著者
小川 陽一 山口 謡司 勝山 稔
出版者
大東文化大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

中国では宋時代以後、とくに明・清時代には、民間で商業出版が流行した。私の調査では、その民間の商業出版で、著者への原稿料はどうであったか、版権はどうであったか、本の価格はどうであったか、書店はどのようにして本を仕入れたか、書店はどのようにして本を売ったか、書店はどのようにして経営されたか、書店の景観(店の様子)はどうであったか、などについて調査した。これらに関するデータは非常に少なくて、調査は困難だった。しかし小説や戯曲のなかには、データを少しは発見することができた。李緑園の小説『岐路燈』には開封の大書店のオープニングに至るまでの準備とオープニング・セレモニーの様子が詳しく叙述されていた。孔尚任の戯曲『桃花扇』には南京の大書店・蔡益所の店内が書かれていた。徐揚のパノラマ『姑蘇繁華図』には蘇州の大書店の外観が描かれていた。李漁の戯曲『意中縁』には、杭州で本と骨董品を取り扱う店の仕入れと販売のことが叙述され、絵も付け加えられていた。李日華の日記『味水軒日記』には、書と画の贋物の多いことが詳しく述べられていた。これらのデータに依って、明代と清代の大都会において、書店では本だけではなく、書や画も売っていたこと、本屋の開設には莫大な資金が必要だったこと、書や画には贋物が多かったこと、本の著作権の意識は希薄だったらしいこと、などを発見した。
著者
姫田 麻利子 パンジェ マリー=フランソワーズ パンジェ マリー=フランソワーズ
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本の初習外国語教育が、目標言語話者との出会いが差し迫ったものではない中で異文化間能力育成の結びつきを具体的にするには、「異文化間の気づき」能力の育成と実際的評価が必要である。本研究では、異文化体験時の主観的記述を、自省と「異文化間の気づき」能力証明、将来的発展の道標として有機的に組織し、また評価対象として読む他者の存在を想定した有機性も持たせるための指示文を備えた教材を日本人大学生向けに提案した。
著者
三浦 國雄 山里 純一 宮崎 順子 益子 勝 大野 裕司
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、術数学の基礎研究として主要術数書の文献解題を行なうものである。すでに平成17・18 年度の第一期研究において研究報告『主要術数文献解題』を刊行したが、本研究はそれを承ける第二期研究であり、第一期で取り上げることが出来なかった文献(出土術数文献も含む)の解題を試み、すでに本年3 月、『主要術数文献解題 続編』として刊行ずみである。
著者
高桑 守
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は平成17年度から平成19年度の3カ年にわたり日本の漁民社会3地域(大分県佐伯市米水津、山口県下関市吉母浦、宮城県牡鹿郡女川町江ノ島)において民俗形成や民俗変容に果たしてきた漁民家族の実態や役割を、ライフヒストリーや家族誌の作成などの分析を通して微視的に検討しようとする試みで、民俗の持続や変革にかかわる伝承主体として漁民家族の把握をめざすものである。そのため、上記3地域において継続的に現地調査を実施し、それぞれの地域で2〜3家族をサンプリングした上で、漁業の変遷や漁業の選択、あるいは漁家経済、社会的参加、信仰事象など地域の民俗に対して、それぞれの漁民家族がどのように対応し、選択するかを検討した。とりわけ漁民家族の夫-妻関係を主軸にそのライフヒストリーや家族誌的分析を試みてきた。その結果、それぞれの家族において、種々の相異は認められるものの、総じて、漁民家族にあっては、夫-妻関係において妻(女性)の発言や行動が大きな作用性をもち、夫の漁業戦略や漁家経済(消費行動も含む)、さらには漁民社会における夫不在の間の女性の積極的社会参加に女性の役割の大きさを確認することができた。地域変化や民俗形成に漁民家族の単位でとりわけ女性の果たす役割の重要性を、この微視的考察によって明らかにすることができた。
著者
小倉 いずみ 林 以知郎 白川 恵子 竹内 美佳子
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は二つあり、第一に、新大陸のアメリカでコネチカット植民地がいかに創設されたかを解明し、第二にトマス・フッカーの生涯と思想を解説した。コネチカット創設者のフッカーは、英国、オランダ、ボストン、ハートフォードと次々に移動したが、宗教者として正統派の会衆主義の教義を確立し、政治家として民主主義的なコネチカット基本法の制定に尽力した。本研究は思想家・宗教者としてのフッカーを、日本で初めて解明した。
著者
杉森 裕樹 大神 英一 小田嶋 剛 丹波 泰子 高安 令子
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

