著者
大塚 裕史 小田 直樹 上嶌 一高 宇藤 崇 嶋矢 貴之 池田 公博
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、企業内や企業間など、組織内あるいは組織をまたがる形で過失責任がとわれるタイプの犯罪について、研究を行うものである。本研究では、判例分析や文献研究を通じて、その刑事責任の限界や責任追及のための手続きについて論文14件、学会発表2件、書籍1件の成果を挙げている。その内容は、「予見可能性」要件の意義と内実の更なる明確化、実体法と手続法にまたがる新課題への対応方法、単に過失犯が競合した場合と共同していると評価できる場合の区別の3点を主たるものとしている。
著者
佐々木 成朗 三浦 浩治 板村 賢明
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

フラーレン-黒鉛ハイブリッド超潤滑界面の摩擦過程を分子力学法で計算するシミュレータを開発し、本界面が走査方向に対して格子の整合・不整合に由来する顕著な異方性を示す事を明らかにした。特に整合性の良い[1010]方向の超潤滑の起源が、(1)C_<60>分子の微小回転(傾き)、(2)C_<60>分子とグラファイトとの点的接触及びそれが誘起するC_<60>分子の弾性変形である事を示した。そして[1230]方向の近似的なゼロ摩擦の出現理由が、隣接する2極小点間のエネルギーバリアが走査過程中消失しないで、常に存在するためである事を明らかにした。
著者
高安 健将
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

議院内閣制は、議会と政府を同じ政治勢力が掌握するシステムである。それゆえに、その政治勢力には大きな権力が委ねられることになる。このような強い権力の出現が許容されてきたのは、政治エリートへの信頼と政権党による民意の集約が前提とされたからである。しかし、近年、日英両国でこうした前提が成立しなくなっている。本研究は、議院内閣制を成立させる前提条件が変化する中で、それとは必ずしも一貫性を持たない、第二院や最高裁判所の活性化、分権化や権力移譲といった制度とその運用に注目し、議院内閣制に対する影響を考察した。「マディソン主義」は近年の日英両国における政治の動きを捉えようとして導入された視座である。
著者
上宮 成之
出版者
成蹊大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

