著者
眞鍋 えみ子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プログラムは、セルフモニタリング、行動目標の設定とホームワーク、望ましい行動に対する自己強化、自己教示指導、面接によるフィードバックから構成される。チェックシートは睡眠状態、胎動、腹部・出血、体重、食事、運動、生活、気持ち(快適度)、母親イメージ、赤ちゃんと話す(コミュニケーション)の11のチェック項目と自由記述欄からなる。健康行動学習プログラムの臨床的適用を検討するために、妊娠初期の初妊婦を対象に15〜34週までの20週間、健康学習プログラムによる介入指導を行いその効果を検討した。面接指導群20名には、セルフモニタリング(妊娠15週、22週、32週前後)と同一の助産師による面接(妊娠17週、24週、34週前後)を行った。記録群(29名)には、面接指導群と同時期にセルフモニタリングのみ行った。そして統制群34名を設定した。その結果、面接指導群と記録群では、特に食生活や日常生活動作に関するセルフケア行動意図の維持、向上、セルフケア行動の遂行レベルが高いこと、統制群では妊娠末期に不安が若干増強しているのに対し、面接指導群と記録群では妊娠経過と共に軽減するのが認められた。さらに、記録群では介入期間中に20%の者がドロップアウトした。セルフモニタリングは、時間と経済的な面からも効率的な効果が期待される。しかし、1週間の継続したセルフモニタリングができない妊婦はプログラムによる指導の対象外となること、セルフモニタリングの持続には、助産師の個別面接によるフィードバックは有効であることが示された。これらから健康学習指導プログラムは妊娠期のセルフケア行動の向上に有効であると確認された。
著者
北村 邦太郎
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.B153-B166, 1929

一九二一年Hopkinsニヨリ發表セラレタルちすていん及ビぐるたみん酸ヨリナルDipepud-Glutathionハ生體組織内ニオイテ水素受容質トシテ作用シ.又水素寄與質トシテ働ク。換言スレバ酸化型ノ時ハ水素受容質トシテ容易ニ水素ヲトリ.還元型ノ時ハ水素寄與質トシテ容易ニ水素ヲ與フ。コレ生物學ノ領域ニ於テ組織ノ酸化及ビ還元現象ヲ究ムルニアタリ極メテ興味アル事實ニゾクス。Hopkinsハ更ニ酵母及ビ組織ソ機能旺盛ナルモノハ還元型ぐるたちよんノ多量ヲ含有スルヲ報告セリ。カクシテコノ問題ハ今ヤ化學者及ビ生理學者ノ興味ノ中心トナレリ。而シテ一九二五年Funnicliffeニヨリぐるたちよん定量法ノ發表セランテヨリ此種ノ研究更ニ益々微ニ入ラントス。飜テ血液ノぐるたちよんニ就テ見ルニHoldenハ山羊.羊.家兎ノ血球ニハぐるたちよんヲ證明シ得ルモ.血漿ニハ認メズト云フ。Uyeiノ業績亦Holdenニ一致ス。本邦ニ於テ近時立花ハ動物ニ諸種ノ利尿劑ヲ作用セシムル時ハ腎靜脈血球ノちすていん及ビちすちんノ増量ヲ來シ.ぴうかるぴん.あどれなりんヲ唾液腺ニ作用セシムレバ同腺靜脈内血球ノちすていん及ビちすちん量ハ増加スト云フ。サレドイマグ健康邦人ノ血液ニツイテ論ゼルモノナシ。