著者
蒲谷 宏 待遇表現研究室
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語教育研究 (ISSN:13471147)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.55-76, 2003-03-31
被引用文献数
0 or 2
著者
渡邉 孝信
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

急速に進む立体構造デバイスの研究開発を基礎から支えるため、ナノスケールの半導体結晶、およびそれを覆う酸化絶縁膜の原子論的界面構造モデルを、ハイスループットで自動生成する技術を開発し、現実的な立体構造モデルを用いた様々な輸送シミュレーションを可能にした。開発した手法を熱伝導シミュレーションに応用し、ナノスケールのシリコン結晶が示す特異な熱的特性の起源の解明に成功した。
著者
碓井 みちこ
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

本研究では物語るメディアとしての写し絵の表現の特徴について考察した。まず、写し絵と西洋の幻燈との違いを明確化した。次いで、写し絵の種板を、それが車人形をいかに参照したかという観点から検討した。車人形は、仏教の法談・唱導が芸能化したされる説経節を地語りとする人形芝居である。さらに写し絵と浮世絵との密接な関わりについても検討した。本研究の成果は、論文や口頭発表だけでなく、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館における企画展でも公表された。
著者
深見 奈緒子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-07-25)

本年度は、研究代表者が日本学術振興会のカイロ研究連絡センター勤務になったため、2014年度から延期していたモルディブ諸島調査を断念した。モルディブ諸島のモスク建築に関しては、2013年度の調査成果を図化を済ませ、マールーフ・ジャメールの「モルディブのモスク」(2015年出版、英文)に提供した。一方、インド洋海域にのこる14世紀から16世紀にグジャラート州のキャンベイ港からインド洋各地に運ばれ大理石細工に焦点をあてた。これら石製品はムスリム用で、モスクの礼拝の方向に設けられるミフラーブと墓石である。実例を既往文献および今までの調査のなかから収集し、それらに対して考察を行い、学会発表および論文にまとめた。モルディブにのこる1314年のグジャラート産大理石細工のミフラーブにはランプ文様があり、形はあたかも墓碑ながらモスク建立の碑文が掲載され、キャンベイにおける輸出石製品の早い事例であることを、その文様の変遷からも明らかにした。なかでも、ランプの文様に着目し、モスクの礼拝の方向に設けられるミフラーブとの関連性を考えた。イスラームでは聖典クルアーンの光の章や「神は光である」という考え方によって、遅くとも10世紀にはミフラーブにランプ文様が刻まれるようになった。インド内陸部との文化交流にも着目し、14世紀から16世紀初頭のインド亜大陸にのこる建造物も比較対象に据えた。グジャラート州、デリー、ベンガルのモスクにも、ミフラーブ内に数多く吊り下がり文様が描かれる。西アジア起源のランプがインド洋海域を通して伝播するに伴い、当初の吊るされたランプの表現が、インド亜大陸では香炉に変容し、モルディブでは鍵へと変遷することを明らかにした。
著者
モラスキー マイク
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-05-31)

本研究で実施した日米両国の中小都市での現地調査から明らかとなった課題は、以下のように分類できる。(1)日米間におけるジャズ音楽の文化的位置づけの差異、(2)米国内の地域間によるジャズ音楽の文化的重要性の差異、(3)日本のジャズ文化における主要都市(東京・横浜、京都・大阪・神戸)と地方都市との間にみられるジャズの文化的位置づけ及び意義の差異、(4)日本国内の地方都市間(地域間)にみられるジャズ音楽の文化的存在の差異、(5)地方都市の復興事業における音楽の一時的な活用(恒例のイベント等)vs.音楽を提供する個人経営のライブスポットや飲食店など永続的・営利的な空間が生み出す効果の差異。
著者
豊田 唯
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-12-12)

