著者
中西 和樹
出版者
京都大学
雑誌
戦略的な研究開発の推進 戦略的創造研究推進事業 ALCA(先端的低炭素化技術開発) 技術領域
巻号頁・発行日
2010

革新的断熱材料ポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)キセロゲルは、高分子発泡体やグラスウールなどの従来材料に比べ2倍の断熱性能と可視光透過性をもっています。これまでのALCA研究において、ボトルネックであった断熱材料の曲げ強度を向上させることに成功しました。 本プロジェクトでは、粒状キセロゲルの作製プロセスや成膜プロセスの確立とPMSQキセロゲルの更なる材料強度、断熱性能の向上を目指しています。
著者
広岡 隆
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1962

博士論文
著者
池田 昭夫 松本 理器 長峯 隆 菊池 隆幸 小林 勝弘 國枝 武治 宇佐美 清英
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

難治てんかん患者の脳内脳波記録への数理モデルの適用や、手術病理標本の解析、動物実験などを通じ、てんかん焦点の脳波バイオマーカーとしてのActive ictal DC shiftsの存在を確立し、てんかん発作における、 神経細胞, 能動的グリア, 受動的グリアの3成分、特に前2者の重要性を明らかにした。また、てんかん発作前状態ではred slow(低周波数帯域活動と高周波律動の共起)がactive DC電位の領域に一致することを明らかにした。一方で、頭皮上脳波での記録の実証により、Active ictal DC shifts、Red slowのバイオマーカーとしての汎用性を明らかにした。
著者
井原 賢 長江 真樹 田中 宏明 征矢野 清
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

今年度は、培養細胞試験で発現させるトランスポーターを従来のヒト遺伝子ではなく魚遺伝子を用いた培養細胞試験を開発した。具体的には、データベース上でメダカおよびゼブラフィッシュのセロトニントランスポーター(SERT)遺伝子の塩基配列情報を入手し、その遺伝子を発現するプラスミドを市販のサービスによって合成した。そして、抗うつ薬の標準物質を用いて試験することで、魚SERT遺伝子の抗うつ薬に対する反応性を体系的に明らかにすることに世界で初めて成功した。興味深いことに、魚SERT遺伝子はヒトSERT遺伝子よりも抗うつ薬で強く阻害されることが明らかとなった。具体的には、50%阻害濃度(IC50)で比較した場合、魚SERTのIC50値はヒトSERTのIC50値に比べて、数倍~数十倍低い結果が得られた。つまり魚SERTはより低濃度の抗うつ薬で阻害を受けることを意味する。この情報は、抗うつ薬やGPCR標的薬が魚等の水生生物に与える影響を評価する上で極めて重要な情報を提供してくれる。メダカSERTとゼブラフィッシュSERTの間でも、IC50値に違いが検出された。同じ魚であっても種によって抗うつ薬に対する反応が異なることが予測される。下水処理水に対しても抗うつ薬アッセイを行った。魚SERT遺伝子を用いた場合でも、ヒトSERT遺伝子を用いた場合と同様に、抗うつ薬活性が検出されることを確認した。セルトラリンを用いてミナミメダカに曝露し、通常時の行動をビデオ観察することで行動異常の検証を開始した。
著者
中務 真人 平崎 鋭矢 荻原 直道 濱田 穣
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

常的な二足性はヒトのみに見られる行動様式であり他に二足性の霊長類はいない。そのため、二足適応の進化に関する比較資料が不足している。これを補うため、飛び抜けた二足運動能力を示す猿まわしの調教ニホンザルについて、形態学、生理学、運動学的調査を行った。二足、及び四足歩行のエネルギー代謝は10才と4才の二頭のニホンザルを対象に行った。体重・時間あたりの二酸化炭素発生量をエネルギー消費の換算値として計測した。歩行速度は1.5から4.5km毎時の範囲で0.5km刻みで計測した。二足でも四足でも、エネルギー消費量はほぼ歩行速度に比例して単調増加した。二足歩行のエネルギー消費は四足歩行時に比べ、10才の個体では、約30%の増加、4才の個体では20-25%高い値を示した。歩行速度にかかわらず、この比は小さい変化しか示さなかった。これまでチンパンジー、オマキザルでの実験に基づいて、二足と四足の歩行エネルギー消費は変わらないとされてきたが、この結果は、それに再考を求めるものである。通常、エネルギー消費の目安として酸素消費が用いられるが、平均的な呼吸商を用いて四足歩行時の酸素消費量を推定するとこれまで報告されている数字に近い値が得られ、われわれの研究方法の妥当性が証明された。歩行ビデオ解析では、調教を受けたニホンザルは通常の実験用サルに比べ、長いストライドと少ない歩行周期を示すことが明らかにされた。このことは関節の最大伸展角が大きなことと関連しており、とりわけ膝関節においてはヒト歩行におけるダブル・ニー・アクションに似た現象が観察された。そのため、通常のサルでは両脚支持期にしか起こらない体幹の上方移動が単脚支持期において認められた。また、頭部、体幹の動揺は通常のニホンザルに比べ有意に小さい。これらの結果は、調教ニホンザルの二足歩行の効率が優れていることを示唆する。
著者
山下 洋 望岡 典隆 笠井 亮秀 木村 伸吾 杉本 亮 荒井 修亮
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大分県、和歌山県、福島県の河川において、ニホンウナギの生産を支える環境と生態系を流域レベルで調べ、ウナギの資源生産の観点から河川再生方策を検討した。ウナギの食性は、サイズ、季節、地域で変化したが、基本的に広食性で柔軟な摂餌生態を有した。全長200mm未満の小型魚と200mm以上の大型魚では、好適な生息環境特性が異なった。ウナギの河口から河川上流への移動・拡散は堰により阻害された。本種は水質の許容範囲が広く、清流から都市型河川まで生息した。ウナギの河川内及び河川と沿岸間の移動、隠れ場、餌生物の生産を可能にする一定の環境条件整備により、本種資源の保全と培養が可能であると考えられた。
著者
小野 紀明 堀田 新五郎 小田川 大典 藤田 潤一郎 森川 輝一 平野 啓一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研究課題について、社会思想史学会で二度の「政治と文学」研究セッションを組織したほか(2008、2009年)、芥川賞作家の平野啓一郎氏をゲストに招いて「政治と文学」座談会を実施した(2010年)。また、それぞれのメンバーが研究課題についての個別研究を刊行した。代表的なものとして小野紀明『ハイデガーの政治哲学』(岩波書店、2010年)と森川輝一『〈始まり〉のアーレント』)岩波書店、2010年)が挙げられる。
著者
静脩編集委員会
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
vol.34, no.(126), 1998-03-31
著者
長尾 真 中村 裕一 小川 英光 安西 祐一郎 豊田 順一 國井 利泰 今井 四郎 堂下 修司
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1994