コノ故ニ著者ハ先ヅ健康邦人血液ぐるたちよんヲ檢索シ次デ新陳代謝異常ナル糖尿病及ビ脚氣患者ノ血液ぐるたちよん量ガ如何ナル關係ニアルカ.又コレ等兩疾患ニ於テ葡萄糖投與ガ血液ぐるたちよんニ如何ナル影響ヲ與ブルカ.此間ノ消息ヲ知ラントシテ恩師飯塚教授指導ノ下ニ本研究ヲ企圖セリ。ケダシぐるたちよんガ酸化機轉ニ關與ストセバ從來ノ文献ノ示スガ如キ酸化機轉ノ減弱セル上記疾患ニ於テ血液ぐるたちよん量ニハ必ズヤ變化アルベキヲ豫想セラルレバナリ。又葡萄糖投與ニヨルモ必ズヤ正常人トコトナル關係ヲ期待セラルレバナリ。而シテ著者ハTunnicliffeノ方法ニヨリ次ノ結果ヲ得タリ。一.健康邦人血液中ニぐるたちよんヲ確證ス。血漿.滲出液.滲漏液及ビ腦脊髓液ニハTunnicliffe氏法ヲ以テシテハコレヲ證明シ得ズ。而シテ女子ハ男子ヨリ一般ニソノ量少シ。男子ハ最少〇・〇二〇最大〇・〇三二%平均〇・〇二六%ニシテ女子ハ最少〇・〇一八最大〇・〇三〇%平均〇・〇二三%也。二.糖尿病患者血液ぐるたちよん量ハ減少セリ.而シテ其度一般ニ病症ノ輕重ニ從フ。治療ニヨリ病機正常ニ近ヅクニ從ヒぐるたちよん亦増量ス。三.糖尿病患者ニ經口的ニ葡萄糖三十瓦ヲ投與セバ投與後一時聞ニシテ殆ンド常ニ血液ぐるたちよん量ノ減少ヲ招來ス。四.輕症脚氣患者血液ぐるたちよん量ハ健康者ト大差ナケレドモ重症患者ニアリテハ減少乃至減少ノ傾向ヲ示ス。サレド重症トイヘ共ぐるたちよん減少セザル例外アリ。五.脚氣患者ニ葡萄ヲ投與スレバ輕症者.健康人ノ如ク血液ぐるたちよん増量スレド重症患者ハ減少乃至減少ノ傾向ヲ示ス。サレド重症患者ニオイテモ増加スル例外アリ。
著者
那須 亮
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

卵巣明細胞癌は、抗癌剤耐性を示すため最も予後が悪い卵巣上皮癌である。本研究では明細胞癌幹細胞を標的とした新規治療法の開発を目指した。我々が樹立した明細胞癌幹細胞の遺伝子発現パターンを解析した結果、幹細胞マーカーLGR5の高発現を認めた。さらに、R-spondin-LGR5軸によるWntシグナル活性化の分子機構を解析した結果、R-spondin/Wnt刺激が、Axin1の新規リン酸化を促進することによりWntシグナルを活性化することを見出した。従って、LGR5の細胞外領域を標的とする抗体と、Axin1のリン酸化修飾を標的とする低分子化合物の両方が新規抗癌剤として期待される。
著者
島田 順一 加藤 大志朗 寺内 邦彦 伊藤 和弘
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タッチスクリーン画面を直感的に指でなぞるだけで、ロボットがその軌跡を追随するように手術器具を誘導するタッチスクリーン・コントロールシステムを開発した。安定して動作可能なシステム設計を行い、対象から5mmの距離を保って制御可能となった。実際の手術を想定した焼灼実験で操作精度を解析した。初学者と専門医の操作精度に差は認めなかった。専有回線で繋がった遠隔地からも操作可能なことを実証した。
著者
玉置 辨吉
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.713-724, 1929