本年度は、平成23~24年度の2年にわたる課題研究期間の後半にあたる。その研究課題は、バロック期スペインの宗教画家ファン・デ・バルデス・レアル作のヴァニタス画《束の間の命》と《この世の栄光の終わり》について、その複雑な図像の解釈を試みることにあった。この大型の対作品は1672年にサンタ・カリダード聖堂(セビーリャ)の内部装飾の一環として描かれ、現在でも当初のままに、入口付近の南北両壁に相対して掛けられている。これらのバルデス・レアル作品の図像解釈は先行研究でも断続的に試みられてきたものの、一部の暗示的モティーフについては、いまだ統一的な見解に至っていない。それに対して報告者は、画中の謎めくモティーフ三つについて、対抗宗教改革期スペインの神学や美術の情勢を手がかりに解読を試みた。そしてそれらの分析をもとに、カリダード聖堂のヴァニタス画が「死」や「審判」の教理を一般論として掲げるに止まらず、観者一人ひとりに対し、自己の死を省察するように促していた可能性を新たに指摘した。一方で報告者の推測によれば、観者を自己省察へと導くための工夫は2点のバルデス・レアル作品のみならず、堂内のバルトロメ・エステバン・ムリーリョ作の聖人画2点、そして最奥の主祭壇衝立へと継承されている。聖堂入口の対作品に端を発した「死の自己省察」は、祭壇衝立内の群像彫刻《キリストの埋葬》や《慈愛》像においていかに帰結したのであろうか。報告者は、最後に2点のヴァニタス画を聖堂装飾プログラムの枠内に戻すことで、バルデス・レアル作品の「死の勝利」から主祭壇衝立の「慈愛の勝利」へと繰り広げられたダイナミックな宗教的メッセージの解読を試みた。なお、以上の研究成果は美術史学会の会誌『美術史』(第174号)への投稿論文「バルデス・レアルの二大ヴァニタス画-死の勝利から慈愛の勝利へ-」として現在、査読を受けている。
著者
橋本 あゆみ
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2014-01-29)

前年度を引き継いで、戦後の主要な戦争文学との比較を通じ、大西巨人『神聖喜劇』の文学的特徴を検討した。まず前年に口頭発表した野間宏との比較論を基に、論文「大西巨人『神聖喜劇』における兵士の加害/被害―野間宏『真空地帯』との比較から―」を『文藝と批評』に発表した。小説発表当時の社会情況を踏まえつつ、『神聖喜劇』が早くに応召兵士の加害性を問題化した点や、物語の進行とともに暴力否定のモチーフが深まりを見せた点をテクストの検討から指摘した。また、同じく『真空地帯』を主な比較対象に、両作における「法」や「規定」の捉え方が、軍隊と社会の関係や知識人の描き方の違いに関わることを指摘した論文「軍隊を描く/法をとらえる―大西巨人『神聖喜劇』・野間宏『真空地帯』比較―」を『昭和文学研究』に発表した。第二の軸として研究を進めていた大岡昇平『野火』『俘虜記』等との比較は、所属機関内で構想発表を行ったものの有効な焦点を導き出すに至らず、別の比較対象を立てることも視野に入れて再検討中である。2014年3月12日の大西巨人死去を承けた追悼出版物『大西巨人 抒情と革命』(河出書房新社)には、「「別の長い物語り」のための覚書―『精神の氷点』から『神聖喜劇』へ―」を寄稿し、小説第一作と『神聖喜劇』の間での問題意識の継承と発展の見取り図を示した。夏からは二松學舍大学・山口直孝教授を中心とする大西巨人旧蔵書の整理に研究協力者として参画し、リスト作成やワークショップの開催(第1回は2015年2月)を行っている。9月の日本社会文学会拡大例会では、依頼により集英社『コレクション戦争×文学』の『日中戦争』『9.11 変容する戦争』収録作を論じる口頭発表を行い、内容を機関誌『社会文学』に掲載した。『二松學舍大学人文論叢』には、前年から続いて、大西とも交流のあった編集者・玉井五一氏への聞き書きの最終回を掲載した。
著者
青木 研作
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

信仰学校(faith school)に対する国の政策、設置に関する地方行政の対応、信仰学校の実態等を研究することにより次の3点を明らかにした。第一に、イギリス社会において信仰学校は教育の私事性を拡大する存在として認識されていること。第二に、しかしながら、信仰学校の設置が認められている背景には、教育効果やニーズや社会的一体性(social cohesion)などの複数要因を総合的に判断して公教育制度をよりよいものにしようとする教育行政機関の考えが反映されていること。第三に、今後の信仰学校の課題としては、各宗教団体の利害を超えた教育供給主体としての責任、すなわち教育の公共性への関与が積極的に求められていること。これらを通じて、イギリスにおける教育の公共性議論がどのように展開されているのかの一端を明らかにできた。
著者
原田 宗彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01 (Released:2011-04-06)

