著者
Benvenuti Silvano Dall'Antonia Luigi
出版者
国立極地研究所
雑誌
Memoirs of National Institute of Polar Research. Special issue (ISSN:03860744)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.110-117, 2004-03

Our research group has devised and manufactured a data logger, which, glued on the back of a bird, can detect and memorise the direction in which the bird is heading during a flight. Given the birds' constant cruising speed, the memorised data can be used to reconstruct the whole flight path. Subsequent versions of this direction recorder, equipped with new sensors (depth meter and flight sensor), were used to investigate the foraging behaviour of several species of breeding marine birds (Balearic shearwater, Brunnich's guillemot, common guillemot, razorbill, black-legged kittiwake, Audouin's gull, northern gannet, blue-footed booby). The data recorded at different colony sites allowed us to identify the birds' feeding grounds and record the most relevant events occurring in the foraging trips, including the duration of the trips, total flight time, number and duration of the stops where feeding actually occurred, dive profiles and diving behaviour. Differences in the foraging strategies between sexes and between incubating and brooding birds were also investigated.
著者
野崎 勝利
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.129-155, 1989-07

日本南極地域観測隊あすか観測拠点(71°31′S, 24°08′E)の主要建物は, 大陸氷床上の斜面下降風帯に, 木質系パネル組立て構法で建設されている。年平均風速12.8m/sの強風にさらされたこれらの建物は, 周囲に発達したスノードリフトのために雪面下に埋没しつつある。これらの観測用建物の居住環境に関する性能評価を目的として, 発電棟風上側外壁の熱通過量の観測を行い, 強風との関係を検討した。その結果, 外側の熱伝達率は風速の増加に従って増す傾向にあることが確認できた。しかしその熱伝達抵抗はパネル個体の熱伝導抵抗の約1/100であり, このような強風下であっても外壁全体の熱通過率に対しては無視できる大きさであることがわかった。さらに本論では建物全体の暖房効率に大きく影響する換気および隙間による通気量を, 暖房エネルギーの消費量から概算によって推定し, これが風速の2乗に比例することを確かめた。
著者
三橋 博巳
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.75, pp.37-56, 1982-03
被引用文献数
2

第19次南極地域観測隊に参加して, 昭和基地主要部の実在高床式建物(観測棟・電離棟)周辺に形成されるスノードリフトの形態ならびに吹溜量について測定を行った。また主に強風時を対象とし, 建物近傍での粗度長やべき指数を求め風速鉛直分布特性の検討を行った。実測結果から次のことが得られた。(1)高床式建物周辺に形成されるスノードリフトの形態は, 建物周辺にウィンドスクープを形成し, 風下側の形態は鋭い稜線を持つ馬蹄型となった。また1年間の吹溜量を風下側測定区間で求めると, 観測棟では78.3m^3,電離棟では181.7m^3となった。(2)風速鉛直分布特性は比較的対数則に従った。対数則より求めた粗度長Z_0は10^0&acd;10^<-4>(m)の範囲で平均値は2.2×10^<-2>(m)となった。べき指数αは1/2.9&acd;1/7の範囲で平均値は1/4.9となった。
著者
高橋 晃周 飯田 高大 佐藤 克文 佐藤 克文 森 貴久 坂本 健太郎
出版者
国立極地研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

南極海におけるペンギン類の個体数変動の種間・地域間の違いをもたらすメカニズムを明らかにするために、最新の動物装着型記録計による採餌行動の研究を行った。ペンギンの採餌行動とその環境要因(特に海氷分布)との関係は、同所的に生息する種間および同種の地域間で異なることが明らかになった。採餌行動の種間・地域間の違いにより、海洋環境変化がペンギンの繁殖に与える影響は異なり、それによって個体数変動の違いが生じていることが示唆された。

1 0 0 0 Foreword

著者
永田 武
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.58, 1977-03
著者
国立極地研究所
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.152-153, 1974-01

国立極地研究所が昭和48年9月29日に創設された.この研究所は,高エネルギー物理学研究所等と同様の性格をもつ国立大学共同利用機関である.従来,南極地域観測事業への協力,その他極地研究を実施してきた国立科学博物館極地研究センターが発展的に改組されたものである.所長は,前東京大学教授(理学部)の永田武であり,次長は,前極地研究センター所長であった村山雅美である.
著者
兼岡 一郎 小嶋 稔 小嶋 美都子 鮎川 勝 永田 武
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.12-20, 1968-03