赤痢本型菌七日間肉汁培養濾液(生濾液)ト此ヲ攝氏百度ニ煮沸シツツアル重湯煎中ニテ三十分間加熱シタルモノ、即チ煮濾液トヲ牛血清ノ一定量ニ混和シテソレゾレ家兎耳靜脈内ヘ、唯ダ一回ニ注射シ注射後七日目ニ全採血ヲ行ヒテ得タル抗血清卜沈澱元タル牛血清トノ間ニ於ケル沈澱反應ヲ檢シ生成沈澱子量ヲ比較シタルニ、煮濾液ヲ加ヘタル方ハ生濾液ヲ加ヘタル方ヨリモ沈澱素含量顯著ニ大ナリキ。然シテ兩濾液〇・五竓宛ヲ注射シタル際ヨリモ一・〇竓宛ヲ注射シタル方ガ沈澱素産生ハヨリ大ナリキ。又煮濾液ハ對照タル肉汁ト其毒力略々同等ナリシニ拘ラズ、肉汁ヲ注射シタルヨリモ遙ニ強度ノ抗體産生ヲ來シタリ。即チ非細菌性蛋白體ヨリモ細菌性蛋白體ノ方ガ免疫的機轉ヲ強大ニ促進スルモノナルコトガ立證セラレタリ。以上ノ事實ニヨリテ非細菌性蛋白體ヨリモ細菌性蛋白體ノ方ガ凡テ一般ニ免疫的機轉ヲ促進シ、マタ細菌性生蛋白體中ニハ凡テノ免疫的機轉ヲ促進スル物質卜、之ヲ阻止スル物質(いむぺぢん)トノ二種ガ含有セラルルモノニシテ、此中ニテいむぺぢんハ煮沸熱ニヨリテ容易ニ非働性トナルニ拘ラズ免疫機轉促進物質ノ方ハ耐熱性強大ナルモノタルコトガ立證セラレタリ。以上ノ如キ立證ハ從來ハ喰菌作用、補體結合反應同名抗體ノ産生及ビ後天性特殊免疫ノ獲得等ニ就テ立證セラレタル所ナリシガ、非細菌性沈澱素ノ産生ニ際シテモ亦タ此ノいむぺぢん現象ノ立證セラレタルハ實ニ本報告ヲ以テ嚆矢トス。
著者
西野 亮一 井尻 襄次郎 田中 敬二
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.579-587, 1940

肥胖症ノ療法ハ從來種々アリ.或ハ下劑,或ハ減食,或ハ甲状腺劑ノ使用ニヨル.然レドモ食餌ニ一種ノ憧ヲ有スル吾人ニ對シ,長期ニ亙ル減食ハ是ヲ強フル事困難ナリ.又,甲状腺劑ヲ使用セバ,屡々心悸亢進,不眠等ノ神經症状ヲ呈スルニ到ル,コレヲ以テ肥胖症ノ療法ハ今日ノ問題トナレリ.余等ハ數年來,新陳代謝亢進劑α-Dinitrophenolノ單用ニヨリ,或ハ時ニ甲状腺劑ヲ併用シテ肥胖症ヲ處置セリ.而シテ一定ノ注意ノ下ニ於テハ,何ラノ忌ムベキ副作用ナク,自由食餌ノ下ニ相當ノ効果ヲ擧ゲ得タリ.
著者
山田 久勝
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.374-386, 1938

現在實驗的直接的證明ニ缺クルトコロアリト雖,休止,未發芽種子中ノ澱粉分解酵素及,脂肪分解酵素ハ,蛋白質ト複合結合ヲ爲シ,其ノ作用ヲ現サザルモノノ如シ.然レドモせ,發芽過程ニ於テハ,此等ノ酵素ハ遊離状態トナリ,夫々其ノ作用ヲ現シ,含水炭素,脂肪等ノ如キ,種子中ノ貯藏物質ハ,短時間内ニ加水分解セラレ,ソノ移動ヲ來ス.而シテ,斯カル結合状態ニ在ル酵素ガ,分離セラレ活性ヲ帶ブルニ至ル化學的機序ニ關スル疑問ヲ解決セントシテ,多數ノ研究家ガ努力セリト雖,徒ニ諸種現象ノ羅列ニ止マリ,ソノ核心ニ觸レタルモノナシ.然レドモ是等諸説ノ中蛋白分解酵素説最モ優レタルモノノ如シ.著者ハ,第1報,第2報ニ於テ使用シタルト同一材料ヲトリ,植物發育ト蛋白分解酵素トノ關係及,消長ヲ研究セントシテ,本實驗ヲ企テタリ.