著者
今村 彰 井上 升二 山口 修
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.198, pp.21-27, 2003-10-06 (Released:2017-08-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1

西南日本に分布する、自生および栽培後放棄状態のタケ・ササ類のタケノコを被食する鱗翅目幼虫を調査した。合計13種のタケ・ササより、合計4026本のタケノコを解剖し、300個体以上の幼虫を採取した。 20℃および15℃で飼育を試みた後に、羽化した成体の形態より種の同定を試みた。モウソウチクからは、1個体の雌が羽化した。ハチクからは、1個体の雌と2個体の雄が羽化した。マダケからは2個体ずつの雌と雄が羽化した。これら全8個体は全て形態的には同一で、ヤガ科のハジマヨトウであった。モウソウチク、ハチクおよびマダケのタケノコからは、ハジマヨトウとは明らかに異なる幼虫はみられなかった。リュウキュウチクからは2個体の雌が羽化した。成体の特徴的な形態からは、未記載種ないしは、ヤガ科のミヤケジマヨトウに近縁の未記載亜種だと思われる。チシマザサからは1個体の雌が羽化し、それはヤガ科のサッポロチャイロヨトウであった。サッポロチャイロヨトウの食樹がチシマザサであることが判明した。この3種のヤガ科の穿孔性幼虫においては、羽化にまで至らなかったどの幼虫段階および蛹にもハチやハエの寄生を示すものはみられなかった。
著者
黄 国華 小林 茂樹 広渡 俊哉
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.261-266, 2008
参考文献数
10

クロスジキヒロズコガ Tineovertex melanochrysa (Meyrick, 1911)は,小型のヒロズコガ科の一種で,本州,四国,九州,国外では,台湾,インドに分布することが知られている.本種の成虫は昼間に活動し,発生時期には比較的多くの個体が見られる.本種の雌交尾器は特異で,第8背板にメディアンキール(median keel)をもつ,産卵器の先端が鋸歯状となるなど,マガリガ上科にみられるような「突き刺すタイプ」となっている.この特異な形態から,本種が生きた植物の組織内に卵を産み込むのではないかと推定されていたが,実際にどのような産卵習性をもつかは不明であった.また,幼生期の生態などについても不明な点が多かった.著者らは.2007年7月上-中旬に大阪府能勢町三草山,および採集した成虫の行動を実験室で観察した.野外での観察の結果,雌はシダ植物のシシガシラ Blechnum nipponicum (Kunze) Makinoの葉の裏面に産卵するのを観察することができた.また,室内での観察により,卵は成葉の複葉裏面の組織内に1個ずつ複数個が産み込まれること,孵化後に組織から脱出した幼虫は植物体を食べずに地面に落下し,ポータブルケースを作って,枯れ葉などを食べることが明らかになった.本種の生活史は原始的なヒゲナガガ科とよく似ており,生きた植物に産卵する習性をもつことはヒロズコガ科では例外的である.世界的に見るとフィリピンに分布するIschnuridia Sauber, 1902とインド-オーストラリアに分布するEctropoceros Diakonoff, 1955などの属の種が類似した雌交尾器の形態をしていることが知られているが,生態に関する情報は少なく,これらが単系統群であるかどうかについても今後の検討が必要である.本種はMeyrick (1911)によってインド産の標本をもとに記載され,その後,台湾と日本から記録された.大阪府大の所蔵標本を中心に調査した結果,日本国内では以下の府県での分布が確認された.成虫が採集されたデータによると,本州・四国・九升|では年1回,琉球列島(八重山諸島)では少なくとも年2回発生し,近畿では,3-4齢幼虫で越冬すると考えられる.分布:本州(大阪府),四国(高知県,愛媛県),九州(福岡県,鹿児島県),琉球列島(石垣島,西表島,与那国島);台湾;インド.
