著者
宮松 浩憲
出版者
久留米大学
雑誌
産業経済研究 (ISSN:03897044)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.205-220, 2004-06-25
著者
柳川 堯 小西 貞則 百武 弘登 内田 雅之 二宮 嘉行 川口 淳 長山 淳哉 野中 美祐
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

高次因果モデリングの有力な手法として、グラフィカルモデリングが提案されているが、連続変量の場合多次元正規分布が仮定されており、制約的でしかも線形関係だけが対象とされている。これを、高次非線形因果モデリングに拡張することを狙って順位相関係数を利用する理論を発展させ手法を開発した。また、分担者の協力を得てその計算アルゴリズムを開発しシミュレーションを行いその有効性を評価した。さらに、共同研究者から提供されたデータに適用し乳幼児の甲状腺機能、免疫機能に与える環境汚染物質のインパクトを明らかにした。その他、潜在構造モデルを用いる離散型変数、連続型変数混在の場合のグラフィカルモデリング、時系列データに関するグラフィカルモデリング、ノンパラメトリック共分散分析のグラフィカルモデリングに関して分担者と共同研究を行い、いくつかの価値ある結果を得た。これに関する基礎研究においても、以下のような成果をえた。・超高次元データから有益な情報やパターンを抽出するための手法開発に取り組み,基底展開法を用いた次元圧縮と圧縮したデータ集合に基づく識別・判別問題を定式化し,新しい解析手法を提唱した.開発した解析手法をシステム工学,生命科学の分野の問題に応用し,その有効性を立証した.・繰り返し測定値に対する非線形モデルのパラメータの関数について、コントロールとの多重比較のための同時信頼区間の近似を与え、その精度をシミュレーションにより検証した。・小さな拡散をもつ拡散過程に従う離散観測データから,未知のドリフトパラメータを推定する研究を行った.具体的には,条件付き期待値をIto-Taylor展開を用いて近似することにより近似マルチンゲール推定関数を構成した.それから得られる推定量が非常に弱い条件の下で漸近有効性をもつことを証明した.
著者
辻本 尚弥
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学健康・スポーツ科学センター研究紀要 (ISSN:13463055)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.33-39, 2000-12-01

This study was to clarify the effects of capsaicin tablet, which was commercially available, on energy metabolism. The single blind crossover study was performed in 6 healthy men who orally received capsaicin (0.24mg) or placebo. Heart rate, skin temperature and respiratory exchange ratio were not changed on the time course after tablet receiving. Heart rate and skin temperature did not differ between capsaicin and placebo group after tablet receiving. Respiratory exchange ratio in capsaicin group was higher than that of placebo group after tablet receiving. Serum glucose and serum free fatty acid were not changed on the time course after tablet receiving. The value of serum triacylglycerol after tablet receiving was lower than initial value in two groups. Energy substrates did not differ between capsaicin and placebo group after tablet receiving. These results indicated that capsaicin tablet effect energy substrate utilization.
著者
山田 亮 和氣 加容子
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

HMGB1は細胞死により核内から細胞外へ放出される内因性危険シグナルである。HMGB1は免疫抑制的に作用することが示唆されている一方で、TLR2やTLR4、RAGE等を介した自然免疫の惹起とそれに続く特異免疫応答の誘導に重要であるとも考えられており、「HMGB1が抗腫瘍免疫において善玉なのか?あるいは悪玉なのか?」は明確ではない。本研究では、①HMGB1の腫瘍細胞に対する作用、②HMGB1の宿主免疫系への作用、③HMGB1の治療への応用、の3点について腫瘍免疫学の立場から明らかにし、腫瘍由来HMGB1の制御のがん免疫療法への応用展開と次世代複合免疫療法の確立を目指す。
著者
上宮 健吉
出版者
久留米大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

