- 著者
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日高 修
- 出版者
- 公益財団法人 日本醸造協会
- 雑誌
- 日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.9, pp.623-628, 1987-09-15 (Released:2011-11-04)
- 参考文献数
- 9
醤油醸造はそもそも大豆, 小麦および食塩を主原料としていたが, 大豆中に含まれる脂質は調味料製造に不要, 少なくとも重要な役割を演ずることはないとの判断で, 戦中の原料供給事情の厳しさの中では, 大豆油は直接食用とし, その抽出後の脱脂加工大豆を使用する方が合理的であった。そして, 戦後もずっと脱脂加工大豆が醤油の主要蛋白原料として使用されてきたが, 最近, レトローグルメー自然食品志向の線に浴って, 再び丸大豆使用の醸造技術が見直されるようになった。しかしながら, 丸大豆は, 形状, 組織, 化学成分などの面で脱脂加工大豆とは著しく異なリ, それが, 製造工程, 醸造期間, 製品収率, 製品品質への影響は無視しえぬことが判り, すでに部分的には問題点の改良がなされるようになった。今回は, それらの問題点の摘出と改良につき, 最新の微生物的, 酵素的ならびに化学的解析技術を駆使して取組んできた研究成果につき解説して頂いた。