米国のREALM、TOFHLA 等に加え、国立国語研究所「病院の言葉を分かりやすくする提案」を参照して、日本語版ヘルスリテラシー評価ツールを開発した。この評価ツールを用いた疫学調査では、医療用語認知度(ヘルスリテラシー)と、主観的健康度を含む健康関連QOL との間に有意な関連性が認められた。わが国でもヘルスリテラシー向上が、保健医療分野における国民のエンパワーメントに繋がる可能性が示唆された。
著者
黒柳 米司 浅野 亮 稲田 十一 小笠原 高雪 金子 芳樹 菊池 努 佐藤 考一 玉木 一徳 吉野 文雄 山田 満
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)米国の対ASEAN政策の積極化、(2)中国の存在感の顕著な増幅、(3)日本の存在感の長期的凋落、および(4)「地域としての東アジア」の顕在化などという方向で変容する地域国際環境の下でASEANは、(1)「ASEAN憲章」の採択・発効、(2)インドネシア民主主義の確立などの成熟を示したものの、(3)タイの軍事クーデター、(4)タイ=カンボジア武力衝突、(5)ミャンマー軍政の民主化停滞など、後退局面がこれを上回りつつある。
著者
藏中 しのぶ
出版者
大東文化大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

『和漢朗詠集』絵入版本2種、貞享元年「絵入」と元禄2年「図解」における詩題と挿絵の画題を比較検討し、以下の結論をえた。(1)「絵入」は『和漢朗詠集』の部立の詩句本文に具体的に詩語として詠みこまれた表現素材を散りばめて、一幅の絵を構成していた。すなわち、「絵入」は、ひとつ以上の部立の漢詩句と和歌の詩語にもとづいて、直接的に絵画化のための素材を選択していた。(2)「絵入」は数少ない挿絵を有効に活用するために、一幅の絵のなかに複数の漢詩句・和歌の意味をこめていた。「絵入」の絵が同時に複数の部立の十数首にもおよぶ詩句本文の挿絵として機能できたのは、この絵が部立のなかの複数の表現素材を統合していたためである。「絵入」の絵は一幅の絵として完成されており、なおかつ、そのなかに複数の部立の代表的な詩語を配している。(3)「絵入」の五年後に刊行された「図解」の絵は、「絵入」に学びつつも、「絵入」の絵を解体する。統合された「絵入」の絵から、一、二の素材をぬきだして、ひとつの小さな絵を構成するのが、「図解」の挿絵の手法である。(4)「絵入」の絵は、漢詩句・和歌のひとつひとつに対するのではなく、部立全体をひとまとまりとみて、総合的な一幅の絵を構成しようとしている。つまり、「絵入」の絵は、『和漢朗詠集』の漢詩句一句・和歌一首の断片的な理解によって構成されているのではない。むしろ、部立の連続性をよく踏まえて、ひとつの絵を構成するのが「絵入」の方法であった。最初の絵入り版本「絵入」の絵には、複数の詩句本文の詩語、さらにはこれらを含みこむ複数の部立の意味が統合性と連続性をたもちつつ、一幅の絵の中に凝縮されていたのである。
著者
小林 敏男
出版者
大東文化大学
雑誌
人文科学 (ISSN:18830250)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.170-141, 2003-03-31
著者
三浦 國雄
出版者
大東文化大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

4年間の研究を通して、以下の成果を確認しうる。1.通書の資料収集についてはほぼ7割方達成し、通書(『玉匣記』も含む)の歴史的展開の大要を把握し得た。2.特に沖縄の家文書中の通書、術数書については、資料収集・研究の両面においてほぼ所期の目標をクリアできた。3.通書・術数書の一種の総合書と言うべき『万宝全書』研究の足がかりが得られ、次なる研究ステップへと踏み出すことができた。4.本研究の最終年度に、『風水・暦・陰陽師-中国文化の辺縁としての沖縄-』と題する一書をまとめることができた(榕樹書林、2005.3.10刊)。本書は、1998年から2004年に至る間に、沖縄の術数研究を中心に書き貯めてきた論文集で、前回の科研(「前近代久米島文化の復元」)と今回の科研との集大成になっている。*印を付した章は、直接今回の科研によって得られた成果であるが、しかし、一書にまとめるに当たって、今回の科研を通して得られた新たな知見に基づいて全編を大幅に改稿した。ここには、近十数年にわたる文献調査、研究会等で得られた収穫がすべて織り込まれている。全書の構成は以下の通りである。第I編 沖縄の風水第II編 沖縄の暦書と通書と日用百科事典第III編 沖縄の易者・サンジンソー
著者
山口 由二 山口 不二夫
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

