著者
植野 健造
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
2000

博士論文
著者
住田 正樹
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

この調査研究では、受け手である子どもたちが、青少年文化としての少年少女漫画をどのように読んでいるかというコミュニケ-ション行動を、(1)子どもの少年少女漫画への接触行動、(2)少年少女漫画に対する子どもの反応・充足、という二つの視点から明らかにしようと試みた。漫画への接触行動については、子どもたちは漫画を借りるよりも自分で購入するという入手方法をとる傾向が強い。また、漫画雑誌への接触と単行本への接触は相乗的な関係にある。漫画への接触を促す主な要因は友人とテレビアニメであり、テレビアニメへの接触と漫画への接触は相乗的に作用しあっていることがわかった。子どもの漫画の好みは多様化しているが、どちらかといえば写実的な絵よりも漫画的な絵を、現実的な内容よりも空想的な内容を好む傾向にある。漫画に対する反応については、子どもは好きな漫画であれ嫌いな漫画であれ、漫画の形式的側面(絵)と内容的側面(スト-リ-)の両方に興味・関心を抱き強く反応しているが、どちらかといえば低学年は形式的側面に、高学年は内容的側面により強く反応しがちである。漫画の内容の理解は受け手の知識水準や漫画接触経験の多寡により左右されると思われ、したがって学年が上がるにつれて理解度も高まると考えられるけれども、しかし実際には、わずかながらではあるが高学年ほど理解度が低くなっている。これは、高学年ほど漫画の内容的側面に興味・関心を持ち、そのためある程度内容の複雑な漫画を読むためだと考えられる。また、高学年より低学年が、男子よりも女子のほうが漫画の世界に自己を同一化させる度合が高く、行動面においても漫画の影響を受けやすい。子どもは漫画により主として娯楽的・逃避的充足を得ており、これに付随して友人関係を深めるという社会的相互交渉の充足がある。女子の場合には、新しい知識・情報を得るという充足もかなり大きかった。
著者
因 京子 松村 瑞子 日下 みどり
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は,日本の少女・女性マンガを素材として日本人学生と留学生を対象に,日本文化と日本語についての理解と考察を深めそれを明確に言語化する能力の涵養を目指す「異文化理解コース」のための教材を開発することである。行った主な活動とその成果を次にあげる。1.日本マンガの特徴の分析:海外のマンガとの比較によって日本マンガの特徴を検証し,また,日本マンガが他の国のマンガや他の表現分野に与えた影響を考察した。(→平成14年に単行本『(仮題)世界マンガ事情』として刊行予定。)2.マンガ作品研究:日本の現代社会を理解する鍵となると考えられる作品を中心に主題分析を行った。単行本『マンガのススメ』を刊行した。また,学習者用の手引きを執筆した(→報告書所収)3.マンガ言語の分析:社会的な文脈の中での「ていねいさ」の表現,女性語の使用,口語表現に特に焦点を当てて行った。4.教材化の方法論研究:教材選定のための基準,コース・デザイン,タスク作成方法などについて考察した。5.教材作成:コース用教材2学期分と発展研究用資料を執筆し,研究代表者の所属する機関で試用した。(→報告書所収)以上の研究成果は,3本の論文,2冊の単行本,3つの口頭発表によって発表した。論文は作成した教材とともに報告書に収録し,留学生教育,国際化教育に携わる関係諸機関に送付する。
著者
川路 則友 白石 哲
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.123-132, 1980-07

We examined the avifauna in and around the Nagasaki Airport, and investigated the behavior and food habits of the Black-eared Kite, Milvus migrans, which roosted in Usu-jima Islet near the airport from June, 1977 to March, 1979. The results obtained are as follows: 1. Sixty-two bird species belonging to twenty-six families were observed in and around the airport. In the course of census, we found wintering of the American Golden Plover Pluvialis dominica from 1977 to 1978, and the Chinese Great-grey Shrike Lanius sphenocercus on January 10, 1978 which had been rarely observed in Kyushu, Japan. In the airport the dominant species were always the Skylark , Alauda arvensis, and the Tree Sparrow, Passer montanus. 2. The Black-eared Kites left the roost in Usu-jima early in the morning, and flew to the feeding area, but some kites remained on and around Usu-jima all day long. The maximum number of kites is highest between September and November, and they decreased markedly in December; they increased again from January to February, but only a few individuals were observed between March and July. These changes in abundance of kites probably reflect their migratory movements. 3. Between September and October many kites moved in a wide area, but less so in other months. Especially in December, all kites lived within a very restricted area. Accordingly, the extension and reduction of the daily movement seem to relate to the feeding area, which changes with fluctuations in kite's abundance. We found another roost in Osaki Peninsula, north to the Nagasaki Airport, and there seemed to be other two roosts. The kites roosting here seemed not to move so far. Since there is abundant food for the kites along the coast, it seems enough for their existence to feed within a narrow area. 4. Fishes were most abundant as food items of the Black-eared Kites and a kind of gobies, Chaeturichthys hexanema, occupied the highest percentage of them, being followed by insects. Especially in October, a number of kites gathered at the airport in order to feed on locusts which inhabited the grassland, so that the ratio of kites with stomachs including insects temporarily increased. Other foods detected were the kite (probably fed after death), skylark and a kind of pill-bugs, Armadillidium vulgare.1.1977年6月から'79年3月まで,長崎空港周辺の鳥相および臼島を塒とするトビの行動と食性について調べた.2.長崎空港周辺で確認された鳥種は26科62種に達したが,特筆すべきこととしてムナグロの越冬(1977年から'78年にかけての冬)とオオカラモズの確認(1978年1月10日)を挙げた.空港内ではヒバリとスズメが常に優占種であつた.3,トビは朝早く臼島の塒から飛び立ちえさ場へ向かうが,同島やその周辺で終日生活する個体も多く確認された.月別に見た1日のうちのトビの最大個体数は9月~11月に多く,12月になると激減し,1,2月には再び増加し,3月以降7月まで少なかつた.その原因としては渡りが考えられた.4.個体数の最も多い9,10月には直線距離にして最大10km程度の飛翔を行なつて広範囲に行動する個体が増加するが,それ以外の月にはそれほど遠くへ出て行く個体は見られず,特に12月にはすべての個体は1~2kmの範囲内で生活していることが知られた.従つて,これら行動範囲の拡張と縮小は個体数の増減に対応したえさ場の確保と関係があると考えられた.車によるライン・センサスの結果,臼島のほかに確実に1ヵ所,また明示はできないが更に2ヵ所の塒があると推察されたが,それらの塒の個体もさほど遠距離まで行動しないと思われた.恐らく,海岸沿いには常に餌が豊富に存在し,ある程度までの個体数は塒の近距離内で許容されるためと考えられた.5.トビの食物としては魚類が最も多く,その中でもアカハゼが主食となつていることが知られた.次いで昆虫類が多く,特に10月には空港の草原に生息するバッタ類を採食しに飛来するトビが増加し,昆虫を採食している個体の割合が一時的に増大した.そのほかの食物としては鳥類のトビとヒバリ,甲殻類のダンゴムシが確認された.
著者
伴 節
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1982

