著者
時岡 良太 佐藤 映 児玉 夏枝 田附 紘平 竹中 悠香 松波 美里 岩井 有香 木村 大樹 鈴木 優佳 橋本 真友里 岩城 晶子 神代 末人 桑原 知子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.76-88, 2017-07-01 (Released:2017-04-15)
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

LINEとは,友人とのコミュニケーションを主眼としたアプリケーションのひとつである。近年,LINEは特に若者にとって欠かせないものとなってきている。本研究の目的は,高校生のLINEでのやりとりに対する認知のあり方について探索的に把握することと,その認知に対して現代青年に特有の友人関係のあり方が及ぼす影響について明らかにすることであった。高校生423名を対象に,本研究において作成したLINE尺度と友人関係尺度への回答を求めるオンライン調査を行った。LINE尺度の因子分析により「既読無視への不安」「気軽さ」「やりとりの齟齬の感覚」「攻撃性の増加」「即時的返信へのとらわれ」「つながり感」の6つの因子が抽出された。次に,友人関係による影響について多母集団同時分析を用いて検討した。その結果,友人から傷つけられることへのおそれが,LINEでのやりとりへのアンビバレントな気持ちを生む一因であることが示唆された。
著者
櫛引 夏歩 望月 聡
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.172-182, 2021-02-09 (Released:2021-02-09)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本研究の目的は,第一に境界性・自己愛性・演技性・回避性・依存性パーソナリティ障害傾向(PD傾向)と獲得的セルフ・モニタリング(獲得的SM)および防衛的セルフ・モニタリング(防衛的SM)との関連を検討すること,第二にPD傾向がSMを媒介して自己像の不安定性に及ぼす影響について検討することであった。大学生・大学院生297名を分析対象とした質問紙調査を行った。結果より,獲得的SMに対して演技性PD傾向は正の関連を,依存性PD傾向は負の関連を示し,防衛的SMに対して境界性・演技性・回避性PD傾向は正の関連を,自己愛性PD傾向は負の関連を示した。また,自己愛性・演技性・回避性PD傾向において,防衛的SMの下位因子を媒介して自己像の不安定性に影響することが示された。本研究の結果から,演技性・回避性PD傾向において,他者志向的なSMを行い,他者や状況のような外的要因の影響を受けることが自己像の不安定性につながることが示唆された。
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.221-234, 2019-03-01 (Released:2019-03-12)
参考文献数
32

本研究では対人ストレスを負荷した認知的評価/コーピング過程での共感―システム化の機能をメンタルヘルスの状態(心理的ストレス症状)との関連で検討した。学部学生1,090名から得られた質問紙について構造方程式モデリングによる分析を行った。その結果,共感―システム化が認知的評価に影響を与え,影響を受けた認知的評価がコーピングの選択に影響を及ぼすことが確認された。そして,選択されたコーピングが心理的ストレス症状に正あるいは負の影響を与えた。すなわち,認知スタイルは,認知的評価を媒介としてコーピングに影響を及ぼすことが示された。部分的に,コーピングには,共感およびシステム化からの直接のパスもみられた。コーピングと心理的ストレス症状の関係において,肯定的解釈/気晴らしは心理的ストレス症状を弱め,一方,問題回避は心理的ストレス症状を強めた。性差は,問題解決/サポート希求と心理的ストレス症状との関係でみられた。
著者
吉住 隆弘 村瀬 聡美
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.229-237, 2008
被引用文献数
1

本研究では,解離体験とどのような防衛機制およびコーピングが関連するのかを検討した。大学生449名(男子231名,女性218名)に対し,解離体験尺度 (DES),防衛機制測定尺度 (DSQ-40),およびコーピング測定尺度 (TAC-24) を実施し,各変数間の関連性を調べた。単相関分析の結果,「極端思考・他者攻撃」的な防衛機制,「感情抑制・代替満足」的な防衛機制,そして「問題回避」コーピングと解離が関連することが示された。さらに重回帰分析の結果からは,解離は防衛機制との関連が特に強いことが示された。
著者
高田 圭二 田中 圭介 竹林 由武 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-49, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
48
被引用文献数
1 2

