著者
藤本 修平 小向 佳奈子 光武 誠吾 杉田 翔 小林 資英
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.456-462, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
37

【目的】リハビリテーション(以下,リハビリ)分野の自費診療を行っている病院・施設において,Web サイト上の質の評価を行うこととした。【方法】リハビリ分野において自費診療を行っている病院,施設を抽出するために,自費診療とリハビリに関する検索語を選定し,Web サイトの検索を行った(Database:Google)。対象のWeb サイトに対し,e ヘルス倫理コード2.0,医療広告ガイドライン,医療機関ホームページガイドラインを参考にWeb サイトの質の評価を行った。【結果】Web サイト内の治療の効果やリスクに関する情報について,引用を示して記載したものは45 件中1 件(2.2%)であり,その他の医療広告ガイドラインの項目についても遵守割合が低いものが認められた。【結論】リハビリ分野において自費診療を行っている病院・施設のWeb サイトは誇大に広告されている可能性があり,情報提供者は治療の利害情報の正確な提供が必要である。
著者
問田 純一 内藤 卓也 平賀 勇貴 平川 善之
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.325-331, 2018 (Released:2018-10-20)
参考文献数
29

【目的】義肢が身体の一部であるように感じる身体化が生じると,義肢操作性が向上する可能性が示されている。今回,幻肢を義手に投射することで,身体化に成功した事例を報告する。【対象と方法】対象は短縮した幻肢を有する上腕切断症例である。介入の第1 段階では実大型の幻肢・幻肢の随意運動の獲得,断端の感覚機能の向上を図った。第2 段階にて幻肢を義手に投射し,第3 段階で幻肢をfeedback 機構として利用する介入を実施した。【結果】実大型の幻肢・幻肢の随意運動を獲得し,幻肢を義手に投射することで幻肢をfeedback 機構として利用できるようになり,義手操作性・日常生活動作(Activities of Daily Living;以下,ADL),生活の質(Quality of Life;以下,QOL)の向上を認めた。【結語】幻肢を義手に投射することで義手操作性・ADL が向上し,QOL の向上を認めた可能性が考えられた。
著者
関 裕也 松本 直人 隆島 研吾 関 貴子
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.334-337, 2006-10-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
4

本研究の目的は「学生が満足する実習指導因子」を明らかにすることである。理学療法学科夜間部の学生を対象に,実習指導に関するアンケート調査を実施した。調査内容は「実習指導への満足度」と,満足度との関連が予測される実習指導要素13項目である。分析手法は,まず13項目の実習指導要素について因子分析を実施し,それにより抽出された因子と「実習指導への満足度」との相関係数を構造方程式モデリングにより求めた。分析の結果,「肯定的・支持的指導」と「積極的・成長促進的指導」の2因子が抽出された。「実習指導への満足度」と各因子はいずれも高い正の相関関係にあった。また両因子間にも正の相関が認められた。これより「学生が満足する実習指導因子」には上記2因子があり,かつ両因子を兼ね備えることで,より満足度の高い実習指導につながることが明らかとなった。
著者
藤本 修平 小向 佳奈子 光武 誠吾 杉田 翔 小林 資英
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11332, (Released:2017-09-02)
参考文献数
37

【目的】リハビリテーション(以下,リハビリ)分野の自費診療を行っている病院・施設において,Web サイト上の質の評価を行うこととした。【方法】リハビリ分野において自費診療を行っている病院,施設を抽出するために,自費診療とリハビリに関する検索語を選定し,Web サイトの検索を行った(Database:Google)。対象のWeb サイトに対し,e ヘルス倫理コード2.0,医療広告ガイドライン,医療機関ホームページガイドラインを参考にWeb サイトの質の評価を行った。【結果】Web サイト内の治療の効果やリスクに関する情報について,引用を示して記載したものは45 件中1 件(2.2%)であり,その他の医療広告ガイドラインの項目についても遵守割合が低いものが認められた。【結論】リハビリ分野において自費診療を行っている病院・施設のWeb サイトは誇大に広告されている可能性があり,情報提供者は治療の利害情報の正確な提供が必要である。
著者
久保 宏紀 金居 督之 北村 友花 古市 あさみ 山本 実穂 小林 実希 野添 匡史 間瀬 教史 島田 真一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.222-229, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
37