實驗材料トシテハ,朝鮮順川大豆ヲ使用シ,其ノ風乾大豆,口光遮斷時及,日光照射時ノ胚種部,幼莖部,幼根部ヲ分チ,一晝夜水潤シ,後磨碎シ,10%えむるじおんヲ作リ,氷室内ニ48時間自家融解セシメタル後,其濾液ヲ酵素液トセリ.尚,他方上記各被驗物ニ就テ,總窒素量ヲ測定セリ.緩衝液トシテハ,Sarensenノ枸櫞酸鹽,或ハ硼酸鹽緩衝液ヲpH2.2ヨリ82迄ヲ調製シ,夫々附加セリ.作用基質トシテハKleiman氏法ニヨリテ調製セル,かせえん溶液ヲ使用シ,以上ヲ酵素液ト混合シ,37℃48時間作用セシメタリ.斯クシテ遊離セル,あみの窒素ヲFormoltitrationニヨリテ測定セリ.實驗成績ヲ總括スレバ次ノ如シ.1.順川大豆ヲ使用シテ,風乾大豆,日光遮斷時並ニ日光照射時ノ發芽種子ニ就テ,蛋白質分解酵素ヲ測定セリ.2.蛋白質分解酵素ハ風乾大豆,日光遮斷時並ニ日光照射時ノ胚種部,幼莖部,幼根部ニ之ヲ證明セリ.3.蛋白質分解酵素ノ活性ラ比較スレバ,次ノ如シ.日光照射時發芽種子>日光遮斷時發芽種子>休止種子4.發芽種子,各部ノ蛋白質分解酵素ノ活性ハ次ノ順序ニテ減弱ス.幼根部>幼莖部>胚種部5.蛋白質分解酵素ノ至適pHハ次ノ如シ.休止種子pH4.6日光遮斷時胚種部pH4.6日光遮斷時幼莖部pH4.6日光遮斷時幼根部pH4.6日光照射時胚種部pH4.6日光照射時幼莖部pH5.5日光照射時幼根部pH5.56.大豆發芽ノ際ニ於ケル澱粉分解酵素,脂肪分解酵素及,蛋白質分解酵素ノ發現,且是等ノ相互關係ヲ論ゼリ.
著者
藤井 一雄
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.855-884, 1934

約45年前Rey Pailhade氏ガ酵母並ニ動物細胞中ヨリ1物質ヲ發見セリ.其物質ハ化學的性状ニ就キテハ明カナラザレドモ水素ヲ放出シ硫黄ヲ硫化水素ニ還元セシムルモノニシテ,之レヲPhilothionト稱セリ.1908年Heffter及ビMeyerhof氏等ニ依リ次ノ如キ事實ヲバ確證セラレタリ.即チ其物質ハ分子中ニSulfhydrylgruppeヲ有シ,併セテNitroprussidreaktionヲ呈シ組織中ノOxydoreduktiohニ就キテハ重要ナル役目ヲ演ジ恐ラクハ此ノSulfhydrylgruppeハ組織呼吸ニ關シテハ大ナル意義ヲ有スルモノナラント.其後1921年Hopkins氏ハ其組成構造ヲ檢索シ之レヲぐるたちおんト命名シちすていん及ビぐるたみん酸ヨリ成ルDipeptidナラント思考セシモ進ンデ研究ノ結果ぐるたみん酸,ちすていん及ビぐりここーるヨリ成ルTripeptidナル事明カトナレリ.飜テ一方べんつおーる並ニなふたりんノはろげん置換物質ハ動物體内ニ於テハめるかぷつーる酸ヲ合成シ尿中ニ排泄セラレ,即チ動物體内ニ於テハぶろーむべんつおーるハあせちりーる化ちすていんト結合シp-Bromphenylmercaptursaureヲ形成ス.Hopkins氏ニ依レバ動物細胞中ノ遊離ちすちん及ビちすていんハ極メテ少量ニシテ,而カモ細胞中ノSH化合物ノ大部分ハGlutathionトシテ存在ス.ぐるたちおんトめるかぷつーる酸トハ互ニ其分子中ニちすていんヲ所有セル點ニ於テ甚ダ相似タリ.