本研究の目的は、地域密着型プロスポーツのトポフィリア(場所愛)を実証的に検証するために、平成23年度から新たに男子プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)に参入する「岩手」「長野」の3チームの観戦者と地域住民を対象として、地域密着型プロチームの出現が、「チームアイデンティフィケーション」(TI)と「地域愛着」(PA)にどのような影響を与えたかを、縦断的研究によって明らかにすることである。その結果、プロスポーツの出現による地域愛着に経年変化は見られなかったが、その一方で、チームアイデンティフィケーションは年々高まっていくことが確認された。
著者
扇原 淳
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

高齢者介護施設における感染症対策に関する全国調査に基づく,感染症対策を目的とした研修プログラムの開発を行った.具体的には,ビジュアルマニュアル,確認テストを含むeラーニング教材のプロトタイプ開発を行った.また,都道府県単位で開催される感染症対策研修や施設単位で開催される研修担当者へのヒヤリング調査を行い,開発した教材の実装可能性について検討した.その結果,eラーニング教材を研修に取り入れる場合の時期,運用形態,人事考課との関係,施設内環境が課題として明らかとなった.今後は,また,研究成果の一部については,第56回日本社会医学会総会で報告した.今後は,各種タブレット端末やWebブラウザーの互換性の問題を解決するなど福祉現場での利便性に配慮した研修教材の開発を行う予定である.
著者
左近 幸村
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012 (Released:2013-04-25)

4月10~13日にアメリカのコロラド州デンバーで開催されたWestern Social Science Association 55^<th> Annual Conferenceに出席して、"Russian Transatlantic Liners after the Russo-Japanese War : Pssport Issues of Jewish Immigrants"と題する報告を行った。また6月1日に東京大学本郷キャンパスで開催された社会経済史学会第82回全国大会において、「ロシア東亜汽船社と義勇艦隊―20世紀初頭のユダヤ人移民問題との関連から」と題する報告を行った。これら国内外での報告を通じて、ユダヤ人移民問題との関連からロシア海運史研究の意義を広くアピールするとともに、多様な専門分野の研究者から今後の研究方針についての具体的なアドバイスを得ることができた。平成25年度は、9月15日と16日に早稲田大学で行われた社会経済史学会の次世代研究者育成ワークショップの開催に、受入教官である矢後和彦教授とともに尽力し、その中で自身も「帝政期ロシア極東における移民と民族問題」と題する報告を行った。本ワークショップを通じて、自身の研究課題の改善点を見出すとともに、組織者としての能力に磨きをかけ、さまざまな先生方や同世代の研究者たちと交流を深めることができた。出版物としては、拙稿「帝政期のロシア極東における『自由港』の意味」が掲載された『東アジア近代史』16号が刊行された。その末尾で示した20世紀初頭の東アジアとバルカンの東西比較の問題は、今後取り組むべき大きな課題である。現地調査は、8月20日~30日にウラジオストクの国立極東歴史文書館で行い、ロシア極東の海運に関する公文書を閲覧した。閲覧した史料は、上記9月のワークショップの報告で用いたほか、今後の研究発表に活かしていく。
著者
彼末 一之
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

野球の投手が投じるボールの回転は投球のパフォーマンスに大きく影響すると考えられるが,これを決定する身体動作は明らかになっていない.そこで申請者は高速度ビデオカメラを用いて手,指の動作とボール回転を同時に測定するシステムを開発し,手,指の動きとボール回転との関係,ボールの"ノビ"を表す物理的性質について検討した.その結果,リリース直前に指の動作は,直球の回転速度に強く影響することが分かった.また“ノビ"が良いとされる投手の投じる直球は回転速度が高く,回転軸角度が純粋なバックスピンに近いものであった.
著者
間野 義之
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究は、日本におけるエリートアスリートの環境の整備、および国際競技力向上を図るため、国際研究者コンソーシアム「SPLISS」に参画し、エリートスポーツ政策とトップアスリートの環境に関する定量的な国際比較研究を行い、日本のエリートスポーツ政策の主要成功要因や課題を明らかにすることを目的とした。日本のエリートスポーツシステムは他国に比べ「トレーニング施設」「国内・国際競技大会」「医科学研究」が優れている一方で、「スポーツ参加」「タレント発掘・養成」には一定の課題があることが明らかとなった。
著者
大塚 正之 井出 祥子 岡 智之 櫻井 千佳子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