廃棄物のエネルギー転換プロセスにおけるゼロエミッション化を目指すには、廃棄物の焼却・ガス化などのエネルギー変換プロセスのみならず、処理に伴い二次的に排出される廃棄物の処理・再資源化プロセスについて、マテリアルフロー・エネルギーフローを総合的に把握・評価することが必要である。本研究では、都市ゴミの収集から減容・無害化処理、金属回収処理までを、輸送をも考慮して評価し、一連のプロセスにおけるゼロエミッション化の可能性およびその効果を検討した。都市ゴミ1t処理したときのCO_2排出量を算出した結果、減容・無害化工程における排出量は全体の80-93%を占め、これらの工程のシステム全体に対する負荷が極めて大きいことがわかった。すなわち、システム全体から見ると、金属回収工程の占める割合は小さく、金属回収をすべきとの解釈をすることができる。また、発電により熱回収しエネルギー変換をすることにより、システム内で使用する電力のすべてを賄え、さらには余剰電力を売電することでシステム内に関わるCO_2排出量は全て相殺されることがわかった。さらに、LCA手法に新たな評価指数を導入して評価した。資源の確認可採埋蔵量の逆数と定義したエネルギー資源枯渇係数および金属資源枯渇係数を用い評価した結果、エネルギー資源枯渇係数は発電による削減効果が大きく、また金属資源枯渇指数の方がエネルギー資源枯渇指数よりも1桁大きい値となることが明らかとなり、金属資源の回収の重要性が半定量的に把握できた。ユーティリティ起因のCO_2排出量の他に、地域性や価値などの問題も含めて取り扱い方に大きな隔たりがある土地資源、エネルギー資源と金属資源について、これらの重要な評価軸を適切に選択し2軸平面図に描く手法により、簡易的ではあるが、多面的な評価が可能となり、意志決定に際し有効な手段となることを実証した。
著者
大沼 雅也
出版者
成蹊大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、ユーザー自らがイノベーションを起こし、それが企業によって製品化され、普及する過程の背後にあるメカニズムを探求することにある。こうした目的に向けて行われた本研究の成果は大別すると二つある。第一に、ユーザーイノベーションをめぐる既存研究を包括的に整理し、ユーザーイノベーションに関して企業が直面する組織・戦略的課題を明らかにしたことがある。第二に、その課題を実証するための定性・定量データの収集および分析の結果、今後の研究の礎となる一定の知見が得られたことがある。
著者
岩本 宏之
出版者
成蹊大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,多重壁構造にモードの局在化現象を積極的に惹起させることによって,壁を透過しやすい低周波音を指定された中間層に局在化させ,結果として放射音を抑制する手法の提案を目的とする.まず,モーダルカップリングによるモデリングを基調として,多重壁構造の状態マトリクス方程式を導出する.次に,平板間のエネルギ伝達を担う連成項の存在を明らかにし,これを最小化することで局在化制御か可能となることを明らかにする.また,多重壁構造の精緻なモデリングについて,伝達マトリクス法を用いることで,平板の振動速度入力を陽に記述し,かつ,連成面の粒子速度がゼロにならない手法の提案も行う.
著者
堀内 正樹 大塚 和夫 宇野 昌樹 奥野 克己 清水 芳見 新井 和広 水野 信男
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、アラブ世界の様々な分野の人間関係の現状を分析することによって、社会全体を貫くネットワーク・システムの維持メカニズムを実証的に検証することを目的とした。その際、政治的・経済的・社会的・文化的環境、およびネットワークの内的意味世界の解明を分析の2本の柱とした。まず、ほとんどの調査地域においてこの十年ほどのあいだに急激な社会変化が生じていることが確認できた。政治・経済状況の悪化や社会格差の拡大、そして欧米を基準とした価値指標の浸透がもたらした閉塞感の蔓延などである。そうした現象に対応するように、ネットワークの地理的範囲や人の移動のパターンにも少なからぬ変化が見られたが、人間関係の保ち方自体に変化はほとんどなく、むしろ不安が増している社会状況に対処するために、これまで以上にネットワーク構築の重要性が増大しているという認識を得た。またネットワークの内的意味世界に関しては、同時代の人間関係のみならず、すでに死去した過去の世代の人間も重要なネットワーク・ポイントに組み込まれているという重要な発見をした。ネットワーク構築の適用範囲は現在だけでなく過去へも拡大されているのである。現代の地平へ伸びた人間関係のベクトルと、過去へと伸びたベクトルとがひとつに融合されて、「いま・ここ」という変化の渦中にある生活世界の中で、人間関係が柔軟・多様かつ強靱に機能するというしくみこそが、ネットワーク型社会システムの維持メカニズムの核心を成すとの認識を得た。この知見は、政治学や経済学、社会学といった「現代学」のみならず、過去をすでに終わってしまったものとして扱う歴史学に対しても、その姿勢を根本から問い直す重大な契機となるはずである。
著者
湯山 トミ子 武田 紀子
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

社会的需要を背景に、大学教養課程での中国語学習者が増大しているが、中国語の言語学的特色、授業時間数の制約から、学習者が望む言語能力の習得はなお未達成である。本研究は、この課題に応えるべく構想、開発されたe-Learning活用中国語教育プラン & システム"游"の使用成果を基礎に、自律的な学習能力をもつ意欲的な学習主体の創造、学習状況に基づく教員と学習者の相互啓発による双方向性教育を可能とする学習情報活用型教育法と、それを実現するためのシステムを構築した。
著者
井島 正博
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊大学一般研究報告 (ISSN:03888835)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-93, 1999-01
著者
久保田 篤
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.55-74, 1998-03
著者
井島 正博
出版者
成蹊大学
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-53, 1998-03
著者
加藤 節 西崎 文子 亀嶋 庸一 富田 武 藤原 帰一
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