著者
中谷 貴壽 宇佐美 真一 伊藤 建夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.25-36, 2012-03-23
被引用文献数
1

バルカン半島は,イベリア半島,イタリア半島と共に氷河時代には,南方系生物にとってレフュジアとして機能していたため,ヨーロッパ産生物多様性のホットスポットとして知られる.バルカン半島とは一般にドナウ川より南を指す.西側にはDinaric Alpsが北西から南東方向に連なり,最高峰はProkletije(2,692m)でヨーロッパで五指に入る大山脈である.その南端では東西に連なるBalkan Mts(最高峰はBetov, 2,376m)と,南北に連なるPindos Mts(最高峰はKatafidi, 2,393m)に分かれる.蝶類はブルガリア214種,ギリシア232種に達し,地域の面積からすると蝶類の種数でも多様性が高いことが伺われる.サンプルとして,ブルガリアの北部(West and Central Balkan Mts)および南部(Rodopi, Pirin, Rila Mts)で採集したErebia属10種65個体,およびスイス,イタリアなど中欧,および中央アジア産の10種11個体を用いた.ミトコンドリアの遺伝子領域としては,種内変異の解析によく使われるND5の一部(432bp)とCO1領域の一部(510bp),合計942bpを使用し,得られた塩基配列を比較してハプロタイプを決定した. ブルガリア国内産と中欧産個体群間の遺伝距離にみられるパターン ブルガリア国内におけるハプロタイプの分化と中欧産との遺伝距離を比較すると,3つのパターンに分類することができる. (1)遺伝距離がほぼ地理的距離に比例しているパターン 近隣個体群間では遺伝的交流が認められるが,近距離の個体群間では認められない,いわゆる距離による隔離機構(島モデル)が働いていると想定されるパターンである.このグループに属する種としては,E.aethiops,E.euryale,E.medusaがある.いずれも針葉樹林帯の草原に生息する広域分布種で,その生態的特性からも推定されるパターンであって,氷河期に分布が分断されたものが,温暖期における森林帯の拡大に伴って分布を広げたと推定される. (2)個体群間の地理的距離とは相関のない遺伝距離が認められるパターン 過去に複数のレフュジアに生殖隔離されることで固定された複数の系統が,その後に分布を拡大して混生地を生じたり,あるいは地理的に至近距離で対峙している分布型であり,何らかの系統地理的要因のあることが示唆される.E.oeme,E.ligeaが属する.E.ligeaは前のグループに属するE.aethiops,E.euryaleと類似の環境に生息し,しばしばこれらの種と同所的に見られる場合が多いにもかかわらず,ブルガリア北部のバルカン山脈産と南部の山系産の個体群間の遺伝距離はきわめて大きい.さらにバルカン山脈産のハプロタイプはスイス産個体群と,またブルガリア南部山系産個体群は地理的に遠く離れた中央アジア(モンゴル)産の個体群と遺伝的に極めて近縁であることが判明した.E.ligeaはヨーロッパからユーラシア大陸の中緯度地域に沿ってロシア極東,日本列島にまで広域分布する種であるが,東西2系統に分断された個体群が,その後に分布を拡大しバルカン半島の中部で両系統が対峙していると想定される.今後大陸各地においてサンプル地点を増やすことで系統地理的な全貌を解明する必要がある.E.oemeはヨーロッパ地域特産で,中欧のアルプスでは針葉樹林内の草原に生息し分布は局限されるのに対して,ブルガリアでは森林限界より上の草原にも広く分布し個体数も多い.西はピレネー山脈から東はカルパチア山脈・バルカン半島に分布し,いくつかの亜種またはフォームに区分される.バルカン半島産は東オーストリア産と共に大型で,斑紋がよく発達する特徴を持ち亜種spodiaとされるが,北部ブルガリア産と南部ブルガリア産個体群の間の遺伝距離は大きく,遺伝距離と形態的特徴の類似性には相関性がない.両者の個体群は,その遺伝距離の大きさからみると最終氷河期以前からの別々のレフュジアに隔離分布していたことが示唆される. (3)中欧産個体群との遺伝的距離が大きいパターン 中欧産個体群との遺伝距離が大きいグループである.最終氷期よりも前に分布が分断され,その後の寒冷期にも遺伝的交流がないまま現在に至っていると想定される.E.pandrose,E.alberganusが属する.E.pandroseは森林限界付近の草原に生息するが,E.alberganusはさらに低標高の針葉樹林内の草原にも生息する.スイスでは高山草原でも草丈の高い草原にのみ見られ,食草が限定されているのかもしれない.このような離散的分布域をもつ北方系蝶類の一部の種は,最終氷期よりも前に分布が分断され,その後の寒冷期にも分布を拡大することができなかったと推定される. バルカン半島固有種 バルカン半島にはE.rhodopensis,E.orientalis,E.melasの固有種が知られているが,これらの内E.rhodopensis,E.orientalisについて解析できた.