第7次南極観測隊により,南極Lutzow-Holm湾の東海岸およびオングル島の露岩中より,新たに数種の試料(片麻岩)が採集された.従来この地域の年代決定および古地磁気学的研究は独立に行なわれていたが,今回は同一試料についてK-Ar年代および自然残留磁気測定を行ない,次のような結果を得た.K-Ar年代は大体4億年前後の値を示すが,これらは従来のRb-Sr法,U-Pb法による5億年の値よりやや若い値を示す.しかし,この地域の地質が複雑なこと,今回用いられた試料と以前に年代決定が行なわれた際に用いられた試料との相対的関係が不明等のことにより,この差が試料の差によるものか,あるいは方法による差かは断定できない.ただこの地域が高度の変成作用を受けたという立見・菊地(1959)の報告を考慮すると,4〜5億年の値は,この地域における変成時期を示すと考えるのが妥当である.同一試料をmaficな部分(主に黒雲母,角閃石)とfelsicな部分(主に長石,石英)とに分けてK-Ar年代を求めると,前者が後者よりも古い値を示し,全岩による測定はそれらの中間の値を示す.Maficな部分のAr保持が高いということから,この場合にはmaficな部分による年代が最もその値に近いと考えられる.また,Lutzow-Holm湾を含むQueen Maud Land付近の年代測定結果をも考慮すると,この地域の大部分はCambrian以後の年代を示すことが予想される.この年代決定に用いられた試料についての自然残留磁気測定の結果は,この時期の磁極の位置はほぼ赤道上,西径約150°付近に存在することを示す.この結果は,以前永田・清水(1959;1960)および永田・山合(1961)によって得られたものとほぼ一致する.
著者
永田 武 小口 高 村石 幸彦
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1260-1266, 1962-04

昭和基地における地磁気永年変化は,この3年間に約&lrtri;H=-60^γ,&lrtri;Z=+340^γ,&lrtri;D=-37'であることが知られた.なおここで注意すべきは,変化の割合が,1960年は前年よりかなり小さくなっているように見えることである.また,直視磁力計によって得られた昭和基地のK指数に,南極地域の他の7基地のK指数を加え,その平均値をK_pと比較した結果,先の論文に述べた結論,即ち1)小擾乱は昼間の極域に多く,大擾乱は夜の極域に多いこと,及び,2)昼間の小擾乱は夜の極域が極めて静穏なときにも現われていること,が再確認された.
著者
永田 武 山合 美都子
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.945-947, 1961-01

さきに永田,清水によるオングル島片麻岩による古地磁気学的研究の結果を報告した(南極資料第10号).第3次隊越冬期間に,ルュッツオホルム湾東岸及び南岸の露岩中から多数の試料が採集された.この試料を全部調べた結果,この地域の岩石の生成されたカムブリア紀(4.7×10^8年前)の磁極は赤道上西経約100°附近にあったという前報告の結果が再確認された.又付図は,我々の結果をもふくめて東南極大陸に関する古地磁気学的研究の成果を集めたものである.
著者
永田 武 国分 征
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.924-936, 1961-01