斯ノ如クぶろーむべんつおーるガ諸臟器ノぐるたちおん量ニ對シテ如何ナル影響ヲ及ボス哉ヲ檢シ,更ニべんつおーる及ビ其誘導體或ハぶろーむべんつおーるガ動物ニ惹起セシムル主症状即チ痙攣及ビ麻痺ガぐるたちおん量ニ及ボス影響ヲ考慮シ,他ノ種々ナル痙攣毒素或ハ麻醉劑等ト比較研究シ,ぶろーむべんつおーる獨自ノ作用ヲ檢索セリ.而シテ著者ハぐるたちおんヲTunnicliffe氏ノ方法ニ依リ測定シ次ノ結果ヲ得タリ.1)先ヅぶろーむべんつおーるノ生理的作用及ビ最小致死量ヲ蛙,廿日鼠及ビ白鼠ニ就キ檢索セリ.ぶろーむべんつおーるヲ蛙ノ腹部淋巴嚢内ニ注射シタル場合,其最小致死量ハ體重10g.ニツキ30mg.也.廿日鼠ニ於テハ皮下注射ノ際體重10g.宛15mg.白鼠ニ於テハ45mg.也.2)ぶろーむべんつおーるハ動物ニ於テ諸臟器ノぐるたちおん量ノ大ナル減少ヲ惹起セシム.蛙ニ於テハ筋肉ノぐるたちおん量ハ注射後2時間ニテハ何等認ムベキ變化ヲ來サザルモ4時間後ニテハ梢々著明ナル減少ヲ呈ス.廿日鼠ニテハぶろーむべんつおーる注射1時間後ニテ共肝臟還元ぐるたちおん量ハ50%,又2時間後ニテハ36%ノ減少ヲ認ム.白鼠ノ際ハぶろーむべんつおーる注射1時間後ニ於ケル諸臟器ぐるたちおん量ノ變化ハ尚誤差範圍内ニ留マリ,2時間後ニ於テ肝臟ノぐるたちおんハ著明ニ即チ32%,脾臟16%,腎臟並ニ肺臟ハ各々14%減少ス.心臟及ビ筋肉ハ何等特種ノ減少ヲ認メズ.3)白鼠ノベんつおーる中毒ノ場含,各種臟器ぐるたちおん量ハ増加或ハ増加ノ傾向ヲ示ス.脾臟ノぐるたちおん量ハ梢々著明ニ即チ19%増加ス.其他ハ肝臟ヲ除キ誤差範圍内ノ増加ニ過ギズ.而シテ肝臟ノぐるたちおん量ノミハ極メテ少量即チ誤差範圍内ノ減少ヲ示ス.4)あにりんハ白鼠ノ肺臟及ビ心臟ノぐるたちおん量ヲ梢々著明ユ増加セシム.腎臟,筋肉及ビ肝臟ニテハ極メテ少量ノ減少ヲ示ス.脾臟ノぐるたちおん量ノミ變化ヲ認メズ.5)ふえのーるニ關スル實驗ニテハ白鼠ハ肝臟及ビ膵臟ノぐるたちおん量ノ増加ヲ來ス.共他ノ臟器ノぐるたちおん量ノ變化ハ極メテ僅少也.6)廿日鼠ノかんふる中毒ノ場合肝臟ノぐるたちおん量ハ注射後ニ於ケル時間ノ經過ト共ニ増加スルカ,或ハ不變化ニ留マル.白鼠ニ於テハ注射1時間30分乃至2時間後ニテハぐるたちおん量ハ脾臟11%,肺臟46%膵臟18%ノ増加ヲ示シ,共他ノ臟器ハ各々誤差範圍内ノ變化ニ留マル.7)いんしゆりん少量皮下注射ニ於ケル白鼠肝臟ぐるたち治ん量ハ注射1/2乃至1時間後ニ於テハ梢著明ニ増加シ,之レニ反シ1,1/2時間後ニテハ減少ヲ來ス.而シテ2時間後ニテハ再ビ正常値ニ復ス.いんしゆりん大量注射時ニ於テハ其結果ハ殆ンド少量ノ場合ニ於ケルト相等シ.8),廿日鼠ノあべるちん麻醉ニ於テハ其肝臟ぐるたちおん量ハ注射後ニ於ケル時間ニ從ヒ種々ナル結果ヲ招來ス.注射後1/2時間ニテハ稍々増加シ,1時間後ニテハ對照ニ等シク11/2時間後ニ於テハ稍々著明ニ減少シ,2時間後ニテ再ビ正常値ニ復ス.9)抱水くろらーるハ廿日鼠肝臟ぐるたちおん量ヲ,皮下注射後1時間ニテ中等度ノ減少ニ導ク.10)少量るみなーるなとりうむニ依ル廿日鼠麻醉ノ場合,其肝臟ぐるたちおん量ハ,皮下注射1時間後ニテハ極メテ僅少ノ増加ヲ,大量ニ依ル深キ麻醉ノ際ハ之レニ反シ著明ナル減少ヲ惹起ス.
