著者
趙 仁貴 劉 建 塩津 文隆 豊田 正範 楠谷 彰人 武田 真 一井 眞比古
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.148-152, 2006-04-05
参考文献数
22
被引用文献数
3

水稲品種オオチカラとその短根性準同質遺伝子系統IL-sr1を供試し、出穂期における地上部と根の形質、出液速度および止葉の光合成関連特性を比較した。IL-sr1の草丈はオオチカラより有意に低く、株当たり茎数と地上部乾物重も有意に少なかったが、茎当たり地上部乾物重に有意差はみられなかった。株当たりの出液速度はIL-sr1の方がオオチカラよりも有意に低く、IL-sr1/オオチカラ比は56%であった。そこで、この差を根量と根量当たり出液速度に分けて検討した。その結果、総根長と総根重のIL-sr1/オオチカラ比は30%と35%、総根長および総根重当たり出液速度の同比はそれぞれ188%と163%であり、いずれにも有意差が認められた。すなわち、根量はオオチカラの方が多く、根量当たり出液速度はIL-sr1の方が高かった。これらより、IL-ssr1は根の量が少ないために根全体の生理機能はオオチカラより低くなったが、個々の根の生理活性はオオチカラを上回っていると推測された。また、光合成関連特性に関してはIL-sr1とオオチカラとの間に有意差は認められず、短根遺伝子sr1は光合成に影響しないと考えられた。
著者
大平 陽一 竹田 博之 佐々木 良治
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.58-65, 2009 (Released:2011-03-05)

タンパク質変異米水稲品種の米粒内における種子貯蔵タンパク質の分布特性を明らかにするために、搗精歩合の異なる米粒のタンパク質含有量を調査し、米粒内の層別のタンパク質含有量と存在割合を算出した。タンパク質変異米水稲品種では、一般食用水稲品種「ニホンマサリ」と同様に、米粒の外層部である100〜>80%層に総タンパク質の44〜45%が存在した。一方、易消化性タンパク質は、いずれの品種も100〜>80%層に44〜48%が存在したが、「ニホンマサリ」では90〜>80%層に最も多く、タンパク質変異米水稲品種では100〜>90%層に最も多かった。タンパク質変異米水稲品種において易消化性タンパク質が最外層に多く集積する傾向は、低グルテリン米水稲品種より低グルテリン・26 kDaグロブリン欠失米水稲品種で顕著だった。「ニホンマサリ」では、主要な易消化性タンパク質である37-39 kDaグルテリンαと22-23 kDaグルテリンβが90〜>80%層に多く存在しているのに対し、タンパク質変異米水稲品種では、37-39 kDaグルテリンαや22-23 kDaグルテリンβの量が低下し、相対的に易消化性タンパク質に占める割合が高くなった57 kDa超過タンパク質と57 kDaタンパク質が100〜>90%層に最も多く存在していた。したがって、易消化性タンパク質の分布における品種間差異は、これらのタンパク質画分の分布特性の差異を反映したことによると推察された。易消化性タンパク質は、80〜>70%層を含む層よりも内層部ではより少ない割合でしか存在しなかったので、玄米から易消化性タンパク質を効率的に低減するには、80%程度の搗精歩合が望ましいと考えられた。
著者
長戸 一雄 江幡 守衛 石川 雅士
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.472-479, 1972 (Released:2011-03-04)
著者
Ahmad Sayeed 小葉田 亨 高見 晋一
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.p327-332, 1986-09

作物の干ばつ抵抗性は, 乾燥耐性(植物体水ポテンシャルの低下にともなう生育阻害, 障害の発現程度)と, 乾燥回避性(環境の乾燥化にともなう水ポテンシャルの低下程度)とに依存するものと考えられる. 本研究は, これら2つの機構がイネ幼植物の干ばつ下における生存能力の品種間差にどのように関与しているかを明かにしようとした. 第1の実験では, 主として根圏の違いに起因する回避性の影響を除くため, 小容量(0.5 L)のポットに日本型稲4品種(水稲1, 陸稲3品種)を栽培し, 第6葉期に断水処理をおこなった. その結果, 全品種とも葉身の水ポテンシャルはほば同様に低下したにもかかわらず, 葉身の枯死程度は, 水稲が最も小さかった. 第2の実験では, 比較的大容量(4 L)のポットに, 日本型, インド型稲5品種(水稲2, 陸稲3品種)を栽培し, やはり第6葉期に断水処理をおこなった. その結果, 日本型, インド型稲とも, 陸稲の方が水稲より日中の葉身水ポテンシャルは高かったが, 生存程度には一定の傾向が見られなかった. 従って, イネ幼植物の干ばつ下における生存能力の品種間差は, (1)根圏が制限された条件下では耐性によって, (2)根圏が大きくなり得る条件下では主として回避性によってもたらされるものと結論される.
著者
杉本 秀樹 佐藤 亨 西原 定照 成松 克史
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.p605-610, 1989-12
被引用文献数
4