平成27年度は、場の言語・コミュニケーション研究会例会を合計8回開催し、新たな研究者の発表に基づき、場の言語との関係を検討した。第14回例会(04.18)発表者 奥川育子先生 テーマ「物語談話における談話展開と視点」第15回例会(06.13)発表者 小森由里先生 テーマ「場の理論からみる他称詞の運用―親族の事例より―」第16回例会(09.08)(1) 大塚、岡 テーマ「場の観点から認知を捉える―主観的把握と客観的把握再考」(2)櫻井 テーマ「語りの「場」のコミュニケーションにみられる文化とは」。第17回例会(10.18)発表者 成岡恵子先生 テーマ「日英語の絵本における語り手の視点についての一考察」第18回例会(11.15)発表者 多々良直弘先生 テーマ「スポーツ実況中継における言語行動の日英比較;実況中継により創られるフットボール・ストーリー」第19回例会(12.20)発表者 重光由加先生 テーマ「会話に対する意識とその会話への表出:日・英男性初対面の談話を分析して」第20回例会(01.30)発表者 平田真知子先生 テーマ「時を表す表現の日英比較:英語の過去形と助動詞「た」」第21回例会(02.27)早野薫先生 テーマ「会話分析のこれまでとこれから」会話分析は、自然会話データを分析することによってインタラクションの中で社会的な秩序がどのように保たれ、維持されているのかをミクロの視点で明らかにしようとする。第16回のテーマ(1)については、認知言語学会において発表し、テーマ(2)については、異文化コミュニケーション学会で発表した。
著者
高野 光則
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

アクチンフィラメントに沿ったミオシン分子の1方向的な滑り運動は,ミオシンとアクチンフィラメントとの間の相互作用エネルギー地形の特徴によって説明されることが示された(名古屋大・寺田,笹井氏との共同研究)。エネルギー地形はフィラメントに沿って非対称的であり,さらに,大局的にはファネル状になっていることがわかった。アクトミオシンの分子モーターとしての機能それ自体とカップルした,いわゆる"機能ファネル"がエネルギー地形に形成されているようである。また,分子間相互作用に関与すると推測されている一群のアミノ酸について置換の影響を調べたところ,過去のin vitro motility assayの実験結果と符合した。アクトミオシンの分子間相互作用の詳細に探りを入れるため,水分子をexplicitに取り入れたアクチン,ミオシンの全原子MD計算も本格的に開始した。まず,アクチン,ミオシンそれぞれ単体のアロステリーに注目した。現在のところ,結晶構造で示唆されているようなヌクレオチド結合状態の変化にともなう顕著な立体構造変化はみられない。また,アクチンの重合・脱重合過程の分子機構の解明にも取り組んだ。フィラメント構造の安定性には分子間の2種類の静電相互作用,および分子間の接触面の柔らかさが重要であることが分かった。関連研究として,プリオンの重合・脱重合過程についてMD計算による研究を行い,プリオンの脱重合過程のシミュレーション結果をもとに,プリオン重合の新たなメカニズムを議論した(岐阜大・中村,桑田氏との共同研究)。またアクトミオシンの滑り運動機構の研究成果をふまえ,キネシンー微小管系におけるキネシンの1方向的な滑り運動の計算機実験と理論解析を行った。
著者
外園 豊基 錦織 勤 佐藤 和彦 桑山 浩然 松浦 義則 藤木 久志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