著者
藤井 一雄 岩瀬 元治郎
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.292-297, 1934

余等ハ先ノ研究ニ於テぐるたみん酸及ビちすちんヲ含有セル血液ヲ以テ家兎ノ剔出肝臟ヲ灌流シタルニ臟器並ニ血液中ノぐるたちをん量ハ何レモ僅ニ増加スルヲ見タリ.依テ余等ハ更ニ進ンデ青酸加里,硝酸すとりひにん並ニふゑのーるノ家兎剔出肝臟ぐるたちをん含有量ニ對スル影響ヲ攻究シテ次ノ成績ヲ得タリ.1)灌流實驗ニ際シ青酸加里ハ血液内ぐるたちをん含量ノ強キ増加ヲ來サシムルモ肝臟ノぐるたちをん含有量ニハ影響ヲ見ズ.2)すとりひにんヲ以テ肝臟ノ灌流ヲ行フニ肝臟並ニ血液ノぐるたちをん量ハ變化セズ.3)ふゑのーるヲ以テ肝臟ノ灌流ヲ行ヘバ血液ノぐるたちをん量ハ著シク減少スレ共肝臟内ぐるたちをんノ減少ハ著シカラズ.
著者
岩瀬 元治郎 藤井 一雄
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.287-291, 1934

ぐるたちをんハ生體ニ於ケル唯一ノ自家酸化物質ニシテ酸化及ビ還元ニ關與ス.ぐるたちをんノ構造及ビ組成ニ關シテハHopkinsハ其ノ發見當時ニ於テぐるたちをんハちすちん及ビぐるたみん酸ヨリ成ルDipeptidナラムト思考セシモ其後詳細ナル研究ノ結果Dipeptidニ非ズシテぐりちん,ぐるたみん酸及ビちすていんヨリ成ルTripeptidチルコト明カトナレリ.1930年Binet,Blanchetiere及ビArnandet等ハちすちん及ビぐるたみん酸ヲ含有セル枸櫞酸血液ヲ以テ副腎ヲ灌流セルニ臟器及ビ血液中ノぐるたちをんハ最初ノ倍量ニ増加セルヲ見タリ.依テ余等ハ岩瀬ガ改良シタルSkramlickノ灌流裝置ヲ使用シ家兎ノ剔出肝臟ヲちすちん並ニぐるたみん酸ヲ含有セシメタル血液ヲ以テ39℃ニテ30分間灌流ヲ行ヒテ是等ノあみの酸ヨリぐるたちをんガ肝臟内ニ於テ合成セラルヽ哉ヲ研索シタルニ對照實驗ニ比シ肝臟並ニ血液内ぐるたちをん量ノ増加スルヲ見タルヲ以テ其ノ合成能力有ルヲ知リ得タリ.