本研究はマインドフルネスとwell-beingの関連を調整する要因として注意の制御に着目し,注意の制御がマインドフルネスとwell-beingの関連に与える影響を,大学生145名を対象に検討した。分析の結果,Subjective well-being(SWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察と注意の制御の主効果が有意だった。Psychological well-being(PWB)を目的変数とした場合,マインドフルネスの体験の観察,描写,反応しない態度と注意の制御の主効果が有意だった。また注意の制御による調整効果が示され,体験の観察は注意の制御が高いとSWBを高めた。さらに描写も注意の制御が高いとPWBを高めた。以上の結果から,体験の観察がSWBを促進するには体験を万遍なく観察する必要があり,そのためには柔軟な注意の制御が必要だと考えられる。そして,描写がPWBを促進するには内的な体験を的確に言語化する必要があり,注意の制御が高い場合に言語化が的確になると考えられる。
著者
古賀 佳樹 山本 竜也 川島 大輔
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-33, 2020-06-16 (Released:2020-06-16)
参考文献数
8
被引用文献数
2

This study aimed to examine the effects of anhedonia and behavioral activation on game addiction. A sample of 248 game players completed a questionnaire that collected information regarding game addiction, anhedonia, and behavioral activation. The results of the causal mediation analysis showed that behavioral activation did not directly affect game addiction but, instead, had an indirect effect: anhedonia mediated the relationship between behavioral activation and game addiction. This finding suggests that behavioral activation could be one of the effective intervention strategies for compulsive game players with anhedonia.
著者
森 彩乃
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.273-282, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

本研究では,解離傾向が学校での孤立傾向にどのような影響を及ぼしているのかについて,2回のパネル調査による検討を行った。対象は中学1年生~高校1年生407名(男子210名,女子197名)とし,Time 1を9月,Time 2を翌年度の2月に実施した。解離傾向(The Adolescent Dissociative Experiences Scale) については,Time 1で全体の10.1%,Time 2で全体の8.1%にカットオフ以上(病的解離が疑われるレベル)の高い解離得点が認められた。学年と性別および共感性を統制し,解離傾向と孤立傾向(学校での不適応傾向尺度)の交差遅延効果モデルによる分析を行ったところ,Time 1の解離傾向はTime 2の孤立傾向の高さを予測することが明らかになった。
著者
荒木 剛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.54-68, 2005 (Released:2005-11-11)
参考文献数
27
被引用文献数
4 6

いじめ被害体験者が青年期後期において示す不適応状態に関して,リズィリエンス(resilience)研究の枠組みに基づき,対人的ストレスイベントとコーピングスタイルをそれぞれ脆弱性因子及び保護因子として取り上げ,青年期後期の適応状態に対する効果をいじめ被害体験者/非被害体験者間で比較・検討した.大学生及び専門学校生301名(平均年齢19.66歳,SD=1.29)を対象とした質問紙調査により,いじめ被害体験者は青年期後期において特に対人的ストレスイベントを多く体験しているわけではないにもかかわらず,非被害体験者よりも適応状態が悪い傾向が見られた.この傾向は男性の方が強く,いじめ被害開始時期は無関係であることも同時に示された.また,被害体験者においては保護因子として問題解決型・サポート希求型コーピングが補償的に機能していることを示唆する結果が得られた.
著者
髙坂 康雅
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.101-103, 2008-09-01 (Released:2008-10-24)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

The relationship between feeling of inferiority and self-oriented perfectionism in adolescence was investigated. Adolescents (N5609) were asked to complete a questionnaire of 40-item feeling of inferiority scale and Multidimensional Self-oriented Perfectionism Scale (MSPS). Results of cluster analysis revealed four clusters of adolescents: (1) Low perfectionism, (2) High concern over mistakes, (3) High perfectionism, and (4) High personal standards. Results of analysis of variance indicated that adolescents with high concern over mistakes had significantly stronger inferiority feeling than other groups.
著者
榊 美知子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.58-60, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

Greater self-complexity has been suggested as a protective factor for people under stress (Linville, 1985). Two different measures have been proposed to assess individual self-complexity: Attneave's H statistic (1959) and a composite index of two components of self-complexity (SC; Rafaeli-Mor et al., 1999). Using mood-incongruent recall, i.e., recalling positive events while in negative mood, the present study compared validity of the two measures through reanalysis of Sakaki's (2004) data. Results indicated that H statistic did not predict performance of mood-incongruent recall. In contrast, greater SC was associated with better mood-incongruent recall even when the effect of H statistic was controlled.
著者
佐藤 徳 安田 朝子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.138-139, 2001-03-30 (Released:2017-07-24)
被引用文献数
30 109
著者
下司 忠大 陶山 智 小塩 真司 大束 忠司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.3.7, (Released:2018-12-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