【目的】脳内出血患者における急性期病院退院時の機能予後およびその要因を検討すること。【方法】2013年4月~2015年3月に入院となった脳内出血患者88例(男性76%,平均年齢65.2 ± 11.2 歳)を対象に,退院時modified Rankin Scale を用い予後良好群と予後不良群に群分けし,機能予後に影響を及ぼす因子およびそのカットオフ値を検討した。【結果】Cox 比例ハザード分析の結果,退院時機能予後に影響を与える因子として年齢(p = 0.008),入院時NIH Stroke Scale(p = 0.001)および離床開始日(p < 0.001)が抽出され,各カットオフ値はそれぞれ66 歳(感度:0.758,特異度:0.582),7 点(感度:0.970,特異度:0.818),2病日(感度:0.788,特異度:0.836)であった。【結論】脳内出血患者の急性期病院退院時の機能予後は年齢,重症度,離床開始日が関連している。
著者
熊谷 謙一 山内 康太 小林 裕貴 萩原 理紗 岩松 希美 小柳 靖裕 藤本 茂 鈴木 聡
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.554-561, 2015 (Released:2015-12-20)
参考文献数
20

【目的】脳卒中治療における効果判定ツールとしてのStroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の有用性を検討した。【方法】対象は脳卒中の診断で入院,リハビリテーションを実施した244例とし,評価は入院7,21日目に実施した。SIASの反応性はStandardized Response Mean(以下,SRM)を用いて検討した。Minimal Clinically Important Difference(以下,MCID)の検討は,歩行能力の改善を臨床上重要な指標の変化と定義し,それが生じるのに必要なSIASの変化量を検討した。【結果】SIASのSRMは0.61で,歩行能力が改善するためのSIASのMCIDは2点であった。【結論】SIASは経時的に改善し,2点の改善が歩行能力改善と関連していた。そのため,脳卒中治療の効果判定として有用な指標であることが示唆された。
著者
滝本 幸治 竹林 秀晃 奥田 教宏 宅間 豊 井上 佳和 宮本 祥子 岡部 孝生 宮本 謙三
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11156, (Released:2017-03-31)
参考文献数
24

【目的】Walking Stroop Carpet(以下,WSC)課題による転倒リスク評価の有用性について検討することを研究目的とした。【方法】対象は地域在住高齢者で,転倒群30 名と非転倒群70 名とした。WSC は,5 m の歩行路に「赤色」「青色」「黄色」「緑色」と書かれたターゲットを横4 列×縦10 列に配置したもので,ターゲットの文字は異なる色彩で印刷されており,文字と色彩は一致しない。WSC 課題は3 条件実施され,たとえば色条件では指示した色彩のみを選択し踏み歩くことが求められ,所要時間を計測した。【結果】WSC 課題(色条件)は,転倒群の所要時間が有意に遅延しており,ロジスティック回帰分析の結果,色条件のみが転倒を説明する変数として抽出された(オッズ比1.62,95% 信頼区間=1.00–2.60)。【結語】WSC 課題(色条件)は,転倒リスク評価に利用可能であることが示唆された。
著者
有田 真己 万行 里佳 岩井 浩一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11118, (Released:2016-02-29)
参考文献数
25

【目的】施設および在宅での運動を想定した場合,それぞれ実施する自信の差を運動種目別に明らかにし,差の大きさを効果量により判定する。さらに,各運動種目を実施する自信と行動の予測因子である自己効力感(以下,SE)との関連について明らかにする。【対象】要支援・要介護者114 名を対象とした。【方法】施設および在宅での運動を想定した場合,各運動種目を実施する自信について5 件法で調査した。また,在宅運動SE 尺度(以下,HEBS)を用いて,SE の程度を得点化した。【結果】在宅を想定した場合における運動の自信は施設と比較し有意に低く,効果量は高値を示した。各運動種目すべてにおいても同じく有意に低い結果となった。運動種目別の自信の量とHEBS 得点は有意な正の相関を示した。【結語】受け入れやすさおよび自信といった心理指標を用いることで,より対象者に適した運動内容の作成へとつながることが示唆される。
著者
有田 真己 竹中 晃二 島崎 崇史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.338-346, 2014