本実験は, 尿素の葉面散布がダイズの湿害軽減に有効か否かを明らかにするために行ったものである。ポット栽培したダイズ (タマホマレ) を供試し, 開花期に湿潤 (地下水位5〜7 cm), 湛水 (地上水位2〜3 cm) ならびに適湿の各区を設け, 1%尿素液を葉面散布した。土壌の過湿処理は7日間, 葉面散布は14日間それぞれ継続した。湿潤ならびに湛水区では, 散布により葉身の窒素含有率が増加して光合成速度が高まり, 乾物生産が増大した。また, 莢数と百粒重が増加して子実収量も増大した。特に, 湿潤区では散布により, これらは対照区 (適湿・無散布) とほぼ同様の値となった。一方, 適湿区では散布効果は小さかった。以上の結果, 開花期のダイズは地下水位が5〜7 cm程度の過湿条件におかれても, 尿素の葉面散布により障害をほぼ回避でき, また7日間湛水条件におかれたような場合でも, 散布により障害がある程度軽減されることが示唆された。
著者
中村 恵美子 伊藤 誠治 林 敬子 馬場 孝秀
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.318-326, 2006-07-05
参考文献数
34
被引用文献数
3

北陸地域においてより安定的した収量性、精麦品質をもつ新品種を育成するために、現在栽培されているミノリムギとファイバースノウを含む精麦用オオムギ4品種を用い、収量や精麦品質の年次変動の品種間差を調査した。その結果、穂数、千粒重、整粒歩合、粗蛋白含有率、硝子率、硬度差の各形質では、品種と年次との交互作用は検出されなかった。一方、整粒重、リットル重、55%搗精白度、55%搗精時間には交互作用があった。ミノリムギはオオムギの生育に良好な年では整粒重が多かったが、多雪年や登熟期に降雨が多い年では整粒重の低下が著しかった。一方、北陸皮35号は整粒重の年次変動が少なく安定的な品種であった。リットル重は年次によって最も重い品種と軽い品種が異なっていた。55%搗精白度と55%搗精時間においては、シュンライが年次変動が最も小さく安定していた。ミノリムギは年次にかかわらず55%搗精白度が最も低く、55%搗精時間が最も長かった。整粒重には登熟期の降水量や積雪の多少が、リットル重、55%搗精白度、55%搗精時間には登熟期の降水量がそれぞれ影響を及ぼし、その程度は品種により異なっていた。整粒重、リットル重、精麦品質が安定して高位である形質をもった品種育成のためには、多雪年を含み登熟期の降水量の異なる複数年の試験を行うことが必要であると考えられた。雲形病発病程度は年次間差のみあり、罹病性品種は自然感染の条件下では安定して発病しなかった。
著者
Guiamet Juan Jose Nakayama Fermin
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.p35-40, 1984-03

ダイズ品種Williamsを第1本葉展開時以降短日下 (自然光9時間) で栽培し, 開花始めより次の処理を行った. A-実験終了時まで短日のまま, B-実験終了時まで長日 (低照度3時間補光), C-子実肥大始めまで長日, D-子実肥大始めより肥大中期まで長日, E-子実肥大中期より実験終了時まで長日, F-子実肥大始めより実験終了時まで長日. 処理Aが生理的成熟期に達したとき実験を終了し, すべてを収穫した. 主茎頂端の生長はBとCで延長された. 一方, これらの処理では, 着莢節あたり莢数の両方が増加する結果, 個体あたり莢数および種子数が対象 (A) よりも有意に大となった. 収穫時では, 茎, 葉柄, 葉身の乾物重およびSLWのすべてがBで最大であった. C, DおよびFの葉柄, 葉身乾物重およびSLWもまたAより大であった. 平均一粒重は長日で減少し, Bが最小を示した, 子実生長率は長日により減少した. 莢の成熟と葉の老化はB, C, DおよびFで遅延した.
著者
森田 茂紀 豊田 正範
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.217-223, 2000-06-05
参考文献数
28
被引用文献数
3