This study aimed to investigate whether sadism is related to high competitive performance and whether this relationship is mediated by gamesmanship. Responses to sadism and gamesmanship scales of 339 university students majoring in physical education were analyzed. Results showed that sadism is significantly related to high competitive performance in relative competitions, and that this relationship is mediated by gamesmanship. Our findings suggest that sadism has positive aspects, despite its negative ones. This study contributes to the development of an accurate understanding of sadism.
著者
湯 立 外山 美樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.208-220, 2020-03-01 (Released:2020-03-13)
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究の目的は,2つの動機づけの低下状況(退屈な場面と困難な場面)を比較しながら,動機づけ調整方略が動機づけ傾向としての興味(感情的価値による興味,認知的価値による興味,興味対象関連の知識)に及ぼす影響について検討することであった。具体的には,退屈な場面における課題価値を調整する方略,困難な場面における自己効力感を調整する方略は動機づけ傾向としての興味を促進するという仮説を立て,大学生572名を対象とした短期縦断調査を行った。多母集団同時分析の結果,退屈な場面における興味高揚方略,自己報酬方略,困難な場面における自己効力感高揚方略は後続の感情的価値による興味を予測した。これらの結果は,仮説を部分的に支持した。最後に,本研究の限界点について考察した。
著者
湯 立 外山 美樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.3.9, (Released:2020-02-21)
参考文献数
40
被引用文献数
1

本研究の目的は,2つの動機づけの低下状況(退屈な場面と困難な場面)を比較しながら,動機づけ調整方略が動機づけ傾向としての興味(感情的価値による興味,認知的価値による興味,興味対象関連の知識)に及ぼす影響について検討することであった。具体的には,退屈な場面における課題価値を調整する方略,困難な場面における自己効力感を調整する方略は動機づけ傾向としての興味を促進するという仮説を立て,大学生572名を対象とした短期縦断調査を行った。多母集団同時分析の結果,退屈な場面における興味高揚方略,自己報酬方略,困難な場面における自己効力感高揚方略は後続の感情的価値による興味を予測した。これらの結果は,仮説を部分的に支持した。最後に,本研究の限界点について考察した。
著者
島 義弘
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.75-84, 2010-01-31 (Released:2010-02-28)
参考文献数
26
被引用文献数
5 3

本研究では,愛着の内的作業モデル(“不安”と“回避”)が対人情報処理に与える影響を,語彙判断課題を用いて検討した。実験参加者は大学生64名であった。“反応のずれ”(ネガティブ刺激に対する反応時間からポジティブ刺激に対する反応時間を減じた値)を従属変数とした階層的重回帰分析の結果,(1) 対人関係関連語において“反応のずれ”は“回避”からの有意な影響を受けていた。また,(2) 対人関係関連語の“反応のずれ”は“不安”と“回避”の交互作用の影響も受けていた。これらの効果は“不安”と“回避”の双方が高い場合に最も顕著であった。このことから,対人関係に関連した情報の処理は愛着の内的作業モデル,特に“回避”の影響を受けることが示唆された。しかしながら,(3) パーソナリティ関連語においては,“反応のずれ”は“不安”と“回避”のどちらの影響も受けていなかった。最後に,今後の方向性について議論された。
著者
吉野 伸哉 下司 忠大 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.3.7, (Released:2020-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The present study examined the relationships of sunshine duration with extraversion and neuroticism. Previous studies suggested that individuals living in regions that receive little direct sunlight tend to experience depression and lack of sleep, which are associated with particular personality traits. Moreover, they are associated with increases in the amount of serotonin with longer daylight durations. We used a Japanese dataset including 18,922 adults (9,227 females; mean age: 47.74) and conducted a prefecture-level analysis. Results of multiple regression analysis indicated that neuroticism was negatively associated with sunshine duration while extraversion was not. The results showed that sunshine duration may explain the variance of regional differences in personality traits.
著者
岡田 努
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-148, 2007-01-31
被引用文献数
7

本研究は大学生の友人関係の特徴と適応および自己像の関係を検討したものである。本研究では以下の変数について調査が行われた。友人関係,自己愛傾向,境界性人格障害傾向,自尊感情,現実自己像,理想自己像である。青年の友人関係のパターンを見出すためクラスタ分析により回答者を分類した。その結果 以下のような結果が得られた。1)内面的な友人関係を取る青年群は,病理的自己愛や境界性人格障害傾向が低く,自尊感情得点が高いなど適応的であり,また社会的側面における現実・理想自己像間の差得点と自尊感情得点の間に負の相関関係が見られた。2)現代的な友人関係を取る青年群は,不適応的で,身体的,活動的,社会的側面について,現実自己像と理想自己像の差得点と自尊感情の間に負の相関関係が見られたが,心理的側面との間では相関関係は見られなかった。