感性情報は情報科学でこれまで取り扱ってきた情報に比べ、はるかに微妙なものであり、また主観的、多義的、状況依存的で曖昧なものである。従って、情報科学的なアプローチと心理学、認知科学的アプローチの両者の共同により、この微妙で曖昧な情報の客観的な記述と抽出、感性情報のモデリングの研究を行った。得られた成果は次のようである。多くの会合を持ち、討論を行なって、感性情報の概念を明らかにした。 (全研究分担者)変換構造説に基づいて感性的情報の認知機構を明らかにした。 (今井) 画像パターンの学習汎化能力に感性的情報がどのようにかかわるのかの学習モデルを作成した。 (小川) 官能検査法の感性の計測に利用する方法を明確化した。 (増山) 新しい人間の視覚現象を発見し、そのメカニズムの研究を行い、画像の認知における感性の働きを究明した。 (江島) 微妙な曲率をもった曲面の見え方の画像解析の研究を行い、三次元世界と二次元世界との対応について究明した。 (長尾、中村) 雑音の聞こえ方についての実験を行ない、人間の感性にかかわる概念との関係を明かにした。 (難波) 音声の微妙な特徴の抽出の研究を行ない、同様な概念との関係をを明かにした。 (河原) 人間の表情変化の計測をし、その位相情報を取り出し、人間の感情との関係を明かにした。 (国井) ロボットのセンサーフュージョンと自律性についての実験を行ない、感性的行動のできるロボットの基礎を与えた。 (安西) ソフトウェアの使い易さ、使いにくさを感性的立場から評価した。 (豊田) テキスト・リーディングにおける人間の眼球運動の観察を行ない、視覚の感性的側面が果たす役割、効果を明かにした。 (苧阪)
著者
田中 一義 大澤 映二 千々和 一豊 吉田 孝紀 横尾 俊信 伊藤 彰浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は海外調査研究として、現地・ロシア連邦カレリア共和国のオネガ湖北西部付近の下部原生界Karelian Super Group中のシュンガイト鉱石産出地Shungaほかにおいて採取した鉱石試料の分析を行うものである。一般にこの鉱石群は黒色、細粒かつ緻密な岩石で、最大98wt%もの炭質物を含む。平成16年度は前年度に引き続いて、約20億年前(先カンブリア時代)に堆積した炭素富裕鉱物層中でフラーレン分子が存在していることを確認したType Iシュンガイト(75-98wt%C)に加えて、上記オネガ北岸地域および西北地域Shunga, Zazhogino, Maksovoで産出される、Ludicovian Groupでの低炭素含有鉱石(タイプII-V;10-75wt%C)の産状と周辺の岩石層の研究の纏めを行った。Karelian Super Groupは層序的下位より、Jatulian, Ludicovian, Kalevian, Vepsianの各グループに区分されている。Ludicovian Groupの玄武岩のSm-Nd年代は1.98Gaである。16年度に得られた結論として、低炭素含有シュンガイトは初生的に有機物に富む硅質な堆積岩を起原とすると考えられ、Type IIIシュンガイト(20-35wt%C)などの中程度の炭素含有量を示すものは、初生的に炭素質な堆積岩と火山岩類の反応によって富化された結果による可能性がある。Type I-II(35-98wt%C)シュンガイトは何らかの状況で濃集した炭質物が流体として再移動した結果の産物と考えることができる。しかしながら、堆積物中に本来存在した炭質物の起源や、火山岩類を伴わない大量のType III-IV (10-35wt%C)シュンガイトの起原は現時点では不明であり、なお調査を要すると考えている。さらに12月3日京都大学において、海外共同研究者のナタリアN.ロシュコワ博士を招いて西側諸国としては初のシュンガイトシンポジウムを開催し、化学的・鉱物的・地質学的な各視点からの活発な討論を行った。
著者
原田 浩二 小泉 昭夫 皆田 睦子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