バルカン半島が主たる分布地のE.ottomanaもこのグループに属するものとして扱う.E.rhodopensisは中欧に分布するE.aetheopellaと近縁であり,森林限界付近の灌木帯に分布の中心があり,Bezbog Chalet(Pirin Mts)やGrqnchar Chalet(Rila Mts)では標高2650m以上の岩礫帯でもみられた.調査した範囲では遺伝的変異は認められなかった.E.ottomanaは中欧で多様な種分化を遂げたtyndarusグループに属し,フランス南東部とイタリア北部にも分布するが,バルカン半島が主たる分布域である.広域分布型のハプロタイプが北部バルカン山脈と南部Rila山系から見出され,同じ型はモンテネグロ産個体群からも検出された.ネットワーク樹に示すように,この広域分布型ハプロタイプを中心にして,1塩基置換のハプロタイプがRodopi Mtsに,2塩基置換のタイプがPirin Mtsと中欧(イタリア,Monte Baldo)に分布するスター型の構造を示す.本種はtyndarusグループの中では近東に分布するE.iranica,E.graucasicaと共に古い系統に属する種であって,バルカン半島から中欧(イタリア北部,フランス南東部)へ進出したものであろう.E.orientalisはRila Mtsのみから得られたため,ブルガリア南北の個体群間の比較はできなかった. 遺伝的分化の歴史 日本産高山蝶の各種については,筆者らによる大陸産の同種と遺伝的差異を比較検討した研究,および日本列島内でのハプロタイプを解析した研究がある.本州は最終氷期には大陸や北海道と陸続きにならなかったため,本州に遺存分布する高山蝶は最終氷期より前の寒冷期に大陸から渡来したものと考えられる.したがって本州の例と比較することで,バルカン半島での生殖隔離が始まった年代を推定することができる.分布した遺伝領域ND5とCO1の塩基置換数をまとめるとTable2のようになる.中欧とブルガリア産個体群間の塩基置換数は,分布が離散的なE.pandroseとE.alberganusは4〜6である(Table 2a).一方本州産高山蝶のクモマツマキチョウ,ミヤマモンキチョウ,タカネキマダラセセリは,大陸産と本州産個体群の塩基置換数が5〜7である(Table 2b).これらのデータから,離散分布型のErebia属蝶類が中欧とブルガリア間で生殖隔離した時期は,最終氷期より前の寒冷期であると示唆される.すなわちヨーロッパとアジア東部において,ほぼ同時期に北方系蝶類の個体群が隔離分布するような気候環境であったことが示唆される.またこれらの種の中欧とバルカン半島の個体群が,最終氷期を通じて遺伝的交流がなかったことは,寒冷期とはいえ北方系蝶類のすべてが分布域を拡大できたわけではないことを示唆している.同じくTable 2aによると,中欧とブルガリア産個体群間の塩基置換数は,広域分布型のErebia aethiops,E.euryale,E.medusaでは1〜2であり,最終氷期以降も遺伝的交流があったことが示唆される.またブルガリアの南北個体群間では,広域分布型のErebia aethiops,E.euryale,E.medusa,およびバルカン半島が発祥の地と推定されるE.ottomana,バルカン半島固有種のE.rhodopensisにおいては,E.aethiops以外は広域分布型のハプロタイプが南北の山域に共通して生息しており,ごく最近まで遺伝的交流のあったことが示唆される.バルカン半島で系統分岐の推定されたE.ligeaは系統地理的に極めて興味深い事象であって,今後さらにサンプリング地点を増やして,主要な分布域をカバーする集団の遺伝的構造を明らかにする必要がある.
著者
〓 良燮 駒井 古実
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.115-141, 1991

Lobesia属はハマキガ科Tortricidae,ヒメハマキガ亜科Olethreutinaeに属し,外見が非常に類似した小型の種からなるグループで,現在まで主として全北区,東洋区,オーストラリア区から100種以上が記載されている.日本からはこれまで5種-botrana([DENIS & SCHIFFERMULLER]),reliquana HUBENER, aeolopa MEYRICK, mieae KAWABE, coccophaga FALKOVITSH-が記録されている.今回,日本産Lobesia属約600個体について詳細な比較検討をおこなった結果,従来知られていた種(日本からの記録には疑問があるbotranaを除く4種)以外に,1新記録種(bicinctana DUPONCHEL),3新種(arguta sp. nov., virulenta sp. nov., yasudai sp. nov.)を認め,これら日本産8種を2亜属に分類した.本論文では属および日本産亜属を定義し,種について詳細に記載した.[属の特徴]Lobesia属は次の4つの固有新形質によって特徴づけられる. 1)前翅前縁部には縁紋(pterostigma)がある. 2)第2腹節腹板にある鱗片が密生した一対の袋状構造および後脚のtibia基部からでる毛束の組合せからなる発香器官がある. 3)雄交尾器のpedunculusは前縁部に先端が尖った突起物をもつ. 4)雌交尾器のsterigmaは第7腹節の腹板下の膜状嚢の中に存在する.