本研究は日本中世(12〜16世紀)を主たる対象とするが、時代を広くとって平安期から近世初頭(9〜17世紀前半)までを考察の範囲とした。「戦争と平和」の主たる内容を、戦争および災害とした。政治的な災害としての戦争と、自然的な災害としての飢饉などと異なるものであろうが、前近代においては不可分の関係にあったといえよう。まず、平安期〜近世初頭における戦争および災害に関する資料の網羅的収集を行うことを第一義とし、共同研究作業を通じて、それらのまとめを行った。具体的には、戦争および飢饉などの災害関連記事を収集し、それらを編年にまとめる作業をしたのちに、それを基に年表を作成した。それとともに共同研究作業として、調査を深化させるための報告会・研究会を通じて、いくつかの作業を並行して進めた。その一つとして、平安時代の戦争・災害関連記事について、『平安遺文』を用いてまとめ、年表の作成を行った。それとあわせて、本研究の主題である「日本中世における日損・水損・風損・虫損・飢饉・疫病に関する情報」年表を完成させた。これに研究分担者および研究協力者の研究成果をあわせて、研究成果報告書としてまとめた。また、動乱の時代といわれる南北朝期(14世紀)に関して、『大日本史料』(第6編)を検索し、戦争関連年表の作成を行ってきたが、完成間近の段階であり、かつ紙幅の関係で、研究成果報告書には反映することができなかった。さらに、近世初頭の関ヶ原の戦いにおける禁制を収集し、その内容・分布状況など考察することによって、民衆の戦争への関わり方を究明することに主眼をおいて考察を加えてきたが、これもまとめる段階までには到達できなかった。
著者
瀬戸 直彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004 (Released:2004-04-01)

本研究課題は,2005年9月に開催されるボルドー大学での「第8回国際オック語オック文学研究集会」(AEIO)で行なう発表に向けて,「写本テクスト学」の実践として,テクスト設定に問題をはらむトルバドゥールの1作品の研究を,収集したマイクロフィルムをもとに試みるものであった。具体的には,ラインバウト・ダウレンガの,Non chantで始まる作品について,とくにその27行目にひそむ問題をテクスト校訂の立場から,各写本の読みを検討し,従来提出されることのなかった私なりの読みを行なったのである。いくつかの写本によればla amorと,母音接続(イアチュス)を容認せざるをえなかった部分を,あらたにトルヴェールのコーパスをも含めた他の作品のコンテクストを徹底的に探索することによって,cel amor que…という読みを導き出したのであった。この内容を実際にボルドー大学において発表したところ,これを傍聴していたローマ大学のエンリコ・ジメイ氏より,同氏の母音接続にかんする詳細な研究の一端を知ることができた。それによると,私の例では,定冠詞laと,アクセントのない母音a-morとの母音接続であったが,この場合は,やはりイアチュスを認めるには不自然であり,写本伝承の過程でテクストが変質したものと考えることができる。ジメイ氏の調査はある程度は徹底的なものではあるが,コーパスとしてデ・リケールのアンソロジーを用いているために,各写本の読みの違いは考慮されていない。私のいう「写本テクスト学」の必要性をあらためて痛感している。この立場から,ラインバウトの同作品におけるセニャル(仮の名)の研究を,トルヴェールのクレテイアン・ド・トロワの一作品と比較し,写本間におけるテクストの異動の重要性に着目した(大学院研究紀要における日本語論文)。また,ラインバウト・ダウレンガの作品とは別に,ペイレ・カルデナルの「寓話」一篇のあたらしいテクストと解釈を提示してみた(リケッツ教授献呈記念論文集)。ここでは,従来検討されてこなかった,アルスナル写本の読みをも考慮したテクスト設定を試みた。
著者
常田 聡
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1996 (Released:1996-04-01)

まず,多孔性膜の界面からpolymer brushがはえている構造を作成するために,以下のような手順で膜材料を合成した.中空糸状の多孔性膜(ポリエチレン製)に電子線を照射した後,エポキシ基をもつモノマー(グリシジルメタクリレート)を前駆体としてグラフト重合させた。その後,エポキシ基の一部をイオン交換基(ジエチルアミノ基)に,残りをアルコール性水酸基(エタノールアミノ基)へ変換した.この多孔性膜の膜間に圧力をかけて溶液を透過させ,牛血清アルブミン(BSA)を対流に乗せてpolymer brushまで運び,きわめて短時間で生体高分子集合体を創製できることを確認した。この膜材料に一定流量でBSA溶液を透過させたときの圧力損失は,BSAの吸着が進むにつれて増大する。楕円球の形をしたBSA分子がpolymer brushに最密充填的に吸着していると仮定し,BSAの吸着によって液の透過できる細孔径が減少したとすると、BSA吸着後の膜の透過圧力をHagen-Poiseuille式によって推算できる。この理論式より推算された透過圧力と圧力センサーにより実測した透過圧力を比較した.その結果,実験値と推算値はよく一致することがわかり,吸着容量から推測した多層吸着構造モデルの妥当性が,流体力学的側面からも裏付けられた。また,polymer brush中のイオン交換基密度の増加とともに,電荷が互いに反発してpolymer brushが表面法線方向に伸長し,タンパク質をより多く抱き込む形態をとることが推察された。さらに,生理活性を有する酵素であるウレアーゼをpolymer brushにいったん集積させ,つづいてイオン強度を上げることによって脱離させた。尿素の分解特性をもとに生理活性を評価した結果,polymer brushへの集積前後においてウレアーゼの生理活性は変化しないことが示された。よって、polymer brushは生理活性を維持したまま高密度に生体高分子を集積できる場であることが示唆された。
著者
平田 彰 常田 聡
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1997 (Released:1997-04-01)