近年、「内戦」が冷戦終結後の世界における戦争の新たな形態として頻発し、人々の関心をよんでいる。しかし、ふりかえってみると、20世紀全体が「戦争と革命の世紀」であるとともに、あるいはむしろそれゆえに、すぐれて「内戦の世紀」であった。今世紀は、ロシア革命に続く内戦から、ユーゴあるいはアフガニスタンの内戦に至るまで「内戦」を構造的に反復し続けてきたからである。本研究は20世紀がなぜそのように「内戦」を反復し続けてきたかを、多様的領域を専門とする政治学者の共同研究によって解明することを目的として発足した。その場合、本研究では次の三点に留意して分析を進めた。「内戦」を国民国家の擬制的性格に関連づけること、国民国家形成期における「内戦」の諸相に歴史的な光を当てること、国民国家体系としての現代世界における内戦の要因に理論的な考察を加えることがそれである。こうした作業を通して、本研究は歴史と理論との両面から「内戦」に政治学的考察を加えることができたと考えている。
著者
大倉 元宏
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年から2カ年にわたって視覚障害者用道路横断帯の最適幅と横断帯を構成する新しい突起体形状,およびその配置について検討した.さらに,視覚情報の得られない歩行における基本特性を調べ,横断帯の必要性を裏付けた.横断帯の幅に関しては大学構内の道路に幅30,40,50,60cm横断帯を各20m敷設し,目隠しを施した21〜23歳の晴眼大学生17名(男14,女3)を被験者として,歩行実験を行った.踏み外し歩数と歩きやすさ等の主観的応答から,30cm幅では狭すぎ,40cmより広い幅が一つの目安となると考えられた.横断帯を構成する突起体に関して,車輪を有する乗り物や歩行者に対してストレスが少ない突起(高さ5mm,底面と上面の直径それぞれ23.5,6mm;以下トライアングル型)を開発した.そして,それに連携して,点状横線部の両側に点状縦線を配するパターンを提案した.点状縦線の存在で,白杖による横断帯と足裏による道路面との境界部の検知性が高まることが予測される.このことを確かめるフィールド実験を実施したところ,点状縦線の効果を示唆する結果が得られた.さらに,道路横断帯の必要性の裏づけをとるために,視覚遮断直進歩行における周囲音の影響を調べた.周囲音条件として進路左右のスピーカから音圧の異なるホワイトノイズ(70,50dB,なし)を設定した.被験者には指定された手がかりを使って出発方向を決めた後,設定された周囲音条件下で直進歩行を求めた.被験者は13名の目隠しをした晴眼者であった.周囲音は直進時の歩行軌跡に有意な影響をもち,軌跡を音源とは反対側に偏軌させる.さらに音圧が高いと偏軌程度が強まることがわかった.道路横断は一般に直進歩行を求められるが,例えば視覚障害者が横断歩道を渡ろうとして,すぐ脇にエンジンのアイドリング音の高いトラックなどが止まっていれば,それとは逆の側に偏軌し,走行車両との干渉が危惧される.横断帯は直進歩行を維持するための有効な方法と考えられよう.
著者
柳井 道夫
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

戦後の衆議院議員選挙(いわゆる中選挙区制の場合)を中心に、新聞の選挙予測報道の仕方と実際の選挙結果とを照合する作業を行なってきた。選挙予測報道には、大きく分けて3種類のものがある。第1は投票率であり、第2は政党別議席獲得数の予測であり、第3は個々の候補者の当落予測である。第1のものは予測報道をすることにあまり異論は出ていない。第2のものは政党から苦情が出、あるいは圧力がかかる。第3のものは候補者の陣営から苦情がでる。第2のものについて言うと、確率論からすればかなりよく当たっている。しかし大きな争点がある時、または特定の政党が非常に多くの議席を獲得しそうな時は、確かに予測報道とは異なる結果がでることがある。(こうした場合、概して新聞社の見出しは獲得議席について控えめな表現がなされる。そして記事の内容とは異なることがある。)この獲得議席数についての予測と実際とが異なってくる理由を分析してみると、中選挙区制のもと、最下位当選者と次点との差が僅かであって、この僅かな差が全国各地の選挙区で生じ、全体として特定政党の獲得議席数予測に、大きなくるいが出てくる。個々の候補者の当落予測も確率論からすれば非常によく当たっている。時に大きな予測違いが出て注目されることがあるが、はずれる場合は、ある候補者が断然トップで当選すると報道され、有権者が安心して投票にいかなかったり、もう一人の他の候補者を当選させようとして、票が他に流れた場合ということが多いようである。こうした選挙予測報道のためのデータは、各新聞社ともかなり科学的に収集しており、そのデータを経験則によって加工する方法を考えており、かなり精度の高い予測がなされている。しかし時に、故意にデータを加工していると思われるものもある。