南極地域における地磁気活動の諸性質をそれに対応する北極地域の同時活動と対比して調べた.地球大気圏外から荷電粒子流が地球磁力線に沿って,地球の南北両極地域に侵入するのに際して,どの程度の均等性や同時性があるかという問題を調べるのが主目的である,得られた主な結果は次の如くである.(i)南極地域のSD-場の様相は,既に良く調べられている北極地域のSD-場の地磁気赤道に対する鏡像と考えて大差はない.(ii)昭和基地(地磁気座標-69.°7,77.°6)のK指数は,主として北半球高緯度地磁気活動を代表するK_p指数と殆んど平行して変動している.K指数でのちがいが3以上になることは全体の2%弱しかない.この2%程度の頻度でおきる昭和基地上空での嵐は,天頂の極光活動,電離層のBlackout等によって,局部的な擾乱であることが確められた.(iii)南極地域と北極地域における地磁気活動の相関を更に詳しく吟味する為に,地球磁場の磁力線に対して共軛な二点,即ち同一の磁力線が通る南及北の地磁気観測所について地球磁場変動の様子を調べた.完全な地磁気共軛点はないが,南極大陸のLittle America(地磁気座標,-74.0,312.0)とCanadaのBaker Lake(73.7,315.1)とがこの条件をほぼ満足している.この2点の他に比較として,CanadaのChurchill,南極大陸のByrd Station及びHalley Bay(位置は第1表に示してある)の地球磁場変動をも調べた.Little America(LA)とBaker Lake(BL)が共に地方時夜間時にある時は,独立な湾型変化の対応は非常によく,磁力変動水平成分変化の10分間平均値の相関は0.85に達し,又湾型変化極大値の時刻は読取誤差の範囲で一致する.然し地方時昼間時には,この相関は明瞭に減少する.BLの共軛点はLAより地磁気西方約600kmであるから,夜間時の微粒子流束の断面は600kmをほぼ覆うほど大きく,昼間時ははるかに小さいと結論される.しかし,上の何れの場合も,LAとBL間の相関はBLとその南方約500kmにあるChurchillとの相関よりもはるかに良い.この事実は,極磁気嵐を起す微粒子流束の断面が地磁気東西に延びた形をして居り,これが南極地域と北極地域との双方にほとんどいつも同時に侵入してくる事を表わしている.又磁気嵐時には,LAとBLとの相関は著しく悪くなる.当然のことながら磁気嵐場の中,大気圏外電流に因る磁場変動によって,LAとBLとの地磁気共軛性が阻害されるからであろう.(iv)平均直径400〜600km程度の微粒子流束の侵入による極磁気嵐は西方に移動する傾向がある.即ち微粒子流の運動を主として決定する要素は正荷電粒子であることが推定される.
著者
大野 義一朗 大日方 一夫 下枝 宣史 大谷 眞二 宮田 敬博 藤原 久子 三上 春夫 大野 秀樹 福地 光男 渡邉 研太郎 森本 武利
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.241-249, 2007-07

南極医学医療研究集会は,わが国の南極医学研究と医療問題についての研究成果を報告・討論し,次期の観測隊における医学研究に寄与することを目的として毎年行われている.2006年の本研究集会は8月26日,国立極地研究所講堂で行われた.27施設から42名が参加し18の演題報告がなされ,近年では最大規模の研究集会となった. 参加者は越冬経験医師をはじめ,共同研究を行っている大学や研究機関の研究者,関連領域の研究を行っている宇宙開発機構やスポーツ科学研究所などの研究者,南極に興味のある一般病院の臨床医など多彩であった. 2004年より昭和基地に導入されたテレビ会議システムを活用して,昭和基地の医師もリアルタイム映像で討論に参加した.また韓国,中国の越冬医師が初めて参加した.これは3カ国の極地研究所による事前の準備と連携により実現した.集会では各国の南極基地の医療状況や医学研究活動が報告され,活発な意見交換がなされた.南極医学医療研究分野におけるアジア連携の端緒となることが期待される.
著者
半貫 敏夫 小石川 正男 平山 善吉 佐野 雅史 佐藤 稔雄
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.61-102, 1993-03

昭和基地建設の歴史的経緯をふまえて, 基地建物の現状と計画的な建物更新の必要性およびその概要を述べた。次いで昭和基地に建つ南極観測用建物の設計・製作に関する制約条件を整理し, これまでに昭和基地で試みられてきた極地建築システムについて概観した。国立極地研究所観測協力室の立案による昭和基地整備計画の最初の事業として企画された「管理棟」の基本構想をまとめるまでの経緯と基本設計の概要を紹介し, 建築・防災・構法などの新しい試みについて解説した。また, これからの南極観測用建築のありかたについても言及した。
著者
内藤 靖彦 ROPERT?COUDERT Yan ROPERT-COUDERT Y. M.
出版者
国立極地研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

