著者
田村 正紀
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1_49-1_56, 2009 (Released:2012-01-27)
参考文献数
8

小売店舗が地理空間的に近接立地して集積するのか、それとも一定距離を置いて分散的に立地するのかは同業種集積論の基本問題である。業種のこの集積パターンの実証的識別にさいしては、無店舗地点を含む共通空間にもとづく絶対的集中指標を使うと、この指標の特性によって集積パターンを誤認する。近接立地か分散立地かの集積パターンの識別にさいしては、その業種の有店地点間での偏りを捉える相対的集中指標を使わねばならない。
著者
田村 正人
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-120, 2003-11-29

広義の食用昆虫には家屋害虫も少なくない.昆虫を適正に食べることは,動物性たんぱく(蛋白)資源の有効利用や害虫防除にもなるので,日本の代表的な食用昆虫,コバネイナゴ・クロスズメバチ・タマムシ・シロスジカミキリおよびアブラゼミ等の生態について述べた.三宅(1919)によると,日本の食用昆虫は8目55種で,最も多かったのはハチ目の14種,次いでチョウ目の11種,バッタ目の9種,甲虫目の8種などが多かった.薬用昆虫は10目123種にのぼり,最も多かったのは甲虫目の32種で,次いでチョウ目の26種,以下,順にカメムシ目の12種,ハチ目の9種,トンボ目の7種,バッタ目とハエ目の各6種,カマキリ目の4種などへと続く.いなご(蝗)は,全国の都府県で等しく食べられる国民的な食用昆虫で,かつては農村における秋の風物誌であった「いなごとり」も,強力な殺虫剤等の出現によって1950年代以降激減したが,1980年頃より水田をとり巻く環境の変化によってコバネイナゴが全国的に再び大発生の傾向にある.その後,飽食の時代を迎えた日本国民の関心は次第に「医食同源」に向いつつあるように思われる.いなごに次いで「蜂の子」が過半数の都道府県で食べられているのは,蜂類は社会性昆虫で,一度に大量入手が可能なためと思われる。昆虫は栄養価が高く,強壮剤として用いられるほか,薬用としては小児の疳(かん)に効くのが最も多い.現在,各地で人が食べている昆虫は,長い間の経験に基づいて伝承されて来たものであるからまずは食べられる昆虫と言えるが,できるだけ新鮮なものを食べ,安全性には充分配慮する必要がある.
著者
田村 正資
出版者
日本メルロ=ポンティ・サークル
雑誌
メルロ=ポンティ研究 (ISSN:18845479)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1-20, 2020 (Released:2020-12-09)
参考文献数
17

Merleau-Ponty (1908-1961) and Aron Gurwitsch (1901-1973) had a very close relationship. However, the comparative studies of them have not been sufficiently conducted. There are several possible reasons for this situation, but the most important is that while Merleau-Ponty learned a lot from Gurwitsch about Gestalt psychology and Husserl’s phenomenology, he rarely referred to him in his texts, making it difficult to track their relationships on texts. However, there is a hopeful clue for comparative studies of them. Merleau-Ponty wrote a reading note on Gurwitsch’s The Field of Consciousness. In this article, I try to reconstruct the controversy that could be arisen between them by reading The Field of Consciousness and Merleau-Ponty’s “Reading Notes.” The purpose of this paper is 1) to elucidate Merleau-Ponty’s criticism of Gurwitsch, concerning his understanding of the identity and realism of objects given in perceptual experiences 2) to make Merleau-Ponty’s position about the themes clear in comparison with Gurwitsch’s position In the first section, as a preliminary work, I examine Gurwitsch’s “Theory of Reference” which is mainly developed in The Field of Consciousness. In the second section, through a close reading of “Reading Notes,” I try to show the essence of Merleau-Ponty’s criticism directed at the Gurwitsch’s “Theory of Reference.” In the third section, I discuss how Merleau-Ponty’s view is characterized in comparison with Gurwitsch.
著者
田村 正 Tadashi Tamura 宮城大学事業構想学部 Miyagi University School of Project Design
巻号頁・発行日
vol.5, pp.79-94,