研究調査国内の地方自治体について、自治体財政運営の実態調査ならびに資料収集を実施した。特に10月には財政破綻・財政再建準用団体移行を表明した北海道夕張市を訪れ、経理担当者にインタビューするとともに、市の運営する施設を見学した。この調査に関しては『環境創造第10号』「自治体が財政破綻にいたるまでの分析-赤池町と夕張市の財政分析による比較-」(2007年5月刊行)に論文として公表している。データベースの作成本研究の主要課題であるバランスシートのデータベース化に関しては総務省方式でバランスシートを作成し、公表している44都道府県で完成させた。分析結果このデータベースを活用して、山口不二夫の「総務省方式自治体バランスシートの経営分析方法」で、まとめられている、従来の分析指標、柳田(2004)が提案している総務省方式のバランスシートのもとづく分析指標、山口不二夫ならびに山口由二が新たに提案する分析指標を算出した。この結果については報告書巻末に掲載し、利用可能な状態にある。「格付け」などの評価の作業もこのデータベースと分析結果にから可能であり、利用価値の高いものである。今後、このデータベースを毎年更新して、各自治体の時系列分析も可能となる。最近の動向地方自治体のバランスシート作成状況は2006年公表では都道府県レベルでは100%市町村レベルで52%となり、初めて過半数となりかなり浸透してきている。しかし「第三世代の方式」といえる連結バランスシートの作成に関しては市町村レベルではわずか4.1%にすぎず、データベース化して比較分析できる状態にはない。今後の進展に期待する。
著者
蔵中 しのぶ 福田 俊昭 山口 謡司 相田 満 野口 恵子 谷 晃
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

学際研究の試みとして、日本文学を軸としつつも、中国文学・歴史学・建築学・情報学の諸分野から参加者をえた本研究は、従来、歴史学の一分野として、また、建築学の対象として発展してきた茶の湯研究・茶室建築に対して、日本文学研究の書誌学・本文解釈学、注釈研究・出典研究の方法論を導入することによって、茶道文献の読みそのものを格段に深めることができた。一方、日本文学の側からいえば、茶の湯や茶室建築の用語、茶室の寸法等、日本文学の対象の外にあった茶道文献に対して、新たなアプローチをおこない、日本文学研究における茶道文献の有効性を実証することができた。茶の湯を「場」として成立した「座の文芸」の特質は、日本文学のさまざまなジャンルとも複雑に絡み合っている。分析対象として選定した『茶譜』の本文校訂と注釈作業をおこなうなかで、日本文学研究における茶道文献の有効性を検証し、日本文学と茶道史研究の関係論を構築するための基礎データの集積を進めることができた。さらに、国際的な意義として、第二年度のヨーロッパ日本研究協会への参加、日EU交流年認定イベントに認定されたチェコ・カレル大学でのインターナショナル・ワークショップ「茶の湯と座の文芸」の主催、第三年度の中国・魯東大学における国際学会への参加は、茶の湯と日本文学というテーマに対する国際的な関心の高さを実感させてくれた。本プロジェクトが主催したチェコでのワークショップには、ヨーロッパから4名の研究発表者の参加をえた。大東文化大学語学教育研究所『語学教育フォーラム』第11号として刊行された研究報告書には、論文編として、蔵中しのぶ「茶の湯と座の文芸」、福田俊昭「五山文学にみえる茶」、山口謡司「『茶譜』の諸本について」、相田満「茶文化のオントロジ」、野口恵子「茶の湯と連歌-共営する場に関する一考-」、さらに、大東文化大学語学教育研究所客員研究員ションタル・マリ・ウエーバー「『茶譜』巻-における茶人のネットワーク-ネットワーク分析による寛永文化の時代区分論の試み-」、谷晃「『茶譜』論考(一)」の論文7本、「『茶譜』人名索引」、注釈扁として『茶譜』巻-注釈を掲載した。本研究の取り組みは、これを基盤として、他のさまざまな分野の研究への進展とコラボレーションの可能性を秘めている。第一に大東文化大学東洋研究所において「茶の湯と座の文芸」研究班をたちあげ、国会図書館本を底本とし、東洋研究所刊行物として継続して『茶譜』全18巻の注釈研究を完成させるとともに、第二に情報学の分野からは、『茶譜』データベースの作成に着手するとともに、相田満が手がけてきたシーソラスとのコラボレーション、第三に建築学の分野からは、矢ヶ崎善太郎を中心として、『茶譜』の寸法を忠実に復原した茶室建築の画像化を予定している。
著者
米澤 穂高
出版者
大東文化大学
雑誌
大東アジア学論集 (ISSN:21859760)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.77-86, 2007-03-31