[亜属の特徴]日本産亜属は次の固有新形質によって特徴づけられる.Lobesia亜属 1)雌の第7腹節腹板の後縁部は硬化した構造物(limen)をもつ.Neolobesia亜属(新亜属) 1)前翅はchordaを欠く. 2)Cucullusの剛毛は背縁部にのみ生じる. 3)Aedeagusの背面に一対の突起を生じる.[日本産Lobesia属]Lobesia亜属 1. L. reliquana (HUBNER)ホソバヒメハマキ 以下の4種とよく似ているので,正確な同定のためには雌雄交尾器を検鏡する必要がある.本種の雄は後翅が白色半透明(他種は淡灰褐色)であることで他種から区別できる.分布:日本(北海道,本州,四国);ユーラシア大陸に広く分布する,寄主植物:日本では不明.ヨーロッパではま広葉樹やキク科草本植物が記録されている. 2. L. arguta BAE et KOMAI(新種) トドマツチビヒメハマキ(改称) 前種および次の3種と類似するが,黄褐色の斑紋が明瞭に現れ,基斑が二分されることにより他種から区別できる.本種の雄は類似種中で後翅が半透明でない唯一の種である.分布:日本(北海道,本州).寄主植物:モミ属,トウヒ属,ツガ属. 3. L. virulenta BAE et KOMAI(新種) 次種と外部表徴では区別できない.雄交尾器のaedeagusおよび雌交尾器のsterigmaの形状がわずかに違う.分布:日本(北海道,本州,四国).寄主植物:カラマツ,ナシのほかエゴノネコアシアブラムシのゴールも食する. 4. L. yasudai BAE et KOMAI(新種) 前種と外部表徴では区別できない.分布:日本(北海道,本州).寄主植物:ノリウツギ,ハマナス,シュウリザクラ. 5. L. aeolopa MEYRICK ホソバチビヒメハマキ 前4種と類似するが,本種の前翅は他種に比べてやや暗い.ただし,この特徴は個体変異があり,より明るい個体も出現する.分布:日本(北海道,本州,九州,琉球);南アジアに広く分布する.寄主植物:アキニレ,ビワ,ソメイヨシノ,ブドウ,チャ,カキなど. 6. L. mieae KAWABE ミエヒメハマキ 黄榿色の中帯をもつことで他種から区別できる.分布:日本(本州).寄主植物:オモト. 7. L. bicinctana (DUPONCHEL)(日本新記録種) 外側に向かって角をなす暗褐色の基斑と内側で淡黄土色の帯(地色)と融合する黄土色の中帯が本種の特徴である.分布:日本(北海道,本州);ユーラシア大陸に広く分布する.寄主植物:ヨーロッパではネギ属が記録されている. Neolobesia亜属 8. L. coccophaga FALKOVITSH スイカズラホソバヒメハマキ L. reliquanaとその近縁種と斑紋がやや類似するが,本種の頭部は暗黄褐色である.分布:日本(本州,四国,九州)韓国,沿海州.寄主植物:スイカズラ.
著者
長田 庸平 坂井 誠 黄 国華 広渡 俊哉
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.30-35, 2013-04-15

Robinson(1986)はアトモンヒロズコガMorophaga bucephalaとその近縁種であるM. vadonella,M. soror,M. cremnarchaの計4種をbucephala種群としてグルーピングした.その後,Ponomarenko & Park(1996)は韓国京畿道でアトモンヒロズコガに近縁なM. parabucephalaを新種として記載した.どの種も前翅の後方に茶色い大きな斑紋を有し,種によってその斑紋の形状がわずかであるが異なっている.交尾器の形状は上記の近縁種間で顕著に異なるが,成虫の斑紋が互いによく似ているため国内でも交尾器の形状に基づいた分類学的な情報が必要であると考えた.著者らは国内各地の「アトモンヒロズコガ」とされている標本を解剖し,交尾器を観察した.その結果,北海道から八重山までのほとんどの地域で得られた個体はM. bucephalaであることを確認したが,大分県日田市産の交尾器の形状がM. bucephalaとは顕著に異なり,朝鮮半島に分布するM. parabucephalaと同定できた.国内ではこの種を大分県日田市のみで確認したが,国外では朝鮮半島の他に中国広東省南嶺山脈でも確認した.なお,本種の雌交尾器を初めて図示した.1.Morophaga parabucephala Ponomarenko & Park,1996(新称) ニセアトモンヒロズコガ(Figs 1a, 2a, 3a-h) 前翅後縁の暗褐色斑の基部の幅が狭く,外縁が蛇行する.雄交尾器のバルバの後縁は直線状,サックスは細く,エデアグスは非常に細長い.雌交尾器の交尾口周辺の縁は中央で切れ込む.分布:九州(大分県);韓国(京畿道),中国(広東省)寄主:不明 2.Morophaga bucephala(Snellen,1884) アトモンヒロズコガ(Figs 1b, 2b, 4a-h) 前翅後縁の暗褐色斑の基部の幅が広く,基部が丸みを帯びる.雄交尾器のバルバの後縁は強く窪み,サックスはやや幅広く,エデアグスは細長い.雌交尾器の交尾口周辺の縁はより強く切れ込む.分布:北海道,本州,四国,九州;ロシア,中国,韓国,インド,ビルマ,マレーシア,スラウェシ島,ニューギニア島.寄主:カワラタケ(サルノコシカケ科)から得られた記録がある.