著者
西 真弓 坂本 浩隆
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

脳内コルチコステロイド受容体にはグルココルチコイド受容体(GR)とミネラルコルチコイド受容体(MR)の2種類が存在し、いずれもホルモン誘導性の転写制御因子であり、低分子脂溶性ホルモンのコルチコステロイドとの結合により活性化され、細胞質から核へ速やかに移行し、脳内で発生、分化、ストレス応答など多彩な作用を発揮することが知られている。また共通のリガンドであるコルチコステロイドに対して、MRはGRよりもおよそ10倍親和性が高いことも知られており、この親和性の差を反映して恒常状態ではMRが主として活性化されるのに対し、ストレス状況下などコルチコステロイドの分泌が増加した状態ではMRに加えてGRも活性化されると考えられている。しかしながら、ストレスやサーカデイアンリズムなどに伴いダイナミックに変動するホルモン環境に対し、これら2つの受容体がいかにして神経細胞の突起、細胞質から核へ移行し、標的遺伝子の転写を調節するのか、という生物学にとって極めて基本的かつ重要な問題が未だ明確にされていないのが現状である。本研究では、これら受容体が核局在化シグナル(nuclear localization signal ; NLS)を有することから、このNLSを認識する輸送因子であるインポーチンαおよびβに着目した。平成17年度は、海馬培養神経細胞にCFP-GRあるいはCFP-MRとYFP-インポーチンαの種々のサブタイプを共発現させ、コルチコステロイドを投与した際に受容体とインポーチンαが同時に核内へ輸送されるかを、live cell imagingの手法を用いて解析した。その結果サブタイプにより、核輸送に違いがあることが明らかになった。平成18年度は、GRとインポーチンα1あるいはα3は結合するが、これら複合体は樹状突起から細胞体、核の方には輸送されない、という2点に必要な部位の決定を行い、ミュータントを作成した。現在、受容体とインポーチンαとの複合体を核へ輸送するモーター分子を探索する実験が進行中である。
著者
奥山 智緒
出版者
京都府立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

2006年5月より2009年4月までに施行されたFDG-PET検査あるいはFDG-PET/CT検査5,027例中偶発的に甲状腺への集積を指摘された125症例の中で、組織学的検証がなされたものをretrospectiveに検討しそのFDG集積にと良悪性を検討したところ、FDG-PET検査にてincidentalに甲状腺にhot spotを認めた症例の中で、悪性病変は27例、生検にて良性と判断され経過観察となっている症例は18例あった。これらのFDG-PETの集積を半定量的にSUVにて比較検討したところSUVmax(mean±S.D)は、悪性で3.8±5.4、良性で2.3±3.7で良群間に有意差は認められず、FDG集積にて良悪性を鑑別することは容易ではないと考えられた。FDG-PET/CT症例より、甲状腺にFDG集積を有する症例から、MRSを施行し結節を摘出する症例を抽出。2010年4月~2011年3月に当院にてFDG-PET/CTを施行した1535例の中で、甲状腺に診断が未確定な結節を認めた症例は52例、うち、FDG集積を有する症例は18例で、その中で結節のサイズが1cm以上のものは6例であったが4例においては、原疾患の診療が優先され、甲状腺結節の精査は見合わされた。残る2例は、頸部超音波検査にて腺腫様甲状腺腫と診断され、摘出や生検は施行されなかった。当初、本研究においては、FDG陽性の甲状腺結節に対し、1H-MRSによる甲状腺結節のコリンピークの検出と、良悪性の評価を行う事を目的としていたが、対象症例の登録が困難な状態と判断し、次の検討に移った。甲状腺癌にて甲状腺全摘後の患者において、FDG-PETやI-131にて集積を確認された転移病巣に対して1H-MRS studyの有用性を検討した。甲状腺癌全摘出術後のFDG陽性の頸部病変、上縦隔病変は5mm以上の病変をMRI上確認できるが、MRSの基線の振れが大きく有意なスペクトルを取ることは困難であった。甲状腺術後にみられる頸部小結節について質的診断のために1H-MRSを使用するためには、現時点では課題が多いと考えられた。
著者
