著者
村井 源 川島 隆徳 工藤 彰
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.279-284, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
被引用文献数
1

評判分析などが自然言語処理技術によって進められているが,対象は主にWeb上のテキストであり,人文学的な批評文はその主たる対象となっていない.本研究では人文的な批評文の具体的批評対象を計量化することで,批評行為のより深い意味分析に向けての基礎固めを行う.本研究では批評文中の人名と作品に絞り,総合的作品である映画と演劇の批評において,誰についてどの作品について中心的に語られる傾向があるのかを計量し,カテゴリー分類と共起分析を行った.結果として演劇批評は集中的であり,映画批評は分散的・個別的であること,また演劇批評は強い芸術的指向性を持つことが明らかになった.
著者
堀 幸雄 今井 慈郎 中山 堯
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-104, 2008-05-23
参考文献数
12

近年科学技術の専門化が進み,また技術進歩の大規模化等に伴い,多くの研究分野において研究者が共同して研究を進める必要性が生じてきた.本研究は国内の論文データベースにおける共著関係パターンから協調フィルタリングを用いて大学内の研究者にとって効果的な共同研究者を推薦するシステムを提案する.本システムにより研究者は自分の研究分野における共著関係パターンと類似した組織内の共同研究者を知ることができる.
著者
阪口 哲男 于 家富
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.53-56, 2005
参考文献数
4

The growth of unsolicited bulk e-mails (spams) is a crucial problem on e-mails of the Internet. There are many anti-spam tools based on automatic classification by learning, such as Bayesian filters. They are dependent on language of e-mails because they have lexical analyzer to get words from e-mails. However, spams are written in various languages, such as English, Japanese, Chinese, and so on. This paper proposes a language independent method for filtering spams. By the method, e-mails are classified into spams and no-spams by SVM which uses frequencies of sub-strings extracted from e-mails. This paper also describes a result of test of the method with sample e-mails written in English, Japanese, Chinese, and some other languages, and discusses about the result and future works.
著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.138-143, 2009-05-16
参考文献数
4
被引用文献数
1

音楽の様式は刻一刻と連続的な変化を遂げていくため,これらに対して,音楽美学や音楽史学において議論されるような区分,例えば,古典主義音楽,ロマン主義音楽といった確定的な定義を与えることは難しい問題である.しかしながら,時代によって特徴や差異が確認されることは否めない.本研究では,音楽概念を構造的に抽出・体系化することで,音楽概念がどのような差異・変遷をもつものか検討する.具体的には,音楽評論雑誌『ポリフォーン音楽評論の開かれた場』全13冊から,言及対象が20世紀以前の西洋音楽に該当する記事と,20世紀以後の西洋音楽に該当する記事とに試験的に分類し,ネットワーク分析を用いて語彙間の共起関係からそれぞれの音楽評論の思考の中心概念を構造的に抽出する.結果,前者は「世紀」「時間」,後者は「音」「主義」を音楽概念の中心性に強く据えていることが確認された.
著者
家辺 勝文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.334-343, 2008-11-29

視覚的なメディアとしての文書は言語表記体系に依存した空間的構造をもち,形態依存の意味作用の場を形作る.電子文書交換の観点から組版関係のJISなどを参照しつつ日本語文書の視覚的構造化の諸特性を再検討する.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-09-27
被引用文献数
1 2

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
著者
原田 隆史
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.383-390, 2010-12-04 (Released:2010-12-30)
参考文献数
30

日本で用いられている電子書籍フォーマットとしては, EPUB, .Book, XMDF, PDF など,さまざまな観点から標準化された電子書籍フォーマットが存在する。本稿では,各種の電子書籍フォーマットについては概観するとともに,その学術情報流通への課題について検討する。
著者
川島 隆徳 研谷 紀夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.183-188, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)