西オーストラリアにおいてリトルペンギン(Eudyptula minor)の採餌生態に関する研究を行った。これまでこの鳥の海での行動に関することはほとんどわかっていなかった。この研究には2つの目的があり、1つは基礎的な生態研究で、もう1つは個体群の保護、管理に役立つ情報を得ることであった。野外調査は2001年9月と2002年8月にオーストラリア、パース近郊の動物園およびペンギン島のリトルペンギン繁殖地で、共同研究者のDr.B.C.Cannell(マードック大学)とともに実施した。Dr.Cannellはこの研究における個体群の保護、管理に関わる部分を担当した。現地ではデータロガーの装着回収、ヒナの計測、餌生物の採集を行った。得られたデータは日本で解析し、この種において初めて潜水採餌戦略に大きな個体差があることを発見した。これはすでに論文としてまとめられ、現在Waterbirds(国際学術誌)で印刷中である。他に2つの論文を準備中であり、1つはB.C.Cannell et al.によるリトルペンギンの潜水行動の特徴を記載したもので、本種の保護と管理には海中における施策が不可欠であることを示している。もう1本は加速度データロガーを用いたリトルペンギンの詳細な行動時間配分に関するものである。潜水採餌戦略の個体差に関しては2001年12月に国立極地研究所で開催された極域生物シンポジウムにおいても発表した。
著者
Holdsworth Gerald
出版者
国立極地研究所
雑誌
Memoirs of National Institute of Polar Research. Special issue (ISSN:03860744)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.161-168, 2001-03
被引用文献数
1

Cross correlation between time series of (1) total precipitation for a combined four-station network in northern Japan and of (2) the net snow accumulation determined from an ice core obtained from Mount Logan (60.5°N, 5340m) situated in the Saint Elias Mountains, Yukon, reveals high, statistically significant, cross correlation coefficients of +0.38 for annual data increasing up to +0.71 for seven point smoothing of the two 89 year series. The distance between sites is about 7000km spanning the complete Pacific Ocean between latitudes of about 40°N and 60°N. A review of the extensive literature of oceanology and climatology for the North Pacific Ocean region indicates that a strong coupling exists between the ocean and the atmosphere especially up to and associated with the Polar Front Zone along which major cyclogenesis occurs during most months of the year. Cyclones track generally from west to east with a strong northerly component especially in the eastern (Gulf of Alaska) sector. Examination of these cyclones on GOES satellite images shows that weather systems can transport moisture from mid latitude ocean sources (<40°N) to high on Mount Logan over the top of the warm front zone and high above intervening coastal topography. Thus, the positive correlation between the two time series can be physically justified and qualifies the link as a genuine teleconnection.
著者
大野 義一朗 宮田 敬博
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-13, 2000-03
被引用文献数
1

日本南極地域観測隊の越冬中の傷病について統計解析を行った。対象は1956年-1999年の歴代越冬隊(昭和, みずほ, あすか, ドームふじの4基地)で越冬報告をもとに集計した。のべ隊員1110名(女性2名), 出発時年齢は22-56(平均33)歳であった。傷病総数は4233件で, 1人あたり傷病数は3.8件であった。科別割合では外科整形外科疾患45.3%, 内科22.7%, 歯科12.7%, 皮膚科7.2%, 眼科5.9%, 耳鼻科3.8%などであった。死亡例はブリザードによる遭難死1例, 全身麻酔手術は行われたことはなく, 1966年腰椎麻酔で虫垂炎手術が1件行われた。感染症が極夜期に増加するなど疾患によっては特有な季節変動を認めた。第39次隊では39名中38名に何らかの傷病が発生し, 総数199件, 1人平均5.1件であった。観測部門と設営部門の間に差はなく, 年齢別では40歳代で最少, 50歳代で最多であった。傷病の31.7%は環境に起因し, 27.6%は仕事が関与していた。
著者
村尾 麟一 森脇 喜一 村越 望 大門 康祐 稲葉 稔
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.36-55, 1985-03

南極観測事業におけるホーバークラフトの有用性・適応性に関し, 南極用実用艇建造のための技術データを得ることを目的として, 実験用小型ホーバークラフトが開発建造された。ホーバークラフトは重量2.8tの周辺スカート圧力室型で, 揚力ファンより分岐されたダクト中に装備された方向舵とパフポートによって操縦される。艇は1981年に昭和基地に自力搬入され, 1981から1982年にかけて33時間の走行試験と氷状調査が実施された。計画最高速力55km/hが達成されたが, 走行中エンジンエアクリーナーへの雪の目詰まり, 駐機中ファン空気吹き出し部の凍結などのトラブルが経験された。実験用南極ホーバークラフトの計画, 設計, 主要目, 登坂推進性能, 走行試験の経過と結果が記述されている。