著者
岡部 晋典 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.333-349, 2011-12
被引用文献数
2

本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった.Open access movement is a hot issue in a recent Library and Information Science. This article analyzed 'the Budapest Open Access Initiative (BOAI),' which triggered the open access movement. First, this article introduced the foundation, 'the Open Society Institute (OSI),' which has proposed and supported BOAI, and its founder, George Soros. We also surveyed their philosophical basis, the concept of 'Open Society' -Karl R. Popper advocated. In addition, we revealed that BOAI was affected by the concept of 'Open Society'. Second, we revealed how people accepted the concept of 'Open Society' by quantitative analysis of literatures about open access. As a result, it was revealed that while OSI participated to the open access movements to achieve the concept of 'Open Society' people in open access movement have not referred to OSI's intention.
著者
斉藤 香里 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.144-151, 2009-05-16
参考文献数
5

本研究は,自然言語表現から,心的状態が言語表現に与える影響を捉えることを試みる.ブログ記事とアフィリエイト広告を対象として,広告の有無によって,言語表現に異なる特徴が現れるかを検討した.商品紹介記事を分析対象に,計量文体分析と内容分析,修辞表現の比較を行なった.この結果,広告のある記事ほど,記事文中に書き手の受けた印象や雰囲気の記述が多くなった.さらに,書き手の意見や印象を強調する表現が多く現れていた.また,広告のある記事には,逆接を挟んで評価を逆転させる,商品評価の表現が多く見られた.これら表現の差は,ブログ閲覧者の購買行動喚起に対する,ブログの書き手の意欲の差によるものと考えられる.
著者
狩野 芳伸 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.179-184, 2013-05-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
7

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでは、最初の課題として大学入試センター試験の自動解答を目指している。本稿では、そのうち歴史系科目を対象とした解答器作成の試みを報告する。我が国の大学入試は、基本的に高校教科書の範囲内から出題されることになっている。しかし、人工知能が機械的に解くという観点でみると、範囲内というのは曖昧さがあるうえ、潜在的に人間の常識や知能を前提にしている。我々はあくまで教科書内の知識のみを用いるアプローチで、どこまで自動解答が可能かを試みた。歴史系科目とセンター試験の特性を鑑みて、解答にあたってはあえて論理的な構造や解析を排除し、教科書内の表現が肯定的であることを前提に単語を基本とする知識でどこまで解答可能かを探った。
著者
研谷 紀夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.93-98, 2008-05-23
被引用文献数
1

インターネットを中心とするデジタルネットワーク空間においては、電子化された歴史資料など多様な文化資源情報が格納されている。これらの情報内には様々な歴史的人名・組織情報が含まれているが、各人物に関する参照情報を提供することによって資料情報のより深い理解を促進させることが可能となる。本研究では、現在のインターネット上の人名・組織情報の現状を調査した上で、デジタルネットワーク上で共用可能な主に明治以降の近代期を対象とした歴史的人名・組織典拠情報の可能性について検討する。
著者
五島 敏芳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.25-32, 2005
参考文献数
8
被引用文献数
1

最近, 記録史料の電子的検索手段のデファクト国際規格EAD, Encoded Archival Description(符号化記録史料記述)を, 日本の記録史料の記述または目録へ適用する試みがある.しかし, それらは共通のデータ記載形式を持っていない.そこで本稿では, 米国のEADデータ構成・記載形式についてのガイドラインの内容を検討し, 記録史料管理上および技術上の要点を析出する.加えて同ガイドラインの一つに基づくデータ構築の支援工具作成の取り組みを紹介する.
著者
佐藤 翔 永井 裕子 古賀 崇 三隅 健一 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.383-402, 2011-09-27 (Released:2011-12-13)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
著者
荒井 俊介 辻 慶太
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-19, 2013-02-20 (Released:2013-04-18)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

Blog やTwitter に書かれた日常的な質問を収集し回答を呼びかけるWeb サイトを構築すれば,記事の著者は効率よく回答を得ることが出来るかもしれない。本研究では次の2 つのステップからなる記事の収集方法を提案し,実際に質問を提示するWebサイトを構築して,有効性の検証を行った。即ち,(1)疑問の書かれた記事に特徴的な表現を用いた,既存のサーチエンジンによる検索,(2)テキスト自動分類を用いた疑問の書かれた記事の抽出,である。(1)では「タイトルが思い出せない」をキーワードとして用いることで,効率的に疑問の書かれた記事を抽出できることを明らかにした。(2)ではブースティングと決定木を用いる事で効率よく抽出できることを明らかにした。さらに疑問の書かれたBlog 記事30 個とTwitter 記事31 個をWeb サイトに提示した結果,それぞれ6 個と5 個の記事の著者を満足させる回答が得られた。
著者
大槻 明 岡田 謙一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.350-361, 2011-09-27 (Released:2011-12-13)
参考文献数
17