Terrorist attacks on the World Trade Center (WTC) buildings and the consequence collapse of the buildings were far beyond both the imagination of architects and the presupposition of architecture-related laws. However, there are several important lessons for architectural design and fire fighting to be learnt from what happened after the terrorist attacks. First, with regard to architecture, the disaster induces usto rethink the importance of "redundancy" and the reinforcement of "shaft", and to give a careful consideration to the feasibility of all-floors evacuation. Secondly, the extent to which a fire brigade knows information on an individual building is of cardinal importance. Moreover, regular fire drills based upon that information are equally crucial. Thirdly, an emergency management system, including reliable devices and a back-up system for fire fighting, needs to be established. There is a tendency to make heroes of the fire fighters who were made of victims of the WTC collapse. However, as there is a possibility that the lack of fire drills, together with an inadequate emergency management system, amplified the scale of tragedy, we have to consider this event from this point of view.
著者
大須賀 直人 斎藤 珠実 田村 正徳 寺本 幸代 岩崎 浩 宮沢 裕夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.1047-1054, 1999-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
14

男性でありながらX染色体を3本過剰に有する性染色体異常(XXXXY症候群)に遭遇したので,歯科的所見を加え,その概要を報告する。1.妊娠経過は,子宮内胎児発育遅延があり,在胎39週4日に頭位経膣分娩にて出生。出生時はApgar score3点(1分),5点(5分)と新生児仮死であった。2.患児は,合併症として肺動脈弁狭窄,尿道下裂,二分陰嚢,左内反足,心身発達遅滞および体重増加不良がみられた。3.手根骨の化骨状態は骨核数が3個認められ,暦年齢とほぼ一致していた。また,エックス線写真により,第一乳臼歯のTaurodont teethが認められた。4.側貌頭部エックス線規格写真分析より,骨格は全体的に小さい傾向が認められたが,下顎骨体長はやや大きく,下顎枝高は小さく,下顎骨が時計回りに回転していた。
著者
田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.166-168, 1985-05-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
12
被引用文献数
4 2

年1化性のミノウスバは比較的低温適応性の昆虫で(田村・大内,1977),早いものは4月下旬頃より夏期休眠に入り(田村・小見山,1976),低温・短日下で休眠消去(ISHII et al., 1983)した蛹は日増しに気温が低下する10月下旬∼11月中旬の午前8∼10時に集中して羽化する。しかしながら,この時期の気温はほぼ昼間が15∼20°C,夜間が10∼15°Cであり,探雌のための雄成虫の飛しょう活動には15°C以上が必要なため,昼間活動性であることは本種の生存上きわめて有利であり,適応的であると考えられる。

2 0 0 0 OA 凍豆腐

著者
田村 正紀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.114-122, 1995-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
16
著者
伊藤 文夫 丸茂 隆三 福岡 一平 田村 正之
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.169-185, 1984 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14

今回の調査結果を要約すると以下のとおりである.(1) 海象ナウル近海は, 鉛直的に三つの水塊から形成されている. T-Sダイアグラムの解析から, 100m以浅の赤道表層水 (高温低塩分, 28.7℃, 34.1~34.6‰), 200mを中心とする熱帯高塩分水 (高塩分, 21.8~11.6℃, 35.3‰), 500m以深に太平洋赤道中層水 (低温低塩分, 10℃以下, 35‰以下) が存在することが認められた.(2) 水質ナウル近海では, 赤道表層水 (0~100m) のリン, ケイ素および窒素の各栄養塩は, 植物プランクトンの増殖によって消費され非常に少ない. これに対し, 栄養塩は100mから下層に向かってしだいに増加している. この鉛直分布型は一般庭熱帯海域にみられるものである. 一方, 生物生産と関連する化学的酸素要求量, 濁度, クロロフィル-αおよび植物プランクトンの細胞数はいずれも100m層で極大を現わし, この層で植物現存量が最も大きいことを示していた.(3) プランクトンOTECプランクトン沖合では, 植物プランクトンは多様な種から構成されており, 特定な種が卓越することはなかった. 植物プランクトンの珪藻, 鞭毛藻とモナド, 円石藻では鉛直分布の極大は50~100m層にあり, これは亜表層クロロフィル極大とよく対応していた. 細胞数からみると, ナウル近海は植物プランクトン生産がかなり高いといえる.動物プランクトンは原生動物 (繊毛虫, 放散虫, 有孔虫), 橈脚類, 翼足類および尾虫類などから構成され, これらは200m以浅におもに分布し, 以深ではきわめて少なかった.(4) 付着生物全調査地点から採集された25種の生物のうち, ほとんどが第二次付着生物 (タマキビ類, レイシガイ類, ヒノデカラマツなどの匍匐性動物) であり, 人工構築物に対する汚損において重要な位置を占める第一次付着生物 (藻類, フジツボ, ムカデガイ類などの固着性動物) がきわめて少なかった. とくに, 配管内面についてはシライトゴカイとイソギンチャク類以外に付着生物は認められず, これら2種もプラント機能停止後に着生したものと考えられた.(5) 潮間帯生物採集生物はサンゴ類数種, 甲殻類 (カニ, ヤドカリ類) 23種, 軟体動物 (巻貝, 二枚貝類) 66種, 棘皮動物 (ウニ, ナマコ類) 10種を含む動物群が約100種, 海藻類は6種であった.
著者
田村 正人
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.149-157, 2004-12-15
参考文献数
21

