著者
下司 忠大 吉野 伸哉 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.1.3, (Released:2019-05-15)
参考文献数
7
被引用文献数
1

The purpose of this study was to examine the relationship between littering behavior and Dark Triad personality traits (Machiavellianism, narcissism, psychopathy). Forty-one college students (average age=19.83 years, SD=1.11; 9 males, 32 females) were assigned randomly into either a clean or a dirty laboratory condition, and participated in an experiment to assess their littering behavior. Results of Bayesian logistic regression analysis that predicted the littering index, indicated that cumulative probabilities that the odds ratio for narcissism and psychopathy exceed 1 in posterior distribution under dirty condition were 84% and 87%, respectively. The results of the present study showed that the Dark Triad personality traits may be related to littering behaviors, while previous studies focused on manipulations of condition.
著者
小山内 秀和 楠見 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.50-61, 2016
被引用文献数
4

物語を読むときに読者が体験する「物語に入り込む」現象を示す概念として,近年「物語への移入」が注目されている。本研究では,Green & Brock(2000)が作成した物語への移入尺度と,さらにそれを元にAppel, Gnambs, Richter, & Green(2015)の提案した短縮版の日本語版をそれぞれ作成し,信頼性と妥当性の検討を行った。調査1(920名)および調査2(275名)の結果,日本語版移入尺度は高い信頼性を持つことが示され,並行して測定したイメージへの没頭尺度や文学反応質問紙(LRQ)との間に正の相関を示し,基準関連妥当性を有することが示唆された。しかしながら,予測された1因子モデルによって確証的因子分析を行った結果,オリジナルの移入尺度の適合度は低いものとなる一方,短縮版尺度の適合度は許容できる結果となった。二つの日本語版尺度は,因子構造についてさらに検討する余地があるものの,今後の心理学,文学研究への応用が期待できるツールと考えられる。
著者
太幡 直也 佐藤 広英
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.26-34, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

本研究の目的は,ソーシャル・ネットワーキング・サービス上での自己情報公開を規定する心理的要因を検討することであった。mixi利用者1,051名を対象にウェブ調査を実施し,プロフィール上での自己情報公開や,情報プライバシーなどの心理的要因に関する項目に回答するように求めた。その結果,自己の属性情報(e.g., 性別),識別情報(e.g., 本名)への情報プライバシーが低いほど,不特定他者への自己情報公開数が多く,また,プロフィール上の自己表出性が高かった。一方,人気希求,犯罪被害へのリスク認知が高いほど,プロフィール上の自己表出性が高かった。
著者
仲嶺 真 渡邊 寛
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.303-305, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
10

The present study examined the relationship between sociosexuality and mating concerns. Sixteen female undergraduates and fourteen male undergraduates participated in the experiment. Participants passed through the right side of an opposite-sex confederate and entered a laboratory. They were asked to answer questions pertaining to sociosexuality and interest in the confederate. The results showed that the relationship between sociosexuality and interest in the confederate was significant among men; no such relationship emerged among women. For unrestricted men, mating may be an important concern in social life.
著者
神野 雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.86-88, 2016-07-01 (Released:2016-06-04)
参考文献数
9
被引用文献数
2

There are no useful scales that assess romantic jealousy multidimensionally in Japanese, and also, many issues that need improvement can be noted in representative jealousy scales such as the Multidimensional Jealousy Scale by Pfeiffer & Wong (1989). This study was conducted to develop the Multidimensional Scale of Jealousy in Romantic Relationships to assess components of romantic jealousy referred to in previous studies and to make some improvements. Three components of romantic jealousy were hypothesized: suspicious cognition, exclusive emotion, and cautious behavior. The results from 234 undergraduates showed three factors indicated by exploratory/confirmatory factor analysis and high internal consistency. The results also showed concurrent validity with the “Mania love style” and construct validity with scales measuring fear of abandonment, reassurance-seeking, and intimacy.
著者
安藤 寿康
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.120-123, 2006-08-30

