著者
古川 厚 塚原 宏子
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-34, 1965-08-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

従来, 水棲生物飼育のために, 多くのコンクリート池が使用されているが, 新らしくコンクリート池を造成した場合, その直後に生物を入れると, へい死するという事実は各所で知られている。この原因がいわゆるコンクリートの“アク”といわれる物による事もよく知られている。しかし各所で種々な方法によって“アク抜き”が行なわれているにもかかわらず, 公開されている文献は極めて少ない (1) (2) (3) 。我々は新らしくコンクリート池を造成した際に, pH変化及び温度変化を自記々録させたのでその結果を紹介する。
著者
藤川 裕司 片山 知史 安木 茂
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-11, 2014-03-20 (Released:2015-04-02)
参考文献数
21
被引用文献数
1

宍道湖のワカサギは1994年漁期に激減し,その後不漁が継続している。今後,資源の増大策を検討する必要があるが,そのためには生活史を通した生息場所と回遊パターンを明らかにしておくことが基本的に重要な課題である。耳石のストロンチウム,カルシウム比の分析結果,ます網調査およびひき網調査結果から回遊パターンを調べた。その結果,主たる産卵場である宍道湖流入河川の斐伊川で孵化したワカサギは速やかに流下し,5 ~ 8 月を中心に大部分が中海かあるいは海へ降下し,産卵期の 1 ~ 2 月になると産卵のために宍道湖へ遡上するものと考えられる。その降海前の生息場としては,流入河川が重要であると推測された。以前の豊漁時代に資源の主体であった湖内残留群は,現在は低位水準にあると考えられる。
著者
白藤 徳夫 村上 直人 森岡 泰三 市川 卓 福永 恭平 安藤 忠
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.403-410, 2011-09-20 (Released:2012-10-08)
参考文献数
48

春季の沿岸海域におけるサケ稚魚とニシン仔魚の捕食-被食に関する実態解明のための基礎的知見を得ることを目的に,実験水槽内においてサケ稚魚によるニシン仔魚の捕食実験を行った。解凍した大型,小型ニシン仔魚および生きた仔魚をサケ稚魚に与えたところ,いずれの状態の仔魚も活発に捕食された。したがって両者が同所的に分布していればサケ稚魚はニシン仔魚の捕食者になることがわかった。また,ニシン仔魚を摂餌した際のサケ稚魚の飽食量は体重の4.7~7.4%であること,摂餌後2~4時間で胃内容物の50%が消化されること,捕食されたニシン仔魚は摂餌後3~6時間までは形態学的手法による同定が可能であることがわかった。今後,サケ稚魚の仔稚魚捕食の実態を理解するためには,サケの摂餌時間と消化速度を考慮に入れた採集時間帯設定や捕食量推定法の検討を行う必要がある。
著者
白藤 徳夫 和田 洋藏 西垣 友和 八谷 光介 竹野 功璽
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.203-209, 2008-06-20 (Released:2012-09-10)
参考文献数
24

外海域でのイワガキ養殖を可能とする「鋼製魚礁を用いた浮体式養殖法」を考案し,その有効性を実証するため,2003年 2 月に鋼製魚礁を府下沿岸の水深約10 m の外海域に設置し,長期養殖試験を実施した。養殖されたイワガキは,養殖 3 年後(生後満 4 年)には,平均殻高(±SD)が103.1±16.3 mm となり,約 6 割の個体が200 g 以上の出荷サイズに成長した。浮体式養殖法では,養殖施設全体が海面下 4 m 以深にあり,波浪の影響を受けにくいため,試験期間中に台風や冬季の波浪によって施設が破損することはなかった。また,付着生物の着生量が少なく,それらの除去作業は不要であった。さらに,養殖施設には20種の魚類の蝟集が観察され,魚礁としての機能も確認された。これらの結果より,浮体式養殖法の有効性が実証された。
著者
木村 志津雄
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.615-618, 1994-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

1987年北海道留萌管内暑寒別川水系サクラマスより得た約3, 000尾の孵化仔魚の中に, 28尾のパーマークおよび体側, 背部に黒点のない無斑紋魚を発見した。1988年に通常のサクラマス雌と無斑紋雄とを交配して得たF18, 000粒の受精卵は全て有斑魚となり無斑紋魚は出現せず, 無斑型は劣性であると推定された。1991年に得られたF2における斑紋発現は有斑から無斑魚まで多様な斑紋型が現れた。完全無斑紋魚の出現は0.7%と低率であった。無斑紋魚同士交配したF3における無斑紋サクラマスの出現率は, 76%と高率となった。無斑紋サクラマスは将来, 放流後の再捕試験などに役立つと考えられる。
著者
加藤 文男
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.413-421, 1991-12-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
32

