著者
中村 信一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-5, 2006-04-30 (Released:2010-07-12)
参考文献数
17
著者
荻原 博和 河原井 武人 古川 壮一 宮尾 茂雄 山崎 眞狩
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.98-106, 2009-07-31 (Released:2009-08-27)
参考文献数
25
被引用文献数
1 5

京都で製造されているすぐきの製造工程における微生物叢および化学的成分の変遷を検討した.製造工程における菌数の推移は,工程が進むにつれてグラム陰性菌や大腸菌群数が減少するのに対して,乳酸菌数が増加する傾向を示し,室発酵終了時には108 CFU/gに増加した.製造工程における微生物叢の推移は,原料からは多種多様な菌が検出され,なかでもPseudomonas 属菌が多く検出された.荒漬および本漬工程後ではMicrobacterium 属菌の占める割合が高く,M. testaceum が多く検出された.追漬工程ではLactobacillus 属菌が優占種となり,なかでもL. sakei とL. curvatus が多く検出された.室工程後ではL. plantarum と L. brevis が優占種であった.塩濃度は原料および面取り工程では低く,荒漬工程では6.3%を示し,その後の工程では塩濃度は3%程度の数値で推移した.pHについては製造工程が進むにつれて低下する傾向が認められ,室工程後では4.2を示した.酸度ならびに乳酸値は原料から荒漬工程までは大きな変化は認められなかったものの,室工程から数値が増加し,熟成後が最も高い数値を示した.
著者
樋脇 弘 馬場 愛 江渕 寿美 古田 宗宜 小田 隆弘 宮本 敬久
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.120-126, 2009
被引用文献数
2

<i>C. jejuni</i> の<i>hip</i> 遺伝子,<i>C. coli</i> に特異的な<i>glyA</i> 遺伝子配列,および<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> に共通する<i>glyA</i> 遺伝子配列を増幅する3種類のLUX蛍光プライマーセットを作製した.<i>C. jejuni</i> を検出するJ-hip-FU/RLは<i>C. jejuni</i> に対して,<i>C. coli</i> を検出するC-glyA-FU/RLは<i>C. coli</i> に対して,<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> を検出するJC-glyA-FL/RUは<i>C. jejuni</i> と<i>C. coli</i> の両菌種に対して特異的であるとともに,定量性に優れ,検出感度も良好であった.<br>食品サンプル25 gの増菌液10検体を用いて,これらのLUX蛍光プライマーによるLUX-qPCRを実施した結果,LUX-qPCRの成績は培養法の成績と完全に一致した.さらに,食品サンプル10 gの増菌液35検体を用いて,J-hip-FU/RLとC-glyA-FU/RLを組合せたM-LUX-qPCRを実施した.その結果,M-LUX-qPCRが陰性であった増菌液では培養成績も陰性となったが,M-LUX-qPCRが陽性となったすべての増菌液から菌が分離されず,M-LUX-qPCRと培養法の成績は完全には一致しなかった.本法は,増菌液からのスクリーニング試験あるいは分離した菌の迅速な鑑別・同定検査に有用であると考えられた.
著者
福田 典子 新井 のぞみ 藤原 翠 古川 壮一 荻原 博和
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.204-208, 2014-12-31 (Released:2015-01-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1

