著者
童 江明 李 幼均 伊藤 寛
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.815-821, 1997

日本の味噌・醤油のプロトタイプといわれる醤は古い歴史の中で発展してきただけあって, その種類は多岐にわたり, 今日では非発酵のドロドロした調味料も含まれる。その醤の歴史, 原料と製造法, 製品の品質特性および用途などについて, 中国で製造と研究の実務を担当している著者の情報を中心に纏めていただいた。その1は原料別に異る醤についての総論であり, その2, 3は代表的生産地における醤の各論である。
著者
村上 雄哉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.728-735, 2016

日本産食品の海外輸出は,国の施策の後押しもあって増加しているが,イスラーム食品市場では,ハラールやハラール認証への理解と対応が必要だ。しかし,ハラールやハラール認証については,なじみが薄くよく知られていない。また,国により詳細は異なっている。これらの実態に詳しい専門家に,ハラールやハラール認証,イスラーム圏のマーケットの実態について解説をいただいた。
著者
三鍋 昌春
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.7, pp.466-474, 2001

日本初の国産ウイスキ-はスコッチウイスキーを範として始まった。その後日本人の味覚にあったウイスキーを追求するようになり, 製造方法に独自の手法が採り入れられるようになった。ウイスキ-の製造方法はすでに周知のとおりであるが, 国産ウイスキーの品質の特徴が製造工程のどの段階のどのようなメカニズムによるものなのか興味深いところである。<BR>本稿ではウイスキーの製造方法に造詣の深い筆者に, 国産ウイスキ-が生まれた経緯と国産ウイスキーの製造方法を解説していただいた。また, 日本におけるウイスキーの将来についても言及していただいた。

2 0 0 0 OA 原料処理

著者
丸山 新次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.184-190, 1998-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
25

新人の方々のために, これから6回にわたって, 清酒の基本技術について解説いただく。今回は, 原料処理について非常に詳しい筆者に解説いただいた。一通り酒造技術を学ばれた中堅の方々にとっても, 十分参考になるものと思われる。
著者
井上 道隆
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.141-146, 1967-02-15 (Released:2011-11-04)

最近, おいしいしょう油あるいは “だししょう油” としてイノシン酸など核酸系の旨味成分が添加され発売されている。ところが生しょう油ではこれを入れても分解されてしまい効果がなくなる。それは生しょう油中に分解酵素があるからである。さて, その酵素とは一体どんなもので, どんな性質か?これを無力にするための火入温度は?この調味料の添加量はどの位が適量か?

2 0 0 0 味噌飲料

著者
大野 彰一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.12, pp.885-891, 2000

"ご飯と味噌汁" は, われわれ日本人の食事の原点である.現在でも, 味噌の用途のほとんどは味噌汁用で, 一部が鍋料理など料理用, たれ, 味噌漬などに使われる。しかし, 昨今の食の洋風化, 米ばなれなど食生活の変化に伴い, 味噌入り洋風スープ, サラダドレッシングなど, 新しい味噌利用の調理例も多い。多様化する消費者のニーズとあいまって, 味噌を用いた新商品も多数販売されているが, 飲料の分野に味噌を用いた商品例は未だない。筆者は, 味噌の栄養成分, 機能性に着目され, 味噌の飲料原料としての適性を検討され, 味噌を用いた保健飲料, その製造技術を開発され, 商品化の可能性も示された。この味噌飲料について, 詳細に解説していただいた。
著者
山下 貞利
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.401-404, 1972

新しい味噌工場が全国に続々と建設されて行く, 頼もしい限りである。ここには新進気鋭の技術者の力を結集した, 創意に富んだ事例を御紹介願った。<BR>新工場建設の目標を高く掲げて計画するというのが近来の味噌工場の傾向のようである。大いに参考にしていただきたい。
著者
岩野 君夫 伊藤 俊彦 中沢 伸重
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.526-533, 2004-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
4 8

1, 吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒及び普通酒のアミノ酸組成を調べ平均値の差の検定を行った結果, 製造区分間に全アミノ酸含有量と組成に大きな違いが認められ, 醸造法の違いが製成酒のアミノ酸組成に影響することを知った。2, アミノ酸を甘味,酸味,苦味,その他の4区分にグルーピングし, 各種清酒間の有意差を調べた結果, 吟醸酒は他に比べて甘味アミノ酸, 酸味アミノ酸の割合が高く苦味アミノ酸が少ないなど, 製造区分によって構成比が異なることが明らかとなった。3, アミノ酸を変数とする変数選択型判別分析を行った結果, グルタミン, プロリン, リジン, グルタミン酸, アラニン, ヒスチジンの6個のアミノ酸を変数として吟醸酒, 純米酒, 本醸造酒及び普通酒を高精度で判別できる判別関数を得た。
著者
松井(岡村) 徳光 大杉 匡弘
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.766-773, 2002-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

