著者
青木 学聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

オープンサイエンス、研究データ管理の視点から、イオンビーム科学・工学における巨大原子座標を中心とした各種データを扱うための共通基盤の研究を行った。長年の歴史を持つ古典的なイオン衝突シミュレーションの互換性の維持と利便性の向上のため、入出力データに対するプリ・ポストプロセスの開発を行った。また、従来と単原子イオンビームとは異なるクラスターイオンの衝突シミュレーションの事例を収集、整理し、クラスターイオン衝突における解析手法を提示した。
著者
大野 直樹
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2010-03-23

新制・課程博士
著者
加藤 紫苑
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-04-26

本研究の課題は、中期シェリングの主要著作『世界時代』の分析を通して、ヘーゲルによるシェリング芸術哲学の批判とそれに基づく《芸術終焉論》がシェリング自身によっていかに再批判されるのか、という問いに答えることにある。この問題意識のもとに平成30年度は以下の活動を行った。第一に、平成29年9月以来、ドイツ連邦共和国のボン大学国際哲学センターにおいてマルクス・ガブリエル教授のもとで研究を行っており、平成30年度の前半も引き続き同所において研究を行った。平成30年6月にはガブリエル教授の日本への招聘講演にも帯同した。来日中、報告者の日本での所属研究機関の主催により、ガブリエル教授の京都大学で講演会を開催した。その発表原稿を翻訳したものが「なぜ世界は存在しないのか――<意味の場の存在論>の<無世界観>」である。第二に、ヘーゲルのシェリング批判の内実とその妥当性を判定するための論文を執筆した。「〈導入〉としての『ブルーノ』―同一哲学の見過ごされた側面」と題するもので、ヘーゲルの『精神現象学』におけるシェリング批判がある意味で一面的であることを示そうとした。本研究の中心的課題である『世界時代』の再解釈は、具体的には、(1)『世界時代』の構想の解明、(2)『世界時代』の過程の解明、(3)『世界時代』の成果の解明という三つの段階を踏んで行われる。本年度の前半は『世界時代』の執筆の挫折の主要原因を十分に明らかにした上で、後半はこの挫折の経験がシェリングの後期哲学(特にその『神話の哲学』)にとってどのような意義を有しているのかについて考察した。そのためには、この挫折の経験をふまえて行われている『エアランゲン講義』の内容の分析が不可欠であった。主に『エアランゲン講義』の読解を中心とした研究成果はいずれ、国内外の学会において研究発表を行い、各機関誌に論文を投稿する予定である。
著者
森 晶寿 藤川 清史 伴 ひかり 堀井 伸浩 TRENCHER GREGORY 馬奈木 俊介 渡邉 隆俊 王 嘉陽 居 乂義 稲澤 泉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

石炭投融資撤退は,気候変動対策を金融面から推進する手段として世界的に推進されている.従来の研究では,その投資行動変容やCO2排出削減への効果は限定的と評価してきた.ところが石炭火力発電を志向するアジアでは,中国の石炭火力発電投融資を増やし,温室効果ガス排出と中国への経済的従属を増やすことが想定される.同時に,ホスト国が適切な政策対応を取れば,こうした悪影響を抑制しつつ持続可能なエネルギーシステムへの転換を図る機会とできる.この中で本研究は,投資国・ホスト国の金融機関・電力関連産業の行動変容,及び付加価値分配の変化を分析し,石炭投融資撤退のアジアの持続可能性への移行への効果を検証する.
著者
西村 勉 大寺 祥佑 田辺 健一郎 中谷 英仁
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ビッグデータの時代に入り、ビッグデータの構築・解析による成果を実社会へ還元することが課題となっている。台湾では、医療保険データが標準化され、一元的に管理されており、そのデータを用い、台湾の中国医薬大学では、7年間で1,000本以上の論文を出版し、実社会に大きなインパクトを与えつつある。日本においてもレセプト情報・特定健診等情報データベースが構築されている。本研究では、台湾及び日本の医療保険データを中心とするビッグデータを用い、宇宙要因、気象要因、大気要因とヒトの疾患の発症との関連性を検証し、自殺及び関連イベント、虚血性心疾患、及び脳血管疾患の発症予測モデルを構築する。
著者
多田 春江
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

日本全体の月毎の自殺者数と月毎のK指数平均値との関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。地磁磁気の擾乱が自殺に影響を与えるのであれば、地磁気の強い場所ほど、地磁気の変動も大きいため、自殺者数が増える可能性が考えられる。そこで、都道府県別の月毎の自殺による標準化死亡比と各都道府県の地磁気の強さとの関連性を、他の要因を調整した上で、重回帰分析を用いて男女別に解析したところ、男性では、統計学的に有意な相関がみられたが、女性ではみられなかった。
著者
入谷 明 三宅 正史 内海 恭三 細井 美彦
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

一卵性多子生産は一つの受精卵から数多くの同一遺伝子構成の個体を複製するという点で、胚の効率生産のみならず、遺伝的検定材料としての利用面に貢献できるものと思われる。しかし胚発生の過程において細胞は増殖と分化を繰り返して個体に発生する。胚の単離割球が個体に分化発生するためには全能性(個体への発生能力)を保持しているか、人為的に賦与させる必要がある。マウス胚では2細胞期の胚ゲノムの活性化が起こり、4細胞期胚の個々の単離割球全てには個体への発生能力がみられていない。しかし羊では8細胞期胚の単一割球の発生能力が報告されている。本研究ではウシとヤギ胚の初期胚の単離割球の発生能を調べると共に、それらの1卵性多子生産を試みた。胎児部と胎盤部に発生する部分に分化した胚盤胞期胚を均等に2分離して1卵性双生児は容易に作出された。金属刃での顕微操作で90%以上の確立で分離され、ウシでは60%以上の受胎率と20対以上の産子が得られた。8細胞期由来2割球(2/8)からはヤギではウサギ卵管中で37%の胚盤胞が得られ、4個の移植から1頭の産子が得られた。ウシでは同様にして20%の胚盤胞が得られた。他にウシでは初期分割期胚の回収が困難なため体外受精由来胚が実験に供され、1/8割球と2/8割球の胚盤胞への発生能はウサギ卵管中で20%であった。ヤギやウシでの1/8〜と2/8細胞の胚盤胞への発生能が認められたので、2/8細胞に1/2〜1/4細胞又は1/8細胞を集合させて2/8細胞の胚盤胞期以後の発生能を改善しようとした。さらに1/8細胞に未受精除核卵母細胞を電気融合させて、受精卵を再構成させた。ヤギ及びウシとも体内受精発育卵及び体外受精発育卵を材料として、8細胞からの割球の単離、融合用の除核卵母細胞の調整、及びそれらの電気融合、再構成胚の胚盤胞期への発生能の検定など一連の基礎技術が開発され、ヤギ・ウシ胚とも胚盤胞が得られているので今後の一卵性8つ子の生産が期待させる。
著者
柿原 浩明 馬 欣欣
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

少子高齢化が進んでいる日本社会で、国民医療費が年々上昇している。1990年代以降、政府は患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点から後発薬の使用を促進している。しかしながら、臨床現場では新薬および先発薬が依然として多く使用されている。本研究では、経済学の視点から、独自な調査を行い、ミクロデータを取集したうえで、新薬・先発薬の使用に関する要因を個人属性、情報要因、代理人要因、個人選好要因の4つに分けて分析し、医師が医薬品の選択行動のメカニズムを考察し、新薬・先発薬・後発薬の棲み分けのあり方に関する政策立案を行う際に、科学的根拠の一つとして提供した。