【目的】在宅運動の実践に対する自己調整バリア・セルフ・エフィカシー(以下,バリアSE)を評価するための在宅運動セルフ・エフィカシー尺度(Home-Exercise Barrier Self-Efficacy Scale;以下,HEBS)を開発し,信頼性・妥当性を検討すること,およびHEBSと基本属性との関連をあきらかにすることを目的とした。【方法】要支援・要介護者114名を対象に,基本属性,運動変容ステージ,在宅運動の実施におけるバリアSEに関する質問,健康関連QOLについて調査した。【結果】1因子構造からなる6項目のHEBSを開発した。モデルの適合度指標は,いずれも良好な値を示した。α=0.86,検査・再検査間の相関係数は,r=0.94であり高い信頼性を有した尺度であることが確認された。運動変容ステージを独立変数,HEBSの得点を従属変数とする分散分析の結果,高いステージほどHEBSの得点も有意に高まることがあきらかとなった。HEBSの得点は,75歳未満と比較し75歳以上の得点が低く有意な差異を認めた。性別,主疾患,介護度とHEBSの得点には,有意な差異が認められなかった。【結論】HEBSは,在宅運動を実践する自信の程度を把握する指標として,信頼性,妥当性を有した尺度であることが確認された。
著者
森沢 知之 岩田 健太郎 上野 勝弘 北井 豪 福田 優子 高橋 哲也
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.10-17, 2016

【目的】回復期リハビリテーション(リハ)病院における心臓リハ実施状況および実施にかかわる問題点を明らかにすること。【方法】全国の回復期リハ病院194施設に対し郵送法にてアンケート調査を実施した。【結果】アンケートの回収率は61.9%で,心臓リハ実施率は7.5%(9施設)であった。心臓リハ非実施の理由は「循環器専門医の不在」や「心臓リハ経験者の不在」など人的要因が半数以上を占めた。今後の心臓リハ拡大には「回復期リハ病棟入院対象者患者の基準緩和」,「心臓リハに関する卒後教育体制の充実」,「心臓リハ施設基準の緩和」が必要とする意見が多かった。【結論】回復期リハ病院での心臓リハ実施施設の増加のためには急性期-回復期病院の連携システムの構築,心臓リハにかかわるスタッフの教育体制の充実などが今後の課題であると思われた。
著者
松尾 篤 冷水 誠 前岡 浩 森岡 周
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.138-139, 2011
参考文献数
3

我々は,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が,健常者の上肢の運動機能を向上させるかどうかを検証した。健常若年者20名(平均年齢21.5 ± 1.2歳,男性16名,女性4名)を対象者とし,研究デザインはシングルブラインドクロスオーバーコントロール研究とした。tDCS刺激条件は,陽極tDCS条件と偽性tDCS条件とし,陽極を右運動関連領域(C4)に設置し,1 mAで20分間の刺激を実施した。測定アウトカムは,左上肢での円描画課題による軌跡長とはみ出し面積,左手握力とした。陽極tDCS後に円描画課題のはみ出し面積に有意な減少効果を認めた。他の測定項目,および偽性tDCS条件においては有意な変化を認めなかった。本結果より,陽極tDCSが健常者の非利き手での運動の巧緻性を変化させることが示唆され,tDCSによる運動関連領野の興奮性増大が関係したことが推察された。
著者
浅川 康吉 市橋 則明 羽崎 完 池添 冬芽 樋口 由美
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.75-79, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
5