メキシコ合衆国バハ・カリフォルニア州のゲレロ・ネグロで, 日本政府とメキシコ政府の共同事業として, メキシコ沙漠地域農業開発プロジェクト(以下, プロジェクト)が実施された.プロジェクトの目的は, 沙漠地域で野菜と果樹を点滴灌漑栽培するための技術を開発し, 移転することであった.プロジェクトの圃場の土壌と, そこで用いられる灌漑水は, いずれもpHと塩類濃度が高いという問題を持っているため, 作物の耐塩性に関する問題は重要な課題である.そこで本研究では, 耐塩性の問題を研究していくための基礎的なデータを得るために, 根から吸収されて茎葉部へ転流される様々なイオンについて検討した.すなわち, プロジェクトで重要な作物であるトウガラシとメロンについて, 成熟期の出液中に含まれているイオンの分析を行なうとともに, 出液速度を測定した.露地栽培したトウガラシでは出液中のイオン濃度に昼夜で差があったが, 出液速度も昼頃にピークを持つ山型の日変化パターンを示した.一方, 畝立マルチ栽培のメロンでは, イオン濃度も出液速度も昼夜に関係なくほぼ同じレベルであった.そこで, 出液速度を考慮して検討したところ, 耐塩性に関係しているナトリウムイオンの濃度は出液速度が大きいと低く, 出液速度が小さいと高いことが明らかとなった.なお, 土壌のイオン濃度も場所によって異なっていたため, バックグラウンドとして土壌成分を基準にした比較も行なった.以上のように, 出液成分に着目したアプローチによって, 作物の耐塩性を研究するために基礎的データが得られるが, 出液速度や土壌条件を考慮して解析する必要があることが明らかとなった.
著者
柏木 孝幸 廣津 直樹 円 由香 大川 泰一郎 石丸 健
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.1-9, 2007-01-05
参考文献数
70
被引用文献数
3 16

イネにおいて倒伏は収量や品質を低下させ,生産者の作業効率を低下させる栽培上最も重要な障害である.倒伏は倒れ方から湾曲型,挫折型,転び型の3つに分類され,その中で湾曲型倒伏がコシヒカリ等の栽培で最も多く生じる.湾曲型倒伏は穂を含む植物体上位部の重さや風雨等の外部の力により稈が湾曲することにより発生する.「短稈化」,「強稈化」及び「下位部の支持力強化」が湾曲型倒伏に対する抵抗性のターゲットである.これまでの倒伏抵抗性の育種では主に短稈化がターゲットとされてきた.一方で短稈化のみで倒伏抵抗性を向上させていくにはいくつか問題がある.収量性の観点から考えると,草丈を下げる短稈化には限界が生じる.さらに抵抗性を向上させるには短稈化以外に強稈化及び下位部の支持力強化をターゲットとして育種を進めて行くことが必要である.本総説では,近年の分子・遺伝生理学的な研究の成果を中心に湾曲型倒伏に対する抵抗性に関する研究成果をまとめ,倒伏抵抗性向上に向けた研究の方向性を論じる.
著者
柴田 和博 佐々木 一男 島崎 佳郎
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.267-274, 1973-09
被引用文献数
2