著者
泉 健司 加納 一三 佐々木 健二
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.155-162, 1984-05-20 (Released:2017-08-10)
被引用文献数
1

従来,翅の形態の比較検討は数個所の測定値の相互比などにより行われてきた.筆者らはカラスアゲハの翅形の地理的変異を比較検討する目的で前後翅9部位の長さを測定し,さらに理論性と客観性を加える目的で主成分分析を行った.その結果,第1より第4主成分(Z_1〜Z_4)に意義のあることを確かめることができた.Z_1は大きさを表わす主成分で,台湾産の集団は小型であることがわかった.また他の地域集団間では,差異はほとんど認められなかった.形を表わすZ_2〜Z_4では地域差が認められた.Z_2は前翅の細長さを,Z_3は後翅の細長さを,そしてZ_4は後翅の幅を表わす主成分であった.Z_2とZ_3を座標軸として得られた個体の散布図をみると,地理的に近接する地域集団は互いに似た形態を示すことが多い.しかし,中国の上海,韓国のソウル,済州島,日本の本州,中之島,および台湾から得られた個体は,F(後翅基部から第4脈末端までの長さ)が長く後翅が比較的細長い傾向がみられ,前翅は細長いものからずんぐりしたものまであったのに対し,奄美より西表にかけての島娯群,紅頭喚および八丈島から得られた個体は,いずれもC(前翅翅端から第1b脈末端までの長さ)とFが短く,前後翅ともにずんぐりとした傾向を示すことがわかった.
著者
岡本 央 広渡 俊哉
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.173-195, 2004-06-20
参考文献数
16

マガリガ科は,全世界に分布し,11属約100種が記載されている.Issiki(1957),Nielsen(1981,1982),Okamoto&Hirowatari(2000),奥(2003)などの研究により,日本産マガリガ科は現在12種が知られる.マガリガ科の幼虫は寄主植物の葉などを円形からだ円形に切り取ってポータブルケースを作り,寄主植物についても比較的よく知られているが,数種については寄主植物が不明のままだった.本稿では日本産マガリガ科に3新記録種を追加し,数種について寄主植物を含む生態を明らかにするとともに,頭部,翅脈,雌の第7腹節,雌雄交尾器を図示した.また,雌雄交尾器が未知あるいは記載が不十分だったものについては記載を行った.以下に,日本産マガリガ科15種の特徴,分布,寄主植物などの概要を示す.1.Phylloporia bistrigella(Haworth,1828)ヒメフタオビマガリガ(新称)(日本新記録)小型(開張8-9mm).前翅は金色の光沢がある黄褐色で,2本の細い銀白色の帯をもつ.Kuprijanov(1992)はPhylloporia属をヒゲナガガ科に含めたが,本稿ではマガリガ科として扱った.分布:北海道,本州;ヨーロッパ,北米.寄主植物:日本では不明.ヨーロッパではシダレカンバ(シダレカバノキ)やヨーロッパシラカンバ(カバノキ科)などが知られている.2.Vespina nielseni Kozlov,1987ホソバネマガリガ小型(開張8-11mm)で,前翅は細長く,茶褐色から黄褐色.後翅は細くやり状で縁毛が長い.分布:北海道,本州,四国,九州;極東ロシア.寄主植物:ナラガシワ,クヌギ,コナラ(ブナ科).本種の幼生期の形態・生態については,Okamoto&Hirowatari(2000)が詳しく記載した.3.Procacitas orientella(Kozlov,1987)ウスキンモンマガリガ中型(開張11.5-15mm).前翅は暗褐色で紫色の光沢をもち,基部1/3に銀白色の帯,前縁に2つ(基部1/2と3/4),肛角付近に1つの細長い銀白色の三角斑をもつ.