- 出版者
- 日本重症心身障害学会
- 雑誌
- 日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.2, 2017
出演 阿部未音 高橋幸太郎 牧野刻世 大友志空 赤間 愛 郷内星菜 髙橋桃子 協力 ファッション文化専門学校DOREME、陽光福祉会エコー療育園 重症心身障がいの方々は病気や障がいのために生きづらさを抱えていますが、日々携わる私たちはその幸せをいつも願っています。そして、その笑顔が実は私たちの幸せでもあることに気づきます。お互いに支え支えられる関係から、うまれてきてよかったと思える社会を作りたいですね。 障がいの重い方々も私たちと同じようにファッションを楽しみたいと思っています。しかし、身体の不自由さから衣服の着脱が簡単でないことや、デザインよりも機能的である(例えばおむつ替えが楽にできる)など介助する側の利便性が優先され選択肢も少ないと思います。また、成長して大人になっても、その体格に合う市販の服はこども用のものしかなく、年齢相当の色彩やデザインを選ぶことができません。そこで、7人の方にモデルさんになってもらい、着てみたいファッション(スーツ、ドレス、着物など)をファッション文化専門学校DOREMEの学生さんや先生と一緒になって考え作りました。輝く笑顔に会いに来てくださいね。(モデルの氏名の掲載はご本人・保護者の了解を得ています) 阿部未音さん 小さな頃から小鳥のさえずりや枝葉の揺れる音、そして動物とのふれあいが大好きな女の子でした。小中学校では、ジャニーズやおしゃれにも興味を持ち、特に創作活動では独特な色彩感覚やセンスで周りの大人たちを驚かせていました。女の子はだれでもおしゃれが大好き、お年頃ならなおさらです。今日は「究極の普段着」をテーマにしたファッションを披露しますね。 高橋幸太郎さん 光明支援学校高等部3年訪問生です。脳性麻痺で気管切開胃瘻で寝たきりですが、イベントには全力で参加して楽しむ、恋をして音楽聞いてゲーセンに行って学校で居眠りするという、17歳の男子高校生として青春の日々を過ごしています。男子高校生といえば制服とジャージがあればいい!でも社会人になるにはスーツも必要だし、というわけで三つ揃えのスーツをお願いしました。手作りの靴にもご注目ください。 牧野刻世さん 新生児仮死で産まれ、NICUで重い障がいが残ることを告知されたあの日から6年。生後7日目に初めて抱っこできた時の温もりと感動を今でも鮮明に覚えています。トキセのために、お洋服をデザインから作ってもらうなんて、初めてのこと!とっても嬉しいし、それを着た姿をみんなに見てもらえるなんて、ドキドキワクワク。しいあちゃんとペアの袴姿をお楽しみくださいね。 大友志空さん 通園とデイに行き、楽しいお友達、優しい先生に囲まれ毎日楽しく過ごしています。昨年までは入退院をたくさん繰り返し、辛いことも苦しいことも乗り越え、お家では一番の頑張り屋さんです!チャームポイントはくるんとした長〜いまつげ。重い障がいがあってもこんなに素敵な服を着られるなんて幸せ♡ ふわふわ素敵な袴でとびきり可愛くなったしいあを温かく見守ってください。 赤間 愛さん 23歳には喉頭気管分離手術を受けてかわいい声を失いましたが、今は口からもりもり食べてこんなに元気です。手術をしてくれた先生が「前の笑顔に戻してあげるね」っていってくれた言葉が忘れられません。小さい頃からファッションショーに出演するのが夢でした。DOREMEの先生、学生さん、ショーの演出をしてくれたスタッフのみなさんありがとう。 郷内星菜さん 私は仮死状態で産まれ、よく尻もちをついていましたが段々筋肉がついて上手に歩けるようになりました。中学生の今では、自分の名前を漢字で真似をしてかけるようになりました。私の夢は看護師になる事、人の役に立てるよう私は夢に向かってがんばります。ファッションショーに出てみない?と言われてずっとこの日を心待ちにしていました。今日はピンクのウェディングドレスをご覧くださいね。 髙橋桃子さん おしゃれ番長。20歳のお誕生日を迎えてお酒を解禁、当面の目標は国分町に行く事です。人生と梅酒はやっぱり'ロック'じゃないと!今回の着物の製作は言葉でのコミュニケーションが難しい私にとって、自分の想いをどう伝えていけるかチャレンジでもありました。学生の皆さんの愛情が細部にまでたくさん詰まった'世界に1つだけ'の着物です。ありがとう!