本研究では,筆者らが提案している知識を構造的に俯瞰表現する「構造化俯瞰図」をさらに発展し,同図を構成する各知識に属性情報や叙述を付与し,それら属性情報等を含めた知識同士の関係性を意味付けしたうえで俯瞰マップを作成するCosut(Concept Support Tool)について提案する.Cosutを使用することにより,当該知識群のさらなる整理や分析を実現することが可能となる.つまり,企業における新商品開発や課題解決時,さらには研究機関における新理論の検討時など,様々な場面における知識の有効活用に資することができるものと考える.評価実験では,構造化俯瞰図を使用した場合に比べた定量的分析及び概念構造の変化を分析した.その結果,仮説をまとめるためのアイディアの量的な増加傾向が確認され,さらには,Cosutが被験者の概念構造に直接影響を与えた部分を把握することが可能になるなどの発想支援的な効果が認められた.
著者
丸山 千晶 石塚 英弘 小野 理
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.178-184, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

野鳥の分布とその関連情報をWebで提供するGIS (地理情報システム)の典型例として,アジアの鳥類分布データベース:BirdBaseがあり,2004年から公開されている.同システムはArcIMSの当時の版を用いて構築されており,その後に実現し,注目されているGoogle Maps API技術は用いていない.BirdBaseは野鳥の分布とその鳥の生息環境を示す土地利用情報を検索表示する総合システムであるが,野鳥の分布と土地利用情報を同時に見やすい形で表示することは容易でない.そこで,Google Maps API関連技術を用いた野鳥分布と土地利用情報を検索表示するシステムを試作した.野鳥分布データベースはBirdBaseの開発・運用機関:北海道立総合研究機構環境科学研究センターから許可を得て,北海道の野鳥のデータに限定して期間限定で借用した.
著者
佐村 敏治 西村 治彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_63-2_68, 2006 (Released:2006-12-27)
参考文献数
5

Biometrics is classified into verification and identification. A lot of researchers of the keystroke dynamics have treated the verification which is used for the user login, based on the assumption that people each type in uniquely characteristic manner. However, its error rate is large compared with other verifications, for instance, by the fingerprint and the retina. In this research, we pay attention to the identification and investigate several characteristics of English text typing on the keystroke dynamics. As an efficient measure, time-interval between press and release of the key (p-r time) is extracted, by which a personal fluctuation of keystroke data is minimized. Experimental results show that the proposed methods on the personal fluctuation are considerably promising.
著者
植村 八潮
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.356-365, 2010-12-04 (Released:2010-12-30)
参考文献数
10

2010 年は「電子書籍元年」と呼ばれる熱狂的な電子書籍ブームとなり,電子書籍コンテンツの制作と流通対応が急がれている.このためには電子書籍コンテンツの生産性を向上し,さらに制作した電子書籍を多種多様なプラットフォーム・端末において利用し,提供できる環境作りを行う必要がある.このような環境整備の一つとして,日本語電子書籍ファイルフォーマットの標準化が求められている.電子書籍交換フォーマットの現状と標準化について報告する.
著者
岡田 吉史 澤井 政宏 楠 芳之 長島 知正
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.59-70, 2005
被引用文献数
1

Web上のオンラインショップの増加に伴い, ユーザの嗜好性に基づいて商品や情報を推奨するシステムが提案されている.しかしながら, それらは個々のユーザが, 商品や情報のどの特徴や性質に着目して好んでいるか, すなわち"嗜好理由(こだわり)"を考慮するものではなかった.<br/> 本研究では, 音楽アーティスト推奨を例に, ユーザの"好きなアーティスト"と"その嗜好理由"に基づき, ユーザの好みに合うと思われるアーティスト推奨法を提案し, その実装システムの開発を行った.本システムは, 同時に好まれるアーティスト(と, それらに対する嗜好理由)の関係を表す相関ルールを格納したデータベースを持つ.本論文では, テストクエリを用いた評価実験をとおして, 1)嗜好理由の導入がアーティストのランキング精度に効果的に働くこと, 2)従来の相関ルールに基づく推奨手法に比較して高い推奨精度を持ち, 3)少ない計算量で推奨可能である, ことを示す.
著者
新原 俊樹 甲斐 尚人 小柏 香穂理 船越 幸夫
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2023_031, (Released:2023-11-30)
参考文献数
7

