著者
志和地 弘信 遠城 道雄 林 満
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.107-114, 2000-06-01
参考文献数
11
被引用文献数
7 3

ダイジョ(D.alata)およびナガイモ(D.opposita)のそれぞれの数系統とジネンジョ(D.japonica)について, 塊茎の肥大生長に対する種および系統の光周反応を比較検討した.夏至前後の6月1日と7月1日に, 植え付け後60日目の株に対して, 10時間日長の短日処理を20回行った.6月の処理では, 塊茎の肥大生長は全ての種および系統において促進された.一方, 7月の処理において, 塊茎の肥大生長は, ダイジョの早生および晩生系統において促進されたが, ダイジョの極早生系統, ツクネイモ群およびジネンジョにおいては促進されず, ナガイモ群およびイチョウイモ群では逆に抑制された.この結果から, 塊茎の肥大生長は第一義的には短日によって促進されるが, 短日に対する反応の程度は, 塊茎の生育段階によって異なり, 塊茎の生長の緩慢期における処理は肥大生長を旺盛期へと転換させて促進的に作用するが, 生長の転換期の処理では促進効果が無く, 転換期以降の処理は逆に抑制的に作用することが明らかになった.ダイジョの極早生系統の塊茎は14時間日長の条件下では温度条件を変えても, 肥大生長の転換は誘起されなかったが, 12時間日長の条件下では転換された.温度は肥大生長の転換には影響を及ぼさなかった.このことから, 短日はダイジョの塊茎の肥大生長を旺盛な生長へ転換させる主要因であることが確認された.しかし, ナガイモおよびジネンジョの塊茎は, 14時間日長の条件下では肥大生長の転換が認められなかったが, 緩慢な生長を続け, ダイジョの反応とは異なることが明らかになった.熱帯原産のダイジョにおいて, 感光性が弱く, 極早生の形質を有する系統は温帯での栽培が可能であると推察された.
著者
倉内 伸幸
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.264-267, 1997-12-01
被引用文献数
1

チュニジアから収集したオオムギ300系統のうち, 10系統を栽培種と交配した.そのうち2系統は, 雑種第1代の種子稔性が半不稔性であった.同様に, 花粉稔性も半不稔性であり, 花粉母細胞減数分裂第一分裂中期で1つの4価染色体と5つの2価染色体が観察された.雑種第2代では可稔性と半不稔性が1 : lに分離した.この結果は, これら2系統が1個の相互転座をもつことを示している.転座染色体を同定するため, 既知の転座テスター系統と交配を行った.雑種第1代の花粉母細胞減数分裂第一分裂中期の染色体対合を観察した.第5染色体と第7染色体をもつ転座テスター系統とのF_1個体でのみ6価染色体が出現したことから, 転座染色体は第5染色体と第7染色体で起こっていることが明らかとなった.また, これら2系統のF_1個体の染色体対合は7つの2価染色体が観察されたことから, 同じ染色体上で相互転座が起こったと考えられる.
著者
Masao KIKUCHI Yoko KIJIMA Yusuke HANEISHI Tatsushi TSUBOI
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
Tropical Agriculture and Development (ISSN:18828450)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.78-84, 2014 (Released:2014-09-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Doubt is often cast over the accuracy of the official statistics on crops, made public as FAOSTAT, for developing countries, particularly those in sub-Sahara Africa. This paper examines the recent revisions made in the ‘official’ rice statistics of Uganda, together with the rice-related statistics of the latest Uganda Census of Agriculture, to point out some anomalies in these basic rice statistics, and proposes possible revisions of the ‘official’ series.
著者
山本 由徳
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.98-102, 2010-12-01 (Released:2014-04-18)
参考文献数
19
著者
藤田 英介
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業研究 (ISSN:18828434)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.36-37, 2009 (Released:2013-08-21)
参考文献数
3
著者
中野 寛 小林 真 寺内 方克
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.78-84, 1998-06-01
被引用文献数
5

