著者
境 博成
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.187-196, 2007-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
17

現在, 日本の酒類業界では第3のビールと呼ばれる発泡性飲料とチューハイ類の新製品が市場を賑わしている。これらのジャンルの開発は正にメーカーの知恵の勝負で, 多岐に渡る素材が集められ, 使われている。サイダーも日本ではフランス風にシードルと言う名称で商品化されているが, その販売数量は極小さい。一方, 英国では伝統的なサイダーが, ビールと共に国酒とも言える存在として脈々と飲まれ続けている。近年リンゴの健康に対するメリットが次々と明らかにされていることも考え合わせれば, 英国サイダーの現状について詳述されたこの総説は, 単にサイダーの紹介というだけでなく伝統的な酒類の生き残り戦略に多くの示唆を与えてくれる。
著者
安田 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.839-842, 1983-11-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1 1

酒の肴としても珍重され, チーズに似た舌ざわりとウニのような風味をもつ沖縄の発酵食品「豆腐よう」の歴史と製造法等について解説していただいた。

3 0 0 0 OA 品質で推す

著者
編集部
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.548-551, 1971-06-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1

味噌業が中小企業構造改善の指定業種となり, 今その改善事業計画が実施に移されつつあるようである。そしてまた, 構造改善のあとに来るべきものは何であろうかという論義をも呼んでいる。ともかく小規模企業にとり悲観的材料ばかり多い現在であるが, 品質第一主義に徹し企業存立の基盤を鞏固にしている諸例のあることを紹介できるのは喜ばしいことであり, 明るい材料ではあるまいか。各地の産地企業にお尋ねしたところ, 快くお応え下された次の三つの, それぞれ異色ある事例を紹介することにした。その1は大消費地に新しく販路を開拓した例, その2は地方銘柄品として市場に広く普及し定着した例, その3はその品質が高く評価され, 地方市場に確固たる信用を得ている例である。
著者
小崎 道雄 飯野 久和 岡田 早苗 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.193-198, 2000-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

ラオスは周辺諸国のタイやインドネシアなどに比べて, まだ近代化の波にそれぽど洗われてなく, 古くからの生活文化を残している。今回は, そのラオスにおける酒と麹について解説していただいた。

2 0 0 0 OA 酒母 (1)

著者
黒須 猛行
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.334-343, 1998-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
2

優良酵母を安全かつ大量に培養する工程が, 酒母造りである。酒母にはいろいろな種類があるが, 重要ポイントは共通である。そこで, 今回は酒母の基本技術について, 著者に解説していただいた。

2 0 0 0 OA 柿澁の化学

著者
中林 敏郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1149-1154, 1968-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

今, 酒屋の店頭には皆テリのよい酒が並んでいる。これは商品として至上命令であるからである。そのオリ下げ法には柿渋を中心とした方法と酵素法などがある。私共は経験的に柿渋法のすぐれていることを知っている。しかし, その効果がどうも一定しないとか, その品質がわからないなど問題も多い。柿渋についての知識を正しくかつ豊富にするためにぜひ一読願いたい。
著者
須見 洋行
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.513-519, 2001-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

昔から酒は百薬の長と言われる。お酒が持つ健康上の機能についてはお酒好きのみならず大変興味があるところであり, また酒類業界としても需要拡大を図る上で大きな期待がある。筆者は酒類の飲酒の比較実験の中で, 本格焼酎と泡盛には人間の血栓溶解活性を増大させる高い機能があることを明らかにした。そこでその実態を記述していただくとともに, 適正飲酒についても言及していただいた。
著者
秋山 稔 三上 慶浩
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.3, pp.178-185, 2006-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

貯蔵に伴う蒸留酒のクラスターサイズの変化を定量的に決定するために(1) マクロなクラスターサイズを (1) 式と (2) 式で定義した。(2) エタノール水溶液での水分子とエタノール分子の水和クラスターへの分率であるPwとPEとを贋-NMRにおける化学シフト値の濃度変化から (5) 式により求めた。(3) 蒸留酒として, ウィスキーを選び, ウィスキーでの分率Pw*とPE*とをPwとPEを基礎にし, ウィスキーとエタノール水溶液から蒸発する水分子数の比とエタノール分子数の比を測定することによって, (12) 式から算出した。(4) 算出されたPw*とPE*から (4) 式により, ウィスキーでの3種のマクロなクラスターサイズを求めた。(5) 本研究で定義されたマクロなクラスターサイズの25年の貯蔵に伴う変化はエタノールクラスターで大きく減少しているが, 水和クラスターと水クラスターではそれに較べて小さい。
著者
松浦 一雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.13-17, 1994-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6

食品加工分野ではマイクロ波, 高周波, 遠赤外線, 超高圧, 超音波などの様々な物理エネルギーが利用されるようになってきた。超音波は魚群探知, 洗浄, 医療診断等の産業分野へ広く利用されているが, 食品産業分野への利用は最近のことである。ここでは酒類醸造分野での利用について, 超音波により酵母に阻害的に作用する溶存炭酸ガスを低減させることによって発酵制御を試みた例について解説していただいた。
著者
村上 満
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.869-873, 1984-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
7

