著者
田中 文英 小嶋 秀樹 板倉 昭二 開 一夫
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.455-462, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
32
被引用文献数
4 3

Robotics intersects with children in diverse ways; it opens new scientific research fields of understanding humans with collaborating with psychologies and other related fields. At the same time, it is expected to offer useful applications for early childhood education and therapy. But, it has to be recognized that the robotics technology could be a double-edged sword, meaning that it could be hazardous if we did not exploit it in appropriate ways. Robots are thought to have double character; sometimes they show human-like features but other times they just look like an object. We need to understand the character well and consider appropriate forms of application based on the character. In this paper, firstly we will review the past studies around robotics and children, and we will also discuss the potential risk of robotics for children. Then, we will propose some new ideas for the application of robotics for early childhood education and therapy, considering the double character of robots.
著者
日下 航 尾形 哲也 小嶋 秀樹 高橋 徹 奥乃 博
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.532-543, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We propose a model of evolutionary communication with voice signs and motion signs between two robots. In our model, a robot recognizes other's action through reflecting its self body dynamics by a Multiple Timescale Recurrent Neural Network (MTRNN). Then the robot interprets the action as a sign by its own hierarchical Neural Network (NN). Each of them modifies their interpretation of signs by re-training the NN to adapt the other's interpretation throughout interaction between them. As a result of the experiment, we found that the communication kept evolving through repeating miscommunication and re-adaptation alternately, and induced the emergence of diverse new signs that depend on the robots' body dynamics through the generalization capability of MTRNN.
著者
小嶋 秀樹 仲川 こころ 矢野 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.472, pp.25-29, 2002-11-14
被引用文献数
2

ヒューマン=コミュニケーションは,互いに「心」の存在を想定し,「心」の状態を推定しあうことによって,互いに行動を予測・制御し,調整しあう営みである.本発表では,乳児と養育者のインタラクション発達を手がかりに,「心」の存在を感じる・感じさせるメカニズムとして,身体動作のリズムや方向性にもとづいて注意や活動の時空間的な配分を相互調整することを考察する.
著者
小嶋 秀樹 仲川 こころ
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

自閉症児は人との関わりに問題を抱える一方で, モノ(玩具や機器)の理解や操作を比較的に得意とする. 本研究では, 注意と情動を表出するだけのシンプルなロボットを自閉症児(就学前) の療育教室にロボットを導入し, 計800 人回にわたる長期縦断的インタラクションを観察・分析した.その結果, モノ的なわかりやすさと人らしい応答性を兼ね備えたロボットであれば, 安心したモノ的なやりとりから社会的なやりとりを引き出せることが明らかになった.
著者
松本 光太郎 岡田 美智男 麻生 武 小嶋 秀樹 浜田 寿美男 塩瀬 隆之 塚田 彌生
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

当研究プロジェクトでは、ロボットが人間の実生活に入り込んできたときに生まれる行為を中心に、ロボット研究者および心理学者を中心とした学際研究を行った。成果として、(1)当メンバーが編集・執筆を担当した書籍1冊『ロボットの悲しみ:人とロボットの生態学にむけて』(新曜社、印刷中)、(2)学会シンポジウム主催2件(日本発達心理学会、日本質的心理学会)、(3)学会個人発表2件(EDRA、日本発達心理学会)が確定している。また、これまでの成果をまとめた論文を査読付雑誌に投稿することを計画している。
著者
小嶋 秀樹
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.96(2000-ICS-122), pp.13-18, 2000-10-13

いまロボットに必要とされているのは,人間の社会的活動にコミットする能力である.社会的活動は,他者との効率的な協調・競争を実現するものであり,他者の行動を予測・制御する能力によって成り立つ.本論文では,この他者行動の予測・制御という視点から,他者の心的状態にアクセスするための「心の理論」を,とくにその発達に焦点をあててモデル化する.この社会的発達モデルは,原初的な共同注意と模倣を出発点とし,他者の行動を間接的に疑似体験することによって社会的な行動パターンを蓄積していく.また,遅延模倣やランダム反応といった自発的行動を,他者(とくに養育者)からのフィードバックに応じて意味づけしていく.このような他者とのインタラクションをとおして,他者が物理的・社会的環境についてもっているモデルを探索し,さらに社会のなかで共有されたプロトコル(ジェスチャ・言語など)を探索していく.この探索活動は,マクロ的には社会的発達であり,ミクロ的にはコミュニケーション(社会的コミットメント)でもある.
著者
小嶋 秀樹 伊藤 昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.482-489, 1997-03-15
参考文献数
14
被引用文献数
7