Growing the rice plants under various conditions of some possible combinations of daytime air-temperatures (A_D : 26, 20 and 14℃), the daytime water-temperatures (W_D : 26, 20 and 14℃), the nocturnal air-temperatures (A_N : 20, 14 and 8℃), the nocturnal water-temperatures (W_N : 20, 14 and 8℃) and the number of days of treatment (P : 3, 6 and 9 days), the authors examined their main effects and interactions on the heading date. The rice variety "Eiko" was used. The daytime was settled for eight hours from 9.00 a.m. to 5.00 p.m. and the night-time was settled for sixteen hours from 5.00 p.m. to 9.00 a.m. of the next day. The water was kept four cm. in depth above the soil surface in pots. The experimental design was 3^5 factorial in 81 units (1/3 replicate) with one block and defining contrasts 1=A_DW_DA_NW_<N^2>P. The results were summarized as follows; 1. At the fourth leaf stage (T_1; the transplanting time), the main effects of W_D, W_N and P were significant at 0.1% level and all the other were not significant (table 2). And regardless of the difference of W_N, it was inferred that W_D of 21℃ hastened the heading date (fig. 1-T_1(P_3)). 2. At the seventh leaf stage (T_2; about ten days before the differentiating stage of first bract primordia), the main effects of A_D, W_D, A_N and W_N and the two-factor interactions of A_D × P, A_N × W_N and A_N × P were significant. The contour lines of each date of heading based on W_D and W_N were almost straight and parallel with the line of mean water-temperature for nine days treatment (fig. 1-T_2 (P_3)). On the other hand, the contour lines of each date of heading based on A_D and A_N were curved. And regardless of the difference of A_N, it was inferred that A_D of 20℃ hastened the heading date (fig. 2-T_2 (P_3)). Moreover, T_2 was considered to be the most sensitive stage to temperature, because the heading date and the total leaf number on the main stem were most variable by both air- and water-temperature among all the treatment stages. 3. At the stages of nine leaves (T_3; the differentiating stage of first bract primordia) and ten leaves (T_4; the middle differentiating stage of primary branch primordia), the main effects of each factor and their interactions were similar to those of T_2, but the strengths were weaker than those of T_2 (table 2, 3 and 4). 4. At the thirteenth leaf (flgg leaf) stage (T_5; the stage of reduction division of pollen mother cells), the main effects of A_D, A_N and P and the two-factor interaction of A_N × P were significant greatly (table 2). The contour lines of each date of heading based on A_D and A_N were almost straight and parallel with the line of mean air-temperature (fig. 2-T_5 (P_3)).
著者
Guiamet Juan Jose Nakayama Fermin
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.p299-306, 1984-09

熟期の異なるダイズ品種, McCall (00), A-100 (I), Williams (III), Forrest (V), Ransom (VII) および Alamo (IX) を供試して, 開花以後の長日に対する反応の差異を調べた. 材料を開花まで短日下(自然光9時間)で育て, 開花後そのまま短日条件を続けたと区と, 長日条件(短日区の暗期に3時間の低照度補光)にした区とを設け, 比較した. 長日は, A-100 を除くすべての品種で栄養生長を促進したが, Williams では頂端生長の促進, Forrest, Ransom, Alamo では分枝数の増加によるものであった. 後者の場合, 長日下で発生した分枝には花がつかず, ニ次三次の分枝が生長した. 長日は, すべての品種, とくに Williams, Forrest, Ransom において生殖生長期間を延長させた. これら3品種と Alamo では長日により開花数が増加したが, 熟期の遅い品種ほどその程度は小さく, 脱落する花器の割合は高くなった. その結果, 成熟期における長日区の莢数と種子数は, McCall, Williams, Forrest および Ransom では増加したが, 花器の脱落が著しかった Alamo では減少した. 一方, 粒大は McCall を除いて長日により減少した. 長日区の子実収量は, 結局, Williams でのみ増加し, Alamo では短日区の約25%にすぎなかった.
著者
柴田 和博 佐々木 一男 島崎 佳郎
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.401-408, 1970-12
被引用文献数
1

Growing the rice plants under each condition of some possible combinations of the daytime air-temperatures (A_D: 26,20 and 14℃), the daytime water-temperatures (W_D: 26,20 and 14℃),the nocturnal air-temperatures (A_N: 20,14 and 8℃), the nocturnal water-temperatures (W_N:20,14 and 8℃) and the number of days of treatment (P: 3,6 and 9 days) at each stage of growth, the autliors examined their main effects and interactions on the percentage of sterile grains. The daytime was settled for eight hours from 9.00 a.m. to 5.00 p.m. and the night-time was settled for sixteen hours from 5.00 p.m. to 9.00 a.m. of the following day. The depth of water was kept in four cm. above the soil surface in pots. The experimental design was 3^5 factorial in 81 units (1/3 replicate) with one block and defining contrasts 1=A_DW_DA_NW_N^2P. The results were summarized as follows; 1. At the differentiating stage of first bract primordia (T_3), all the main effects and their two-factor interactions were not significant (table 4). 2. At the middle differentiating stage of primary branch primordia (T_4), only the main effect of A_D was significant at 5% level. However, that was not considered to be important because the differences of the percentage of sterile grains among them were smaller than 3%(tables 3 and 4). 3. At the stage of reduction division of pollen mother cells (T_5), the main effects of A_D, A_N and P and all of their two-factor interactions were significant at 0.1 or 1% levels. Moreover, the effects of W_D, W_D × A_N and W_D × W_N were also significant at 5% level. The contour lines of each pefcentage of sterile grains based on A_D and A_N were straight and parallel with the line of mean air temperature for three day treatment (fig. la). On the other hand, the contour lines for six and nine day treatments were curve together (fig. 1b-c). 4. At the head emergernce stage (T_6), the effects of A_D, A_N, P, and A_N × P and A_N × P were significant at 0.1% level. However, for three day treatment, A_D and A_N didn't affect the percentage of sterile grains. For six and nine day treatment, A_D and A_N were effective and their contour lines of each percentage of sterile grains were curve (fig. 2b-c). 5. The optimum ranges between A_D and A_N to minimize the percentage of sterile grains for each mean air-temperature were found in all the cases in which the contour lines were curve. The lower the mean air-temperature became, the bigger the optimum range between A_D and A_N became in most cases. Moreover, the optimum combinations of A_D and A_N to minimize the percentage of sterile grains were found to be about 24-20℃ in all cases (fig. 1〜2).
著者
齊藤 邦行 木村 麻奈 黒田 俊郎
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.337-341, 1998-09-05
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

