著者
牛島 省
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では,マルチフェイズ・並列計算手法の適用性に関する検討を行い,以下の成果を得た. (1) 礫層上面に衝突する鉛直下方噴流によって生ずる礫粒子運動と水流の連成過程が適切に計算されることが示され,礫粒子の移動経路や間隙水圧,礫粒子間の接触力などが計算で得られた. (2) 礫層下面から流入する鉛直上昇流により,(1)と同様に現象を再現する計算結果が得られることを確認した. (3) 高粘性流体や非ニュートン流体の基本的な挙動,また吸水性粒子間の浸透流などに対して,それらの特性を再現する計算結果が得られることが示された.
著者
宮宇地 俊岳
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009-03-23

新制・課程博士
著者
宮宇地 俊岳
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2009

博士論文
著者
水野 幸輝
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
pp.1-54, 2020-03-24

2019年度 卒業論文
著者
荒堀 みのり
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本研究課題の目的は、単独性でありながら特殊な家畜化を経てヒトの伴侶動物となったネコを対象とし、その行動や遺伝子から、ネコとヒトの関係およびネコとネコの関係がどのようなものであるかを検討することであった。本年度では、研究1として、ヒトが視覚的に示す問題解決法にネコが追従するかを、2つの課題を用いて検討した。両課題とも、ネコがヒトに追従するという結果は得られなかったが、ヒトの存在によってネコのモチベーションが上昇した可能性を示唆した。しかしながら、半透明の装置を用いたため、抑制制御の必要性がネコの追従を阻害した可能性が考えられた。研究2では、集団で暮らすネコを対象として、ネコカフェで飼育されている3集団のネコの社会的インタラクション(親和的行動・攻撃行動)を観察し、毛中コルチゾール濃度を測定した。ネコ同士では嗅覚を用いたインタラクションが多く観察され、本研究で対象としたネコカフェでは攻撃行動はほとんど見られなかった。また、個体ごとに親和的行動を行う回数や受ける回数は異なっていたが、この2つの値の合計と、毛中コルチゾール濃度(長期ストレスレベル)は正の相関を示した。野生動物の社会においてコルチゾールレベルは個体の優位性と関係があるとされており、ネコ集団でもこのような社会システムが成立しているか検討していく必要がある。以上の研究はそれぞれ国内学会で発表された。今後は、様々な指標を用いることや、ネコの祖先種との比較も視野に入れながら、ネコがなぜヒトのペットになるに至ったのかを解明する予定である。
著者
中岡 淳
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

本研究は、①比較法的な見地から、婚姻の自由と親の権利に関する「憲法上の権利」の規範内容に関する分析を行い、②その権利規範の分析を踏まえて、家族法の憲法適合性に関する日本の裁判例の判断枠組を再構成することを試みるものである。また、これらの権利概念の理論構築のために、③アメリカ法やドイツ法を比較研究の対象とすることで、これらの法体系においても、同性カップルの婚姻や親子関係の法的承認を契機として、婚姻や親子関係に関する法的理解に大きな変化が生じていることを描写する。
著者
中川 隆之 飯田 慶 喜多 知子 西村 幸司 大西 弘恵 山本 典生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

哺乳類とは異なり、鳥類の聴覚器官である基底乳頭では、有毛細胞再生が自発的に誘導され、聴覚機能も再生される。鳥類とは異なり、哺乳類では有効性が期待できるレベルの聴覚機能再生は報告されていない。近年、鶏に関する遺伝子情報が充実し、網羅的遺伝子解析手法を用いて、これまで困難であった鳥類における有毛細胞再生に関連する遺伝子およびシグナルの詳細な分子生物学的解析が可能となった。鳥類における旺盛な有毛細胞再生機構を哺乳類における有毛細胞再生活性化に応用し、哺乳類蝸牛における有毛細胞再生効率を向上させ、新しい感音難聴治療薬開発につなげる。
著者
池谷 真 上谷 大介 趙 成珠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

腱・靭帯は再性能に乏しい組織であるため、障害が起こると放置しても治らない。iPS細胞などの幹細胞から腱・靭帯組織を誘導し、損傷部位を補填する方法が1つの手段として考えられるが、これまで腱・靭帯細胞を誘導するロバストな方法は存在しなかった。申請者らは2018年に、世界で初めてヒトiPS細胞から靭帯細胞の前段階の細胞である靱帯節細胞を誘導するプロトコールの開発に成功した。本研究は、この細胞を将来の再生医療に応用するため、目的外細胞の混入、誘導過程での動物由来成分の使用、生体内機能の証明といった課題を、科学的に克服する。
著者
葉廣 和夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

(1)量子群の圏化の2圏構造をpivotalなものに変形できることを示した。(2)有限生成自由群の圏が対称モノイダル圏として可換Hopfモノイドにより自由に生成されるという事実の初等的・直接的な証明を与えた。(3)ハンドルボディ内の底タングルの圏BでKontsevich不変量を用いて定義される関手を構成し、圏Bの線形化のVassiliev-Goussarovフィルトレーションに付随する次数的線形圏の構造を決定した。(4)曲面の写像類群のJohnsonフィルトレーションとJohnson準同型の概念を、任意の群Gの任意のフィルター付き群Kへの作用に対して一般化した。
著者
渡辺 邦彦 岡本 拓夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

