著者
杉山 康彦
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.81-92, 1959 (Released:2023-07-29)

This short essay is the brief description of the ancient Japanese history of libraries until 13 century. Instead of persuing the development of famous libraries, means and ways of people's touching with books, in other words, collections and circulations of books are particularly researched. On this base the process of library development is surveyd. Conversely speaking, from the following view point the history is observed: What part has a library taken in people's reading and as a result what relation has it had in other fields.
著者
德安 由希 小泉 公乃
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.95-111, 2022 (Released:2022-06-30)
参考文献数
61

本研究の目的は,積極的に行政支援サービスに取り組む公共図書館がどのようにサービスを構築し,発展させてきたかを解明することである。愛知県の田原市図書館を対象に,資料調査と館長,副館長,図書館員,行政職員(サービス利用経験有)への半構造化インタビューによる事例分析を行った。結果,田原市図書館では,地域課題によって図書館員と行政職員の意識と行動が互いに変化し,両者の関係性の強化を契機に従来のサービスを転換する形で行政支援サービスを構築していた。構築後も図書館員の継続的な努力によってサービスは緩やかに進展し,図書館と行政部局の連携による新たな成果の創出にまで発展していることが明らかになった。さらに,図書館と行政職員の意識や行動をサービスが変化した時期と関連づけながら,サービスに与えた影響を整理し,サービスの構築過程を4 段階別に描いた上で,行政支援サービスに関連する図書館員の専門的知識を考察した。
著者
川崎 良孝
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.49-60, 1977 (Released:2022-10-07)

This paper is divided into three sections. (1) The summary of the four types of libraries which Bray proposed “parochial”, “provincial”, “decanal” and “layman's” libraries. (2) The influence of his idea of lending libraries on the history of public libraries. (3) The expansion of his design by Kirkwood, “the father of free libraries”. Conclusion 1. Bray's idea of lending libraries open to the public is particularly important in the history of the public libraries both in England and America because it was accompanied by an increasing emphasis on public use. 2. Bray's Library was a significant step toward the development of the modern public library which began in the mid-nineteenth century.
著者
横山 幹子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.85-100, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
59

本論の目的は,文献分析に基づき,知識の組織化システム(KOS)としての統合的レベル分類(ILC)と,Claudio Gnoli の存在論(複数主義)との関係を検討することである。 本論での検討の結果,2 つのことが明らかになった。1 つは,Gnoli の存在論は,確かに統合的レベル分類においてすべての研究対象を秩序付けることができるが,統合的レベル分類においてすべての研究対象を秩序付けることができる存在論はGnoli の存在論だけではないということ,言い換えるならば,抽象的存在者を認めるとしても必要とされる抽象的存在者はメンティファクトのような存在者だけとは限らないということである。もう1 つは,たとえ研究対象として知識の地位を評価することのできる存在論が他にあるとしても, Gnoli の存在論は確かに研究対象としての知識の地位を評価することができるということである。
著者
中村 百合子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.204-221, 2008-09-30 (Released:2017-05-04)

本研究では,戦後の日本において読書指導の実践および理論の発展を導いた滑川道夫の読書指導論がいかに形成されたかを,氏の読書指導の定義の戦前と戦後に注目して検証した。具体的には,1950年までの氏の著述を時系列に整理・検討した。結果,滑川の読書指導の定義の戦前から戦後への連続と断絶の各面が明らかになった。滑川は1930年代後半期に,児童文化運動の広まりのなかで,読書指導への関心を深めており,1941(昭和16)年に出版された共著書『児童文化論』中に,戦後の同氏の読書指導論の本格形成につながる端緒が認められた。その後,終戦後の占領下にあって,CIE教育課側の指示を契機に滑川の読書指導論は具体化され,指導要項として整理された。そして1949(昭和24)年になる頃までには,戦後をとおして氏がもちつづけた,生活指導に統合される読書指導という考えを構成する重要な要素が見出されていた。
著者
河井 弘志
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.109-124, 1999-11-30 (Released:2017-05-04)
被引用文献数
1

17世紀以来, ドイツには参事会図書館に由来する市立図書館があり, 上層特権市民によって利用された。19世紀には下層民衆を対象とする福祉事業的な公立・私立の民衆図書館が各地に生まれたが, 市立図書館と交わるところはなかった。すべての市民が対等に利用するアメリカのパブリック・ライブラリーに接した大学図書館員ネレンベルクは, ドイツの二元体制をなくして, 全市民が平等に利用できる公共図書館を現しようとする運動を進め, 彼ら「図書会館」と名づけたドイツ型パブリック・ライブラリーが各地に生まれた。「図書会館」とは, 公立学校に対応する公立図書館, 公費経営, 法による義務設置, 利用無料, 昼夜開館閲覧, あらゆる階級の利用, 専門職図書館員など, 公共図書館の純粋理念を現する図書館である。この理念は, ナチス支配終了後の公共図書館運動によって本格的な結をみることになる。
著者
武田 将季
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.67-83, 2019 (Released:2019-06-28)
参考文献数
78