インゲンマメは一般に耐暑性が低く, 高温下では落花・落莢現象が激しくなり結莢率が著しく低下する.そこで, 耐暑性品種ハイブシと石垣2号, および非耐暑性品種のケンタッキーワンダーの若莢用インゲンマメ3品種を用い, 高温に感受性の高い時期を解明することにした.植物体を日平均気温約33℃で1日間もしくは5日間処理することにより, 花芽には高温ストレスに弱い時期が4期あることが明らかになった.一方, すでに開花している花や未熟莢は, 同じ温度で連続処理しても全く落花・落莢しなかった.4期のうちの1期は開花前々日から開花前日の時期であった.他の2期は開花9日前頃と12日前頃であった.耐暑性品種のハイブシと石垣2号では, その2期の間, すなわち11日頃に高温ストレスにやや強い時期が認められた.しかし, 耐暑性の低いケンタッキーワンダーでは, その時期も高温に感受性が高かった.残る1期は開花前15日から25日前の時期であった.この時期の花芽は高夜温に弱く, 5日間の処理で日平均気温が約33℃でも夜温が低い場合(昼温/夜温 : 36.8℃/28.1℃)には高温障害を受けなかったが, 夜温が高い場合(昼温/夜温 : 34.2℃/32.3℃)には花が小型で奇形の不完全花となり結莢率も低下した.開花前日の花芽に一日間だけ日平均気温約33℃(昼温/夜温 : 36.9℃/28.2℃もしくは34.2℃/33.0℃)の処理をすると, 翌日開いた花の結莢率は著しく低下した.そこで, 高温感受期をより詳しく決定するために, 午後4時から午前0時迄もしくは午前0時から午前8時迄の8時間だけ, 植物体に高温処理(32.5℃)を行った.これは葯壁の裂開, 花柱の伸長, 受粉, 花粉の発芽, 花粉管の伸長, 受精が行われる期間である.しかし, いずれの8時間高温処理でも結莢率は全く低下しなかった.このことから32.5℃の高温では生殖過程に直接的に作用し障害を与えるものではなく, 高温による障害が徐々に蓄積され, 8時間以上の長い時間の高温処理があってはじめて上述した生殖生長のいずれかの過程が不全となると考えられた.
著者
中野 寛 小林 真 寺内 方克
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.123-129, 2000-06-01
被引用文献数
4

常温で栽培しているインゲンマメ(日平均気温、約23.6℃)の個体を高温条件下に移した時, 着莢率は7日目頃から低下し始めた.約29.6℃では15日目頃には0〜15%まで低下し, その後も着莢率は回復しなかった.しかし, 約28℃の条件下では, 15日頃から着莢率は高まり始め, 30日頃には常温で栽培されている個体と同様の着莢率(80%以上)まで回復した.この着莢率の回復は, 栽培する時期が変わることによる日長や日射量の季節変化のような要因で生じたものでなく, 約28℃の高温にインゲンマメが馴化し, 高温下で莢を着生する能力を獲得したものであることが確認された.この約28℃下の高温馴化は, 耐暑性品種のハイブシと石垣2号では顕著であったが, 感受性のケンタッキーワンダーでは生じなかった.また, 耐暑性品種も約29.6℃では高温馴化は認められなかった.昼温と夜温の組み合わせに関しては, 昼温/夜温が32.3℃/23.9℃でも, 30.4℃/25.7℃でも着莢率の低下と高温馴化による回復の経時的変化は同様であった.高温馴化した個体を約一ヶ月の間, 常温である約23.6℃に戻した後, 再び約28℃の高温条件に移した場合には, 高温馴化機能はすでに失われていた.これらの個体では, 初めて高温処理を受けた個体と同様に, 着莢率は徐々に低下しまた回復した.
著者
コリム モハマッド アブドゥル 縄田 栄治 重永 昌二
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.16-25, 1994-03-01