世界のヨシノメバエ属の種分化、系統発生、配偶者認知システムに係わる雄の交尾信号と雌の受諾信号を日本産とヨーロッパ諸国、ソ連邦産について音響学的、行動学的に追求した。採録した音響データは既知種8種、未記載種3種の総計611個体、86地域集団、5万個余りの信号数に達した。さらに、本属に近縁の属の交尾信号を波形パターンの原始性の決定に比較検討した。交尾信号の音響学的特性をオシログラムや周波数スペクトルから測定し、異種間、異地域同種間について、多変量解析の諸法によって有意性の検定や非類似度、群別化を行った。同種の異地域集団では、信号の物理的性質が様々の程度で遺伝的に固有化し、これが過去のヨシ湿原の地理的連続性がもたらすジーンプールの共有性の程度や、湿原の歴史性やヨシノメバエの侵入の起源に由来する場合と、隔離の成立の古さによって、近接集団と類似性のないランダムな特性として固定化している場合とが認められた。ヨーロッパの種類の中には、信号の時間軸特性が地理的隔離の程度が大きいほど、特異性が顕著であり(例えばブルガリア、ラトビア、イギリス産)、一方、地史的に連続性の新しい東ドイツ、チェコ、ハンガリー間には有意な差は認められなかった。このことは、孤立した遺伝子集団において、信号発生に係わる遺伝子系の変異の累積的蓄積に起因すると思われた。国内の1種では、中国大陸要素と考えられる集団が対馬、北九州、吉野川産に認められた。本州や北海道産では多群の正判別率が九州産よりも12.7%高く、地理的障壁の豊富なことを示した。多変量解析によるとrufitarsisはヨーロッパ産と日本産で明瞭に異なる数値が得られ、妊性交雑によっても別種であった。また、この群に東北・北海道に分布する種と、長野県に分布する2新種の存在が信号特性から判明した。音響特性や雌の反応性、交尾成功率、妊性からソ連産の1種がシブリング種として確立された。
著者
長谷川 豪
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ナノ粒子状レアメタルの発癌リスクをin vitro発癌試験により検討した。先端産業界で有用なインジウム、ジスプロシウム、タングステン、モリブデンについてAmes試験を行い、ナノ粒子状酸化ジスプロシウム、酸化インジウム、酸化タングステンに変異原性を見出した。Bhas42細胞を用いた形質転換試験では、酸化インジウムと酸化ジスプロシウムに形質転換能を認めたが、粒径による活性の差異は認められなかった。
著者
佐川 公矯
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

有明海周辺はビブリオ・バルニフィカス感染症の多発地域である。我々は2001年の1年間、有明海のビブリオ・バルニフィカスの生息状態について疫学調査を行い、分離されたビブリオ・バルニフィカスの菌株について、細菌学的、および遺伝子学的解析を行った。2001年の1月より毎月2回、大潮の日に、有明海の3定点で海水と干潟汚泥を採取し、ビブリオ・バルニフィカスを分離同定し、最確数を算定した。さらに、柳川市沖ノ端漁港の特定の鮮魚店より有明海産の魚介類を購入し、その内臓より同様の検索を行った。海水からのビブリオ・バルニフィカスの最確数は、1月から5月までは数は少ないが検出され、6月より徐々に増加し、7月、8月、9月にピークに達した。そして、10月から徐々に減少したが、最確数が0の月はなかった。干潟汚泥からも、年間を通して分離同定された。また、調査したほとんどの魚介類からビブリオ・バルニフィカスが分離同定された。季節的には夏期に分離される数が多かったが、夏期以外でも分離された。分離されたビブリオ・バルニフィカス菌株の溶血活性は、夏期に分離された菌株ではすべて溶血活性が高く、夏期以外の分離株は溶血活性の高い株と低い株とが半々であった。87菌株について薬剤感受性を調べたところ、CAZ, CP, MINO, IPM, OFLXが良好な感受性を示した。パルスフィールド・ゲル電気泳動法による遺伝子解析を行ったが、酵素活性が高いためか、バンドがスメア化し判読不能であった。これに、チオ尿素を50マイクロモル加えると鮮明なバンドパターンが得られた。なお、特有のバンドパターンは認められなかった。有明海には夏期だけではなく、夏期以外にもビブリオ・バルニフィカスは生息していることが確認できた。また、溶血活性の高いものと低いものとの2種類が存在し、溶血活性の高いものは、数の増減はあるものの年間を通して生息していることが確かめられた。この事実は、慢性肝疾患、あるいは免疫不全状態の人は年間を通して、有明海産の生の魚介類の摂食を控えるべきであることを示していると考えられた。
著者
酒井 和子
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

