにおいて十分な輝度均一性を得る事ができた。
著者
中村 厚士 黒田 知宏 千原 國宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.574, pp.45-50, 2000-01-20

没入型仮想環境提示装置においては, 設置場所を要求するジョイスティックや操作時に視覚的な位置と遮蔽関係との不一致が起こるデータグローブなどは使用が困難である.また, 没入型仮想空間に多く見られるような遠方の仮想物体と, 点で表現されるポインタとの奥行き関係は把握が困難である.そこで本稿は, 複数の体験者が指示棒でその延長線上にある仮想空間内の物体を指し示すことで, 物体とインタラクションできる, レーザポインタ型インタフェースを提案する.
著者
竹田 真理 サギャムウォン ジャトゥロン 塚本 勝俊 小牧 省三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.185, pp.13-18, 2004-07-08

メッシュ形ミリ波無線エントランスネットワークのアプリケーションとしてはインターネットアクセス,VoD配信,ホットスポット基地局エントランス等が考えられ,マルチメディアが混在するネットワークである.このネットワークに各アプリケーションのQoSを満たしつつ,ネットワーク全体のリソース利用効率を向上させるルーティングを導入する.本研究ではネットワーク内で主要なアプリケーションとなるテキストデータとストリーミングデータに注目し,各アプリケーションのQoSに基づくルーティングコストを用いた経路選択により,それぞれのトラヒックのQoSを満たしつつ,ネットワーク全体の資源利用効率を上げる,アプリケーションベース無線ルーティング方式を提案する.
著者
サギャムウォン ジャトゥロン 藤原 淳 大矢 智之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.25, pp.61-66, 2006-04-14
被引用文献数
1

各ノードがビームフォーミングを行う無線メッシュネットワークにおいて、負荷分散を実現する通信経路設定を行った後に、異なる経路間で干渉を与える可能性のあるリンクに対して、より与える干渉が少ないリンクを通信経路とし、その新たな経路に基づいてアンテナのビーム方向を制御する方式を提案する。提案方式によりネットワークの合計スループットが向上することを計算機シミュレーションにより明らかにした。
著者
鎌田 一雄 山本 英雄 湯山 一郎 塩野目 剛亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.68, pp.7-12, 2005-05-13
被引用文献数
21

本報告は、携帯テレビ電話などの映像伝送系(メディアコミュニケーション)を利用した手話コミュニケーションサービスの構築を、主として社会的要因の視点から議論する.先の報告で述べたように、手話によるコミュニケーションサービスの利用者は、手話ということばを使用している聴覚に障害がある特別な人たちのみだけではなく、日常生活で日本語を使用している聴者も同じように利用者となる.また、サービスの構築はメディアコミュニケーションの技術的な側面だけでなく、社会的な側面からの検討も重要であることがわかる.本報告では、社会的な要因を中心として、サービス提供のための課題を社会システムの構築とそのための運用という観点から議論する.
著者
山本 高裕 工藤 博章 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.713, pp.35-42, 2001-03-21

本研究では,生体における眼球の小さな不随意性の運動(固視微動)に示唆を得たビジョンシステム構成の検討を行った.人間の眼球は回転中心と光学中心がずれているため,回転運動により視差が生じる.これと同様にCCDカメラの視軸を回転運動により微小量移動させる事で,カメラから対象までの距離に応じて,対象の画像上での移動量(視差)に違いが生じる.この視差量の違いを手がかりにして,対象の奥行きを判別するシステムを作成し,システムの相対奥行き判別特性を調査した.また,対象の奥行き方向の位置合わせに作成したシステムを使用した.実験により,単眼の小さな視線移動による簡易なシステム構成で,対象の奥行き判別支援に利用するのに十分な奥行き情報が得られることを確認した.