Structural Equation Modeling (SEM) has changed psychological investigation drastically in two ways. First, SEM serves not only as a statistical technique for estimating descriptive statistics and testing causal model hypotheses, but also as a powerful tool to check validity of a theory or even to construct a new theory. Second, thanks to SEM, researchers have begun to think of constructing large-scale and systematic research projects in order to benefit from the advantages of SEM. SEM is, however, not a theory itself, but a tool for theory construction. It is researchers' critical thinking that tests and evaluates a theory. Close collaboration of researchers and statisticians in a research project is desirable, or even necessary.
著者
村上 元 森元 隆文 西山 薫 池田 望
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.8, (Released:2018-05-18)
参考文献数
36
被引用文献数
1

本研究は,被害妄想的観念の頻度,確信度,苦痛度の3側面に対して影響を与える要因を検証することを目的とした。被害妄想的観念への影響要因としては原因帰属,不安,抑うつを想定した。原因帰属は,内在性,安定性,全般性の3次元とし,内在性についてはさらに内的帰属,外的–状況的帰属,外的–人的帰属の3次元に細分化した。研究には統合失調症患者48名が参加した。階層的重回帰分析の結果,被害妄想的観念の頻度には抑うつと全般性が,確信度には抑うつ,外的–人的帰属,および全般性が,苦痛度には抑うつと不安が影響を与えていた。以上のことから,被害妄想的観念の3側面それぞれは,影響をおよぼされる要因が異なることが示された。したがって,被害妄想的観念への介入に際しては,各側面ごとに,感情の統制,もしくは原因帰属の把握が必要であることが示唆された。
著者
吉野 伸哉 下司 忠大 小塩 真司
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.256-259, 2020-03-01 (Released:2020-03-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The present study examined the relationships of sunshine duration with extraversion and neuroticism. Previous studies suggested that individuals living in regions that receive little direct sunlight tend to experience depression and lack of sleep, which are associated with particular personality traits. Moreover, they are associated with increases in the amount of serotonin with longer daylight durations. We used a Japanese dataset including 18,922 adults (9,227 females; mean age: 47.74) and conducted a prefecture-level analysis. Results of multiple regression analysis indicated that neuroticism was negatively associated with sunshine duration while extraversion was not. The results showed that sunshine duration may explain the variance of regional differences in personality traits.
著者
藤島 寛 山田 尚子 辻 平治郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.231-241, 2005 (Released:2005-06-15)
参考文献数
29
被引用文献数
11 11

本研究では5因子性格検査(FFPQ;FFPQ研究会,2002)の短縮版を構成し,その信頼性と妥当性の検討を行った.FFPQは外向性,愛着性,統制性,情動性,遊戯性という5つの超特性,その各超特性の下位因子として5つの要素特性という階層構造を持ち,包括的に性格を記述することができる.しかし,項目数が150項目と多いため,回答者の負担が少ない短縮版の作成が待たれていた.FFPQから,階層構造を維持するような50項目を選んでFFPQ短縮版 (FFPQ–50) とし,900名の大学生に実施して因子分析を行った.その結果,項目レベルでも要素特性レベルでも単純な5因子構造が示された.またエゴグラム (TEG) との関係から併存的妥当性が確認され,芸術大学の音楽専攻大学生の性格特徴をFFPQと同様に記述できることが示された.これらの結果から,FFPQ–50は階層構造を維持し,記述の多様性をもった性格テストであると考えられる.
著者
右田 晃一 井上 和哉
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.191-193, 2023-02-24 (Released:2023-02-24)
参考文献数
9

Empathic perspective-taking, usually measured with the Interpersonal Reactivity Index, refers to the tendency to adopt the psychological viewpoint of others; whereas spatial perspective-taking, measured with a cognitive task, is the ability to mentally rotate oneself into another’s spatial perspective. Erle and Topolinski (2015, study4) found these two ways of perspective-taking to be correlated, suggesting a shared mechanism between them. However, this finding was not supported by a replication study. We conducted an additional replication study by adding improvements to the replication study (e.g., a-priori power analysis), which again did not find a correlation between the two types of perspective-taking.
著者
岡林 秀樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.76-86, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
16
被引用文献数
21 4 6