平成7年度〜平成9年度の3年間の研究成果の概要は下記の通りである。研究目的は、自然電位の観測でノイズとされる電車の漏洩電流を信号源と考え、電車軌道から約3kmの北陸観測所で漏洩電流波形を基準とし、それより約15km離れた池田観測室での観測波形を比較し、それによって両観測点間の歪場の変動を電磁気的に解析するものである。特に、地殻ブロック境界の観測点は、広域応力場の状況変化を強く反映すると考えられるので、時間的変動を解析することで、地殻歪の変動を測定することができる。研究成果:1.温見断層に着目し、福井県の北陸観測所坑内と池田観測室で地電位差観測を実施した。2.経年変動を解析した。北陸観測所坑内の自然電位分布は、湿潤度に依存する傾向が見られた。池田観測室では、温見断層に直交する方向と平行な方向に長基線と短基線の電極を配置した。断層に平行方向は地盤の状態により不安定であるが直交方向は安定した年周変動も測定された。地震活動との関連は今後の課題である。3.北陸観測所と池田観測室とで1秒毎サンプリングによる漏洩電流観測を実施した。池田での波形は北陸観測所の数分の1に振幅が減衰するが、波形変形はそれほどなかった。FFTによると、解析限界を超える周波数成分変化は認められなかった。今後、時間的変動と高周波成分までの解析を充実する予定である。4.特定の成分にのみ現れる漏洩電流と思われる特徴的波形を認めた。伝播方向や変電所と電車の位置関係の特定が必要である。特に池田の場合、出現する成分が断層に直交する成分のみであることから、地殻ブロックに関わる可能性が有る。
著者
齋須 直人
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

採用年度2年目は採用1年目から開始した帰一派旧教徒の思想家コンスタンチン・ゴールボフとドストエフスキーとの関係についての研究を継続した。成果は、2019年4月のロシア思想史研究会で報告し、ロシア思想史の専門家の参加者たちから有益なフィードバックを得た。また、それをもとにさらに研究を進め、11月にロシアのサンクトペテルブルグで行われたドストエフスキー学会「ドストエフスキーと世界文化」で発表した。これらをまとめ上げ、博士論文の最後の章とした。12月から3月にかけて博士課程入学時からの成果をロシア語でまとめ上げ、2014年11月から2017年10月まで留学していたゲルツェン名称ロシア国立教育大学博士課程ロシア文学科に、2020年3月に学位論文(タイトルは『1860年代末から1870年代初頭のドストエフスキーの作品における導き手像:ザドンスクのチーホン、コンスタンチン・ゴールボフ』)として提出した。学位論文のテーマと並行して、現在のロシアの学校教育科目である「文学」において、ドストエフスキーがどのように教えられているかについても研究を行った。今に至るまで「文学」の教科書の多くでソ連時代のイデオロギーに沿った歪められたドストエフスキー理解がそのまま残っていること、ドストエフスキーの宗教面についての説明が少ないことなどが指摘されているが、近年のロシアのキリスト教的テーマでのドストエフスキー研究の隆盛との乖離があり、興味深い現象となっている。この研究は6月に東京大学で行われた第10回スラブ・ユーラシア研究東アジア大会で、申請者が組織した二つの共同パネルのうちの一つで発表した。この成果は論文としてまとめ、ドストエフスキー研究の論集(現在、出版のための手続き中)に寄稿した。
著者
倉田 道夫
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1955

博士論文
著者
森田 紘平
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2016-04-22

本年度の研究実績は大きく三つに分けることができる.物理学における創発の一般論,存在論的構造実在論の洗練,および量子力学の思想史の展開である.まず,物理学の不連続性の典型例である創発について,主に量子力学と古典力学の関係に注目して,モデル概念の重要性を指摘した.より具体的には,準古典的領域が不可欠である量子論と古典論の間の関係づけについてパターン実在論による特徴づけが不十分であり,創発的なパターンとして実在性を確保するためにはモデルの役割を強調する必要があることを示した.次に,ミクロな量子力学的領域に関する存在論である存在論的構造実在論についてその内容を洗練させた.特に,多くの議論が異なる意味で用いてた「構造」や「先行性」といった概念を精緻化して,量子力学に応用することで,ミクロ領域の存在論的特徴付けを行った.この営みは,我々の日常的なスケールである古典的な領域についての存在論的地位を特徴づけることに役立ち,物理学における不連続性を明確化する助けとなる.さらに,このような量子と古典の対立の思想史的展開についても研究を行った.量子力学の哲学においては特に重要視されるニールス・ボーアの歴史的資料を分析することで,ボーアが1920年ごろに量子論や古典論についてどのような立場を取っていたのかを明らかにした.以上,これらの研究は量子力学と古典力学の関係に限定されているが,前者二つの研究は,さらなる応用が可能である.一方で,後者については,現代の不連続性の理解のされ方を特徴づけるために重要な視点を与えるものであると言えるだろう.
著者
石井 米雄
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1980

博士論文
著者
江藤 智
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1952

博士論文
著者
田川 正朋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ヒラメでは、放流や養殖のための稚魚を生産する際に、天然魚とは異なり眼のない側にも黒い部分が出現する着色型黒化という現象が頻発し問題となっている。本研究により、ストレスによって分泌されるコルチゾルというホルモンが、着色型黒化の直接原因の一つであることが確認された。また着色型黒化の防除方法としては、飼育水槽底面を凹凸にすることが効果的であること、および、種苗生産現場でも設置が容易な凹凸面として考案した、水槽内面を網で覆う方法でも着色型黒化を強力に防除できた。