琵琶湖産ビワマスのスモルトと稚魚鱗の形成について, 形態と生態の面から明らかにした。1) 幼魚 (0+) は5, 6月頃, 体長約60mmで体色の銀白化が始まり, 湖へ降下する。湖中生活時に銀白化が一層強まり, 7月頃体長約80mmでスモルト期に移行する。2) 降湖後の6月頃, 生息環境の変化に伴ない, 体長70mm位で鱗に稚魚輪が形成される。その時の基部隆起線数は6~11本 (平均7.1本である) 。3) 幼魚の変態時に, 体色はかなり銀白化し, パーマークは消失するが, 背鰭先端の濃黒色斑はみられない。体高比はほとんど変らず, 銀毛化変態に伴なう形態的変化はやや弱い。4) スモルト期に鰓耙数と幽門垂数が定数に達し, 諸計数形質において成魚と同様になる。側線付近に赤点が少数散在するが, スモルト期を過ぎると消失する。5) スモルト期の平均体長は, 0+年魚の8月に約90mm, 12月に約130mm, 1+年魚の3月に約150mmに達する。6) 12月の平均体長約130mmの頃, 鱗に第一次冬帯が形成される。7) 夏季は沖合の水深10~20m (水温躍層) 以深の冷水域に生息する。8) 四季を通じて主にガンマルスを食べ, その他季節に応じてビワオオウズムシやエビ類, 稚魚なども食べる。9) スモルト (1+) の2, 3月における肥満度は13.3~20.5, 成熟度指数は雌が0.013, 雄が0.004~0.033ですべて未成熟状態であった。
著者
河野 敬史 猪狩 忠光 今吉 雄二 田中 敏博 徳永 成光 吉満 敏 寺田 竜太
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.359-369, 2012-09-20 (Released:2015-03-23)
参考文献数
32

薩南諸島と鹿児島県本土に見られる海草13種について,鹿児島大学と鹿児島県水産技術開発センターの標本と調査記録に基づいて分布を整理すると共に,熱帯・温帯性海草の推移帯に位置する奄美大島 2ヶ所で群落構造を調査した。日本本土に主に分布する温帯性種のコアマモとヤマトウミヒルモは奄美大島でも見られたが,アマモは薩南諸島で確認されなかった。熱帯性種の分布は種によって異なり,ベニアマモ,リュウキュウアマモ,ボウバアマモ,リュウキュウスガモ,ウミヒルモ,トゲウミヒルモの6種は奄美大島が北限だったが,ウミジグサ2種は種子島南部でも見られた。一方,オオウミヒルモは薩南諸島,鹿児島県本土の両方で見られた。沖縄以南の海草群落で主要構成種となるリュウキュウスガモは与論島,沖永良部島,徳之島で優占群落が見られたが,奄美大島では一部を除いて点生する程度であり,コアマモやウミジグサ類主体の群落が形成されていた。
著者
長谷川 夏樹 日向野 純也
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.155-158, 2010-03-20 (Released:2012-09-29)
参考文献数
13

伊勢湾内の6地区で漁獲あるいは調査採集されたアサリを用いて殻長-重量のアロメトリー式を検討した。伊勢湾全域の測定値を用いた殻長(L, mm)-総湿重量(TWW, gWW)のアロメトリー式は,TWW = 2.4×10-4×L2.97(決定係数:0.99)となり,伊勢湾域のアサリに共通のアロメトリー式が適用可能であることが明らかとなった。伊勢湾全域の測定値を用いた殻長-軟体部乾燥重量(SDW, gDW)のアロメトリー式は,SDW = 3.6×10-6×L3.30(決定係数:0.88)であったが,95%予測区間は広範囲におよんだ。また,伊勢地区における殻長-軟体部乾燥重量の時期別アロメトリー式にもばらつきが見られた。したがって,殻長-軟体部重量の関係においては,地域別,季節別あるいはサイズ別にアロメトリー式を検討することが必要であろう。
著者
堀木 信男
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.117-124, 1981-09-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15