昆虫の社会とは,「同種の2個体以上の個体間で起こる,種を維持していくうえの協同的相互関係」と定義され,単独生活をするものも含めて,種はすべて社会をなしているとみなされる.したがって「真社会性」とは,(1)両親以外に子育てを手伝う個体がいる(共同育児),(2)2世代以上が同居して一緒に暮している(世代の重なり),(3)子を産む個体と産まない個体(不妊カスト)とがいる(繁殖に関する分業)の3つを完全に備えた「高度に発達した社会」を指す.ハチ(膜翅)目の,このような真社会性に至る道すじには2つのルートが想定される.その1つは,母娘による単一家族ルート(サブソシアル・ルート)で,まず母親が長期間子を世話することで世代の重複が起こり,次に成長した子が妹や弟の世話,巣の掃除や防衛などを分坦するようになり,最終的には自分では繁殖しなくなって繁殖上の分業が成立する.もう1つは,複合家族による共同巣ルート(セミソシアル・ルート)である.まず繁殖メスが複数集まり近接して営巣することから始まって巣や子の防衛に共同で当たるようになり,次に最優位のメスがしだいに独占的に繁殖するようになって,最終的には繁殖の分業が成立するとともに世代の重複によって若いメスが完全にワーカー化するのである.シロアリとミツバチの階級分化には違いがある.シロアリの階級分化は,内因説と外因説があり,前者は遺伝的,あるいは胚の時代に階級分化が決定されているとするもので,後者は卵からふ化した幼虫は,あらゆる階級に分化する能力をもっているが,コロニーの状態によってどの階級に分化されるかが決定される,その決定にはフェロモン,栄養,行動刺激が関係するという説である.一方ミツバチでは,未受精卵(染色体数n=16)からは雄バチが,受精卵(2n=32)からは雌バチが産まれる.さらに女王バチと働きバチの分化は,与えられる餌の質と量の違いにより幼虫期の前期に決定し,階級の維持には起動フェロモン(primer pheromone)が関与する.
著者
田村 正
出版者
宮城大学
雑誌
宮城大学事業構想学部紀要 (ISSN:1344607X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.95-116, 2003-03-28

Whereas the Ou region had a reputation for a large and fertile land in the 8^<th> century, it was said in the 19^<th> century that the whole region was worth the value of just one mountain. Giving a geopolitical overview of the Ou region from the Jomon period to the Edo period, this paper considers the reasons for the extremely different assessments of the region between the 8^<th> century and the 19^<th> century. Since the Tushima Current flew into the Sea of Japan 8,000 years ago, the region periodically went through four cold climate. While during these Neoglaciation the cold weather often damaged crops, the locals of the Ou region enjoyed the blessings of nature during the warm periods. This climate cycle, together with a political factor of whether the region was independent of the central authority, resulted in the different assessments of the region. The good reputation of the 8^<th> century was made in the region's politically autonomous and climatically warm period ; and the bad reputation of the 19^<th> century was corresponded with the period of subordination and cold climate. The prosperity of the Fujiwara clan at Hiraizumi in the 12^<th> century was the peak of the region's thriving period that began in the 8^<th> century. The I9^<th> century reputation stemmed from the 600-year cold climate period between the late 13^<th> century and the 19^<th> century as well as the consequence of the Tokugawa shogunate and domain system. The Ou region was severely damaged during the last 150 years of that cold period in particular. Even in this period, however, the population of the West side of the region slightly increased. This was partly because the damages caused by the cold weather were less severe than the East side of the region, and partly because that district yielded lots of commercial commodities. Thus, there was a differential between the East and the West parts of the Ou region at the time. This implies that Masamune Date, who understood the East-West differential, failed to take an opportunity for moving to the West part of the Ou region when the Mogami fief was deprived in 1622.
著者
竹内 将俊 田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.79-84, 1994-05-25
被引用文献数
5 4