完全型六倍体ライコムギ3品種, 置換型六倍体ライコムギ7品種, パンコムギ6品種, ライムギ5品種および六条オオムギ4品種について, それらの子実収量に及ぼす塩分濃度の影響を解析するため, 0,25,および50mMの塩化ナトリウム水溶液を灌水処理するポット栽培試験をガラス室内で行った.各作物の耐塩性を, 塩分濃度に対する子実収量の反応を指標として比較すると, オオムギの耐塩性が最も高く, 次いで完全型六倍体ライコムギが高かった.置換型六倍体ライコムギ, コムギおよびライムギでは互いに同程度の耐塩性を示した.また各作物において耐塩性の品種間差異が観察された.50mMの塩化ナトリウム水溶液処理では完全型六倍体ライコムギの6品種と置換型六倍体ライコムギのBeaver, RosnerおよびYoremeは耐塩性が高く, また置換型六倍体ライコムギのWelshとKoalaは耐塩性が低いことが分かった.パンコムギでは鴻巣25号および埼玉27号は耐塩性が高く, Sonalikaおよび農林42号は耐塩性が低く, ライムギではVegetale, VulgareおよびPetkusは耐塩性が高く, KingIIは耐塩性が低いこと, またオオムギは供試品種のいずれも耐塩性が高かった.上記の指標による耐塩性の値が比較的低い品種であっても, 子実収量の個々の構成形質に対しては塩分に比較的高い耐性を示す例も観察された.品種の耐塩性と, 塩水処理を受けた個体の葉のK/Na比との関係は必ずしも明瞭ではなかったが, 六倍体ライコムギとコムギにおいては各品種の耐塩性と葉のK/Na比の間に正の相関関係が, またオオムギでは負の相関関係が認められた.また六倍体ライコムギ品種おける細胞質やRゲノム染色体構成の違いと耐塩性との関係は必ずしも明かではなかった.
著者
ピパタナウオン ナロンチャイ 藤重 宣昭 山根 健治 居城 幸夫 尾形 亮輔
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.101-105, 1996-09-01
参考文献数
23

中性イチゴは生育期を通して連続的に開花するため, ランナー生産性は低い.中性イチゴのランナー生産を改善することを目的として, GA_3,BAおよびGA_3+BA葉面散布処理並びに施肥量が3つの品種('サマーベリー', 'みよし'および'円雷')のランナー生産, 開花および生長パラメータに及ぼす影響について検討した.50ppmGA_3,50ppmBAおよび50ppmGA_3+50ppmBA処理によって'みよし'のランナー生産が2から3倍に有意に促進された.GA_3およびGA_3+BA処理により'円雷'および'サマーベリー'のランナー生産がそれぞれ約8および4倍に増加した.葉柄長は'みよし'と'円雷'ではGA_3処理により, 'サマーベリー'ではすべての散布処理により増加した.葉数は'みよし'においてはGA_3処理, 'サマーベリー'ではBA処理により増加した.花序数と葉面積はすべての散布処理によって増加しなかった.2週間ごとの1植物体当たり100mgのCDU化成(NPK(15-15-15))施用は50mgの施用よりも3品種の花序生産, 生長パラメータおよび植物体重を増加させた.また, '円雷'のランナー生産を有意に促進した.生長調節物質処理と施肥量によってランナー生産を改善しうるが, 品種によって反応の異なることが示唆された.これらの結果は熱帯におけるイチゴの栄養繁殖の問題に対しても示唆を与えると考えられる.
著者
久保田 尚浩 小合 龍夫 宇都宮 直樹
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.99-110, 1992-06-01
被引用文献数
1