本研究では,国立国会図書館の著者名典拠情報を拡充し,有効利用するための典拠情報共同編集プラットフォームを開発した.このプラットフォームはJAPAN/MARC(A)を読み込み,ネットワークを通じて複数の識者が足りない情報を追加することが可能である.また,必要に応じてMARCで定義されていない情報も追加することや,MADS及びMODS形式やその他の構造化記述言語で出力することも可能である.これらより,ネットワークに対応したより高度な文化情報資源の利用のために典拠情報を活用していくことが可能となる.
著者
鈴木 良徳 八重樫 純樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.215-220, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)

博物館(M)、図書館(L)、公文書館(A)のデータベースを統合する際に、資料の記述規則が異なることは、以前から指摘されてきた問題である。近年、MLA の連携を目的とした活動が活発となり、MLA の標準化に向けてそれぞれの記述規則を見直す必要が出てきている。このような背景を踏まえ、著者らはMLA それぞれの代表的な記述規則であるIGMOI、ISBD(G)、ISAD(G)の比較分析を行った。比較の結果、それぞれの機関の活動目的と記述規則が深く関わっていることがわかった。本稿では、比較の結果から、MLA 連携のために今後どのように研究を進めていくべきかを考察する。
著者
高久 雅生 江草 由佳 寺井 仁 齋藤 ひとみ 三輪 眞木子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1005110019-1005110019, (Released:2010-05-24)
参考文献数
41
被引用文献数
3

Web利用者の情報探索行動の理解のために,眼球運動データ,ブラウザログ等の情報を包括的に用いて,ユーザ特性,タスク種別の違いがいかに探索行動に影響しうるかを検討した.ユーザ特性として図書館情報学専攻の大学院生と一般学部生の2グループを設定し,それぞれ大学院生5名,学部生11名が実験に参加した.タスク種別としてレポートタスクと旅行タスクの2つを設定して,それぞれ15分間ずつのWeb探索行動を観察した.実験の結果,タスク種別の影響として,サーチエンジンの検索結果一覧ページ上における視線注視箇所として,旅行タスクではスポンサーリンク,レポートタスクではスニペット領域がより多く見られるなど,タスク毎に着目する情報が異なることが示された.また,旅行タスクではサーチエンジン検索結果一覧ページから2回以上たどったページの閲覧回数がより多く,異なるタスクにおいて情報収集方略が異なる傾向が示唆された.一方でユーザ特性の影響として,大学院生は学部生に比べて,ページ閲覧をすばやく行い,タブ機能を用いた並列的な閲覧行動も観察されるなど,効率的な情報収集を目指した行動の差異が見られた.
著者
高田 良宏 笠原 禎也 西澤 滋人 森 雅秀 内島 秀樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.251-263, 2009-10-28
被引用文献数
3 2

現在,各地で構築・運用されている機関リポジトリは,学術論文,紀要などの文献のみを対象としている場合が多い.一方,写真,動画,観測データをはじめとした文献以外の学術情報は,教育・研究上非常に有用なものでありながら対象外とされている場合が多い.本研究では,文献以外の学術情報をリポジトリ化する場合の問題点を整理し,その解決のため,メタデータの互換性,異種コンテンツの共存,大規模コンテンツの管理,コンテンツに関する位置情報を用いた可視化などを考案した.そして,既存リポジトリプラットフォームのDSpaceを拡張し,可視性と保守性に優れた汎用性の高い学術情報リポジトリの構築を行った.本稿では,構築したシステムの概要とその応用について述べる.
著者
時実 象一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.38-46, 2010-02-26 (Released:2010-04-04)
参考文献数
8

2010 年 1 月の文化庁文化審議会著作権分科会法制問題小委員会における報告「権利制限の一般規定について」において,限定された範囲で「権利制限の一般規定」,すなわちフェアユースを導入することが提言された.この報告と,2008 年 12 月の知的財産戦略本部会合における報告「デジタル・ネット時代における知財制度の在り方について」との関連について述べた.また海外のフェアユース規定について述べた.
著者
河瀬 彰宏 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.138-143, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)

