著者
朝倉 雅史
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、保健体育教師の校長職任用の実態とそのプロセス、経営的力量の形成について明らかにすることであった。その結果、校長になる過程は、制度的な影響だけではなく、文化・政治的な要因が関係していること、教育行政経験が一つの契機になっているとともに体育教師はその経験が比較的多いこと、教科の研究を通じた他校の教員や管理職との交流が影響していることが明らかになった。
著者
篠 弘
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1992

制度:新 ; 文部省報告番号:乙891号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:1992/6/16 ; 早大学位記番号:新1817 概要書あり 付属資料:別冊2冊(86・111p):序論・追補
著者
原口 佳誠
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、アメリカにおける州裁判官公選制の成立過程と現代における制度改革の分析を行った。1850年代に各州議会が裁判官公選制を導入する憲法修正を行った主たる目的は、民主主義の徹底のみならず、司法府の強化と独立にあった。しかし、利益集団の介入によって過度に党派政治化した現代の裁判官選挙では、司法府の中立性と公正な裁判の実現が懸念されており、それに呼応して合衆国最高裁判所は重要判例を提示し、法律家団体は司法制度改革運動を展開し、各州は現実に諸改革を行いつつある。本研究は、アメリカで蓄積された法制史学の精査と現地の実地調査をふまえた実証分析を行い、裁判所における民主的統制の確保と公正な裁判の実現という両要素を調和させる制度構築の試みを評価する。さらに、アメリカ市民の州裁判所に対する信頼の基盤には、裁判官の民主的アカウンタビリティと任命過程の透明性の確保のみならず、司法府の独立と中立という、同様に選挙される政治家とは異なる裁判官固有の役割への一般的な期待があることを確認する。本研究は、日本の最高裁判所の裁判任命制度を再検討し、司法府の独立性・中立性と司法府に対する市民の信頼の関係という基本的命題を考察する際に、比較法研究としての示唆を有すると考えられる。
著者
久塚 純一 岡沢 憲芙 篠田 徹 畑 恵子 坪郷 實 早田 宰 藤井 浩司
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

各国のNPOの概念規定について検証しつつ、3年間の調査・研究をまとめた。久塚は、主に、日本とフランスにっいて研究した。(1)日本については、事実上存在している法人格を有しない市民団体から、法人格を有するNP0にまでについてヒアリングを行い、さらに、NPOを管轄している行政にもヒアリングを行った。結果として、日本においては、NPOが政策形成に及ぼす影響は、法人の制度や税制がネックとなり、まだ大きなものとなっていないものの、キーパーソンやネットワーク機能を有するプラザなどが存在している場合は、NPOの機能が発揮され、行政とのパートナーシップが形成されつつあることがわかった。(2)フランスについては、Associationが活動しやすい土壌・制度が整っており、国民の意識調査からも、消費者保護の問題や老親の問題などはAssociationへの期待が高く、公的セクターとの役割の住み分けが形成されていること、Associationが政策形成に大きな役割を果たしていることがわかった。岡沢は、スウェーデンのNPOの概念が、国家の役割との関係で明確なものではないことを前提としつつ、実態として存在している人々の連帯を対象として、EU加盟との関係で進行する市場化に苦慮している現実を歴史的経緯を踏まえて研究した。篠田は、アメリカにおける地域障害者ガバナンスにおけるNP0について、従来、個別研究にとどまっていた分野についての類型化と機能分析を試みた。畑は、メキシコのNPO・NGOについて、市民組織が政治的変容とどのようにかかわっているのかを念頭に置きつつ、福祉レジームと貧困削減政策との関係について研究した。坪郷は、ドイツにおける市民団体が環境問題などざ果たしている役割について研究した。早田は、イギリスにおける都市再生についての議論を整理した。藤井は、第三の道の方向性とNPOとの関係について研究した。3年間の調査・研究によって、(1)各国においてすでに存在していた各種の民間団体とNPOのような新しい民間団体との間の緊張関係が異なっていること、(2)そのような緊張関係は、福祉や環境というような個別の政策分野で大きく異なっていること、(3)政策分野ごとの差異は、国が果たすべきと考えられている役割との関係で、歴史的に異なっていること、(4)しかしながら、各国共通に、NPOについては期待が高まっており、それらの今後は、主に、法人にっいての制度と税の制度が鍵を握っているであろう、ということがわかった。
著者
萩野 寛雄
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2004

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1957号 ; 学位の種類:博士(政治学) ; 授与年月日:2004/10/26 ; 早大学位記番号:新3864
著者
尾崎 護
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2002

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1669号 ; 学位の種類:博士(法学) ; 授与年月日:2002-02-12 ; 早大学位記番号:新3285 概要書あり
著者
中野 鐵兵
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,人間の持つ非常に高度な適応・学習能力を積極的に活用した,人を音声認識器に適応させることで高度な認識精度の実現を可能にする手法の検討を行った.実利用環境における認識精度の劣化を招く主な原因として,想定話者の発話の特徴と実際の話者のミスマッチ(話者要因)が挙げられる.本研究では,話者要因に関して,入力音声の音響的特徴からより適切な発話様式を誘導するための手法の提案と,その効果の検証実験を行った.また,より適切な話者誘導を実現するために必要な,語彙依存な指示語の必要性について調査を行った.音声認識技術のエキスパートによる指示例の収集とその分析を行い,より間違えやすい語に対する適切な指示語生成を可能にするエキスパートシステムを開発した.被験者実験を行い,その効果の検証を行った.
著者
駒込 希
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-151, 2018