基部の帯はFig.1Cの個体のように分断することもある.奥(2003)は,岩手県産の標本に基づいて本種を日本から記録した.分布:北海道,本州,四国;ロシア(サハリン,イルクーツク,沿海州),北朝鮮.寄主植物:ベニバナイチヤクソウ(イチヤクソウ科).本種の寄主植物は不明であったが,北海道大学昆虫体系学教室に保管されている標本のラベルデータによって明らかになった.4.Alloclemensia unifasciata Nielsen,1981ヒトスジマガリガ小型(開張7.5-10mm)で,前翅は暗褐色でよわい紫色の光沢をもち,基部1/3に明瞭な黄白色の帯,前縁2/3と肛角付近に三角斑をもつ.分布:北海道,本州,九州.寄主植物:ガマズミ,オオカメノキ(スイカズラ科).寄主植物としてガマズミが知られていたが,オオカメノキを新たに確認した.5.Alloclemensia maculata Nielsen,1981フタモンマガリガ中型から大型(開張12-16.5mm)で,前翅は暗褐色でつよい光沢のある紫から赤銅色を帯び,前縁に不明瞭な黄白色の2小斑をもつ.分布:北海道,本州,四国,九州.寄主植物:オオカメノキ(スイカズラ科).本種の寄主植物は不明だったが,飼育によりオオカメノキを利用することがわかった.6.Excurvaria praelatella([Denis&Schiffermuller],1775)タカネマガリガ(新称)(日本新記録)中型(開張10.5mm).前翅は褐色から暗褐色でやや紫色を帯び,基部1/3に細い白線,後縁の肛角付近に三角斑,前縁の基部3/4に三角斑をもつ.分布:北海道;ヨーロッパ,ロシア.国内では,日高山系の幌尻岳でのみ採集されている.寄主植物:日本では不明.ヨーロッパでは,バラ科のイチゴ類やキンミズヒキ属,ハゴロモグサ属,シモツケソウ属,ダイコンソウ属,キイチゴ属などが知られる.7.Paraclemensia caerulea(Issiki,1957)ムラサキツヤマガリガ中型(開張9-12.5mm).頭部は燈黄色,前翅は茶褐色で光沢のある紫から赤銅色を帯びる.分布:本州,四国,九州.寄主植物:コバノミツバツツジ(ツツジ科).那須(私信)は,本種の♀が1994年5月21日に滋賀県御在所岳でアカヤシオ(ゴヨウツツジ)に産卵するのを観察した.8.Paraclemensia viridis Nielsen,1982イヌシデマガリガ(新称)小型(開張10-14mm).頭頂は橙黄色,顔面は淡黄色.前翅は,黒褐色で緑色の光沢をもつ.分布:九州(福岡県).英彦山産のホロタイプ(♀)と同地産の2♀のみが知られる.寄主植物:イヌシデ(カバノキ科).Nielsen(1982)は黒子浩博士採集・飼育のタイプシリーズのラベルデータより,本種の寄主植物をCarpinus sp.として記録した.しかし,ホロタイプとパラタイプには日本語で「イヌシデ」のラベルがつけられおり,本稿であらためて本種の寄主として示した.9.Paraclemensia oligospina Nielsen,1982クリヒメマガリガ(新称)小型(開張9.5-11.5mm).頭頂は黒褐色,顔面は黒褐色から黄褐色で,顔面上部に淡黄色の鱗毛をもつ.前翅は,黒褐色で暗緑色の光沢をもつ.分布:本州,九州.ホロタイプ(♂)1個体(福岡県英彦山産)しか知られていなかったが,複数の♂と♀を大阪府,奈良県から記録した.大阪府和泉葛城山の山頂付近では,2002年4月下旬に成虫がコナラの花の周辺を飛翔していた.寄主植物:クリ(ブナ科).10.Paraclemensia cyanea Nielsen,1982ヒメアオマガリガ(新称)小型(開張12mm).頭頂と顔面は黒色で,触角のソケット間に淡黄色毛をもつ.前翅は黒褐色で,青色の金属光沢をもつ.分布:本州(長野県).茅野市美濃戸産のホロタイプ(♀)のみが知られ,その後追加標本は得られていない.