酒類は酵母のアルコール発酵力を利用して製造されている。最近, きのこがアルコール発酵するという興味深い現象が発見され, 酵母の変わりにきのこを用いて酒類が製造された。製成酒には疾病の予防効果を示す成分が検出され, お酒の機能性が強調された品質になっている。酒類の品質や製造方法の今後の展開を模索する上で本研究は貴重な情報を提供している。
著者
西谷 尚道
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.7, pp.489-500, 2002-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

日本の伝統的な蒸留酒である本格焼酎と泡盛は, それぞれ独自の製造方法と酒質を確立している。一方, 現在の酒税法では焼酎は「アルコール含有物を蒸留したもの」と定義され, 本格焼酎と泡盛の顔が見えてこない状況にある。本格焼酎と泡盛が世界に向けて発展するためには, 国際的に通用する定義の必要性は論を待たない。本格焼酎と泡盛の21世紀の展望シリーズ第2弾として, 筆者に本格焼酎と泡盛の定義について展望していただいた。
著者
秋山 裕一 田中 利雄 熊谷 知栄子 岡崎 直人
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.352-360, 1982-06-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
24

自然界における物質輪回・ロがみ酒の歴史を現代の科学で眺め, 追求し, 新しい醸酒法の確立に迫ろうとする技術を紹介していただいた。その進め方が清酒を目標とするか新しい酒類を目標とするかと著者も問いかけている。真の理は常に漸近線の上にあリ, これからの発展が期待される。
著者
吉田 充 堀金 明美
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.10-16, 2008-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3 2

日本においては, 炊飯前に米を水に浸けることが習慣となっている。これにより米粒の中に水が浸透し, 加熱されたときに米粒の中心までデンプンが充分に糊化して米がふっくら炊きあがる。弥生時代の昔から米を栽培し, 米食に親しんできた日本人のやり方である。日本酒の醸造においても, 麹菌を生育させる米は, 蒸す前に水に浸す。浸漬時の米粒内への水の浸透とその結果である粒内水分分布は, 炊飯後, 加工後の米やその加工品の品質を決定する重要な要因である。そこで, 水の分布を画像化できる磁気共鳴画像法 (magneticresonanceimaging, MRI) を用いて, 浸漬過程における米粒中の水分分布変化を追ってみたところ, 水の浸透経路や水分分布は, 米の胚乳のデンプン細胞の粗密や並び方を反映し, 炊飯用の品種コシヒカリと, 酒米用の品種山田錦とでは, 水の浸透パターンが異なっていた。このことから, MRIにより米粒内への水の浸透を観察することで, その米の加工適性の一面を評価できるのではないかと期待される。
著者
本藤 智
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.868-877, 1997-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
33

米味噌も清酒と同様米麹を醸造原理の基本とする点で一致する。永年信州味噌研究所で研究業務に携わってこられた著者は, 2年前から清酒醸造技術を専攻されることになったので, この機会に両醸造技術対比につき概説をしていただいた。味噌醸造技術の新しい展開にお役に立てれば幸いである。
著者
神渡 巧 瀬戸口 眞治 緒方 新一郎 間世田 春作
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.729-736, 2003-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

We developed a method for the measurement of mono-terpene alcohols, whose characteristicsare strongly related to Kansho Shochu. The targeted compounds are nerol, geraniol, citronellol, linalool, and α-terpineol. Porapack Q was used as an adsorbent. Kansho Shochu was extracted and concentrated by solid phase extraction in order to determine the mono-terpene alcohols. Recovery of each compound by this method was 84-100% and was not influenced by compounds other than alcohol. The correlation coefficient of the calibration curve was 0.993 and above. Reproducibility (n=5) at relative standard deviation was 3.0% and below. The relative error was 2.3% and below when compared with standard addition method. In the present work, we discovered the existence of Vanillin in Kansho Shochu.
著者
金村 敦夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.326-332, 2007-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
7

筆者は酒造会社の販売部門で50年も, 飲酒の現場に深くかかわって来て,「酒道」はどうなっているか,「飲酒の品格」はどうか,「これで将来は?」などと深い思いを重ねて来たにちがいない。筆者は飲酒の歴史を調べ, その作法 (酒道) の由って来たるところを調べ論じている。酒道は自然や稲作を通しての祈り, 神祭の中から「盃事」となり, 武家の「武三献」そして「三三九度の盃」として長く伝えられて来た。一方, 世相の変化と共に飲酒に無礼講や一気飲みの酔態など, 乱れが案じられる, と。しかし筆者は日本人の品格ある飲酒の道は日本人の和の心, 繊細な感性と武士道の精神があるから大丈夫だろうと説いています。お酒を提供する側の方々には, 生活様式が変ってしまっている今日ですが, 品格ある飲酒の道を実践して, 楽しい会話や団樂によって愛酒をひろげ, 業界の活性化にも, と願うものです。