丸中 良典 新里 直美 中島 謙一 楠崎 克之 芦原 英司 細木 誠之 宮崎 裕明 山田 敏樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アルドステロンが、管腔側膜結合型プロテアーゼ発現・活性を亢進させることにより、ENaCの管腔側膜上滞在時間を増大させることを明らかにした。1)アルドステロンの投与の有無により管腔側膜結合型プロテアーゼ(channel activating protease : CAP)の発現が促進されることをウエスタンブロッティング法を用いて確認した。この結果、アルドステロン投与により、CAPの発現および活性とも、増大することが明らかにした。2)上記の結果、アルドステロン投与によりENaCのクリベッジが促進され、リサイクル効率を増大させることを明らかにした。
著者
SN
出版者
京都府立医科大学
雑誌
校友会雑誌
巻号頁・発行日
vol.34, pp.56-59, 1904-06-30
著者
手越 達也
出版者
京都府立医科大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

接着分子の発現(1)カドヘリン骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)、腹腔マスト細胞(PMC)、メチルセルロースコロニー培養小腸上皮(M-IE)、腸管膜リンパ節細胞由来(M-MLN)マスト細胞をRT-PCR、FACS、免疫染色、ウエスタンブロット法で解析した結果すべてのマスト細胞においてE-カドヘリンの発現を確認した。しかしながらN-カドヘリンの発現は腹腔マスト細胞には認められなかった。また、P-カドヘリンの発現はすべてのマスト細胞において認められなかった。(2)CD103(αIEL)/β7インテグリンE-カドヘリンのリガンドの一つであるCD103(αIEL)/β7インテグリンのβ7発現はBMMC,PMC,M-IE,M-MLN由来マスト細胞すべてにおいて発現を確認した。CD103は通常のBMMCにおいて発現が認められないが、TGF-β1,PMA刺激により発現する。我々はこれらの刺激の他にIgE刺激によっても発現することを見出した。E-カドヘリンの機能(3)分化・増殖マスト細胞前駆細胞からマスト細胞に分化・増殖する過程でE-カドヘリンの関与を明らかにするため、小腸上皮単核球をメチルセルロースコロニー培養法で、形成するマスト細胞コロニーの数を解析した。E-カドヘリン抗体・ペプチドを添加した群では形成するコロニー数がコントロール抗体・ペプチド群と比較し有意に減少した。マスト細胞に分化した後の増殖にE-カドヘリンが関与しているかBMMCを用い、抗体・ペプチドをメチルセルロース培養に添加し、形成するマスト細胞コロニー数を解析した。E-カドヘリン抗体・ペプチドを添加した群はコントロール抗体・ペプチド群と比較し有意にコロニー数が減少した。(4)細胞接着E-カドヘリンを発現する上皮細胞株F-9とBMMCの細胞間接着をbinding assayで調べた結果、E-カドヘリンを介した細胞間接着を確認した。TGF-β1刺激によりCD103を発現させたBMMCではインテグリンの活性化(マンガンの添加)によりF-9細胞とBMMCの接着割合が増加した。
著者
小島 治
出版者
京都府立医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1.Zoladexの抗腫瘍効果の基礎的検討1)ヒト培養胃癌細胞(KATO-III細胞とMK01細胞)とヒト培養乳癌細胞(HBC-4細胞とHBC-5細胞を用いてZoladexの抗腫瘍効果を検討した。胃癌、乳癌ともFR陽性細胞(KATO-III細胞とHBC-4細胞)の増殖を抑制した。1×10^<-7>MのE_2を加えるとZoladexの効果がよく発揮された。2)ヌードマウスヒト移植胃癌、乳癌培養細胞をメスヌードマウスに移植して、それぞれの細胞によってつくられた同型腫瘍の増殖を検討した。Zoladexを投与すると、ヌードマウスの血清E_2濃度は著明に低下し、それに伴い腫瘍の増殖も抑制された。FR陽・陰性細胞間の増殖の差は認められた。2.ヒトスキルス胃癌患者へのZoladexの投与1)ヒトスキルス胃癌患者へのZoladex投与による血清E_2の変化は投与4〜5日目より著明に低下し、同閉経前女性患者におけるE_2の低下は最大であった。高齢女性では投与前のE_2が低いので、Zoladex投与の影響はあまりなかった。しかし、E_2の高い男性患者ではE_2の低下が認められた。Zoladexの投与量は乳癌の投与量と同じ量であった。2)Zoladex単独投与によるヒトスキルス胃癌の抗腫瘍効果は明瞭でない。現在、予後を検討しているところである。以上、Zoladexをヒトスキルス胃癌患者へ投与して、その安全性は認められている。その治療効果、予後に対する影響を今後検討せねばならない。