踏み台昇降訓練における踏み台の位置や高さの設定が,立脚側の股関節周囲筋の筋活動量に与える影響について筋電図学的検討を行った。対象は健常男性13名(25.9 ± 3.8歳)で,股関節周囲筋として大殿筋,中殿筋,内転筋,大腿筋膜張筋,および大腿直筋を選択した。踏み台昇降動作は,前方,後方,側方の踏み台の位置と,10cm,20cm,30cmの高さを組み合わせた計9通りで行った。統計学的分析には二要因とも対応のある二元配置分散分析を用いた。その結果,踏み台の位置は中殿筋,大腿筋膜張筋の筋活動に影響し,踏み台の高さは大殿筋,中殿筋,大腿筋膜張筋の筋活動に影響していた。内転筋と大腿直筋には交互作用が認められた。股関節周囲筋では,踏み台昇降訓練における踏み台の位置や高さの影響が各筋ごとにそれぞれ異なると考えられた。
著者
藤村 宜史 片山 信久 武田 麗華 永尾 進 中塩 仁士 藤井 和代 山本 陽介
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-8, 2009
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】本調査の目的は,地域連携パス(以下連携パス)のバリアンスや転帰から目標在院日数の妥当性や運用上の対策を検討することである。【方法】呉市の連携パス参加機関のうち連携パスの運用実績のある8施設において連携パスを適応された大腿骨頚部骨折(以下頚部骨折)16例と大腿骨転子部骨折(以下転子部骨折)19例を対象とした。この8施設に所属する理学療法士の協力を得て,手術日から急性期病院を転院するまでの日数(以下在院日数I),手術日から連携病院を退院するまでの日数(以下在院日数II)の目標設定からの逸脱をバリアンスとして,その有無と原因を調査した。【結果】在院日数Iにおける負のバリアンス発生率は頚部骨折50.0%,転子部骨折36.8%であり,その理由は主に転院マネージメント,インフォームドコンセントなど情報に関する要因であった。在院日数IIにおける負のバリアンス発生率は頚部骨折12.5%,転子部骨折47.4%で,理由は主に歩行能力の獲得遷延,術後疼痛など患者の身体的な要因であった。【考察】急性期病院では,短い在院日数において職種・施設間で円滑な情報伝達を図り,適切なインフォームドコンセントにより患者や家族の理解を得ることが求められ,また連携病院ではバリアンス分析により目標在院日数を見直し,介護保険への連携を構築することが今後の課題と考えられる。
著者
八木 麻衣子 根本 祐二
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.254-260, 2008
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は,「理学療法士がメディカルフィットネスを提供できる」という仮想市場における,客観的な市場の選好条件を,コンジョイント分析を用いて検討することを目的とした。対象は東京都内3ヶ所のシルバー人材センターに登録されている計113名(男性97名,女性16名,平均年齢68.9 ± 10.3歳)であった。方法はアンケート調査を用いて,理学療法士コンジョイントカードの順位付けによるメディカルフィットネスの選好条件の検討を行った。メディカルフィットネスに対する属性の重要度が高かったのは価格であった。価格の部分効用値は5,000円と50,000円が正の評価となり,高価格帯と低価格帯を好む2極化が見られた。このような傾向は,現代の消費傾向と同様の結果であった。メディカルフィットネスを提供する際には,価格設定に重点を置き,サービスの対象者を明確にする必要性が示唆された。
著者
内田 智也 大久保 吏司 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 野田 優希 石田 美弥 佃 美智留 土定 寛幸 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.75-81, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2

【目的】投球中の肩関節ストレスの軽減には,良好な下肢関節動作が重要となる。そこで,本研究はFoot Contact(以下,FC)以降のステップ脚膝・股関節の力学的仕事量と肩関節トルクの関係について検討した。【方法】中学生の投手31 名の投球動作解析で求められた肩関節内旋トルクについて,その平均から1/2SD を超えて低い群(以下,LG)10 名と1/2 を超えて高い群(HG)10 名の2 群に分け,ステップ脚膝・股関節の力学的仕事量(正・負仕事)を群間比較した。【結果】FC から肩関節最大外旋位(MER)におけるLG の膝関節屈曲-伸展の負仕事量が有意に低値を示した。【結論】ステップ脚膝関節伸展筋力は良好な投球動作獲得に寄与し,FC 以降の膝関節の固定および下肢関節からの力学的エネルギーを向上させることは肩関節ストレスを軽減させると考えられた。