寄主植物:不明.Nielsen(1982)は,本種の寄主植物についてまったく情報がないとしている.しかし,本種のホロタイプには採集者の黒子浩博士によって「シラカバに産卵中」という日本語メモ付けられていることから,寄主植物がシラカバである可能性が高い.11.Paraclemensia incerta(Christoph,1882)クロツヤマガリガ中型(開張9-12.5mm).頭頂は黒褐色で中央に黄色毛をもち,顔面は淡黄色.前翅は光沢のある黒褐色.分布:北海道,本州,四国,九州;ロシア.寄主植物:カエデ属(カエデ科),イヌシデ(カバノキ科),アズキナシ(バラ科),ネジキ(ツツジ科),フジ(マメ科)など,広範な植物を寄主とする.本稿では,標本のラベルデータよりハリギリ(ウコギ科),飼育によりクリ(ブナ科)を寄主植物として追加した.12.Paraclemensia monospina Nielsen,1982アズキナシマガリガ(新称)小型(開張9-12.5mm).頭頂は黒色で,顔面は淡黄色.前翅は暗褐色で光沢のある銅色を帯びる.ホロタイプのオス1個体しか知られていなかったが,アメリカ国立自然史博物館に所蔵されたメスを見いだし記録した.分布:北海道.寄主植物:アズキナシ(バラ科).13.Incurvaria takeuchii Issiki,1957クシヒゲマガリガ大型(開張10.5-19mm).触角は,♂では櫛歯状,♀では単純.分布:本州.寄主植物:リョウブ(リョウブ科).本種の寄主植物は未知だったが,飼育によりリョウブを利用することがわかった.14.Incurvaria alniella(Issiki,1957)ハンノキマガリガ大型(開張14-20mm).前翅は茶褐色で,後縁の基部1/3と2/3に小さな白斑をもつが,白斑が不明瞭に消失する個体もある.分布:本州,九州(対馬).寄主植物:ハンノキ(カバノキ科).15.Incurvaria vetulella(Zetterstedt,1839)コケモモマガリガ(新称)(日本新記録)大型(開張13-17.5mm).前翅は茶褐色で,後縁の基部1/3と2/3に大きな白斑をもつ.分布:北海道;ヨーロッパ,ロシア,北アメリカ.寄主植物:日本では不明.ヨーロッパではブルーベリー,コケモモ(ツツジ科)が記録されている.
著者
林 寿一
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.164-168, 1978-09-01

中元和哉氏は1978年2月にフィリピン・ミンダナオ島で,多数のシジミチョウを採集され,その研究を筆者に委ねられた.それらの中に新属新種のシジミ,Deramas属およびNarathura属の新種,およびJacoona amritaの新亜種を見出したので,ここに記載した.
著者
鈴木 光
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.45-57, 2015-10-27

アカタテハ幼虫をムラサキツメクサで室内飼育し,その生育状況を調べた.野外で捕獲したアカタテハ(メス)から卵を得て,孵化した幼虫をマオで飼育し,1〜5齢に達した幼虫を順次ムラサキツメクサ食に移行させて,その生育状況をマオ食幼虫(対照群)と比較し観察した.対照群幼虫は,1〜5齢のどの段階からムラサキツメクサ食に移行させても蛹・成虫にまで生育できたが,生存率は低く,ムラサキツメクサ食の期間が長いほど幼虫期間が長く,蛹化率も蛹の羽化率も低かった.蛹重と蛹長を比較すると,ムラサキツメクサ食群は対照群に比べ小型で,成虫の前翅長も短かったが,成虫の翅の形態や翅紋に異常は認められなかった.以上の結果から,ムラサキツメクサは,飼育環境下においては,アカタテハ幼虫の代用食になり得るが,好適な食草ではないことが示唆された.