本稿では,発達研究における方法論的・実践的問題について論じ,縦断データの解析方法を紹介した。第一に,人間のさまざまな性質の変化を正確に把握するために必要とされる,調査デザイン,測定,知見の一般化可能性についての方法論的問題が論じられた。次に,2時点で測定されたデータを用いて因果関係を分析するモデルとして,交差遅延効果モデルと同時効果モデルが解説された。さらに,3時点以上で測定されたデータの分析方法として,潜在成長曲線分析の基本的な考え方が解説された。最後に,多大な費用と時間がかかるが非常に価値の高い長期縦断調査を実施し,管理する際に生じる困難を克服するためには,個々の研究者が,実証科学の方法論に基づいた発達研究の重要性を再認識するだけでなく,学会全体が,より公共性を備えた研究体制の整備に取り組む必要があるという考えが示された。
著者
川島 大輔 小山 達也 川野 健治 伊藤 弘人
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.121-132, 2009-03-01 (Released:2009-04-08)
参考文献数
31
被引用文献数
3 4

本研究は医師が一般診療場面において希死念慮を有した患者にどのようなメッセージを呈しているのかを探索的に検討することを通じ,医師の自殺予防に対する説明モデルを明らかにしようとしたものである。希死念慮者への医師の対応に関する調査において,これまで死にたいと述べる患者に自殺をとどまるようにメッセージを伝えた経験があると回答した166名の医師の自由記述を対象に,テキストマイニングの手法を用いて分析を行った。結果,頻繁に用いられる言葉が同定され,また対応分析により「共感的理解と告白」,「精神科への相談」,「病気の診断と回復の見通し」,「自殺しない約束」,「生の価値と他者への配慮」の5つのクラスターが確認された。さらに得られたクラスター変数と患者の性別および年齢との関連についても検討を行った。
著者
神野 雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.125-139, 2018-11-01 (Released:2018-11-08)
参考文献数
53

本研究では,先行研究で知見が一貫していない恋愛関係の嫉妬傾向と自尊感情との関連について,自己愛的観点に着目することで知見を整理し直すことが目的であった。交際経験のある大学生160名を調査協力者として質問紙調査を行い,相関分析の結果,自尊感情は嫉妬の三次元すべてと明確な直線的関係にないことが示された。また階層的重回帰分析の結果から,特に嫉妬の情動的側面に対して自尊感情と自己愛の誇大性に相当する変数を同時に投入した場合は自尊感情が負の,「有能感・優越感」が正の有意な影響を示し,先行研究の知見の混乱は自尊感情が自己愛的な自己評価の高さと弁別して測定されていないために生じた可能性を見出した。さらに自己愛の過敏性に相当する変数と「注目・賞賛欲求」を投入すると,「注目・賞賛欲求」「自己愛性抑うつ」の影響が強く示されたため,自己評価の過敏さ・脆弱さが青年の情動的な嫉妬深さを規定しうることが示唆された。
著者
市川 玲子 望月 聡
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.131-145, 2013-11-30 (Released:2013-12-04)
参考文献数
27
被引用文献数
7

DSM-IVにおける複数のパーソナリティ障害(PD)の合併診断の頻度の高さが問題視されている。本研究では,依存性をその診断基準の一部に含み,複数の先行研究でオーバーラップが示唆されている境界性・依存性・回避性PD傾向間の共通点および相違点を数量的に検討した。調査対象者は,大学生・大学院生216名であった。PD傾向の測定には,日本語版SCID-II(高橋・大曾根訳,2002)および中澤(2004a)の大学生用PD傾向尺度(10PesT)における境界性・依存性・回避性PDに関する項目を用いた。結果から,これらのPD傾向は,自分の判断や考えに自信がなく,他者の目を気にするがあまりに自己開示を抑制する点でオーバーラップしていることが示された。また,境界性・依存性PD傾向のそれぞれに特有の特徴も明らかにされたが,回避性PD傾向特有の特徴は本研究からは明らかにされなかった。これらの結果から,境界性・依存性・回避性PD傾向の背景にある特性および潜在因子の特徴について考察を行った。
著者
岡田 努
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.135-148, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
44
被引用文献数
18 7