東南アジア, 特にインドネシアの農村に広く分布するホームガーデンの構造及びそこでの植物利用の実態を明らかにするため, 雨季にジャワ島各地で11のホームガーデンについてその面積, 標高及び用途別の有用植物の種類数を調査した.ホームガーデンの面積及び植物の種類数は各々500〜3200m^2,24〜76種と園によって大きく異なったが, これらに地域間での大きな差は認められなかった.園が大きいほど植物の種類数もやや多い傾向があった.各園とも, 果樹を始めとして野菜, デンプン作物, 観賞植物など用途の異なる種々の植物が存在したが, 果樹と観賞植物の占める割合が著しく高かった.用途別の植物の種類数は果樹36,野菜25,デンプン作物12,香辛料植物13,薬用植物14,工芸作物8,観賞植物79及びこれら以外のその他の植物(建築用や燃料用の樹木などを含む)31の合計218であった.このうち, 果樹, 野菜, デンプン作物などは多くの園にみられたが, 工芸作物, 薬用植物, 観賞植物及びその他の植物は調査した園のうち1園だけにしかみられないものが半数以上を占めた.以上のように, ジャワ島には植物の種類数が少ないものから多いものまで, 種々の様式のホームガーデンが存在したが, その地域性を明らかにすることはできなかった.
著者
林 満 石畑 清武
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-83, 1991-06-01
被引用文献数
14

ダイジョ(Water yam, Dioscorea alata L.)のソロヤム品種では, 塊茎の肥大生長が基本栄養生長性よりもむしろ環境的要因によって支配されている可能性が示唆された.本研究は, 塊茎の肥大生長を誘起させる環境的要因を明らかにするために, 日長と温度の影響について検討した.生育初期の幼植物では, 9時間日長で30回以上の短日処理によって塊茎の肥大生長が誘起され, 短日処理の回数が増加するにしたがって塊茎の重量は大となった.しかし, 15時間日長と自然日長は無効であった.生育中期では, 11時間日長で10回の短日処理によって塊茎の肥大生長が誘起され, 生育の進行に伴う加齢効果が認められた.しかし, 12時間日長で30回の処理ではほとんど効果が認められなかった.夜間の低温には, 塊茎の肥大生長を誘起させるような作用は全く認められなかったが, すでに肥大生長を開始していた塊茎に対し低温はその生長を促進した.以上の結果から, 短日はヤムイモの塊茎の肥大生長を支配する主要因であり, この肥大生長を誘起させる要因としての低温の単独効果は認められなかった.
著者
倉内 伸幸 古庄 雅彦 寺島 竹彦 谷口 きよ
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.258-263, 1997-12-01
被引用文献数
1

1990年から1992年にチュニジアで収集したオオムギ遺伝資源について, 農業形質に関する一次特性および二次特性調査を行い, チュニジアオオムギの育種素材としての有用性について検討した.また, 収集地域別に形質の地理的傾斜があるかどうかを検討した.一次特性は, 300系統を調査した.供試系統は, すべて並性でかつ皮性であり, 芒が多く, 粒大であった.また, 出穂期, 成熟期, 稈長および穂長にはそれぞれ大きな変異がみられ, 日本品種と比較すると, 出穂, 成熟がやや遅く, 長稈で長穂の傾向が認められた.1000粒重は53.0gであり, 日本品種の35.4gに比べ種子が大きかった.地域別の農業形質の特徴をみると, 北部の系統は長稈で穂が短いのに対し, 南部の系統は短稈で穂の長い傾向が認められた.中部の系統は, 北部と南部の系統の中間を示した.二次特性は, 縞萎縮病抵抗性について, 158系統を検定し, 2系統が抵抗性を示した.縞萎縮病抵抗性を示した系統は北部および中部から収集した系統であった.うどんこ病抵抗性については, 149系統について調査し, 75系統が抵抗性を示した.北部, 中部, 南部から収集した系統から, うどんこ病抵抗性を示す系統が見出された.播性については206系統について調査した.135系統(66%)の系統がII以下の低い秋播性, 57系統(28%)の系統がIII, IVの中程度の秋播性で, 14系統(6%)の系統がVI以上の高い秋播性を示した.高い秋播性を示した系統は, チュニジア西部のアトラス山脈山麓から収集された系統であり, そこでは強い耐寒性と高い秋播性が要求されるためと推定される.以上のように, チュニジアオオムギ在来種から, 多収性および耐病性育種に利用が期待される系統が見出された.
著者
田中 豊三
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.323-327, 1992-12-01
被引用文献数
1
著者
鍵渡 徳次
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.35-39, 1990-03-01

