- 著者
-
牧野 健一
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.12, pp.1166, 2018 (Released:2018-12-01)
- 参考文献数
- 5
- 被引用文献数
-
1
「ひらめき」は,突然かつ瞬間的になされる学習であり,心理学においては洞察学習と呼ばれる学習機構である.らに,洞察学習の特徴として,学習の成立に伴った快と驚きの情動反応,すなわち「アハ体験」(Aha! moment)が生じることが知られている.近年では,洞察学習時における脳活動に関して,主にヒトfMRIを用いた研究が行われている.現在までに,洞察学習に付随した前帯状皮質や海馬などの脳領域の活動上昇が報告されている.しかしながら,洞察学習時における脳活動は,特に皮質下領域の活動性に関しては,未だ十分に明らかとなってはいない.本稿では,7Teslaの超高磁場fMRI(7 T fMRI)を用いることで,アハ体験と相関したドパミン神経系の活動を捉えることに成功した知見を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Köhler W., “The mentality of apes”, Routledge & Kegan Paul, London(1925).2) Topolinski S., Reber R., Curr. Dir. Psychol. Sci., 19, 402-405(2010).3) Luo J., Niki K., Hippocampus, 13, 316-323(2003).4) Aziz-Zadeh L. et al., Hum. Brain Mapp., 30, 908-916(2009).5) Tik M. et al., Hum. Brain Mapp., in press.