本研究は大学生の友人関係の特徴と適応および自己像の関係を検討したものである。本研究では以下の変数について調査が行われた。友人関係,自己愛傾向,境界性人格障害傾向,自尊感情,現実自己像,理想自己像である。青年の友人関係のパターンを見出すためクラスタ分析により回答者を分類した。その結果,以下のような結果が得られた。1) 内面的な友人関係を取る青年群は,病理的自己愛や境界性人格障害傾向が低く,自尊感情得点が高いなど適応的であり,また社会的側面における現実・理想自己像間の差得点と自尊感情得点の間に負の相関関係が見られた。2) 現代的な友人関係を取る青年群は,不適応的で,身体的,活動的,社会的側面について,現実自己像と理想自己像の差得点と自尊感情の間に負の相関関係が見られたが,心理的側面との間では相関関係は見られなかった。
著者
岐部 智恵子 平野 真理
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.8-10, 2020-04-21 (Released:2020-04-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1 4

This study developed the Japanese version of the Highly Sensitive Child Scale for Childhood (HSCS-C) and tested its validity and reliability. Data were collected from 400 dyads of primary school children (third to sixth grades: Mage = 9.75 years, SD = 1.22; male = 48.5%) and their mothers (Mage = 41.00 years, SD = 5.05). Two factors were found: the first was the conjunction of Ease of Excitation and Low Sensory Threshold, and the second was Aesthetic Sensitivity. A bivariate correlation analysis indicated that children’s sensory processing sensitivity, measured with HSCS-C, was associated with self-reported empathy and mother-reported temperaments, with both forms being distinct. The internal consistency was found to be satisfactory.
著者
中山 真 橋本 剛 吉田 俊和
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.61-75, 2017

<p>本研究の目的は,恋愛関係崩壊後のストレス関連成長に影響を及ぼす個人差・状況要因として,愛着スタイルと崩壊形態の影響を検討することであった。参加者である大学生・短大生184名(男性86名,女性98名)は,過去5年以内の恋愛関係崩壊経験について想起し,成長感尺度,愛着スタイルの各尺度へ回答した。まず,崩壊形態については,片思いよりも交際していた関係の破局(離愛)で,拒絶者の立場については,拒絶者があいまいな場合よりも,相手に拒絶された場合に,それぞれ高い成長が見られた。愛着スタイルについては,関係性不安が低いほど高い成長が見られた。</p>
著者
小塩 真司 西野 拓朗 速水 敏彦
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.250-260, 2009-05-01 (Released:2009-07-04)
参考文献数
26
被引用文献数
7 3 6

本研究の目的は,他者軽視および顕在的自尊感情と,潜在連合テスト (Implicit Association Test; IAT) によって測定された潜在的自尊感情との関連を検討することによって,仮想的有能感の特徴を明らかにすることであった。研究1では大学生119名に対し,紙筆版の潜在連合テストによって潜在的自尊感情を測定し,顕在的自尊感情尺度,他者軽視に基づく仮想的有能感尺度を実施した。また研究2では,大学生155名を対象に,パーソナルコンピュータ上の潜在連合テストによって潜在的自尊感情を測定し,顕在的自尊感情尺度,仮想的有能感尺度を実施した。2つの研究ではほぼ同じ結果が再現された。まず第1に,仮想的有能感は顕在的自尊感情とは有意な関連がみられないが,潜在的自尊感情とは有意な正の相関関係にあった。また第2に,顕在的自尊感情が低く潜在的自尊感情が高い者が,もっとも他者軽視を行う傾向にあることが示された。