透析患者のLOH症候群に起因する、アルツハイマーもしくは抑うつに対して有効な治療はかくりつされていない。我々は透析患者におけるカルニチン濃度と抑うつ状態の程度と相関していることを見出した。血液透析患者に対するL-カルニチン補充療法が、認知機能・抑うつ状態を改善しうるかについて検討した。対象は1年以上血液透析を受けている透析患者。26人全患者に対してカルニチンを静脈注射、または経口で投与した。うつの指標となるSDSスコアは女性では有意差を認めないが、男性では3か月後に有意差をもって改善した。これらの結果、L-カルニチン投与により男性透析患者において抑うつ状態を改善する可能性が示唆された。
著者
宮本 いずみ 貝沼 純 前田 浩
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

看護師以外の職種が手術の器械出し業務を行っているがその職種の違いによる器械出し業務の実態は明確にされていない。本研究の目的は、職種別の器械出し業務の現状と器械出し時の状況判断とアセスメントを明らかにする。全国の器械出し業務従事者に,郵送法にて器械出し業務に関する質問紙調査を実施した。質問紙の回収は629人。235人が看護師以外の職種も器械出しをしていると回答し,医師81名,臨床工学技士81名,医療器材を取り扱う業者5名などであった。その理由は,看護師不足が最も多かった。看護師以外の職種は看護師と同じように器械出し業務を実施していることが明らかとなった。
著者
山口 倫
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

乳癌は、組織学的見地の他、現在サブタイプという概念が浸透している。我々は、乳癌が早期から浸潤癌までどのように進展、発育するかをサブタイプ (基本的にルミナル、Her2陽性、トリプルネガティブ群に大別) の概念から、特に免疫応答の観点も加え、検診における過剰診断や過剰治療にも言及できるよう検討を行った。早期乳癌において、Her2陽性上皮内癌はコメド壊死を有する高異型度癌が多く、腫瘍リンパ球浸潤免疫応答によって浸潤する経路があり、他サブタイプとは異なることが明らかになった。また、浸潤性Her2陽性乳癌ではER陽性と陰性群で病理・形態学的・免疫応答の点において大きく二分されることが明らかとなった。
著者
片岡 祥
出版者
久留米大学
巻号頁・発行日
2020-02-29