1979年6月に紀伊水道およびその外域の18点で, MTDネットによる10~50m層までの多層曳によって採集された魚卵・稚仔魚を材料として, 垂直分布について検討した。1.15種類 (不明種が8種類以上) , 19, 808個の魚卵, 31種類 (不明種が数種類) , 24, 030尾の稚仔魚が採集された。2.各採集層における最優占種は, 魚卵が全層でトカゲエソ, 稚仔魚が50m層を除く各層でマルアジである。3.個々の魚卵・稚仔魚の垂直分布を次の4つのタイプに類型化した。A型: 中層に最も多く分布する型であり, ウルメイワシ, トカゲエソ, タチウオなどの卵, カタクチイワシ, エソ科, ハダカイワシ科, マルアジ, ネズッポ属などの稚仔魚が含まれる。A'型: 中層に集中して分布する型であり, コノシロ卵, ヒイラギ属, クモハゼ科などの稚仔魚が含まれる。B型: 中層から底層にかけて多く分布する型であり, カタクチイワシ卵, タチウオ, アカタチ, ワニギスなどの稚仔魚が含まれる。C型: 底層に多く分布する型であり, ワニギス卵, ウルメイワシ, サイウオなどの稚仔魚が含まれる。4.一般的に, 産出された魚卵は卵発生の中期に浮上し, そして, 後期 (ふ化直前) には沈降する傾向が認められる。5.稚仔魚はそれぞれ種独自の好適な環境を選択して移行 (浮上あるいは沈降) しているものと推察される。
著者
中坪 俊之 川地 将裕 間野 伸宏 廣瀬 一美
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.259-264, 2007

マンボウの成熟度の指標について調べるため, 合計328尾の飼育魚および天然魚を用い, 魚類の成熟度指数として利用されているGSIおよびKGについて比較検討した結果, GSIとKGの間には強い相関が認められた。屋外でのBW測定の難しさからみて, マンボウの成熟度の調査では, KGの方がGSIよりも有効であると考えられた。また, 飼育魚は天然魚に比べ, 成長に伴って成熟度が高くなる傾向が認められ, 飼育下では自然界よりも成熟が早い可能性が示唆された。
著者
平野 克己 藤原 次男
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.183-189, 1987-12-01 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9

宮崎県小林市郊外にある実験田 (100×200cm) で, 1975年5月から1983年8月までの8年2ケ月間, マシジミを飼育し, マシジミの成長と寿命について観察した。得られた結果を要約すると次のようになる。1) マシジミの殻長の成長には, 平均殻長13, 21及び25mm前後に変曲点がある。殻長と孵化後の経過日数との間に, 一次式で表される成長式が成立した。2) 飼育観察したマシジミの最大寿命は8年2ケ月, 最大殻長は33.3mmであった。3) 孵化後1年で平均殻長は15.6mmに達し, 全成長量の約半分を1年間で成長した。4) 一方, 小林市郊外の野外池で最大殻長54mのマシジミを採集した。この大きさに達するまでの日数は成長式から17年前後, 又は, それ以上と計算される。マシジミを含み他のシジミ貝の寿命についても再検討する必要がある。5) 満4歳未満のマシジミの成長は, 水温の影響を著しく受け, 高温期に約85%, 低温期に約14%の年間平均成長率であった。
著者
長谷川 功 アダムス ロバート 前川 光司
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.651-652, 2007-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In June 2006, we found Predation on native lamprey species by a large, nonnative brown trout (600 mm in fork length) in a small stream in Hokkaido, Japan. The trout ate 15 adult lampreys and one unidenti-fied fish. Brown trout may cause decline of endangered native lamprey species.
著者
宮下 盛 田中 祐志 澤田 好史 村田 修 服部 亘宏 滝井 健二 向井 良夫 熊井 英水
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.199-207, 2000-06-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
33