本論文では,単語間の意味距離を文脈依存的に計算する手法を提案する.各単語は,英語辞書から抽出された多次元ベクトルとして,意味空間と呼ばれるベクトル空間における点に写像される.文脈から独立した意味距離は,このベクトル間の距離として計算すればよい.文脈に依存した意味距離は「意味空間のスケール変換」によって計算する.文脈の手がかりとして単語(キーワードなど)の集合が与えられると,この単語集合が均整のとれた分布を持つように,意味空間の各次元のスケールを拡大・縮小する.このスケール変換によって,意味空間における任意の2単語間の距離は与えられた単語集合の意味的な分布に依存した値となる.先行テキストに基づく後続単語の予測によって本手法を評価した結果,本手法が先行テキストの文脈をよくとらえていることを確かめた.This paper proposes a computationally feasible method for measuring context-sensitive semantic distance between words.The distance is computed by adaptive scaling of a semantic space.In the semantic space,each word in the vocabulary is represented by a multidimensional vector which is extracted from an English dictionary.Given a word set C which specifies a context,each dimension of the semantic space is scaled up or down according to the distribution of C in the semantic space.In the semantic space thus transformed,distance between words becomes dependent on the semantic distribution of C.An evaluation through a word prediction task shows that the proposed measurement successfully extractsthe context of a text.
著者
小嶋 秀樹 伊藤 昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.482-489, 1997-03-15

本論文では,単語間の意味距離を文脈依存的に計算する手法を提案する.各単語は,英語辞書から抽出された多次元ベクトルとして,意味空間と呼ばれるベクトル空間における点に写像される.文脈から独立した意味距離は,このベクトル間の距離として計算すればよい.文脈に依存した意味距離は「意味空間のスケール変換」によって計算する.文脈の手がかりとして単語(キーワードなど)の集合が与えられると,この単語集合が均整のとれた分布を持つように,意味空間の各次元のスケールを拡大・縮小する.このスケール変換によって,意味空間における任意の2単語間の距離は与えられた単語集合の意味的な分布に依存した値となる.先行テキストに基づく後続単語の予測によって本手法を評価した結果,本手法が先行テキストの文脈をよくとらえていることを確かめた.
著者
伊藤 昭 松田 健治 石垣 誠 小嶋 秀樹 矢野 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.503, pp.15-21, 1999-01-18
被引用文献数
2

自然な対話においては, アイ・コンタクトは不可欠な要素である.しかしながら, これまでその役割はあまり良く調べられてこなかった.そこで我々は, アイ・コンタクトのとれる遠隔対話(TV電話)装置を開発し, 人がどのくらいの精度で視線方向を検出できるのかを本装置を用いて調べてみた.その結果, 人は約4度の精度で視線方向を検出可能であり, これまでのTV電話(会議)システムでは視線が一致しないという印象を裏付た.次に, アイ・コンタクトの効果を調べるため, 様々な条件下で睨めっこ実験を行なってみた.その結果は, 人は視線方向は検出できても, アイ・コンタクトが成立しているかどうかは判断できない, という意外なものであった.
著者
小嶋 秀樹 古郡 廷治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.43-44, 1991-02-25

自然言語の"情報の部分性"は,伝達の効率性(efficiency)を保証するものであると同時に,曖昧性(ambiguity)の原因でもある.効率性と暖昧性は表裏一体であり,これらは同音性や多義性などの言語現象としてテキスト表層に現われている.テキストの解釈過程には,その表層に明示された構文的な情報だけでなく,次にあげる情報が必要となる.a)知識:世界に関する知識b)文脈:先行文脈=テキストの先行部分の解釈結果経験文脈=解釈者のもつ過去の経験テキストの解釈結果は,文脈にただ追カロされるだけなく,文脈を(過去にさかのぼって)変化させる力をもっている.本稿では,文脈を構成する要素の意味内容を意味ネットワーク(つまり知識)上の活性パターンによって表現する方法を提案し,これに基づいたテキスト解釈過程-とくに暖昧性の解消過程-をモデル化する.本モデルでは,文脈の要素の意味内容や要素間の関係に暖昧性を内在させ,各要素を意味ネットワーク上でパターン的に相互作用1)させることによって,漸進的(incremental)2)な曖昧生の解消を実現している.