2019年度
著者
土生川 光成
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

比較的急性期で薬剤未投与のPTSD患者10名(PTSD群)に対して治療前後で主観的および客観的睡眠評価を行った。主観的睡眠評価は自記式の睡眠日誌と夢日誌にて、客観的睡眠評価は睡眠ポリグラフ検査(PSG)とアクチグラフ・モニタリングにて行った。PTSD群の治療前のPSG所見と、PTSD群と年齢・性別を一致させた健常者10名のPSG所見を統計学的(ANOVA)に比較した。PTSD群では健常者に比べ、中途覚醒時間が有意に増加し(35.9±19.7分 v.s 11.1±6.6分, P<0.01)、睡眠効率が有意に減少していた(85.5±2.5% v.s 94.9±2.1%, P<0.0001)。睡眠構築においてはPTSD群でStage 1睡眠が有意に増加し(11.6±5.7% v.s 6.8±2.8%, P<0.05)、Stage 3+4の深睡眠が有意に減少していた(7.9±7.4% v.s 18.1±7.9%)。また悪夢の訴えの多いPTSD患者ではREM睡眠の中断(REM interruption)が特徴的で、Percentage of REM interruptionsは健常者に比べPTSD群で有意に増加していた(9.8±8.6% v.s 2.2±1.8%)。さらにPTSD群ではCAPS(PTSD臨床診断面接尺度)の下位項目である悪夢の得点(頻度+強度)と中途覚醒時間およびPercentage of REM interruptionsが正の相関を示した(各々、R=0.77,P<0.01,R=0.63,P<0.05)。また夢日誌とアクチグラフ・モニタリングの組み合わせにより、PTSD患者2名で外傷体験に直接関連した悪夢の出現後に30-40分に及ぶ中途覚醒(睡眠維持困難)を認めた。これらの結果より、PTSD患者での外傷体験に直接関連した悪夢は、中途覚醒時間の増加やREM睡眠機構の異常(REM interruption)を引き起こす重要な因子であることが明らかとなった。内分泌学的検査は船舶事故後にPTSDを発症した3例で24時間ホルモン採血を施行したが、健常者に比べ、11:00から20:00の間のコルチゾールが低下せず高値を示した。これはPTSD患者では健常者に比べ、朝起床後から夕方までストレスが持続していることを示唆する所見であった。薬物療法の効果の検討では、パロキセチン投与により7例のうち4例で悪夢が消失し、3例で悪夢が軽減した。またベンゾジアゼピン系睡眠薬では十分な睡眠確保が得られず、熟眠感が欠如しているような場合、クロルプロマジン投与が有効であり、5例中4例で深睡眠が増加し、熟眠感の欠如も改善した。
著者
河野 啓助 奥田 誠也 玉置 清志
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

細胞の分化増殖、発生、免疫に関与するTGF-βは、病的過剰状態において、組織の硬化や線維化に重要な役割を果たす.TGF-βの細胞内情報伝達分子Smadには、特異型(Smad2/3)、共有型(Smad4)、抑制型(Smad6/7)がある。特異型Smad系の標的遺伝子の特異的プロモーターであるSmad binding element(SBE)の下流域に、ルシフェラーゼ遺伝子を挿入した合成遺伝子(SBE-Lux)を用いて、次のような実験を行った。SBE-Luxを培養細胞に遺伝子導入し、TGF-βの濃度依存性にLux活性が上昇することを明らかにした。さらに、この活性は、TGF-βの中和抗体存在下はまったく抑制されることを示し、TGF-β特異的な反応であることを明らかにした。また培養細胞にSBE-Luxと同時に、Smad2やSmad7の遺伝子を同時に強制発現させた場合、TGF-βの刺激を伝えるSmad2の競合的異性体あるいは抑制型SmadであるSmad7を導入すると、その活性が抑制されることが明らかになった。また。TGF-βの産生・活性化を示すことが知られており、また糸球体硬化あるいは腎線維症の進展因子である、アンギオテンシンIIや高グルコース状態などの条件下でも、SBE-LUXの活性が上昇し、これらの刺激がTGF-Smad系を介することが示差された。ポピヨンヨードを腹腔内に投与したラットの腹膜硬化症モデルは腹膜の肥厚、癒着、線維化を示すものの、安定した再現性が得られず、今後、ポピヨンヨードの投与量や投与期間などの検討を行っていく。
著者
藤田 文彦 江口 晋
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