写真関連産業での現像液や定着液の使用状況・使用工程を調査し,排出の削減・防止策を提出することを目的として研究を行った。本年度は特に定着廃液を取り上げ,その物質フローの解析と再生技術の評価を行った。また,写真廃液の生物処理を実際に行い,写真廃液中に含まれる成分の生分解性を明らかにした。定着液の再生の際に必要となるのが(A)脱銀,(B)界面活性剤等の除去,(C)ハロゲン除去,(D)成分調整である。このうち,(A)および(C)の工程が必要なのは,銀,ハロゲンの残存によって定着速度が遅くなるからである。また,(B)は(C)のハロゲン除去を妨害するためである。各工程での必要技術は以下の通りであることがわかった。(A)廃液の再生に適している脱銀方法は,添加物や溶出物がない電解法である。電解法により脱銀を行うときは,電位の制御により硫化銀の生成を抑え,陰極室と陽極室をイオン交換膜等で分離して硫黄の生成を抑制する必要がある。(B)界面活性剤,現像主薬酸化物等は活性炭吸着あるいは膜分離法により除去することが望ましい。(C)硬膜剤として含まれるアルミニウムイオン(3価)や,ハロゲン化銀溶解剤として含まれるチオ硫酸イオン(2価)は保持し,ハロゲンイオンのみを除去するために1価選択性イオン交換膜を用いて電気透析を行う。(D)最後に成分の調整をする際,pHや各々の成分には最適な値が存在する。さらに,混合培養系で長期馴養した微生物群を用いて,写真廃液を生物分解した結果,1,000ppm程度のTOC成分が残存した。写真廃液を生物処理のみで完全無害化するためには,難生分解性の有機化合物(EDTAなど)を分解する特殊な細菌が必要であることが示唆された。
著者
平田 彰 XINGーRU Zhon 桜井 誠人 常田 聡 早川 泰弘 熊川 征司 ZHONG Xing-Ru ZHONG XingーR XIE Xie 岡野 泰則
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
1996 (Released:1996-04-01)

本研究では,中国回収衛星を利用した微小重力場において,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体の単結晶成長実験を行い,結晶溶解・成長過程における拡散及び界面律速過程や面方位依存性を明らかにし,In_<1-x>Ga_xSb化合物半導体のみならず,各種化合物半導体単結晶の高品質化への知見を得ることを目的としている。本年度は1996年10月に実施した宇宙実験の試料及び地上対照実験試料を切断し,切断面におけるGaSb溶解領域及びIn_<1-x>Ga_xSb成長領域を電子線マイクロプローブ分析法(EPMA)により測定した。その結果,宇宙試料は長さ方向に平行に溶解し,地上試料は重力方向に末広がりに溶解していた。これは,地上試料では,比重の大きいInSbが重力方向に移動し,より多くのGaSbを溶解したものと考えられる。また,数値シミュレーションを実施した結果,実験結果と同様の結果が得られた。さらに,面方位依存性に着目してみると,両試料とも(lll)A面より(lll)B面の方がInSbに溶解し易いことが明らかになった。反対に,成長領域は,B面よりもA面の方が大きいことが明らかになった。なお本年度は,研究討論等を行うため,5月及び8月に延べ3名(早大:平田,村上,桜井)が中国に出張した。また,研究成果の発表のために,8月には中国,10月にはイタリアへ延べ2名(早大:桜井)が出張した。12月には2名(静大:早川,早大:桜井)が本研究の総括討論をするために,訪中した。