研究活動におけるChatGPTの有効な活用方法として,比較的短い文章の集合から研究データを作成する方法を提案した.事例研究として,4つの学会が発行する学術雑誌に掲載された239編の論文のタイトルを対象とし,各論文のタイトルから内容を推定するためのプロンプトをChatGPTに与え,得られた回答を整理した.ただし,研究データには高い再現性が求められることから,同一のプロンプトをChatGPTに10回繰り返し与え,回答を積算して集計することで誤判定の影響を低減させる工夫を施した.その結果,同じ手法で作成した2つの研究データを比較すると,データ全体の97%が同じ結果となり,高い再現性を確認することができた.一方,ChatGPTに与えるプロンプトの僅かな表現の違いに応じて,得られる回答も変わり得ることが明らかになった.ChatGPTから目的に相応しい研究データを作成するための最適なプロンプトの表現について,さらに検証する必要がある.
著者
河瀬 彰宏 吉原 秀樹
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.200-205, 2020-05-23 (Released:2020-06-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,戦後日本の首相の国会演説(施政方針演説・所信表明演説)に対してテキスト分析を行い,その内容の通時的変化を明らかにした.1945 年の東久邇宮内閣から2019 年の第四次安倍内閣までの全179 本の演説を収集し,昭和前期,昭和後期,平成前期,平成後期の4 時代に区分した上で,頻出名詞に対してTF-IDF 値を算出した.そして,全演説に対してLDA によるトピックモデルを作成し,首相ごとのトピックの推定を実施した.
著者
荒井 俊介 辻 慶太
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.23-40, 2015-02-28 (Released:2015-04-30)
参考文献数
23
被引用文献数
2

国立国会図書館は,レファレンス協同データベースでレファレンス事例を公開・提供している.レファレンス事例はこの事業に参加している各図書館によって登録されるが,登録の際の項目の一つであるNDCの項目に関しては全体の約2/3にしか記述されていない.本研究では機械学習を用いて,レファレンス事例に対して自動的にNDCを付与する手法を提案する.NDCの自動付与を行う事で,NDC を付与する図書館員の負担を軽減する事ができると考える.本研究では以下の3 つの手法を提案する.即ち(1)参考資料のNDC を用いる手法,(2)質問文から疎でない特徴ベクトルを作る手法,(3)両方同時に用いる手法,である.NDC の2 桁目(綱)まで自動付与する実験の結果,(1)では45.6%,(2)では53.8%,(3)では45.6%の精度で自動付与を行う事ができた.従来手法による精度は32.4%であり,精度を向上させる事ができた.
著者
原田 隆史 吉村 紗和子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.65-72, 2010-05-15 (Released:2010-07-10)
被引用文献数
3 2

オンライン書店のサイトをはじめとして,読者自身が図書の感想などを投稿するオンライン書評サイトが増加してきている。本研究は,このようなオンライン書評の持つ特徴を,新聞書評などと比較することで明らかにするものである。書評中の各文を,評価対象,評価の視点,評価の客観性,評価極性(肯定的か否定的)かという4つの観点から分類し,集計した。その結果,1) 評価対象は「作品に対する評価」がどの書評でも評価組全体の約9割を占め,書評ごとの変化は見られない,2) 評価の視点について,新聞書評では「作家の表現手法」などが全体の48%を占めるのに対し,オンライン書評では「ストーリー」や「場面」がほとんどである,3) 新聞書評では客観的な表現や肯定的な評価がほとんどであるのに対し,オンライン書評では主観的な表現や否定的な評価も多く多様な内容であることが明らかとなった。
著者
田辺 浩介 松田 朝彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.497-502, 2021-12-18 (Released:2022-02-19)
参考文献数
13

研究データを保存するためのデータリポジトリには,データファイルに加えて,生成された研究データのコンテキストを表現するための複雑なデータ構造を扱うことが求められる.この課題を解決するための仕組みとして,「研究データパッケージング」という考え方が提案されている. 本発表では,提案されている研究データパッケージングフォーマットのひとつであるROCrateを用いて,データの作成者,装置・試料の情報,ファイル・ディレクトリの構成などの多様なメタデータを保持しながら,データリポジトリに対して機械的かつ大量のデータ登録を試行した事例を報告する.
著者
金 甫榮
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.383-388, 2022-12-18 (Released:2023-01-27)
参考文献数
9

本発表では,『渋沢栄一伝記資料』の別巻第1,2に収載されている渋沢栄一の日記および予定表である「集会日時通知表」のテキストデータを,TEIを用いて再構築した事例研究の成果について論じる.『渋沢栄一伝記資料』は,日本近現代史研究において重要な資料とされているが,そのテキストデータが可視化・分析されたことはまだない.本研究では,テキストデータの信頼性向上と多様なデータ分析を可能にするための構造化を行い,その成果をウェブサイト「渋沢栄一ダイアリー」で公開した.この研究過程で,TEIによるテキストの構造化が何をもたらしたかを考察する.
著者
長岡 千香子 古川 雅子 林 正治 孫 媛 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.424-427, 2022-12-18 (Released:2023-01-27)
参考文献数
8

現在,国内の複数の研究・高等教育機関では,自大学で提供した講義の映像をまとめたOpenCourseWare (OCW),教育用ガイドライン,自学用教材等の学習・教育用コンテンツを,誰でも無償で利用できるOpen Educational Resources(OER)として公開している.これらのOERを公開するためのプラットフォームの種類は多様であるが,その一つの手段として,機関リポジトリ上で公開する試みがみられる.本発表では,日本国内のOER公開に関する取組,機関リポジトリで実際に公開されているOERへのアクセス状況の集計,機関リポジトリ上でOERを公開する際の検討事項等を通じて,OER公開用プラットフォームとしての機関リポジトリの可能性について検討・考察する.