早大学位記番号:新8029
著者
長谷 正人
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

近年流行のドキュメンタリーバラエティ番組(アメリカでいうリアリティTV)は、「出演者」という問題を前景化したテレビ番組である。これが本研究のとりあえずの結論である。70年代までのテレビ番組は、「製作者」のものであった。いかに優れた番組が作られるかが人々にとって論じるべきことであり、出演者や視聴者は二次的な問題にすぎなかった。それに対して80年代に前景化されたのが「視聴者」の問題だった。「スチュワーデス物語」に代表されるように、製作者の意図とは距離を置いたところで、「視聴者」が解釈することによって番組のありようが決定される。そのような製作者と視聴者の微妙なずれでゲームが行われたのが80年代のテレビバラエティだった。これらに対して、『未来日記』や『あいのり』に代表される近年のドキュメンタリーバラエティ番組は、製作者の意図とも、視聴者の解釈とも違うところで、出演者がどのような役割を果たしているかが実験的に探求されたのである。メッセージの透明な伝達者ではなく、製作者の意図とも視聴者の欲望ともずれた不透明な身体を持った出演者。それはスターともアイドルともまったくちがう様態で私たちの社会に現れただろう。たとえば80年代のアイドルから90年代以降の女子アナへとテレビの主役が変わったことは、その典型的な徴候である。その出演者の不透明な身体からメディア社会の自閉性の向こう側を見通そうとしたのが、これらの番組だろう。しかしその自閉性は崩されないまま、テレビのシステムが出演者さえも飲み込んでしまったのが現代の状況である。
著者
酒井 智宏
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究の目的は、言語表現の意味(に関する知識)が外的環境に依存するとする意味論的外在主義と、言語表現の多義性が個人の心の中にネットワークの形で表象されるとする語用論的調整の考え方を統合することである。ごくわずかな例外を除き、哲学では外在主義が当然視され、逆に言語学では内在主義が当然視されてきた。本研究は、正反対に見える二つの立場がそれぞれの領域で当然視される理由・経緯をいかなる論点先取も犯すことなく追究し、「内在主義を出発点としない内在主義」と「外在主義を出発点としない外在主義」がそれぞれどこまで可能であるかを見定め、どの立場に立ったとしても有効な意味論を構築する。
著者
卜 煥模
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2006

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2135号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2006/3/15 ; 早大学位記番号:新4132
著者
片田 房 上野 義雄 CAMPOSANO Siverlyn M.
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、社会性やコミュニケーションの障害を特徴とするギーク症候群(発達障害)の大学における実態を日本とフィリピン共和国を中心に調査し、ギーク症候群的気質を考慮したカリキュラム開発の妥当性を示した。特に英語によるコミュニケーション能力開発が求められる理工系学生においては、基礎数学や科学分野の材料を使用した理工系ESP(English for Specific Purposes)が有効であることを提言した。本研究は、才能と障害の連続性を啓蒙し、多様性を尊重するインクルーシブ教育の理念と大学の統一カリキュラムとの間に乖離が存在することを指摘すると共に、その一対策を提示することに貢献した。
著者
張 雪斌
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

台頭する中国がどのように文化と情報を活かして自国の影響力の拡大を試みているのかは、世界規模の注目を集めており、様々な評価がなされてきた。しかし、言語と資料の制限により、中国のパブリック・ディプロマシー(PD)の実施過程と実施主体の組織構造の多くは未だブラックボックスにある。本研究は中国政府と中国のPDに携わる準政府アクターの組織的、経済的基盤を調査、分析することで、近年中国のPD政策の立案・決定・実施のダイナミズムを実証的に解明する。
著者
野崎 千尋
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2020

令和2年度に実施した研究成果は、研究の開始および施設の移動に伴う新たな研究環境構築である。科研費の交付内定後に予想外の国内異動が決まった中、新施設と国内旧施設が有する機材が全く異なるため、双方にどのような研究機材があるかを洗い出し、本研究に必要となる機材のうち新施設に無いもので、かつ使用頻度が高くなるであろう物を中心に、特に大型の機材を揃え、そのセットアップを行った。加えて国外旧施設から供与されることが決定していた遺伝子改変動物およびサンプルの輸入を、国内旧施設ではなく新施設に向けて移動できるよう、各種手続きを進めた。その中で当初凍結精子の形で輸入する予定だった動物の個体化を元の国外施設で行い、生体の形で輸入できるように手はずを整えた。また一方で新施設内の他研究室と協力関係を結び、本研究計画を協力して行う体制を整えるとともに、本計画外の共同研究計画も推進し始めた。