ダイズのシンク形成過程における花蕾数と結莢率の変動を明らかにするため, 圃場栽培した個体の特定節位に着目して(主茎第12節), 開花始に第12節直上で摘心し, 第11節以下すべての複葉, 葉柄, 花器を切除した孤立区を設け, その後の開花・結実課程を対照区と比較した.孤立処理により花蕾の分化・発育が助長されて開花時間は延長し, 花蕾数は対照区の10に対して, 36と多くなった.花蕾数の増加は, 孤立区で7次花房まで花蕾の分化・発育が促進されたことに加えて, 高次位花房のうち複葉を伴う椏枝の節数が増加したことに起因した.結莢率は処理直後に開花した1次花房で対照区48%に比べて孤立区76%と高くなったが, 高次位花房では明かな相違は認められなかった.その結果, 孤立区では莢数, 100粒重が大きくなり, 子実収量は対照区の3倍近くになった.以上の結果, 各節は潜在的に通常栽培条件下の3倍以上の花蕾を着生する能力をもち, これには椏枝の発生が重要な役割をもつこと, さらに, 開花数が決定している1次花房では結莢率の向上により莢数が増加したが, 高次位花房の結莢率は顕著には高まらなかったことから, ダイズのシンク調節機能においては結莢率よりも花蕾数の方が優先することが明らかになった.
著者
山本 由徳 濃野 淳一 新田 洋司
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.p601-609, 1994-12
被引用文献数
3

約1/1000aポットに直播栽培した水稲主稈の第2節から第11節の範囲で, 下位, 中位, 上位節に1次分げつを1節のみ, 2節あるいは4節残存させ, 株当り分げつ穂数を20本とし, さらに残存節数が同じ区では, それらの次位別構成を同一とした条件下で, 主稈の節位別, 次位別分げつの子実生産力について検討した. 1) 主稈の生育, 収量(穂重)は, 残存節数が少なく, 残存節位が上位であるほど優った. 2) 同一残存節数区の1次分げつの平均1穂重は, L位>中位>下位節の順に優った. 2次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>上位>下位節の順に, また4節残存区では上位=中位<下位節の順に重くなった. 3(4)次分げつの平均1穂重は, 1節および2節残存区では中位>下位>上位節の順に, また4節残存区では中位=上位>下位節の順に重くなった. これらの結果, 全分げつの平均1穂重は1節, 2節および4節残存区でそれぞれ中位>下位>上位節, 中位>上位>下位節, 上位>中位>下位節の順に重くなり, 分げつの子実生産力は出現時期が早く, 栄養生長量の優る下位節ほど優るという傾向はみられなかった. 3)1次分げつの1穂重は穎花数と密接に関係し, 1穂穎花数は茎の生理活性をより直接的に示すと考えられた葉鞘からの葉身抽出速度(cm/日)と非常に高い有意な正の相関関係を示した.
著者
小野 良孝
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.p708-714, 1990-12