本研究では,内因性瞬目が個人の情報処理における認知的状態を反映することを利用し,1)キュレーションによって構造化された情報を参照した場合,また,構造化されたページを起点に個別のページへアクセスして参照した場合と2)サーチエンジンの検索結果一覧ページとそれを起点にして個別のページへアクセスし,参照した場合では,それぞれユーザによる情報処理がどのように行われ,どのように異なるかについて検討した。 その結果,タスク全体で見た時,いずれのタスクにおいても,キュレーションされた情報を利用した場合に評価や判断等の思考を伴う情報の取り込みを行なっていることが推定された。また,閲覧したページを,起点となるページ(P1)および個別のページ(P2)に分けて分析したところ,旅行タスクのP1 およびP2,レポートタスクのP1 において,キュレーションされた情報を利用した場合の方が,外部におかれた情報の取り込みにとどまらず,評価や判断等の思考を伴う情報の取り込みを行なっていることが推定された。
著者
岩瀬 梓 山岡 加奈 王 雨晴 広江 理紗子 吉田 直輝 宮田 洋輔 石田 栄美 倉田 敬子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.101-112, 2020 (Released:2020-12-30)
参考文献数
14

2011-2018 年に38 か国で実施された「国際成人力調査(PIAAC)」のオープンデータを用い,デジタルスキルに影響する要因の比較を行った。分析にはデジタルスキルを反映すると考えられるIT を活用した問題解決能力(PSTRE)の課題の正答数(25 か国15,702 件)を用いた。分析手順は以下の通りである。1.各国のPSTRE の課題の正答率比較,2.背景調査から選択した63 設問(日常でのメディア利用等)の因子分析,3.選択された各因子の因子得点と年齢,性別,学歴を説明変数,各回答者のPSTRE 正答数を目的変数とした回帰分析(25 か国全体,日本,北欧3 か国の3 グループに実施)。主な結果として,課題ごとの正答率および課題の正答に影響する要因は国や地域ごとに異なることが明らかになった。ただし,年齢と学歴はいずれの国や地域でも共通してPSTRE に影響を与え,性別は日本,北欧3 か国では有意ではなかった。
著者
松本 直樹
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.39-56, 2008-03-31 (Released:2017-05-04)
被引用文献数
2

地方自治,特に住民自治を実現する制度的な機関である議会の公立図書館及び学校図書館への関心について検討するため,埼玉県内市議会を対象に,全41市の議会会議録の分析を行った。議会会議録の分析から,図書館に比較的強い関心を持つ議員が全体の2.4%存在し,彼らが全質問の28%を占めていた。政党・会派では,公明党,共産党の質問回数が多かった。また,女性議員の関心が高いことが分かった。質問内容としては,施設・職員の充実を望むものが多かった。
著者
薬袋 秀樹 Hideki MINAI
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2020年度, pp.45-48, 2020-06

研究の目的は、「望ましい基準」ともう一つの基準から成る複数基準が図書館法以外の法律で用いられているかどうかを明らかにすることである。「e-Gov 法令検索」を用いて現行法の条文の調査等を行った結果、次の点が明らかになった。「望ましい基準」の用語を含む法律は11(現行法9、旧法2)ある。環境・学校関係の基準を規定した法律と図書館法を除く6 つの法律にはもう一つの基準に関する規定は見られず、複数基準は用いられていない。
著者
薬袋 秀樹
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集
巻号頁・発行日
pp.54-57, 2015-05

日本図書館情報学会2015年春季研究集会:2015年5月30日(土)京都ノートルダム女子大学『日本図書館情報学会春季研究集会発表論文集』2015.5, p.54-57(2015.7一部訂正)
著者
海野 敏 影浦 峡 戸田 愼一
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.119-140, 2009-09-30 (Released:2017-05-04)

コミュニケーションメディア(以下「メディア」)を通念的なメディアイメージに囚われることなく情報伝達性能の観点から体系的に比較するために,伝達方法の形式に関して14項目,伝達内容の形式に関して4項目,計18項目からなる「メディア比較汎用項目リスト」を創出した。次に,現代日本のメディア環境を分析するために,汎用項目リストの18項目について21種類のメディアを比較してカテゴリカルデータを作成し,これを用いてクラスター分析によるメディアの階層分類と,非計量多次元尺度構成法によるメディア配置の視覚化を行った。その結果,現代日本におけるメディア相互の関係と配置を系統的に把握することができ,作成した汎用項目リストが有用であることがわかった。