著者
山崎 一夫 杉浦 真治
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.166-172, 2004-06-20

本論文では,2種のタイプの異なる葉ゴールを摂食する鱗翅目幼虫の食性や攻撃率に関して報告する.1)2種の多食性鱗翅目幼虫において,葉ゴールの構造的特性と摂食選好性の関係を調査した.大阪府堺市の都市緑地(大泉緑地)において,春に,多くのイスノキハタマフシ(イスノキ葉のヤノイスアブラムシNeothoracaphis yanonis(Matsumura)(同翅亜目アブラムシ科)によるゴール)を擁するイスノキの葉上に,マイマイガLymantria dispar(Linnaeus)とカシワマイマイL.mathura Moore(いずれもドクガ科)の中齢幼虫が静止しているのを見出した.全てのゴールは裂開し,アブラムシ有翅虫はすでにゴールから脱出していた.このとき,ゴールには鱗翅目幼虫に攻撃された形跡は認められなかった.そこで,これらの幼虫を実験室に持ち帰り,ゴールの形成されたシュートと共に容器に入れておき,幼虫が摂食する部位を記録した.これらの幼虫は,イスノキの通常の葉組織と葉裏のゴールの裂開部分を摂食したが,ゴールの葉表の部分は摂食しなかった.鱗翅目幼虫によるゴールへの攻撃は稀であり,たとえあっても,アブラムシ有翅虫の脱出後の裂開部分に限られるので,幼虫はアブラムシに負の影響は与えていないと考えられた.2)京都府八幡市木津川河岸において,春季に,ジャヤナギハマキフシ(ジャヤナギ葉のハマキハバチの一種Phyllocolpa sp.(膜翅目ハバチ科)による葉巻型ゴール)をサンプリングして調べると,ツマアカシャチホコClostera anachoreta([Denis&Schiffermuller])(シャチホコガ科),ホソバキリガOrthosia angustipennis(Matsumura)(ヤガ科),マイマイガの幼虫がゴールを摂食していた.これらの幼虫は機会的えい食者と判断された.ツマアカシャチホコとホソバキリガは内部から,マイマイガは外部からゴールを摂食していた.これら鱗翅目幼虫の攻撃率は1.5%と小さく,ゴール食の被害によって死亡したハバチ幼虫はいなかったことから,鱗翅目幼虫の摂食によるハバチ幼虫へ与える影響は非常に小さいと考えられた.本研究で扱った2種の葉ゴールでは,ゴールは鱗翅目幼虫によって摂食されたがそれに起因する死亡率はわずかであった.これは,アブラムシのゴールでは丸く堅固なゴールの外部形態がゴール食者からの攻撃を妨げ,ハバチのゴールでは比較的短い幼虫の発育期間によってゴール食者の攻撃の機会を減少させていた可能性がある.
著者
富岡 克寛
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3-4, pp.71-72, 1971-12-31 (Released:2017-08-10)

アオスジアゲハ(Graphium sarpedon nipponum FRUHSTORFER)の越冬蛹は,幼虫期の短日条件が主な要因で生じる休眠蛹であることを,すでに報告した.この時の短日飼育による休眠蛹は,野外において秋に形成されるものとは異なる時期のものがあった.これらの休眠蛹が翌年の春までに羽化する時期を観察して,野外における経過と合わせて考察を行なったので報告する.
著者
有田 豊 Gorbunov Oleg G.
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.157-173, 1996
参考文献数
23

タイで得られたスカシバガ科,モモブトスカシバ属Melittia Hubner,[1819]の2新種,M.sukothai sp.nov.とM.bella sp.nov.を記載し,東洋熱帯から知られている3種,M.eurytion(Westwood,1848),M.nepcha Moore,1879およびM.gorochovi Gorbunov,1988をタイから新しく記録した.今までにタイから記録されていたM.siamica Walker,[1865]と合わせてMelittia属は6種類になる.Melittia eurytion(Westwood,1848)(Figs 1-3,9,11-12)個体の大きさは,開張25-34mmとかなり変化がある.前翅中室外方透明紋も大きさや形にかなりの変異がある(Fig.9).食草は不明であるが,成虫は4-5月,7-9月に採集されている.また水銀灯を使った夜間採集の灯に夜明け前に数頭が飛来した.Melittia nepcha Moore,1879(Fig.4)インド(ダージリン),ネパール,北ベトナムから記録があり,今回タイ北部のチェンマイから1♂を初めて記録した.Melittia sukothai sp.nov.(Figs 5,13)本種はややM.newara Moore,1879に似ているが,後脚脛節の長毛の前半がM.newaraでは黄色なのに対して本種では白いことで区別される.食草や生態などは不明である.Melittia bella sp.nov.(Figs 6,14,16)この新種はamboinensisグループに非常によく似ている.前翅中室外方透明紋の形でこのグループのcelebica Le Cerf,1916,meeki Le Cerf,1916およびmarangana Le Cerf,1916と区別される.2♀がタイの低地で採集されているのみである.Melittia gorochovi Gorbunov(Figs 7-8,10,15,17)ベトナムから記載された種であるが,今回タイからも記録された.タイでは8-11月に熱帯林を切り開いた林縁部で採集された.
著者
日浦 勇 宮武 頼夫 冨永 修 西川 喜朗 桂 孝次郎
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.97-110, 1978-06-01

日本列島の生物地理を考えるにあたって,アジア大陸との中間に位置する対馬が重要な鍵をにぎるのはいうまでもない.われわれはこの島の昆虫・クモ相に興味をもち,1968年から計10回にわたって調査を行い,いくらかの新しい知見をえた.また,1973年には朝鮮半島南部で採集し,比較標本の入手につとめた.そのひとつとして,タイワンモンシロチョウPieris canidiaについて判明したことを報告したい.
著者
朱 耀沂
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
no.153, 1993-04-30