①ドナーラットより採取した脂肪幹細胞を肛門機能不全ラットの肛門周囲へ投与し、一定期間肛門内圧を測定する。最後に犠牲死させ、肛門周囲の組織からドナー由来の細胞を検証する。②肛門機能不全ラットの肛門周囲に脂肪幹細胞を直接注入し、さらには肛門周囲へ電気刺激を加えた肛門内圧の改善を観察する。③臨床にて肛門温存手術を受けた患者のうち、排便障害のある症例に対して十分なインフォームドコンセントを行った上で、肛門周囲組織へ自己脂肪由来幹細胞の移植を行う。腹部皮下あるいは大腿部の脂肪組織を吸引法にて採取し、閉鎖回路を用いて脂肪由来幹細胞のみを採取・濃縮させ、それを肛門周囲組織へ移植する。術後、創部の安定したころより電気刺激による肛門部リハビリを開始し、定期的に肛門機能の評価を行う。平成29年度は上記①に取り組み、長期間にわたり安定した肛門機能不全ラットモデルを作成することができた。さらに脂肪幹細胞を注入したところ、肛門内圧が上昇し肛門機能の改善が認められた。しかし、HE染色やαSMA染色などにより再生した筋組織の解明には至らなかった。結局のところbulking効果を示すような組織が存在している可能性がある。平成30年度は肛門機能改善を目指し、脂肪幹細胞をシート状にして塗布した試みを行った。この実験でも肛門内圧の上昇を示すことができたが、筋組織再生の証明には至っていない。注入した脂肪幹細胞から放出された物質の影響により、レシピエントに残存している筋組織が肥大していることが仮設として立てられた。
著者
白濱 正博
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

植物由来接着剤(以下バイオボンド)を用いて、骨に対する生体親和性を立証し、世界初の骨接合用の接着剤としての可能性を検証する研究を行った。接着剤としてバイオボンドは生体親和性に優れ、炎症反応はコントロールと全く変わらない結果であったが、親水性に乏しく血液や浸出液が骨とボンド間に侵入すると接着力が著しく低下し、骨折治療に耐えうる程の固定力は得られなかった。バイオボンド自体に親水基を付加する改良も加えたが、接着性自体も低下し実用化は難しいと考えられた。
著者
原田 二朗 山本 健 溝口 正 佐藤 秀明
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

酸化ストレスを原因とする肥満から発展するメタボリックシンドロームは、脳梗塞や心筋梗塞のリスクファクターとなることから、予防法の開発が急務である。本研究では未だ動物実験では使われたことがない光合成細菌がもつケト型カロテノイドを調べることで、メタボリックシンドロームの予防効果について検討する。具体的には、糸状性酸素非発生型光合成細菌Chloroflexus aurantiacusがもつ、ケト型カロテノイドに着目し、カロテノイド分子種の同定と機能を調べた。ケト型カロテノイドの疾病に対する優れた予防剤としての開発が期待される。
著者
大岡 由佳 辻丸 秀策 大西 良 福山 裕夫 矢島 潤平 前田 正治
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学文学部紀要. 社会福祉学科編 (ISSN:13455842)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.85-95, 2006-03

10年前の阪神淡路大震災を契機に,本邦においても消防隊員の惨事ストレスによるメンタルヘルスの悪化が論じられるようになってきた.実際,自然災害や火事などが頻発する中で,消防隊員の活躍は目覚ましいものがあるが,一方で,消防隊員の責任や負担は増大しており一般成人と比較して特異なストレス状況下にある.それにも関わらず,本邦では,消防隊員のメンタルヘルスに焦点を当てるようになったのは近年のことであり,消防隊員の全体像を把握し,対策を講じていくには確固とした調査報告が示されていない現状にある.本論文では,消防隊員のメンタルヘルスの全体像を把揺すべく,惨事ストレスを中心に調査を実施した.対象は,A市481名の現役消防隊員で,回答してもらった質問紙に関しては,多角的に統計処理し結果検討を加えた.その結果,消防隊員は,多くの者が職務に従事する中でストレスを感じており,35%の心身の不調と,12.2%のPTSD症状を呈する者が見受けられた.消防隊員の8割が精神的ケアを必要と考えていることからも,消防局はその地域に根ざした惨事ストレス対策を講じていく必要があることが明らかとなった.
著者
河野 昌彦
出版者
久留米大学
巻号頁・発行日
1987

博士論文