サトウキビの節間生長経過に見られる特徴と, 主茎に分化した各節の節間長, 節間径の季節変化について解析した。3品種 (F 161, NCo 310, 読谷山) における特定の1節間の伸長, 肥大生長は, 当該節に着生した葉身が完全に展開した日から10日目までの間に急激に行われ, 20日目までにほぼ終了した。しかし, 節間乾物重の増加は, 読谷山では葉身展開後70日目まで, 他の2品種では100日目まで漸増的に推移した。また, 成熟度の指標である節間の含水量の減少, ブリックスの増加は葉身展開後約100日目まで継続的に見られた。約1カ月間隔で周年的に値付けたF 161の主茎の各節における節間長, 節間径には, それらの生長時期に対応した顕著な季節変化が認められた。節間生長における季節変化を明らかにするために, 各植区の主茎基部の第11節位から各10節間を対象に, 節間の生長量と生長期間の気象要素間の関係を解析した。その結果, 節間長と3気象要素との間にいずれの節位においても正の単相関が認められた。しかし, 互いに他の2要素の影響を排除した節間長との偏相関は, 平均日射量と最も高い正の関係を, 次いで降水量と正の関係を示したが, 平均気温とは負の関係であった。節間径と3気象要素との単相関では, 第11〜30節位の節間径と平均気温, 降水量との間には負の有意な相関が, 一方, 第31節位以上の節間径と気象3要素との間には正の相関が見られた。各節位の節間径と気象3要素との偏相関は, 平均気温と負の高い関係を示し, 次いで平均日射量, 降水量と正の関係を示した。
著者
丹羽 智彦 堀内 孝次 大場 伸哉 山本 君二
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.105-110, 2001-03-05
参考文献数
12
被引用文献数
1

炭化汚泥は脱水汚泥に比べて,減量化,無臭化の特徴を有しているが,土壌改良資材あるいは肥料素材としての施用効果については研究例が殆どない.本研究では,下水道脱水汚泥を岐阜市と高鷲村から1998年3月と8月に採取した.炭化汚泥は,脱水汚泥を300~700℃で炭化処理して作製し,各汚泥の物理・化学特性を測定した.その結果,炭化汚泥の全窒素濃度,EC,C/N比などは,汚泥採取場所,時期,炭化処理温度によって異なった.例えば,全窒素濃度は3~7%までの幅があった.さらに,炭化汚泥に関しては岐阜炭化汚泥に比べて,高鷲炭化汚泥の硬度は2倍,密度は1.5倍であった.この結果,岐阜炭化汚泥は,高鷲炭化汚泥よりも多孔質であることが推測された.また,炭化汚泥の肥料効果を検討するために,1/5000aワグネルポットに,岐阜炭化汚泥と高鷲炭化汚泥を施用して陸稲を育てた.施用量は,両汚泥とも全窒素量が3g/ポット,6g/ポットとなるよう調節した.その結果,出芽後30日目の地上部乾物重とSPAD値は,炭化汚泥を多施用した区の方が高い値となった.また,高鷲炭化汚泥を施用した区よりも,岐阜炭化汚泥を施用した区の方が,地上部乾物重とSPAD値は高くなった.このように,全窒素量が同量となるように施用したにもかかわらず陸稲の生育が異なったことは,炭化汚泥の空隙率の違いが原因していると考えられた.炭化汚泥は,成分量や密度,硬度に差があり,これらの要因が土壌施用時に肥効に影響することを明らかにした.
著者
前田 英三
出版者
日本作物學會
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.249-253, 1977 (Released:2011-03-05)
著者
杉本 秀樹 黒野 真伸 高野 圭子 河野 靖 佐藤 亨
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.24-30, 2000-03-05
参考文献数
15
被引用文献数
3

北条市の水田で(瀬戸内平野部)1997年に緑肥レンゲをすき込み夏ソバを栽培したところ, 気象条件に恵まれ無施肥で250g / m^2を越える比較的高い収量が得られた.1998年には北条市と本匠村(九州中山間地)の水田で, 冬季休閑した休閑区とレンゲをすき込んだレンゲ区とを設け夏ソバを栽培した.北条市では, 播種期前後の多雨のため苗立ちが揃わず, 全般に生育も阻害され収量も低かった.この傾向は休閑区で特に著しく, 同区の収穫は皆無に近かった.しかし, レンゲ区では112g / m^2と前年の47%の収穫があった.本匠村では開花期以降の降水量が平年の2.76倍にも達し, 粒数不足のため収量は低く, レンゲ区で219g / m^2, 休閑区ではさらに低く143g / m^2であった.北条市のように生育初期段階に, あるいは本匠村のように開花期以降に土壌過湿仁おかれた場合でも, 夏ソバの生育阻害ならびに減収の度合いはレンゲ区の方が休閑区より少なかった.以上の結果は, 緑肥レンゲの作付けとすき込みが, 夏ソバ栽培にとって有効であること, 夏ソバの湿害を軽減する効果があることを示唆するものである.