調製された乳幼児用食品にCronobacter sakazakii を接種し,25℃,10℃,5℃の温度に48時間保存し,これらの保存期間中におけるC. sakazakiiの挙動を検討した.その結果,調製された乳幼児用食品の野菜粥(VRP),混合野菜と小麦ペースト(MVWP),レバ-・野菜と小麦ペースト(LVWP)中でのC. sakazakiiの挙動は,25℃ではいずれも急激な増殖が認められたのに対し,5℃と10℃では保存期間中菌数の増殖は認められなかった.一方,リンゴ果汁(AJ)では他の乳幼児用食品3種の結果と異なり,いずれの保存温度でも菌数の減少が観察され,特に25℃では著しい減少が認められた.以上のことより,乳幼児用食品4種のうち,AJを除き,VRP, MVWP, LVWPでは,室温(25℃)において急激な増殖が確認されたことから,これらの乳幼児用食品を調製した後には室温に長時間放置せず,速やかに消費することが感染リスクの低減になるものと考えられた.
著者
西尾 治 吉澄 志磨 野田 衛
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.179-186, 2004-10-15 (Released:2010-07-12)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
山本 竜彦 西村(舘山) 朋子 山崎 浩司 川合 祐史 猪上 徳雄
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.254-259, 2004-12-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
24
被引用文献数
2 3

水産食品中におけるL. monocytogenesの消長について調べた結果, ニシン切り込みでは5および12℃ 保存の場合, 日数の経過につれてL. monocytogenes数はそれぞれ1.6log cfu/ml, 2.8 log cfu/mlの減少が認められた.また25℃ 保存では貯蔵7日目においても約1log cfu/mlの減少しか見られなかった.一方, イカ塩辛では試験したすべての保存温度でL. monocytogenes数は保存開始直後から急速に減少し, 5℃ では6日目, 12および25℃ では4日目以降で検出できなくなった.サケいずしでもすべての温度で減少傾向を示したが, 保存温度の低い5℃ では28日目においても検出限界以下 (<2 log cfu/ml) とはならなかった.また新たに原料魚種の異なる3種類のいずしにおいてもL. monocytogenes消長を調べた結果, 乳酸菌の増加した2日目以降L. monocytogenes数は急速に減少することが観察され, この減少速度に構成している乳酸菌相が大きく関与することを明らかにした.
著者
宇田川 俊一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.151-157, 1997-03-28 (Released:2011-02-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2
著者
大西 貴弘 古 沢 博子 佐古 浩 乙竹 充 福田 穣 吉成 知也 山崎 朗子 鎌田 洋一 小西 良子
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-131, 2013-06-30 (Released:2014-01-29)
参考文献数
4
被引用文献数
2 6

Our surveillance indicated the food-borne disease associated with Kudoa septempunctata has occurred on summer season. To elucidate the reasons of that, we investigated the temperature effect of food-borne disease associated with K. septempunctata. We continually purchased olive flounders in the same lot from the fish farm that was infected with K. septempunctata partly and determined the number of spores in olive flounder muscle. Both the positive ratio of K. septempunctata in olive flounder and the number of spores did not show the seasonal change from January to August. We discovered that the temperature of seawater in summer season was over 20℃. However, the positive ratio of K. septempunctata, the number of spores and the toxicity of K. septempunctata were not affected by high temperature of seawater. These results demonstrated that the temperature rise of sea water was not a reason why the frequency of the food-borne disease increases in summer season.
著者
林 麻貴 中川 弘
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.193-197, 2013-12-31 (Released:2014-01-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

われわれは,新たに開発された生物発光酵素免疫測定法(BLEIA法)に基づくノロウイルス検出試薬BL-NV‘栄研’の評価を行った.糞便検体220例を用いて,リアルタイムRT-PCR法(rRT-PCR法)との比較試験を行ったところ,BLEIA法はrRT-PCR法に対して,感度94.1% (95/101),特異度98.3% (117/119),全体一致率96.4% (212/220)と良好な相関性を示し,公定法であるrRT-PCR法と同等の検査精度を有することが示された.また,陰性検体117例の測定値分布では,多くの検体がCOI 0.2~0.4に分布していたことからBLEIA法は陽性と陰性をクリアに判定することが可能であり,高い検査精度を有することが示唆された.以上,BLEIA法はrRT-PCR法と同等の試薬性能を有し,かつ反応時間が46分と短く1時間あたり120検体を測定できるため,今後,調理従事者などを対象としたNVの検便検査に広く利用されることが期待される.