クロマグロの卵発生を観察するとともに,発生速度,孵化所要時間および孵化率に及ぼす水温の影響を調べた。水温24℃における卵発生を観察した結果,卵は平均直径0.973±0.025mm(n=60)の分離浮性卵で,産卵直後から卵割期にいたる形状および各発生段階は一般硬骨魚と大差なく,産卵32時間後から孵化した。次に水温22℃から28℃の範囲に4区の水温区を設け,発生速度に及ぼす水温の影響を調べたところ,各発生段階への到達時間は水温が高いほど速く,高温区と低温区の各発生段階への到達の時間差は水温26.5℃以上で小さく,24℃以下で大きかった。16~33℃にわたる種,々の水温下で孵化所要時間と孵化率を調べた。孵化所要時間を対数として水温との関係を直線回帰して表したところ,25℃付近に直線の傾きの変曲点が認められた。桑実期から実験を開始して正常孵化仔魚が得られた水温範囲は19.9~31.5℃,50%以上の正常孵化率を示した水温範囲は21.2~29.8℃であった。また,最も正常孵化率が高く奇形率が低かった水温は25℃付近であった。これらの結果から,クロマグロの卵発生に最適な水温は25℃付近と考えられた。
著者
松崎 浩二 山内 信弥 津崎 順
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.339-340, 2009-06-20 (Released:2012-09-26)
参考文献数
5

Ninety-seven individuals of Pacific saury Cololabis saira collected off Kumano in Mie Prefecture on February 6, 2008 were kept in a 30 m3 columnar tank at 15°C. They were reared under light levels adjusted to 1,400 lx between 08:00 to 17:00 and 20 lx between 17:00 to 08:00 using five halogen lamps. Ratio of the total number of eggs spawned between 08:00 to 13:00, 13:00 to 17:00 and 17:00 to 08:00 was 62%, 20% and 18% respectively from March 22 to April 20, 2008. Also as a result of counting spawning behavior per hour, spawning occurred actively between 08:00 to 13:00, while under 20 lx conditions 97% of spawning activity occurred between 06:00 to 08:00. This indicates that Pacific saury probably actively spawned from pre-dawn to noon.
著者
甲本 亮太 工藤 裕紀 高津 哲也
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.615-630, 2011-09-20 (Released:2012-12-27)
参考文献数
45

秋田県沿岸におけるハタハタ仔稚魚の水深別分布と摂餌生態を調べるため,2009年2-5月に仔稚魚の分布密度と食物組成および餌サイズ組成を調査した。仔稚魚は水温7.3-12.2°Cの底層に分布し,水深0.5-5 m の産卵場から個体発生的に水深60 m 以深に移動した。また稚魚は,水温13.2°C以上の底層には分布しなかった。ハタハタの孵化仔魚は脊索長が約12 mm あり,他の海産魚類の仔魚に比べて口器および形態が発達した段階で孵化していた。体長12-30 mm の仔魚の餌は浮遊性あるいは底生性のカイアシ類コペポダイトが高い割合を占め,40 mm 以上ではアミ類が優占した。コブヒゲハマアミはハタハタ稚魚の成育場に同期的に出現し,他の浮遊性あるいは底生性の甲殻類に比べて大型であることから,稚魚の重要な餌生物の一つであると考えられた。
著者
高木 基裕 谷口 順彦
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.329-333, 1992-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

高知県内のカマキリの分布調査を行った。奈半利川, 伊尾木川, 安芸川, 四万十川, 小名鹿川, 立石川, 布川, 鍵掛川, 以布利川では潜水目視観察によってカマキリの生息が確認された。野根川, 安田川, 物部川, 仁淀川では聞き込み調査によって生息を確認した。カマキリの分布は堰堤の存在によってその直下域に限定され, 堰堤の上流では生息が確認できなかった。1980年の高知県の淡水魚類相調査と比較して, 高知県のカマキリの生息状況はさらに悪化しているものと考えられる。
著者
鬼倉 徳雄 松井 誠一 竹下 直彦 古市 政幸
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.367-370, 1998-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カマキリとヤマノカミの成長および生残率と水温の関係を明らかにするために, 天然河川で採集した供試魚を用いて短期間の飼育を行った。カマキリの場合, 低水温区の20℃区が最も優れた成長と生残率を示した。逆に高水温区の27℃区は短期間で生残率が急減し, 成長も他の水温区に劣った。ヤマノカミの場合, 20~28℃の全区で生残率の急減は認められなかった。しかし, 成長では明らかに差が認められ, 20℃区と24℃区が28℃区に比べ優れていた。したがって, 生存可能な限界水温はカマキリでは24~27℃に, ヤマノカミでは28℃以上にあり, 成長のための至適水温は3区の中では20℃前後であると推察された。