1) 東京都世田谷区の東京農業大学キャンパスと神奈川県秦野市のミカン畑跡地でトホシテントウの餌植物および各発育ステージの発生消長を調査するとともに,寄主植物ごとの室内飼育より幼虫期の発育期間を求めた。<br>2) 寄主植物として世田谷ではキカラスウリなどが,秦野ではアマチャヅル,カラスウリなどが確認され,加害植物としてカボチャ,キュウリが確認された。また世田谷個体群では,羽化時期の餌不足から一部の新成虫がエノキワタアブラムシの分泌蜜およびエノキの葉を摂食した。<br>3) 各発育段階の発生消長を調査地間で比較したところ,産卵ピークから4齢幼虫ピークまでの期間が異なり,産卵時期に対する4齢幼虫の出現は世田谷で早く,秦野で遅れる傾向にあった。また世田谷の幼虫の一部は年内に羽化し,成虫で越冬した。<br>4) 室内飼育では,キカラスウリを与えた幼虫はカラスウリやアマチャヅルを与えた場合より速く成長する。このことから個体群の依存する寄主植物による発育速度の違いが両個体群の生活史の相違をもたらす主な要因と考えられる。
著者
清水 達哉 佐藤 真理 藤田 尚正 辻 潔美 北川 善政 田村 正人
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S175_1, 2019 (Released:2019-12-27)

目的:骨組織はメカニカルストレスに応答する事が知られ、臨床では超音波刺激による骨折の治療法が確立されているが、詳細なメカニズムは不明である。本研究では、骨組織の超音波刺激応答細胞を同定するため、骨細胞をもつゼブラフィッシュともたないメダカを用いて骨折実験を行った。また、超音波刺激への細胞内応答機構を調べるために骨細胞株に超音波刺激を行ない遺伝子発現を調べた。材料と方法:ゼブラフィッシュとメダカの尾骨を骨折させ、超音波刺激による骨折治癒過程を骨組織染色にて評価した。骨細胞株に超音波刺激を加え、刺激群および対象群からRNAを抽出しqPCRによる遺伝子発現解析を行なった。結果と考察:骨細胞をもつゼブラフィッシュは骨細胞をもたないメダカに比べ超音波刺激により骨折治癒が有意に促進された。この事から、主に骨細胞が骨組織への超音波刺激に応答していると考えられた。また、骨細胞株に超音波刺激を加えると種々のGrowth factorの遺伝子が3-50倍上昇した。つまり、骨細胞は超音波刺激を感知してこれらGrowth factorを分泌する事で、骨折の治癒に重要な血管誘導、繊維芽細胞増殖を増強して治癒を促進すると考えられた。
著者
竹内 将俊 佐々木 友紀 佐藤 千綾 岩熊 志保 磯崎 文 田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.89-94, 2000 (Released:2002-10-31)
参考文献数
18
被引用文献数
6 8

Seasonal use of powdery mildews by the mycophagous ladybird, Illeis koebelei, was observed in Setagaya. In the field, I. koebelei shows seasonal changes in host use and breeds regularly on Microsphaera pulchra var. pulchra that infests Benthamidia florida, Oidium sp., that infests Pyracantha coccinea in spring, Phyllactinia moricola that infests Morus australis, and Sphaerotheca cucurbitae that infests Trichosanthes kllirowii var. japonica in autumn. On these fungus species under laboratory conditions, larval development of the ladybird was completed (within 20 days at 24°C) with a high survival rate. Thus, the seasonal occurrence of I. koebelei may be synchronized with the abundance of essential fungi. This study showed that I. koebelei feeds on 11 species of powdery mildews, including Sphaerotheca, Podosphaera, Microsphaera, Phyllactinia and Oidium. However, no species of the Uncinula, Uncinuliella and Erysiphe genera were suitable food for the ladybird.