音楽の様式は刻一刻と連続的な変化を遂げていくため,これらに対して,音楽美学や音楽史学において議論されるような区分,例えば,古典主義音楽,ロマン主義音楽といった確定的な定義を与えることは難しい問題である.しかしながら,時代によって特徴や差異が確認されることは否めない.本研究では,音楽概念を構造的に抽出・体系化することで,音楽概念がどのような差異・変遷をもつものか検討する.具体的には,音楽評論雑誌「ポリフォーン 音楽評論の開かれた場」全13冊から,言及対象が20世紀以前の西洋音楽に該当する記事と,20世紀以後の西洋音楽に該当する記事とに試験的に分類し,ネットワーク分析を用いて語彙間の共起関係からそれぞれの音楽評論の思考の中心概念を構造的に抽出する.結果,前者は「世紀」「時間」,後者は「音」「主義」を音楽概念の中心性に強く据えていることが確認された.
著者
鈴木 智典 宮崎 智
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.92-97, 2009-05-16

我々は,現在インターネット上で公開されている生物学的データベースのURLや公開形式,検索ページのCGIパラメータなどを網羅的に集めたデータベースのデータベース(バイオメタデータベース)を構築し,データ検索から初め,遠隔操作によって複数のサイトの解析ツールを組み合わせて研究に応じた解析ワークベンチの動的な構築を試みている.メタデータベースの概要とワークベンチの事例について報告する.
著者
遠藤 智代
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.4_1-4_10, 2006 (Released:2006-12-27)
参考文献数
42

ネットビジネスの場で語られることの多いWeb2.0であるが、提唱者のティム・オライリーがWeb2.0を「参加のアーキテクチャ」と定義したように、そこには人々にWebへの参加をうながし、情報を共有し価値を付加していくためのさまざまなアイデアや技術が含まれる。本稿では「参加のアーキテクチャ」の観点からWeb2.0を概説し、その例をいくつか紹介する。

2 0 0 0 OA 用語の由来

著者
後藤 大三
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.3_94-3_96, 2006 (Released:2006-12-27)
著者
牧野 晃典 梶川 裕矢
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.74-79, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)

本研究は,利用者の書いた任意の文脈に対して適切な引用文を,web上に蓄積された膨大な文書の中から推薦するシステムを開発することを目的としている.今回はこの引用文推薦システム開発の第一段階として,代表的な引用文のひとつである格言に注目した.文脈と格言の間のマッチングを取ることで,文脈に即した格言を推薦するアルゴリズムを複数提案し,性能の比較評価を行った.
著者
後藤 晶
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.127-132, 2017-05-27 (Released:2017-07-21)
参考文献数
6

本報告においては,クラウドソーシングを用いた経済ゲーム実験の結果を踏まえて,3つの経済ゲーム実験の差異に着目した分析結果について報告する.クラウドソーシングとは主にインターネットを利用して,広く群衆を対象としてタスクと呼ばれる課題を依頼するものである. 本研究においてはクラウドソーシングを用いた,独裁者ゲーム・最終提案ゲーム・信頼ゲームと呼ばれる3種類の経済ゲーム実験の結果について比較する.その結果,独裁者ゲームに比べて,相手のプレイヤーに拒否権のある最終提案ゲーム,返報可能性のある信頼ゲームにおいて分配額に差異が認められたが,対象が両親条件・友人条件・他人条件においてその分配額に差異が生じることが明らかとなった.この結果は両親・友人・他人を対象とした分配行動の動機が異なることを示唆して いる.
著者
辻 慶太
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.11-22, 2005-10-30 (Released:2016-12-23)
参考文献数
25

専門分野に現れた新語の中から, 今後重要な語として普及するものを, 自動的に抽出・判別する手法について検討する。こうした予測が可能になると, 用語辞書の編纂時に有用であり, またある分野で今後注目を集める研究やトピックが把握しやすくなり, トレンド分析的な面でも有用であろう。本研究では約17年分の情報学文献に現れた語を調査対象とし, 新語の出現直前の語彙の状況による予測, また従来の専門用語抽出尺度による予測の有効性を検討する。