博士論文
著者
浅田 由美子
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.153-161, 2004-03-31
被引用文献数
1

The aim of this study is to review the literature about laughter and smile in clinical situation and to examine its effects and practice further. Many literatures showed people feel the effects of laughter. Statistical analysis showed the effects of mental health both in the pleasure smile and the forced smile. On the other hand, opinion was divided on actual handling of laughter and smile in clinical situation. It was because laughter and smile aroused only in the "here and now" relationship and it cari t be seen. It was considered laughter and smile have the elements of "the ambivalence" between death and reborn, satisfaction and release, affirmation and denial etc., "the bridging elements", and "the third position" and these elements are also important in the psychotherapy situation. Thus, the laughter and smile is necessary to be understood by considering it in clinical situation. And it provided useful perspective for the therapists to consider how the therapist catch and accept the meaning of laughter and smile.
著者
宮本 一夫
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1941年、日本人研究者によって調査された中国遼東半島の上馬石貝塚の遺物実測や写真撮影を行い、発掘調査報告書を刊行するための基礎作業を行った。調査地点や層位関係を基に、出土土器の相対的な年代関係を、型式学的に明らかにした。これにより、遼東半島新石器時代から初期鉄器時代までの、ほぼすべての土器編年を明らかにした。そして、BII区が遼寧式銅剣段階であることを明らかにし、その実年代が西周後期から春秋期にあることから、弥生開始の実年代が前8世紀にあることを検証した。さらに、土器の圧痕分析や土器製作技術の分析から、無文土器時代の文化内容が遼東に起源することを明らかにした。
著者
渡邉 智明
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成29年度は、主に、EU のグリーン公共調達や環境認証制度など、本研究の基礎となる部分について確認するため、文献収集の作業を行った。また、海外における大会の参加による関係者とのネットワークの構築、さらには一部関係へのインタビューを行うことができた。このうち、海外調査に関しては、6月にスイス・ジュネーブで開催されたISEAL(国際社会環境表示連合)の年次総会に参加して、参加した欧州のNGO関係者と意見交換を行い、今後の研究への示唆を得ることができた。また、9月には、マレーシア・マラッカで開催された、アジア太平洋持続可能な消費と生産ラウンドテーブル(APRSCP)」の年次大会に参加し、欧州のSwitch-Asiaの政策コーディーネーターと意見交換を行った。この中では、欧州レベルの環境ラベルの多元化状況、それを踏まえてSwitch-Asiaプログラムを展開している現状を確認することができた。また、合わせて、日本の協力機関であるIGESの関係者との知遇を得て研究の方向性について有益な意見を伺うことができた。また、11月の末には、ベルギー・ブリュッセルを訪問し、EUの当局者に対して聴き取りを行うことができた。この中で明らかになった限りでは、標準化部門や環境総局は、Switch-Asiaプログラムには関係していないことが明らかになり、むしろ開発部門が主導していることが伺われた。これを踏まえて、次年度以降は、EUの開発部門や開発NGOなどに焦点をあてた調査を行っていきたいと考えている。なお、これまでの一連の考察は、11月東アジア国連システム・セミナー(於北九州市)において一部を発表し、参加者から有益なコメントを得ることができた。
著者
工藤 忠宏
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1976

博士論文
著者
中野 等
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は豊臣家・豊臣政権の文書論構築を目指したものである。秀吉の文書は単独で機能することもあるが、多くの場合奉行の副状あるいは奉書を伴っており、これらの副状や奉書が具体的かつ詳細に政権の指示を伝達することがある。本研究の大きな成果は単著『石田三成伝』(平成29年1月、吉川弘文館)の刊行である。また、平成28年9月に早稲田大学で実施された日本古文書学会での報告が、大きな成果としてあげられる。これは「豊臣政権の奉行発給・受給文書に関する一考察」と題して、政権論の中で大きな比重をしめてきたいわゆる「取次論」について、文書機能論の立場から再考を促すものである。