東京都八丈島のパッションフルーツ園で, 果実が腐敗し, 早期に落果する病害が発生した.腐敗果には灰褐色の菌糸を密生するものと, 大形黒色の菌核を形成するものとが見られた.前者からはBotrytis sp.が, 後者からはSclerotinia sp.が分離された.Botrytis sp.の分生子は淡灰色, 単胞, 卵円形, 9-13×7-10μmであり, また多犯性であるので, Botrytis cinereaと同定された.本病菌による果実の腐敗の記録ははじめてである.病名はパッションフルーツ灰色かび病を採用した.Sclerotinia sp.は大形の菌核を形成し, 子のう盤を発生させる.子のう盤は淡褐色で皿状に展開し, 径3.5-6mmである.子のうは無色, 棍棒状, 127-160×7-12μm.子のう胞子は無色, 単胞, 楕円形, 11-15×6-7.5μmである.また多犯性であるのでSclerotinia sclerotiorumと同定された.本病菌による果実の腐敗の記録ははじめてである.病名はパッションフルーツ菌核病を採用した.両病菌の発育適温及びpH価は, 20-25℃, pH5.0-7.0であり, 類似した発育相を示した.
著者
佐藤 達雄 久保 深雪 渡邊 清二
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.77-82, 2003-06-01

キュウリにおいて,サリチル酸含量の分析ならびに全身獲得抵抗性(SAR)関連遺伝子CuPi1の発現解析により,熱ショックがSARを誘導することが示唆された.キュウリ22品種を2001年7月23日から9月14日まで,ガラス室において換気窓を密閉することにより最高45℃,1時間の熱ショックを与えながら栽培レ葉中サリチル酸(SA)濃度をキャピラリー電気泳動装置で測定した.熱ショックによるサリチル酸含量の増加が18品種で認められた.しかしSA含量と,クロロフィル蛍光測定法による高温感受性の間には相関が認められなかった.熱ショックで誘導されたSAがSARのシグナル伝達物質として作用することを証明するため,RT-PCR法により遺伝子CuPi1の発現を解析したところ,CuPi1のmRNAは熱ショック処理の後,発現した.CuPi1はサリチル酸や病害感染によって誘導されるSAR関連遺伝子である.以上のことから,SARは化学的誘導因子や病害感染だけでなく,熱ショックによっても誘導されることが明らかになった.
著者
松島 憲一
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.64-74, 2001-03-01

1998年8月26日〜9月9日に日本財団が派遣した調査団に参団し, 西アフリカの農業・国際協力の現状について調査を行った.この調査の際, コートジボアールの農業・食料事情を知り, 今後の農業技術協力推進および地域農業研究の参考とするため国内3市場において農産物に関する調査を行った.3地域の市場において確認された農作物は49種にのぼり, 果菜類15種, 果実類10種, 茎葉菜類7種, 根菜類5種, イモ類5種, 穀類・豆類5種, 油料・調味料作物4種が確認できた.これらは分類学上26科に属する植物からなり, そのうち7種がナス科, 6種がマメ科, ウリ科, 4種がイネ科, 3種がユリ科に属した.各種内の変異も大きく, トウガラシなど果菜類では様々な品種が見られた.また, 同国の食料供給は危機的な状況に至ってはいないものの, 農村部では親に対する栄養教育が行き届いていないために, デンプン食物偏重が原因と思われる栄養失調児がみられた.今回調査した各市場でみられた多様な農産物の存在はこれら栄養的問題を解決する鍵となると考えられる.