環境汚染物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)はヒト体内に蓄積しやすい。成人の血清中濃度はPFOAより炭素鎖の長い化合物が急速な増加が認められた。動態パラメータを算出し、一般集団での曝露量を与えて、血中濃度シミュレーションを行った。動物実験ではリン脂質輸送分子MDR2の発現量とPFOA胆汁濃度が相関する。MDR1欠損マウスでは腎臓からのPFOA排出量が低下し、MDR1分子がPFOAの排出に関与することを示した。マイクロアレイの結果MDR1が誘導されていることが分かった。
著者
矢吹 雄平
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011

論経博第362号
著者
水野 啓
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

東アフリカで近年生産が拡大しているバニラについて,タンザニア北西部をはじめとする研究地域において(1)栽培環境条件の把握と栽培適性評価,(2)作物導入に伴う資源利用形態の変化と農家経済への影響,(3)作物の流通実態および普及政策の効果を明らかにすることで,各地域におけるバニラ導入・普及過程の特徴とその効果・影響を多面的に評価するとともに,農村開発における新規作物導入の課題と展望を考察した。
著者
宮田 淳 酒井 雄希 河内山 隆紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

妄想すなわち誤った信念の形成には「結論への飛躍バイアス」と呼ばれる認知的バイアスが関わり、これは健常者にみられる「保守性バイアス」の裏返しと推定されるが、その神経基盤はよく分かっていない。本研究では、妄想の形成機序およびその神経基盤を、認知的バイアス課題および構造的・機能的な脳領域間結合解析を用いて解明することを目指した。結果、健常者における脳白質の統合性(構造的結合性)と保守性バイアスが正の相関を示した。また統合失調症において、脳の機能的結合性と結論への飛躍バイアスとが負の相関を示した。これらの結果により、妄想に関わる認知的バイアスの神経基盤が明らかとなった。
著者
堀口 良一
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2011

論人博第35号
著者
高橋 淑子
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

これまでに発生中の胚を用いることで、腸がもつ内在的な蠕動運動ポテンシャルとその遺伝プログラム制御の可能性を見出しつつある。また腸由来細胞を用いた長期培養法を可能にすることで、「腸収縮オーガノイド」の作製に世界で初めて成功した。これらの独自解析系を用いることで、特に蠕動運動のペースメーカーと考えられていたがその実体が謎であった「カハール介在細胞」の理解が一気に進み始めた。カハール介在細胞が腸平滑筋や腸神経系とネットワークを作る機構を明らかにし、蠕動運動を可能にする細胞-組織ー器官の協調的制御の全容に迫りたい。
著者
大塚 篤司
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

皮膚のかゆみは末梢神経が介していることは広く知られている。しかし、最近の研究では末梢神経は免疫細胞との相互作用がみられ、皮膚アレルギー疾患での病態形成に関与している可能性があることがわかった。本研究課題では、皮膚アレルギー疾患における末梢神経の役割を検討した。その結果、末梢神経から放出される神経ペプチドは接触皮膚炎に関与していることが明らかとなった。
著者
水原 啓暁 佐藤 直行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本提案では,ヒトとヒトのコミュニケーションは、コミュニケーションを行う二者の脳の神経活動の振動(神経リズム)がシンクロすることによって実現される,という仮説を検証する.この目的のために,コミュニケーション課題を遂行中の被験者からの脳波計測を実施するとともに,神経リズムのシンクロを非侵襲的に操作することで,コミュニケーションの量的および質的変化が起こるかを調べる.本研究提案の成果は,円滑なコミュニケーションを実現するための技術開発につながる.令和元年においては,以下の2つの研究項目のうち、「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」について重点的に研究を遂行するとともに、「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」についても、その非侵襲脳刺激の方法について検討した.(1) コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ(2) 非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作「コミュニケーション時の脳波と音声のシンクロ」については,ナレーションを聴取中の20名の実験参加者を対象とした脳波計測実験を完了した.この実験では,短編小説のナレーションを聴取後に,どのような内容であったかを自由想起により被験者に回答してもらう課題である.自由想起した内容とオリジナルの小説文章との意味的な一致度を定量的に評価するために,自然言語処理技術を用いてそれぞれの文章を意味ベクトルに分解する.この意味ベクトルの一致度合いに基づき,被験者がどの程度ナレーション文章の聴取に成功していたかの成績評価を行う方法を開発した.特に今年度においては,自然言語処理技術による評価性能が最大となるパラメータ探索を実施した.また,「非侵襲脳刺激による神経リズム協調の操作」については,現在,経頭蓋電気刺激の利用可能性について検討を開始したところである.