ビール醸造の歴史を語るときに修道院の果した功績を忘れることは出来ない。近代的なビール醸造に携わる著者が, 中世のビール醸造に寄せる夢は男のロマンともいえよう。
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.8, pp.674-681, 1999-08-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Kona-koji was prepared without the addition of a koji starter (Tanc-koji) for the production of Imo-shochu. The spores of molds carried in the air affected growth during the preparation of koji. So, we isolated the spores of molds from the vicinity of the places used for the preparation of koji and production of shochu.As shown by the results, a 103 order of colonies per gram·koji of A. oryzae were isolated from kojimuro solids, shochu distillery solids and from the leaves of N. antiqua that are used to wrap the koji A. oryzae spores were also isolated from the air of the koji-muro and shochu distillery. In addition spores of A. niger and other molds were also isolated.We measured the enzyme activity of these strains and investigated their physiological characteristics. Their acidity was higher than that of the standard strains. The characteristics of these strains agreed with those of strains isolated from kona-koji. Therefore, we found that spores of Aspergillus sp. were mixed with the raw material for koji from the leaves of N. antiqua or airborne spores, and these spores grew during the preparation of koji.Further more, spores of other mold contaminating koji were isolated from the leaves of N. antiqua, but they were not detected in the koji. We found that their mold were selected against as the temperature of koji rose to 40C during its preparation.
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 金内 誠 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.849-852, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

青ヶ島の芋焼酎製造に用いられる粉状麹の諸性質を調べた。(1) 粉状麹の製麹過程中の水分含量の変化は, 引込み時に45.0%であったものが, 7日目の出麹時は, 32.0%まで減少した。これは, 一般的な散麹の値より10%程度高かった。(2) 粉状麹の製麹中の酸度は, 出麹まで増加し続け, 4.0meに達した。これは, 一般的な焼酎用麹の酸度よりわずかに低いものであった。(3) 粉状麹の出麹時の各種酵素力価は, AAは1, 100U/g・麹, GAは260U/g・麹であり, 白麹菌を用いて製麹した焼酎用麦麹と比べて, AAで約12倍, GAで約1.4倍高かった。APは11,900U/g・麹で, 焼酎用麦麹と同等であり, ACPは9, 800U/g・麹で, 約3倍高い値を示した。また, 耐酸性α-アミラーゼは530U/g・麹だった。(4) 粉状麹の製麹過程中の細菌酸度は, 製麹開始後, 4日目に3.1meに達したが, その後減少し, 出麹時は2.4meだった。これは, 一般的な散麹の値より高い値だった。以上の結果より, 青ヶ島の芋焼酎製造に用いられている粉状麹は, 酸度が高いことや各種の酵素力価より, 焼酎用麹として十分な品質を有していることが明らかとなった。
著者
岡田 俊樹 前田 安彦 角田 潔和 鈴木 昌治 小泉 武夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.2, pp.150-157, 1999-02-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

伊豆諸島の青ヶ島で芋焼酎の製造に用いられている粉状麹の製麹法について現地調査を行うとともに, 粉状麹の製麹過程中の麹の状貌変化や主要糸状菌の検索とその諸性質を調べた。(1) 粉状麹の製麹法の特徴は, 原料大麦を妙こう処理してから粉状にして用い, 種麹などのスターターを使わずに自然種付によって行うことから製麹に約1週間を費やすことにあった。また, 製麹時に, タニワタリの葉が用いられていた。(2) 青ヶ島には7カ所の製麹場があり, そのうち一醸造場の製麹過程中の糸状菌の動態を調査した。引込みから24時問目にはピンク色の胞子と黄色の胞子が混在していたが, 41日目までに黄色の胞子を持った菌株が急激に増殖し, その後も穏やかな増殖が続き, 出麹まで7目間を要した。出麹時の麹は黄色の胞子が2.7×1011個/g・麹, 黒色の胞子は3.1×1010個/g・麹で, 黄色の菌株がセ体の粉状麹であった。(3) 製麹過程中の培養物および出麹時の麹より分離した菌株の同定を行った結果, 粉状麹に優勢して着生する糸状菌はA. oryzae groupに属する菌種であり, 他にA. niger groupがわずかに混在する菌相であった。(4) A. oryzae groupの生理学的牲質を調べた結果, 生酸性においては, 多酸性の株が多く, 麹酸は, 全ての株で高い生産性が認められた。また, 酵素力価は, α-アミラーゼと中性プロテアーゼ活性において菌株間に大きな違いがみられ, さまざまな性質の菌が混在していた。(5) A. niger groupの生理学的性質を調べた結果, 生酸性は, A. oryzae groupより高く, 酵素力価は, α-アミラーゼ, 中性プロテアーとも低かった。本研究を行うにあたりご協力いただきました青ヶ島酒造合資会社奥山喜久一氏ならびに青ヶ島役場の方々に深謝いたします。
著者
和田 昭三
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.568-572, 1981-09-15 (Released:2011-11-04)

最近, 清酒容器の紙パック化が目立っている。この傾向は今後益々進展するものと予測される。そこで樽から紙パックに至った背景や現状と問題点等について解説していただいた。
著者
奈良原 英樹
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.873-881, 1994-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
20
被引用文献数
6 7

我々醸造家は, 製造工程中に何か思わしくないような現象などをみると, それが麹菌の特質や生育特性に適していないことをしていながら, 時として種麹に原因を擦りつけるようなことがある。本稿は, それらの誤解をもう一度, 見直し一層優れた製品を安定して生産するよう, 種麹を供給する側から解説していただいた。
著者
善光 則之
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.104-108, 1980-02-15 (Released:2011-11-04)

縄のれんをくぐって, グーツと飲む熱燗が一段とうまい季節である。ところで変な香りがする, 水っぽい, 色が濃いといったようなお酒を飲まされた経験はないだろうか。現在, 使用されている酒燗器には数多くの種類があるが, その機種や使用法の誤ちから, せっかくの銘酒を台無しにする場合がある。本稿では, 筆者自ら一台一台を分解して調べた貴重なデータを用いて, 酒燗器について解説していただいた。